最終更新:2022/5/26
ITストラテジストに一発合格しました!
本記事では、合格の秘訣について私なりにまとめたいと思います。
鉄は熱いうちに打て、で、合格直後の頭でノウハウを根こそぎ洗い出して形にしたいと思いますので、これから受験予定の方に、参考になれば嬉しいです。
受験直後の速報記事はこちらをどうぞ。
合格直後の報告記事はこちらをどうぞ。
午前対策・記述対策(午後I対策)・論文対策(午後II対策)・心構え・参考書の評価という順にまとめようと思います。
本記事では、午前対策・記述対策(午後I対策)についてまとめます。
一番知りたいところから順に読んでもらえればと思います。
1.午前対策
1-1. 余裕をもった知識の吟味を
比較的時間や精神的に余裕のある、試験本番の数か月前に一度参考書を読んで、一通りキーワードを押さえておくことをおすすめします。
合格という一過性の目的のみならず、自身の興味がどういった方向にあるかの分析ができるからです。
私の場合は、「官民データ活用推進基本法に基づくオープンデータ」という知識が参考書に紹介されていたので、試験勉強とは別に、軽く調べてみました。
様々な省庁の統計情報が、営利・非営利問わず無料で利用できます。
いつか、自分でも活用して、このブログでもご紹介したいですね。
1-2. 過去問で対策を
午前問題は選択式なので、過去問を解いていれば、それが最も効果的な対策になります。
試験直後の記事でも述べていますが、3割くらいは2年以内の過去問から出題されます。
これは逆に言えば、3割は過去問から正答できるので、合格ラインの6割5分に乗せるには、残りの3割5分を積み上げればよいだけ、ということになります。
4択問題なので、2割5分が偶然にしろ正答できるとしたら、3割5分を積み上げるのは大した苦労ではありません。
1-3. よく出る問題
ファイブフォース分析、SECIモデル、デルファイ法はよく出題されます。
令和3年度の過去問からの類題を下に列記しています。
- 問6 ファイブフォース分析を問う問題:令和1年 問13 の類題
- 問10 人口統計的変数を問う問題:平成30年 問10 の類題
- 問13 SECIモデルを問う問題:平成30年 問14 の類題
- 問16 TOCを問う問題:平成30年 問17 ★全く同じ設問
- 問19 デルファイ法を問う問題:令和1年 問19 の類題
- 問23 格納型XSSを問う問題:平成30年 問23 ★全く同じ設問
人口統計的変数を問う問題が連続して出題される当たり、試験センターの問題制作委員の中に同知識の専門家がいらっしゃるのではと思われます。
また、格納型XSSはストラテジ系の設問でないのにも関わらず、全く同じ設問が出題されているのは、どのような意図があるのか気になります。
2. 記述対策(午後I対策)
2-1. 要点の掴み方
まずは基本形を紹介しましょう。
「課題」ー「機能」ー「設問」
午後Iの問題文には、必ず「課題」とそれを解決する「機能」の組み合わせが記載されています。
そして設問によって問われるのは、基本的に「課題」か「機能」のいずれかです。
代表的な設問形式
- この「機能」を実現する目的はなぜか? → 回答:「課題」を解決するため
- この「課題」をどのように解決したか? → 回答:「機能」によって実現した
まずは、どちらが問われているかを見極めて回答しましょう。
慣れてきて、「課題」ー「機能」ー「設問」の組み合わせが浮かび上がって見えてくればしめたものです。
2-2. 応用形の例
基本形 「課題」ー「機能」ー「設問」 を念頭に置きつつ、いくつかの例外(応用形)を紹介しておきましょう。
たとえば、戦略が複数ステップに分かれているケース。
「課題」ー「機能」の組み合わせが複数回登場することがあります。
このケースは、2回目の「課題」は問題文の後半に登場することになります。
問題文の前半=「課題」 後半=「機能」にとらわれていると、要点を見落とすことになります。
もう1点、紹介しておきましょう。
「課題」を探しすぎるあまり、「要件」のチェックが疎かにならないようにご注意を。
新たなシステム化戦略の目的として解決するのが「課題」ですが、「課題」がすでにシステム「要件」の姿で記述されているケースがあります。
こうした例では、「要件」を問われるケースもあれば、本文中にない「課題」を問われるケースもあります。
本文から表層的に抜き出すのではなく、本質的な理解をもって記述するようにしましょう。
2-3. 要求事項を問う問題について
課題を解決するために要求事項が定義されますが、生じる問題について問われる設問についても紹介しておきましょう。
一言でいうと、実現「する」上で生じる問題と、実現「した」上で生じる問題は、別のことを聞かれています。
- 要求事項を実現「する」上で生じる問題は何か?
- 要求事項を実現「した」上で生じる問題は何か?
前者は達成するために支障を排除する問題で、後者は要求事項自体の誤りを問う問題です。
前者は、ITストラテジスト、あるいはその指示を受けて動く人間が、実現の支障となっている事柄(主に、現場の問題)を問われています。
一方、後者はITストラテジストとして、抽出された要求事項をそのまま実現すると、別の問題が誘発する(ので、実現要件に含めないなどの対応が求められる)ことについて問われています。
日本語にすると僅かな違いなので、日本語試験と呼ばれる所以かもしれませんね。
2-4. 記述テクニック
記述のテクニックにも触れておきましょう。
便利表現を覚えておこう
ITストラテジストの記述式は、本文中の表現を利用しますが、そのまま抜き出すだけの問題はまず出ないです。
ですので、よく使われる "便利表現" を覚えておきましょう。
たとえば、以下のような表現です。
- ○○を徹底する
- ○○を予測する
上記は、実際に試験センターの模範解答でも頻出表現です。
一応のキーフレーズは見えたが、制限時数内で着地できない、といったときにつぶしが効くので、ぜひ本番で試してみてください。
何を書いていいかわからないとき
また、朧気に分かるが何を書いていいか分からないときもよくあるでしょう。
そうしたときでも、自分なりにどう書くか決めておいた方がいいです。
まずは問題文から解答候補となる表現を複数リストアップしましょう。
全部書くと文字数オーバーするので、どれかを選ぶことになります。
その時に選ぶ基準を、自分なりにあらかじめ決めておく、というわけです。
たとえば「より真因に近いもの」など。
このテクニックは、考えてもそれ以上わからないような場面で、迅速に記述を終わらせ、徹底的に時間を節約するためのテクニックです。
因果関係の整理
問題文で、「A→B→C」の因果関係が本文中に示され、設問「Cの原因は?」と問われ、Aを答えるかBを答えるか迷うことがあると思います。
100%ではありませんが、この場合はAが正答のことが多いと思います。
考え方としては、因果律の近いBは「設問の一部に含まれる」と考えるとよいでしょう。
回答欄にとにかく詰め込む
どうしても回答を文字数内に絞り込めない場合は、「おそらくこの辺」というあたりのキーワードを無理やり詰め込んでしまいましょう。
そうすれば、満点は無理だが、部分点は狙えます。
出題者と会話するイメージでいるとよいでしょう。
「聞いているのは、この辺ですよね?」
2-5. 中級者向けの注意
ある程度午後Iに慣れてきた方向けに、いくつか注意事項をお伝えしましょう。
ミスリードを狙う罠?
少々穿った見方かもしれませんが、たまにミスリードさせるような罠があるケースがあるので注意しましょう。
例えばH29の問1。
一般的な感覚で言うと、緊急課題と長期的な課題が、どうみても逆です。
緊急課題:新規要員が採用できず、ナレッジが引き継がれず、組織が弱体化する
長期的な課題:保有する車両の故障を防ぎ、業務停止を防ぐ
どう考えても、業務停止のリスクの方が喫緊の課題でしょう。
もちろん問題文の通りに問われていますから、正答はできますが、一般的な現場感覚を持っている人ほど、正答しにくいことになりますので、何を目的とした設問なのか、試験センターには説明を求めたいですね。
対策としては、必ずキーワードで本文上の単語や表現を対照付けて、直感の罠に陥らないようにしましょう。
不意のテクニカル出題に注意
すっかり「ストラテジ」系の脳になっている方は、不意の「テクニカル出題」に注意。
H29の午後I問3の3(2)や4(2)などですね。
特に4(2)は問題文に
要件Aに対して実装Bを行った
とあるのに、実装不足を答えるもの。
「ストラテジ脳」としては、実装不足まで疑って対応を講じるのはかなり大変なので、こうした問題もある、と備えておくのがよいでしょう。
もちろん、試験センターのシラバスには、「テクニカル」も出題範囲ですし、実際の業務においても大切な観点ではあるのですけどね。
2-6. 問題の選び方
問題の選び方の基準についても、紹介をしておきます。
4問(うちエンベデッドが1問)から2問を選択しますが、決め方を自分なりに決めておかないと、迷って時間をロスします。
おすすめは、冒頭文と設問文を読んで、より問題文全体の構成が見通しやすそうな2問を選ぶことです。
見通しがよくなるということは、問題間の難易度調整の結果、設問自体が難しくなる可能性も無くはないですが、ここでは早く決めることが重要なので、そうしたリスクは目をつむってしまいましょう。
2-7. 自分の思考のクセに気づく
最後に、一般的なことを。
何事もそうですが、自分の思考のクセに気づいて矯正するのは重要です。
そのためにも、何度も過去問を解いて、解いているときの自分の思考回路を観察する癖をつけましょう。
私の場合は、問題文に
「○○ごとに××する」
といった表現に無為にスルーしがちでした。
この文章からは、複数の○○を連想しなければならないが、漫然と読んでいると、単数的な印象になっていて、混乱することがよくありました。
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とても長くなってしまったので、残りは次の記事としたいと思います。
ではそれまで。