
本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、
令和6年問1で出題された過去問を分析します。
実際に論文を書く上での考え方を整理し
論文骨子を設計するところまでやっていきます。
問題(令和6年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

設問文は以下の通り。

何が問われているかを把握する
本問は人手依存の業務に対し先進技術を適用することで
どのように大幅に効率化・自動化したかについて主に
問われています。
設問アは「業務の内容」に加え「その業務が人手によってしか
実現できないと考えられていた理由」について問われています。
この理由部分が、設問イで論じる「大幅な効率化や自動化が
可能と考えた理由」と対応している必要があります。
設問イは「どのような先端技術をどのように適用したか」と
「大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由」について問われています。
前者は選定した先端技術と情報システムへの具体的な実装方法を
論じます。
後者は設問アの理由(人手によってしか実現できないと考えられて
いた理由)を打ち消せる論拠が必要となります。
設問ウは先端技術の適用時の「課題」と「対策」について
問われています。
出題要旨と採点講評からの分析

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して
出題の意図と論述のNG例を把握します。
出題要旨

出題要旨の1段落目に枠で囲った部分には、
先進技術を容易に利用できるようになってきたことに伴い、
認識と判断のデジタル化の難しさや費用対効果が小ささの障壁が
緩和されてきたことを述べています。
つまりは本問の背景・前提となる要素がまとまっています。
2段落目には3つの設問で問うている事柄が端的にまとめられています。
従来人手によってしか実現できないと考えていた理由 → 設問ア
どのような先進技術をどのように適用して大幅な効率化や自動化を可能にしたのか → 設問イ
その適用の際に生じる様々な課題への対処方法 → 設問ウ
採点講評

「全問共通」の採点講評の2文目にはNG例が書かれています。
問題文に記載してあるプロセスや観点などを抜き出して一般論と組み合わせただけの表面的な論述
実施した事項を論述するだけにとどまり、実施した理由や検討の経緯が読み取れない論述
上記はいずれも、システムアーキテクト区分に限らない、論文系の区分の一般的な注意事項でもあります。
前者は、論述するシステムやプロジェクトの特徴を踏まえていない論文がNGと評価されることを言っています。
後者は、実施したことのみ論述する"したした論文"になってしまい論拠を説明できていない論文がNGと評価されることを言っています。
いずれも論文の基本的な作法や経験によって払拭できる注意点なので、論文作成時に意識して取り組みましょう。

問1の採点講評の3文目には次のNG例が紹介されています。
単なる作業を"入力業務"や"議事録作成業務"などとし、本来の業務目的を深く理解しないで論述していた
対象の業務がどのような目的のものか深く理解して論述する必要があります。
5文目にはOK例として、
銀行における振込依頼のための手書き依頼書の登録業務
と紹介されています。
テクニックとしては、基幹業務などの名称を意識すると良いと思います。
販売業務、受注業務、在庫管理業務、財務管理業務、購買業務などなど、
どのような業態においても発生するであろう業務を念頭に置き、
論述対象とする業務がどの部分にあてはまるのかを説明すると良いでしょう。
また6文目にはNG例として、
実現した場合の効果である工数削減やコスト削減、信頼性向上を述べるにとどまり、大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由に触れていない論述
が紹介されています。
工数削減・コスト削減・信頼性向上などの指標は重要ですが、
それだけですと単にシステム構築・システム改善した場合との差が
採点者が評価できなくなってしまいます。
論述対象の業務、システムの特徴を踏まえ、とりわけ、
人手によってしか実現できないと考えられていた業務を
デジタル化したからこそ大幅な自動化・効率化に至るという
骨子で説明するとよいでしょう。
論文を設計する

問われていることの概略を把握したら
自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて
どのように論述を展開するかを設計します。
設問アの設計
設問アは「業務の内容」と「その業務が人手によってしか実現できない
と考えられていた理由」について問われています。
「理由」については問題文に次のように例示があります。
認識と判断のデジタル化の難しさや費用対効果などの理由
さらに問題文の中盤に、「次のような業務への適用が考えられる」
としていくつか例示があります。
これらの例についても「理由」を考え付くヒントになります。

なお、設問アの「理由」の部分は設問イで問われる
「大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由」と
対応している必要があります。
以上のことに注意して論述するには、
「業務」自体への理解度が必要です。
受験者自身にとってなじみにある業界や興味のある業務など、
説得力を持たせることのできる題材を選びましょう。
設問イの設計
設問イでは「どのような先端技術をどのように適用したか」と
「大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由」について
問われています。
どのような先端技術をどのように適用したか
問題文には「先端技術」の例として、第一文に
認識AI、生成AI、RPAツール
が紹介されています。
AIで2種類紹介されていることからも、単なる「AI」とだけ
論述することの無いようにしましょう。
また先端技術を「どのように」適用したかの部分ですが、
書きやすい論文構成としては、先端技術を適用した
情報システムについて説明する方法でしょう。
たとえば、2-1.節で採用した先進技術と適用した方法とし、
先進技術をどのように情報システムに組み込み、業務上は
どのようになるかを論述します。
その後、2-2.節で大幅な自動化と効率化が可能と
考えた理由を書く方法が考えられます。
大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由
採点講評に下記のNG例があることを思い出しましょう。
実現した場合の効果である工数削減やコスト削減、信頼性向上を述べるにとどまり、大幅な効率化や自動化が可能と考えた理由に触れていない論述
先端技術を適用しても、工数削減・コスト削減・信頼性向上を述べるだけ
では不十分です。
設問アで述べた「人手によってしか実現できないと考えられていた理由」が
先端技術を適用できたからこそ大幅な自動化・効率化を達成したという
骨子で論述するようにしましょう。
たとえば、次の具合です。
「対象業務」自動車部品メーカーにおける加工・成形・組立業務
「人手によってしか実現できないと考えられていた理由」熟練工による素材や種類に応じた微妙な力加減やキズや歪みの検出が必要とされていたから
「採用した先端技術」AIを搭載したプレスブレーキがセンサーと連携し、リアルタイムに素材特性を分析し、最適な圧力や角度補正を自動計算する
「大幅な自動化と効率化が可能と考えた理由」長期的にはAIの学習が進み熟練工の経験則に寄らない生産体制が築けるため
論述の対象とする業務の特徴や制約を踏まえ、
一般論にならない理由を根拠として論述できるようにしましょう。
設問ウの設計
設問ウは「課題」と「対策」が問われています。
問題文にも例があるので確認しましょう。

課題の設定については、「先端技術を適用するにあたり生じた課題」
である必要があることに注意しましょう。
情報システムを構築・運用する上での一般的な課題では
題意を満たすことは難しいです。
論文骨子

論文骨子の一例を示します。
■設問ア
1.人手によってしか実現できないとされていた業務
1-1.業務内容
自動車部品メーカーA社。
自動車部品の製造工程における、加工・成形・組立・品質管理業務。
1-2.人手を介す必要性が拭えなかった理由
①加工工程では素材の種類や厚みによって微妙な力加減が必要、
職人が経験を頼りに調整を行っていた。
②品質管理工程では製品の表面にキズや異常が無いかを目視で確認、
微細なキズや歪みの検出は熟練工の感覚によるところが大きい。
■設問イ
2.先進技術の適用
2-1.採用した先進技術と適用した方法
・加工・成形条件を導出するRPAツールとAI
・加工・成形機械に搭載するセンサー
・画像認識AIと高精度カメラ
2-2.大幅な自動化と効率化が可能と考えた理由
・属人性の高い業務の脱属人化・自動化
設計工程で作られるCADデータをもとにAIが加工・成形条件を
導出するようになるため
・生産効率性の向上
熟練工に依存する生産体制が改善されるため
■設問ウ
3.先進技術を適用した際の課題と対策
3-1.先進技術を適用した際の課題
①AIモデルの過学習やバイアスの課題
②データ管理の課題
3-2.対策
①普遍的・定量的なデータ収集
②セキュリティ対策
論文全文について
ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、
論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが
以下記事の末尾をご参照ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、
令和6年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。
AIやIoTなどの先端技術をテーマにした背景に、
人手依存の業務を改善したという取り組みを経験した方は
選びやすかったものと思います。
私自身の受験記もまとめているので合わせて参考にしてください。
また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については
以下リンクを参照ください。
論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole
今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。
ではそれまで。