スタディルーム by rolerole

情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

高度情報処理試験 令和8年/2027年の展望と今の受験者がするべきこと

 

こんにちは。

情報処理技術者試験は令和8年/2027年次より新制度への移行が決まっており、

今年度に入りあらかたの情報は揃いつつある状況です。

従来制度の試験は今年度(前期11月、後期翌2月)が最終です。

 

この記事を読めば、

  • 新制度の展望が5分でわかります
  • 従来制度と新制度のつながりが分かります
  • 今期、受験予定の方がどうすればよいのか分かります

 

なお、本記事(私のブログ)は従来制度のレベル4の

高度区分の資格者・受験予定者が対象です。

基本情報やITパスポートなどの区分の受験予定者は

別の方がよりよくまとめていらっしゃいますので、

そちらをご参考ください。

 

 

新制度 令和8年/2027年からの展望

全区分CBT化

これまで高度区分の試験はペーパー方式でしたが、

新制度においては基本的に全区分が

CBT(Computer Based Testing)方式です。

 

新試験区分

データマネジメント試験(仮称)

データマネジメント試験(仮称)が新設されます。

AI活用に必要なデータ整備・管理スキルを評価します。

 

ITパスポート試験の次のステップとして位置づけられます。

 

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)

現行の応用情報技術者試験と高度試験9区分を、3つの領域に再編します。

高度区分の試験は次の3つの試験に対応します。

 

  • プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験
  • プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験
  • プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験

 

現行の高度9区分との対応は、下図の平成21年から令和9年(予定)の

遷移を見ればわかります。

今回の見直しを含めた試験制度の変遷

 

他にもITパスポート試験の出題分野の再整理や、

情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験の変更、

情報処理安全確保支援士試験の変更といった点が

今回の新制度移行に伴い変更予定とのことですが、

詳細は公式情報(下記)をご確認・お待ちください。

www.ipa.go.jp

 

受験者への影響

ここからが本記事の本題です。

 

高度情報処理試験も他区分と同様、

従来試験区分での受験は今期(令和7年/2026年)が最終です。

したがって、従来区分で受験・合格したい場合は、

今期が最後のチャンスです。

 

 

従来9区分と新制度の対応

新制度においては、従来9区分の対応は次の通りです。

従来区分 新制度
ST、PM、SM、AU プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)
DB プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)
SA、NW、ES、SC プロフェッショナルデジタルスキル(システム)

 

ご自身が得たい専門性やキャリアに応じて、

目指す試験を選ぶ際の参考にしてください。

 

会場一斉受験方式の撤廃

新制度では、一定期間内に複数日で試験を実施します。

受験者は実施期間中の空席がある日時を選択して申込できるようになります。

 

試験会場は全国に設置し、実施期間中に空席のある試験会場から、

選択して申込できるようになります。

 

受験者にとっては、従来、全国一斉の「試験日」があり、

そこに向けて勉強や準備を重ねていきましたが、

新制度においては、「受験日」を受験者自身で決定できるため、

勉強や準備の計画がより「受験者任せ」になります。

 

受験者としては、新制度においてはより勉強の計画性が

重要になってきます。

 

記述式・論述式の方式撤廃

新制度においては次のような主題形式となります。

新制度の出題形式

高度9区分において、従来制度の午後試験(新制度の科目Bに対応)は

記述式または論述式という方式でした。

新制度ではいずれも多肢選択式となります。

 

まったく見当のつかない問題であったとしても、

選択式である以上、適当にマークすれば、何割かの確率で

正答できることもあるわけです。

この確率は従来制度に比べると格段に上がることになるでしょう。

 

そうなったとき、その試験に求める「合格」の価値がどうなるか…

ここについては、次の章で改めてまとめたいと思います。

 

 

 

今 受験者はどう動くべきか

ここからは私の考え方を述べていきます。

まず、今年度、従来制度の最後のチャンスに受験すべきかという点です。

 

結論から言うと、受験すべきだと思います。

 

なぜならば、新制度試験においても、各区分の役割やスキルセットは

引き継がれる公算が高いからです。

それならば、今、狙っている試験区分が明確なのであれば、

早いうちに取得することに越したことはありません。

 

悪い目が出て不合格であったとしても、対応する後継の試験を

受験する際、勉強した知識と受験した経験が活用できるでしょう。

 

今年度受験することのデメリットや不安があるとすれば、

それは新制度においては記述式・論述式の方式が撤廃されるため、

せっかく勉強した内容が活用できないこと、ではないでしょうか。

 

しかしながら、そのデメリット・不安は、これまで高度のみならず

全レベル・全区分を受験・合格した筆者に言わせれば、

取るに足らないことだと思います。

 

なぜならば、本質的に試験によって得られる知識やスキルセットは、

選択式・記述式・論述式といった方式に左右されるものではないからです。

 

PMであれば、PMBOKや計画・実行フェーズにおけるマネジメント。

STであれば、SWOTなどの理論、戦略・要件の統合、経営との橋渡し。

SAであれば、要件と実装の統合、デザインパターンなどの開発理論。

AUであれば、リストコントロール、監査手続・証跡との関連性。

 

などなど、それぞれにおけるスペシャリストに求められる大まかな能力は

制度変更に伴い一括ですべて陳腐化・無意味化するとは考えられないためです。

 

もしも、「勉強したことが無駄になるかもしれない」という恐れを抱いて

今年度の受験勉強の決心がつかない方がいらっしゃれば、それは

「受験しないことの言い訳」になっていないか、よく見極めてみることが大切です。

 

 

そして、とりもなおさず、資格としての、合格としての価値も

同じことだと思います。

記述式でなくなったから、論述式でなくなったから、

選択式なので当てずっぽうに選べば正答確率があがるから、

そのような試験に合格して何になるのか、と言う問いに対しては、

試験や合格の価値は方式に左右されるものではない、に尽きると思います。

 

時代や技術の流れで、方式や内容の修正があったとしても、

その試験や合格の価値に求める期待は、受験者自身で決めるべきですし、

今度の制度改定では、そこまで価値が急落するような変更でもないと思います。

 

また、難易度調整も行われるかもしれません。

記述式・論述式の方が一概に言って難しいですから、

選択式の難易度を上げる調整が行われる可能性があります。

 

試験センターとしても、実績のない方式を経ながら調整を

行う必要があるでしょうから、従来以上の難易度に設定される

可能性もあります。

であるならば、今年度のうちに受験・合格してしまった方が良い、

という考え方もあるかもしれません。

 

 

高度試験対策を継続したい方向け

いかがだったでしょうか。

参考になったという方は、今年度で最後となる従来試験区分の

試験対策記事など別の記事も確認してみてください。

 

メンバーシップでは論文例や分析も公開しています。

 

よりよいキャリアやスキルセット獲得のため、

合格の一助となれるよう、今後もサポートしてまいります。

引き続きよろしくお願いします。

システム監査技術者 システム導入の決定過程における監査【論文の書き方】(令和7年秋問1)

本記事ではシステム監査技術者の午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和7年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

問題文はこちらです。



設問文はこちらです。



 

何が問われているかを把握する

本問題は情報システム導入の決定過程における

監査について問われています。

 

情報システムの導入時は「正当性」が求められますが、

監査によってそれを保証するような関係です。

 

また、本問は「特有のリスク」について論じ、

それが対応策によって許容範囲にまでリスクが

低減していることが示される必要があります。

 

出題要旨と採点講評からの分析



試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨



第一文に

その導入に伴う新たなリスク(以下、特有のリスクという)

と書かれています。

既存の情報システムの改修や、機能追加など、

一般的なリスクとは異なるリスクを論じる必要があります。

 

第二文に

特有のリスクを特定して評価するだけではなく、対応策によってそのリスクの大きさをリスク許容範囲内まで低減できる必要

と書かれています。

リスク特定・リスク分析・リスク評価・対応策立案・リスク再評価と、

リスク管理のプロセスに精通していることが重要です。

情報処理安全確保支援士(SC)のスキルがあると有利でしょう。

 

第二段落には

情報システム導入の決定過程において、当該情報システム特有のリスクの特定及び評価が適切に実施され、対応策によってそのリスクの大きさがリスク許容範囲内まで低減できることが適切に評価されているかどうか

を確かめるための

監査手続

と書かれています。

ここで重要なのは、情報システムの導入に関わった主体と

監査主体は別人格であることが必要です。(監査の独立性)

よって、リスク評価を行う人と、その適切性を確かめる人は

別人として論文を設計する必要があることに注意しましょう。

 

 

採点講評

全問共通の採点講評では

  1. 問題文の趣旨を踏まえていない論述
  2. 監査証拠が具体的ではない監査手続に関する記述
  3. 論文の体裁が十分整っていない

という3つのNG例が載っていました。

表現は若干変わりますが、毎年の採点講評とほぼ同じ内容でした。

 

2点目に関してですが、システム監査技術者試験では

必ず「監査手続」について問われます。

監査手続については、下記記事に基本をまとめているので、

不安な方は再確認しておきましょう。

システム監査技術者の論文対策(リスク・コントロール・監査手続) - スタディルーム by rolerole (hatenablog.jp)

 

問1の採点講評では、第一文と第二文に

他の情報システムや導入前の情報システムで既に識別されているリスクについての論述

AIやIaaSなどの新たな技術そのものをリスクとし、これらの技術を導入することで生じる特有のリスクを明確にしていない記述

がNGの例として挙げられています。

これは設問アで問われている「特有のリスク」を適切に

捉え切れていない論述・記述です。

 

第三文に

特有のリスクである理由が不明確

対応策が一貫していなかったりする記述

がNGの例として挙げられています。

これは設問イで問われている「特有のリスク」を特定した「理由」や

その「対応策(防止策と発見策)」が不十分な記述です。

 

第四文に

対応策の監視手続だけを記述している回答

がNGの例として挙げられています。

これは設問ウで問われている「監査手続」がリスクの「対応策」

だけにとどまっており、「評価のプロセス」が不十分な記述です。

情報システム導入を保証する監査ですから、リスク評価の

プロセスは重要な監査項目になります。

 

■論文の文字数■
システム監査技術者は他の区分と異なり、設問イと設問ウの
指定文字数が一緒です。(700字~1400字)
他の区分は設問イと設問ウで指定文字数が異なっていることが多いので、
いくつかの区分を受験予定・受験中の方は注意しましょう。

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは「情報システムの概要と目的」と「特有のリスク」

について問われています。

 

「情報システムの概要と目的」は単純なシステムの改修や

機能追加に留まらないような内容にした方が良いです。

問題文にある通り、未経験の開発手法や新技術の大規模システム、

機微情報を海外拠点と共有するシステム、などのように、

"特有性"がなくては「特有のリスク」を導けないためです。

 

「特有のリスク」もその内容が、「他の情報システムや

導入前の情報システムで既に識別されているリスク」ではない

ことを確認しましょう。

 

なお、設問アの範疇はまだ「システム監査人」は登場しません。

情報システムの導入を検討する別の主体(人物)を登場させる

イメージで、「情報システムの概要と目的」「特有のリスク」を

論述するのが良いでしょう。

 

情報システムの導入を検討する主体(人物)としては、

存在する「特有のリスク」に対して低減策を講じるなどの

何らかのコントロールを図る必要があります。

これについては設問イで中心的に述べます。

 

設問イの設計

設問イは、主に設問アで論述した「リスク」に対する

コントロールについて述べることになります。

 

ここではまだシステム監査人は登場しません。

 

設問文に則ると、特有のリスクを「特定した理由」、

「リスクの大きさを含めた評価方法」、「対応策(防止策及び発見策)」

について述べていくことになります。

 

「特定した理由」については明確に述べる必要があり、

そのリスクが"特有"であることを、情報システムの特徴を

踏まえて論じるようにします。

 

「リスクの大きさを含めた評価方法」、「対応策(防止策及び発見策)」

はリスク管理のプロセスが重要です。

ここは情報処理安全確保支援士(SC)のスキルセットがあると

有利でしょう。

 

リスクの洗い出し、リスクの評価(発生確率と影響度など)、

リスクの対応策(防止策)、予兆を踏まえて未然に防ぐ(発見策)

これらが一貫性をもって論じられていることが必要です。

 

 

設問ウの設計

設問ウは、これまで述べられたリスク(設問ア)と

コントロール(設問イ)が適切かといった観点での

監査について述べます。

 

ここで初めてシステム監査人が登場する構成にすると

書きやすいでしょう。

 

設問イの流れで論述すると、「リスクへの対応策」が

適切かといった観点で論じたくなりますが、

今回のシステム監査の役割が、「システム導入の決定過程」の

保証にあることを思い出しましょう。

 

情報システムの導入を検討する主体(人物)が行った

リスクのコントロールが適切であることを監査するには、

リスク管理のプロセスそのものを監査する必要があります。

 

このとき、システム監査人として査閲できる監査証跡は、

リスク管理上の報告書やリスク管理簿、ヒアリング記録、

リスク対応方針書などが考えられます。

 

システム監査技術者試験では、監査手続について述べる際は、

具体的な監査証跡をもって論じる必要があります。

 

 

論文骨子

ここでは、参考として論文骨子の例をご紹介します。

■設問ア

 1.情報システムの概要と特有のリスク

  1-1.情報システムの概要と目的

  販売管理システムの導入過程における監査

  国内・海外向けそれぞれにあった販売管理システムを統合

  販路別のコスト非効率を解消し利益率を向上

  導入検討:J社の情報システム部の企画担当N課長

  1-2.特有のリスク

  (1)マスタ定義差異

  国内・海外のマスタのコード体系に差異

  開発工程における名寄せ失敗・重複登録・集計不整合

  (2)個人情報保護法制差異

  日本:個人情報保護法 EU圏:GDPR

  データ移転違法化、制裁金・利用停止命令

■設問イ

 2.特有のリスクの特定とコントロール

  2-1.リスクの特定

  N氏のリスクアセスメント

  リスクの特定:ステークホルダへのヒアリング、

   過去事例の分析、チェックリスト

  リスクの分析:発生確率と影響度を組み合わせ、

   リスク値を導出

  次に述べる2つのリスクは特有のリスクとして特定した。

  (1)マスタ定義差異

     発生確率:大 影響度:大

  (2)個人情報保護法制差異

     発生確率:中 影響度:極大

  特定した理由:単なるシステムのリプレイスや機能追加

   といった標準形に依存しないため

  2-2.防止策と発見策

  (1)マスタ定義差異

  防止策:国内と海外のコード体系を標準化、

   マッピングルールを整備

  発見策:データ品質KPIを定め、重複率や不整合率を

   監視

  (2)個人情報保護法制差異

  防止策:国別の法規制を調査、法務部門レビュー、

   データ分類管理をルール化し暗号化・匿名加工

   といった管理方法を定義

  発見策:システム稼働後の監視項目の中に

   個人情報のデータ移動を検知する機能を導入

■設問ウ

 3.特有のリスクの評価と対応策の監査

  私(システム監査人)が導入過程における

  リスク評価の監査を行う

  3-1.特有のリスクの評価の監査手続

  アセスメントに関する議事録、ヒアリング記録、

  チェックシートを査閲

  J社のリスクアセスメント標準に準拠したプロセス

  でリスクの洗い出しがなされていることを確認

  3-2.対応策の適切性に関する監査手続

  リスク管理表、残留リスクの監視計画書、

  経営報告書を査閲

  J社のリスクアセスメント標準に則って適切に

  再評価されていることを確認

  経営報告書からは、残留リスクが許容範囲内で

  あることの経営承認を受けていることの証跡を確認

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではシステム監査技術者の午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析しました。

設問ア・イ・ウがリスク・コントローラ・監査手続について

問われており、比較的オーソドックスな出題でした。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、論文の書き方記事を充実していきます。

ではそれまで。

高度情報処理試験 令和8年試験の日程と申込に関する整理

2026/2/11 最新情報 追記

2026/2/27 最新情報 追記

2026/5/26 高度論文対策を継続したい方向け お知らせ 追記


こんにちは。

次期の高度情報処理試験や応用情報技術者試験(AP)、情報処理安全確保支援士(SC)は従来のペーパー方式からCBT(Computer Based Testing)方式へ移行する旨がIPAより発表されています。

 

www.ipa.go.jp

 

本記事においては、今一度発表の内容の振り返りと、試験申し込みに関する整理を行います。

 

IPA発表のCBT方式移行の内容について

従来はペーパー方式で春季(4月)と秋季(10月)の2回に分けて実施していました。

2026年からはCBT方式に移行することが2025年8月12日付けでIPAより発表されています。

 

対象となる試験区分

  • 応用情報技術者試験(AP)
  • 高度試験
    • ITストラテジスト試験(ST)
    • システムアーキテクト試験(SA)
    • プロジェクトマネージャ試験(PM)
    • ネットワークスペシャリスト試験(NW)
    • データベーススペシャリスト試験(DB)
    • エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
    • ITサービスマネージャ試験(SM)
    • システム監査技術者試験(AU)
  • 情報処理安全確保支援士試験(SC)

 

※ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報は従来どおり

 

試験実施時期

一定期間内に複数日で試験を実施する予定です。受験者は実施期間中の空席がある日時を選択して申込できるようになります。

試験実施場所

試験会場は全国に設置し、実施期間中に空席のある試験会場から、選択して申込できるようになります。

 

試験範囲・形式

試験区分で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。
また、出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数及び試験時間も同様に変更はありません。

 

科目名称について

予約枠から日時選択できる方式となるため、従来の午前・午後の区分けは撤廃され、以下のように科目名が変更される予定です。

区分 現在の科目名 CBT移行後の科目名(予定)
応用情報技術者試験(AP) 午前試験
午後試験
科目A試験(150分)
科目B試験(150分)
高度試験 午前Ⅰ
午前Ⅱ
午後Ⅰ
午後Ⅱ
科目A-1(50分)
科目A-2(40分)
科目B-1(90分)
科目B-2(120分)
情報処理安全確保支援士(SC) 午前Ⅰ
午前Ⅱ
午後
科目A-1(50分)
科目A-2(40分)
科目B(150分)

なお、免除制度は継続予定とのことです。

午前Ⅰ免除制度 は 科目A-1試験免除制度に、午前Ⅱ免除制度 は 科目A-2試験免除制度に。

 

 

申込について

科目A試験、科目A-1試験及び科目A-2試験(「科目A群」という)と科目B試験、科目B-1試験及び科目B-2試験(「科目B群」という)は、実施期間を分けて実施を予定しています。
申込みの際は、「科目A群」と「科目B群」を同時に予約する方式です。

科目A群・B群の実施イメージ(IPAより)

「科目A群」、「科目B群」ともに、会場ごとに試験実施時間帯が異なります。受験者は会場ごとに設定された予約枠から自由に選択できます。
身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方を対象として、筆記による試験(特別措置試験)の実施を予定しています。

 

試験日程についてのまとめ

ここからは、今後の試験申し込みなどに関してまとめていきます。

 

従来のペーパー方式でしたら、1月に申し込み開始となりますが、今年は以前の「春季試験」を「前期試験」として2026年11月頃に、以前の「秋季試験」を「後期試験」として2027年2月頃に実施予定と案内がありました。
(2026/2/11 追記 1月に試験センターからの案内はありませんでした。後述するように、4月頃までは動きが無い可能性が高いです)
(2026/2/27 追記 2月24日に試験センターから案内があり、以前の「春季試験」を「前期試験」として2026年11月頃に、以前の「秋季試験」を「後期試験」として2027年2月頃に実施予定です。)

 

試験実施期間や申込受付期間など詳細な日程については、未定のようです。

従来のペーパー方式でしたら、4月の試験に対して1月に申し込み開始ですので、11月であれば8月頃に申し込み開始となる可能性があります。

正式にはIPAからの案内を待ちましょう。

 

参考リンク:

www.ipa.go.jp

 

高度論文対策を継続したい方向け

以下も公開していますので、別の記事も確認してみてください。

  • PM / SA / ST / AU の論文対策

  • 新制度の変更点整理

  • 論文構成の考え方

  • 学習方針の比較

また、メンバーシップでは、論文例や継続的な考察も更新しています。
ぜひ一度覗いていって下さい。

プロジェクトマネージャー プロジェクトにおけるチームの育成計画【論文の書き方】(令和7年秋問1)



本記事ではプロジェクトマネージャーの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析します。

 

人間関係やコミュニケーション管理、組織管理がテーマです。

 

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和7年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

 

 

設問文は以下の通り。



 

何が問われているかを把握する

本問はPMBOKの領域でいうところの「組織マネジメント」

「コミュニケーションマネジメント」がテーマです。

この領域は近年、毎年または隔年に一度は出題される

頻出分野です。

 

設問アでは「プロジェクト目標」ならびに、

目標達成を阻害する「不健全な状態」、

それを引き起こす「人間的側面での背景や事象」について

問われています。

 

設問イでは不健全な状態になることを避けて、

目指した「チームの健全な状態」とそれを目指した「理由」、

人間的側面に着目した「チームの育成計画」について

問われています。

 

設問ウでは実行段階において発生した「問題と解決策」、

および育成計画のプロジェクト目標達成に対する「貢献」

について問われています。

 

 

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨



問題のタイトルにある通り「チームの育成計画」について問われています。

PMBOKで言うところの、組織マネジメント・コミュニケーションマネジメント

の知識エリアの範疇でしょう。

PMBOKの知識エリア別の出題例や対策については、以下記事も合わせて

ご確認ください。

プロジェクトマネージャー PMBOKに沿った論文対策!その①#組織・コミュニケーションマネジメント

 

出題趣旨の第一段落からは

メンバーに対する動機付け・チームワークの醸成

を例としてチームの育成計画を作成する必要があると述べられています。

メンバーやチームなど、人間関係における工夫やマネジメントを

述べるよう求められていることが分かります。

 

出題趣旨の第二段落の第一文目には次の3点が論述の趣旨として

述べられており、それぞれ設問ア・イ・ウに対応しています。

メンバーやチームを不健全な状態にすると考えた人間的側面での背景や事象(設問ア)

人間的側面に着目したチームの育成計画(設問イ)

その実行の過程での行動(設問ウ)

 

出題趣旨の第二段落の第二文目には

チームの育成計画の作成に関する知識、経験、実践能力

を論述を通じて評価すると書かれています。

人間関係はどのような立場の人間でも直面する課題・テーマですので、

経験をもとにいかに論文の形で仕上げることができるか、といった点が

重要でしょう。

 

 

採点講評

はじめに「全問共通」の採点講評ですが、第二文目に、

コミュニケーションの改善の記述にとどまる

というNG例が紹介されています。

ここはより詳しく、第三文目に、

マネジメントの視点を欠いた、チームのマネジメント手法の説明

に終始している論文がNGであると示されています。

 

マネジメントの視点を欠く、とはどういう論文でしょうか?

この点は、いくつかの対策がありますが、

まずはプロジェクト管理の基本である、「計画」と「実行」を

対応付けることを意識しましょう。

プロジェクトの実行中と計画中

本問の場合、「チームの育成計画」を立案している設問イのフェーズが

「プロジェクトの計画中」であり、

課題と対応策を論じる設問ウのフェーズが

「プロジェクトの実行中」であると言えます。

 

この対応ができておらず、例えば計画に基づいていない対応を

実行フェーズで行っているような場合は、

「場当たり的な対応を行っている」とみなされ、

「マネジメントの視点を欠いている」と評価されてしまいます。

 

 

次に「問1」の採点講評ですが、第二文目に、

QCDや勤務実績などの定量的な情報、会議や面談時での定性的な情報によって評価する、改善するなどの取組

がOKな論述として評価されています。

 

QCDとはQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の略で、

プロジェクトをマネジメントする上での主要な管理すべき項目である

と言えます。

また、「定量」「定性」も良く登場する観点です。

「定量」は数値で言い換えられる指標、

「定性」は数値で言い換えられない指標と

捉えておくとよいでしょう。

プロジェクトマネージャーとしては、「定量」「定性」の両方の

指標をもとに総合的に評価・判断していく姿勢が求められます。

 

一方、採点講評の第三文目には、

技術的側面だけに着目した育成計画

はNGであったと述べられています。

本問の場合は、人間的側面に着目する必要があるので、

技術的側面だけではNGとなります。

人材のスキル・能力「だけ」に着目した論文はNGとなる

可能性があるので、他の人間的側面を組み合わせて論じる必要があるでしょう。

 

同じく第三文目には、

コミュニケーションの改善にとどまり育成計画にはなっていない

もNGであると述べられています。

これは「全問共通」の採点講評の解説時にも述べましたが、

対策として「コミュニケーションの改善」を行っただけでは

マネジメントの視点を欠いたものになってしまうので、

「計画的な対応」が求められていることに注意しましょう。

 

では具体的にどのように論文を設計していけばよいでしょうか?

次に、設問別に解説をしていきます。

 

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アでは「①プロジェクト目標」ならびに、

目標達成を阻害する「②不健全な状態」、

それを引き起こす「③人間的側面での背景や事象」について

問われています。

 

また、「②不健全な状態」と「③人間的側面での背景や事象」に

ついては問題文中に例示がありますので確認しましょう。

 

設問アで問われていること

 

問題文中や採点講評からの注意事項としては、「技術的側面」に

終始してはいけないという点です。

 

では、実際に設問アの論文を設計していきます。

 

まず、「①プロジェクト目標」には指定が無いので、用意してきた

「プロジェクト目標」を書けばよいでしょう。

新機能の実装や、品質の作りこみ、予算達成、

システム納期などが代表的な目標と言えます。

 

「②不健全な状態」と「③背景と事象」は、書きやすい順で論述する

のが良いと思います。

はじめに「私(プロジェクトマネージャー)の

考える人間的側面での"②不健全な状態"」を論述してから、

「③背景と事象」を論述した方が書きやすいかもしれません。

なぜなら、「私が②不健全な状態と考えた理由」として、

「なぜなら"③背景と事象"があるから」と"定義→理由"の

関係で展開しやすいためです。

 

「②不健全な状態」は、問題文中には、

  • メンバーが相互に支援したり、協力したりする意思や姿勢が見られない。
  • チーム内での議論がかみ合わず、チームとしての一体感が不足していると感じたり、士気が上がらなかったりするメンバーが多い。

と言う例が示されています。

「プロジェクト目標の達成が危ぶまれる」ような「状態」を

論述する必要があります。

たとえば、

  • メンバー間の意思が疎通しづらい状態
  • 前提知識の共有不十分による生産性低下

というような表現が考えられるでしょう。

 

「③背景や事象」は、問題文中には、

異なる慣習や価値観をもつメンバーによるチーム編成、プロジェクト開始直前の急なメンバー交代など

が例として示されています。

プロジェクトマネージャーが、人間的側面での「②不健全な状態」を

懸念している理由として「③背景や事象」を書くようにします。

たとえば、

一部のプロジェクトメンバーが3年前から自社に合併した

他グループ社出身であり、文化の違いからなじめていない

などといった表現が考えられるでしょう。

 

 

設問イの設計

設問イでは不健全な状態になることを避けて、

目指した「チームの健全な状態」とそれを目指した「理由」、

人間的側面に着目した「チームの育成計画」について

問われています。

 

問題の表題にも含まれる、「チームの育成計画」を中心に論じ、

「チームの健全な状態」と「理由」が含まれるように

心掛けましょう。

 

問題文中には、「チームの健全な状態」として

  • メンバー間の協力によって問題解決や意思決定ができており、チーム内のコンフリクトも建設的に解消できている
  • メンバー間の信頼関係が構築され、チームの一体感や士気が保たれている

という例が示されています。

これは設問アの「不健全な状態」の例と対応していることに気が付くと思います。

 

また、「問1の採点講評」では

QCDや勤務実績などの定量的な情報、会議や面談時での定性的な情報によって評価する、改善するなどの取組

が良い論述として評価されていますが、設問イではこれらの取組を

計画フェーズとして施策やルールとして盛り込んだことを

「チームの育成計画」として論述するのが良いでしょう。

 

ここまでを図にまとめておきます。

設問イで問われていること

 

設問イは計画フェーズですから、「育成計画」において

実行フェーズのことを書いてはいけません。

計画フェーズとして論旨を展開するには、以下のようなキーワードに

着目して執筆するのが良いでしょう。

  • プロジェクト憲章、目標
  • 方針、施策、ルール
  • メンバーに守らせる取り決め、会議体の設計
  • モニタリング指標

たとえば、目標として、チーム内の文化の対立が起こっている背景から、

「プロセス融合の促進」を掲げ、

プロセスの調査や調整に要した工数を報告させる「ルール」を設け、

それを定量的に「モニタリング」するというような骨子が考えられます。

 

また、知識エリアでいうところのQCD(Quality(品質)、Cost(コスト)、

Delivery(納期))を中心的に書いてもいけないことにも注意が必要です。

本来のプロジェクトマネジメントではQCDの計画的指標は重要ですから、

一部のみ触れておくのは構わない(経験のアピールになる)でしょう。

 

 

 

設問ウの設計

設問ウでは実行段階において発生した「問題と解決策」、

および育成計画のプロジェクト目標達成に対する「貢献」

について問われています。

 

設問イで定義した計画に照らして、実行フェーズでの対応と

評価を述べるという、典型的な出題形式であると言えます。

 

問題文を確認すると、設問ウに関わる分量は少なく、

参考にできるような例示も見当たりません。

経験と知識をたよりに、どのような課題が発生し、どう

解決したのかを論じていきましょう。

 

設問ウの構造

「場当たり的に解決した」印象を与えないためにも、

設問イで定めた方針やルールを参照して対応していることを

アピールしましょう。

 

「問1の採点講評」では

QCDや勤務実績などの定量的な情報、会議や面談時での定性的な情報によって評価する、改善するなどの取組

が良い論述として評価されていますが、設問ウではまず

何をもって問題を検知したか、それをもとにどう改善したかを

論述するのが良いでしょう。

 

「検知」には、勤務実績などの工数状況の急な変動、

会議や面談時のメンバー時の発言などが考えられます。

このとき、なぜその事象を問題(あるいはその予兆)として

「検知」したのかを述べるとより説得力が増します。

解決策として「改善」したことを述べると良いでしょう。

人間的側面での問題ですから、配置換えや指導など、

プロジェクトマネージャーでしかできない対応をとる

ようにします。

 

またプロジェクト目標達成に対する「貢献」は、

設問アの冒頭で触れた「プロジェクト目標」に対して

どのように貢献したかをプロジェクトマネージャーの

目線で評価するようにしましょう。

論旨としては、「育成計画」によって問題を防ぎ、

「不健全な状態」を回避し、「目標達成」に貢献した

とまとめるのが良い構成です。

 

 

論文骨子

論文骨子の例を参考までにあげておきます。

■設問ア

 1.目標達成を阻害する人間的側面での不健全な状態

  1-1.プロジェクトの目標

  旧システムのEOLを迎えるまでの新機能を実装した

  新システムのリリース

  1-2.人間的側面での不健全な状態とその背景

  不健全な状態:

  ①メンバー間の意思が疎通しづらい状態

  ②前提知識の共有不十分による生産性低下

  背景:A社に合併したグループ会社B社出身の

  メンバーがおり、異なる文化や前提知識を持つ

■設問イ

 2.人間的側面に着目したチームの育成計画

  2-1.プロジェクト憲章への人間的側面の目標の盛

      り込み

  目標:A社とB社のプロセス・文化の融合の促進

  前提知識のメンバー間共有により、

  コミュニケーションのコストを低減

  健全な状態:お互いの理解と信頼醸成に努め、

  プロセスやツールの融合に貢献する活動を期待。

  2-2.プロジェクト開始時に定めた施策

  ・「プロセス・文化融合」に要した工数を報告させる

   ルール

  勤務実績報告に「プロセス・文化融合」に関する区分

  を設け、プロセスの調査や調整に要した工数や、改善

  に要した工数を報告。

  ・「プロセス・文化融合」に関するWBSの定義と進

   捗報告の義務付け

  ツールやプロセス単位で担当者をアサインし、

  課題や状況の報告を受けるように工夫

  ・定量・定性指標を設け人間的側面からの不健全な状

   態に陥っていないことのモニタリング

  意思疎通が図れていない状況や生産性の低下を検知

  し、マネジメントとしての手を打てるように工夫

■設問ウ

 3.育成計画の実行中で生じた課題と解決策

  3-1.生じた課題

  PoCの推進担当のC氏より、検証プログラムの製造

  を依頼したD氏に断られたという報告

  3-2.育成計画に基づいた解決策

  B氏の勤務実績より「プロセス・文化融合」の工数の

  割合が増えていることを確認

  「発注・稟議」のプロセス改善のWBSの実行責任を

  持つ担当者であるE氏に支援に入ってもらうよう要請

  3-3.育成計画の評価

  育成計画により早期・効果的に手を打つことができた

  プロジェクトを目標通り完結でき、成功に貢献した

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではプロジェクトマネージャーの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

 

頻出の出題分野である組織マネジメント・コミュニケーション

マネジメントがテーマであり、「人間的側面」からの論述で

あったため、どのような立場の受験者の方にも

経験のある、取り組みやすいテーマであったように思います。

 

しかし、取り組みやすさと実際に論文を書くのは異なります。

論文を書く練習を繰り返し、事例を確認し、論文試験に備えましょう。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。

高度情報処理技術者 各区分の資格取得メリットについて

更新:2026/2/28

 

地域によっては厳しい寒さを脱しそうな兆しが見えてくる頃でしょうか。

令和8年度はいよいよ高度処理試験がCBT形式へ移行されます。

 

前回の試験を受けた方も、受けていない方も、

高度の情報処理試験を初めて受けるという方も、

何を受けよう?」と迷っていたり、

そもそも受けるメリットってなんだろう?」と思っていませんか。

 

本記事では、主に実際にエンジニアの若手~中堅として活躍されている方向けに、

  • 資格取得に興味はあるけど、費用対効果ってどれくらいあるんだろう?
  • 苦労して取得しても、意味が無かったら嫌だな。業務に活用できるの?
  • 基本情報(応用情報)は取得したけど、次はどの資格が狙い目なんだろう?

といった疑問にお答えしたいと思います。

 

筆者自身、エンジニアとして社会人経験を過ごし、

高度情報処理試験の全てをコンプリートしました。

実際の業務経験も踏まえながら、資格が役立った場面を紹介したいと

思いますので、参考にしてください。

 

 

■ATTENTION■
読んでくださる方のために、筆者のバックグラウンドを簡単に説明します。

✔ 社会人経験=エンジニア経験 20 年

業務カットの経験
✔ 社内の技術サポート
✔ フィールドSE(お客様御用聞き)
✔ システムインフラ保守・運用・構築
✔ エンタープライズ向けサービス開発・稼働維持・企画

技術カットの経験
✔ ネットワークやサーバーなどインフラ
✔ 簡単なプログラミング
✔ 自動化ツールの開発

転職経験
✔ あり(1回)

そんな筆者の視点から、各試験区分の取得メリットと、簡単な取得動機を説明します。
参考になるものがあれば幸いです。

 

 

なお、令和8年試験の日程と申込に関する情報は、以下記事にまとめていますので、併せてご確認ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

0. 高度情報処理試験の全般的な取得メリット

まずは高度情報処理試験の全般的なメリットについて述べていきます。

各区分別のメリットを先に読みたいという方は、本章は読み飛ばしてください。

 

0-1. 基本情報の知識補強ができる

本記事は、基本情報試験は取得済みの方を想定しています。

基本情報技術者試験は、テクニカル系・マネジメント系・ストラテジ系と、

「広く浅く」知識を習得することができます。

 

そのため、使っていない知識はすぐに忘れがちです。

エンジニアとして長く活躍していきたいと考えている皆さんにとって、

キャリアのステップや仕事の内容によって、知識の使う・使わないは

明確に分かれます。

すると、使っていない知識は軽視され、忘れてしまいかねないですが、

高度情報処理試験を受けることで、再度その区分の勉強をすることになり、

知識の定着を図ることができます。

 

0-2. 高い奨励金を支給される場合がある

即物的なメリットとしては、奨励金です。

所属している会社や組織の方針もあると思いますが、

IT業界の会社の資格奨励制度には、

基本情報や高度情報の奨励金があり、

多くの場合、高度情報はより多くの奨励金がもらえます。

 

中には10万円以上の高額の奨励金が出ることもあり、

資格勉強のためにかかる参考書や通信教材のコストを差し引いても、

「純利益」が出る場合があります。

かくいう筆者も、資格取得を目指した最初のモチベーションはここにありました。

 

ぜひ、ご自身の所属する会社・組織の資格奨励制度を確認してみてください。

 

0-3. 自分の意見を後押しする根拠になる

社内や組織で、互いに資格を保有しているか否かという話題に

なることはありますか?

筆者の所属していた会社では、そこまで頻繁に話題に上ることは

ありませんでしたが、半期や通期の目標設定/上司面談で

資格取得に関するヒアリングもありましたので、

それを機に、同僚で情報交換が行われることがありました。

 

そうすると、自然と、社内の○○さんは資格を大量に保持しているらしい、

とか、○○さんと○○さんは高度の□□試験を受けるらしい、とか、

そういったうわさ話が耳に入ってくることがありました。

 

そのような空気感を前提に仕事をしていると、ふとした業務遂行上の

協議やディスカッションにおいて、○○さんは□□資格を保持しているから、

これに詳しいでしょう、と自分の意見を通してもらえたり、

決定権を渡してもらえたりすることがあります。

時には、ただの無茶ぶりもあるわけですが、それだけ慎重に避ければ、

高度資格を保有していると、それだけ有利・円滑に仕事を

進めていけることができるように思います。

 

 

0-4. 転職やポスティングに有利

情報処理試験は、歴史が長いことも有利に働きます。

制度自体は昭和40年代からの資格。

これは、いまベテラン以上の年代のエンジニアが

若手の頃からあった資格ということです。

彼らも全員が取得できた資格ではないので、

簡単な資格ではないことは知られています。

つまり人事部や転職先・ポスティング先のしかるべき役職に

ついているであろう方の目にも止まりやすい。

これは、自分の市場価値を高める上で、差別化しやすい

大変なメリットになります。

 

 

1. 各区分の取得メリットと動機付け

それでは本章から各区分の簡単な紹介と、

筆者の経験を基にした取得メリットと取得動機について

解説していきます。

 

1-0. 高度情報処理技術者試験の概要

前提として、試験の概要と形式に触れておきます。

ここは知っているよという方は、本節は読み飛ばしてください。

 

高度情報処理試験とは、IPAのレベル区分でレベル4に該当するものです。

f:id:createrolerole:20210615145119p:plain

高度区分は図中央のピンク部分。IPAより

全部で9種類の資格があります。

試験時間と科目は次の通り。

試験時間と科目について

 

科目A-1については、従前は午前Iと呼ばれており、4択問題で30問。

科目A-2については、従前は午前IIと呼ばれており、4択問題で25問。

 

科目B-1については、従前は午後Iと呼ばれており、記述式。

科目B-2については、従前は午後IIと呼ばれており、資格ごとに記述式か論述式かで分かれます。

 

なお、科目A-1は免除制度があり、応用情報・高度の合格者ならびに午前I通過者は

2年以内であれば免除申請することが可能です。

 

 

以下、筆者の取得順に各試験について解説していきます。

受験予定の科目、気になる科目を中心にご確認ください。

 

1-1. 情報処理安全確保支援士のメリットと取得動機

略称 SC 実施時期 11月・2月 午後の形式 長文読解
タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル 脆弱性・脅威、リスクコントロール、定性・定量のリスク評価、セキュリティポリシーの定め方

 

■メリット■

 

あなたがアプリ寄りインフラ寄りいずれであっても、

意識しなければならないセキュリティに関する知識セットを

備えることができます。

セキュリティは近年ますます需要が高まっている知識分野の一つで、

取得メリットは極めて大きいと思います。

高度区分の中では難易度的にもとっかかりやすく、他の区分の試験でも

セキュリティの範囲は問われることが多いため、

初めて高度を取る方、今後複数の高度を取る予定の方におすすめです。

 

■筆者の取得動機■
 

当時、ファイアウォールなどのセキュリティを具備するシステムを

主に扱っていたため。

ポリシーベースの制御法は、セキュリティポリシーの実装の基礎ですので、

資格取得後は、隣の部のセキュリティ実装の助言をしたら

一目置かれるようになりました。

セキュリティに携わる実機を実際に触る方はオペレータとして、

自分の判断を交えずに淡々と処理することが重要ですが、

本資格があれば設計段階でセキュリティを加味させることや、

オペレータの負荷にならないような可読性の高いポリシー実装や資料化に

貢献することができます。

 

1-2. ネットワークスペシャリストのメリットと取得動機

略称 NW 実施時期 11月 午後の形式 長文読解
タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル OSI参照モデル、通信プロトコル、ネットワーク図の読み書き

 

■メリット■

 

あなたがインフラSEならば、登竜門的・代表的な資格に値するので、

この資格を取得することで、システムの通信という

根本的な部分を理解していることを示せます。

また、あなたが自チーム外の活動も意識しなければならないとしたら、

OSI参照モデルとはそのまま組織やチーム分けの

前提になっていることも多いので、

この資格の知識を基に低レイヤと高レイヤを俯瞰視して

チーム間の橋渡し役を買うこともできるでしょう。

 

■筆者の取得動機■

ルータやスイッチなど、ネットワークアプライアンスの担当と

なったため。

実務ではIPアドレスの計算を人より早く

できることが信頼に繋がるように思います。

詳細で複雑なネットワーク図の読み解きも

できるようになり、一歩進めて相手の理解度に応じて

正確さと分かりやすさのトレードオフを調整しながら図おこし

できるようになりました。

 

■COLUMN■

■効率的な勉強法

情報処理安全確保支援士とネットワークスペシャリストは相性がよく、

重複して問われる要素があります。

情報セキュリティの脅威を考える上で、侵入"経路"とは

ネットワークに他ならないためです。

両者を両方取得するつもりなら、時間を空けずに

勉強すると効率がよいかと思います。

 

 

1-3. データベーススペシャリストのメリットと志望動機

略称 DB 実施時期 2月 午後の形式 長文読解
タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル ER図、関係スキーマ、正規化(特に第3正規化)

 

■メリット■

あなたがバックエンドのアプリSEであったり、

システム全体の設計を考慮してデータの配置をデザインする立場であれば、

データベースのテーブル設計手法やデータ呼び出しアプリケーションとの

関係を説明・提案できるようになります。

あなたがフロントエンドのアプリSEであったり、

インフラSEであったとして、実務に精通していなくても、

簡単なSQL文やDB設計書を読めるようになります。

 

 

■筆者の取得動機■

業務上必要だった訳ではありませんが、自身の知見を広げるために取得。

後年になり、システム保守の現場でSQL文やDB設計書に触れることがあり、

知識の効果を実感しました。

また、要件定義の段階でも、データ同士の1対1とか1対Nとかと

いった特徴を掴んで、第三正規化やER図の知識を活かして図おこしし、

関係者と認識の一致を図ることなどに、役立ちました。

 

1-4. プロジェクトマネージャーのメリットと志望動機

略称 PM 実施時期 2月 午後の形式

長文読解

論文

タイプ マネジメント系

難易度

(偏差値)

69
身につく本質スキル PMBOKの実践、ウォーターフォール型開発のあるあるネタの追体験

 

■メリット■

あなたが上司に報告しなければならない立場であったり、

チームをまとめる立場にステップアップを考えていたりするならば、

本資格の取得勉強を通じて、上司への報告に使いやすいフレームワークや、

進捗管理や組織運営に必要なノウハウを学ぶことができます。

ネームバリューはもっとも高い資格。

転職やポスティングにも条件として

明示されていることが、基本情報を除くと最も多いように思います。

 

ちなみに、プロジェクト管理やチーム運営に特に大切なことは、

どんな分野に置いても、予め基準を決めておくこと。

こうすることで問題発生の予兆が掴め初動が

早くなり、対応が均質化され、判断コストが下がります。

基準が間違っていれば、修正すればよいです。

 

■筆者の取得動機■

資格の名の通り、プロジェクト管理を任されることが増えつつあったため。

にわとりたまごですが、実体験があった方が合格しやすいと思う反面、

先に合格レベルの知識を備えていると実際のプロジェクト管理も円滑にいくことも

あるように思います。

結論としては、「実体験は必須ではない」ですね。

 

また、プロジェクトは必ず終わりがあり、目標があります。

抜擢された若手が突然チームの目標を定めたりするのは

気恥ずかしく不安もありますが、PMBOKに代表される

フレームワークに過ぎないと思えれば、

淡々とこなしていくことが可能になると思います。

 

■COLUMN■

■筆者の体験談

私は当時はインフラレイヤのプロダクト知識が中心だったので、

プロジェクトマネージャーの想定する業務システム開発の知識を勉強するのが

最も苦労しました。

多くの論文事例集を読み込み、合格論文の"型"を掴んでいく勉強法をとりました。

 

■COLUMN■

■情報処理安全確保支援士との関係

プロジェクト管理にはリスク管理が重要で、

上司によってはリスクの報告をするだけで事足りるようなケースもあります。

リスク管理は安全確保支援士の知識が活用できるので

リスク分析や対応策の策定を論述する際などに、勉強し直して

みると効率的に思います。

 

 

1-5. ITサービスマネージャーのメリットと志望動機

略称 SM 実施時期 11月 午後の形式

長文読解

論文

タイプ マネジメント系

難易度

(偏差値)

68
身につく本質スキル ITIL、変更管理、問題管理、インシデント管理

 

■メリット■

あなたがシステムやサービスの運用・保守を担当しているなら、

問題(インシデント)発生の暫定対処、根本対処の違いなど、

見過ごされがちな業務の中で必要な本質的な要素を理解できます。

あなたが運用・保守とは畑違いであったとしても、

運用・保守に引き継ぐべきフレームワークや重要な点を学べます。

また、ヘルプデスク運営が学べます。

 

■筆者の取得動機■

システムやサービスの運用・保守に携わっていたため。

運用側として、開発側からの受け入れ基準を整備することで、

断る理由を説明して、チームを守れたこともありました。

運用をしていると、一見無駄に思う業務が

たくさんありますが、資格を取得していると、

無駄に見えるけど必要な業務か本当に無駄な業務か

識別できるようになります。

 

1-6. エンベデッドスペシャリストのメリットと志望動機

略称 ES 実施時期 2月 午後の形式

長文読解

論文

タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル ハードとソフトの結合、組み込みシステムの利点と欠点への理解

 

 

■メリット■

あなたが組込みシステムの開発者であったり、

制御系システムやエッジデバイスのプロダクトSEであるならば、

本資格の知識を活かして、ハードやソフトの特性を改めて理解し、

より最適なシステム実装の提案ができるようになります。

IoTやセンサーネットワークが叫ばれ、

低コスト・高品質のエッジコンピューティングが

求められている昨今、業界によっては需要の高いスキルと思われます。

 

■筆者の取得動機■

エッジデバイスを駆使した

エンタープライズ向けサービスを担当したため。

既製品プロダクトをカスタマイズする際にも会社間、組織間の責任分界点を、

契約書ベース以外に、技術的な領域で整理して

理解・説明できるようになったと思います。

 

出題は、駅の改札口やドローン、自動運転システムや駐車場システム、

自動音声案内ロボットなど、身近な題材が多く、興味をもって

取り組みやすかったです。

 

1-7. システム監査技術者のメリットと志望動機

略称 AU 実施時期 2月 午後の形式

長文読解

論文

タイプ マネジメント系

難易度

(偏差値)

70
身につく本質スキル リスクとコントロールと監査手続

 

■メリット■

あなたが監査側の業務に携わる人ならば、

監査そのものの意義や原則(独立性や追跡性)、

監査人としてのふるまいを改めて学べます。

あなたが監査される側の人ならば、

求められる監査記録や対応について学べ、

システムログや議事録や管理基準の整備の必要性が学べます。

 

■筆者の取得動機■

いまいち監査の必要性が自分にも理解できていなかったため。

持続可能な組織を実現するためには、

監査の手続きが古来から有効だったということが認識できました。

取得することで、普段の運用や開発の業務時も

監査に求められる記録を意識して振る舞えるようになり、

定期・不定期の監査への対応にも余裕をもって

臨めるようになりました。

 

■COLUMN■

■プロジェクトマネージャーとの関係

プロジェクトマネージャーが、基準を整備することで

リスクをコントロールしているとしたら、

システム監査技術者はその基準と対応記録を査閲して

適切にコントロールされているかを確認する立ち位置になります。

論文執筆時には、こうした立場を明確にする必要があります。

 

1-8. ITストラテジストのメリットと志望動機

略称 ST 実施時期 11月 午後の形式

長文読解

論文

タイプ ストラテジ系

難易度

(偏差値)

71
身につく本質スキル 情報戦略、BSC、マーケティング、プロモーション戦略、KPIの設定方法

 

■メリット■

あなたが管理職であるなど、技術者集団から一歩離れて

経営陣に近いところで執務しているならば、

本資格の知識を活かして情報戦略策定に関われます。

情報システムの経営に対する有効性の説明、KPIを設定して

成果のモニタリングをデザインできるようになります。

あなたが一技術者であったとしても、企画や戦略の

意図を理解しやすくなることになり、

これにより、部門横断的な取組みや、

既存システムの改善提案もしやすくなるでしょう。

 

■筆者の取得動機■

エンタープライズ向けシステムの

企画業務に従事するようになったため。

既存システムの保守費用を捻出するのに、

システムの意義や目標を踏まえて上司経由で経営側を

説得する必要がありましたが、どんな説明が求められているか

"あたり"をつけられるようになりました。

 

時々、まったく型にはまらない方もいて、その方専用の

説明資料を作る必要があることもありましたが・・・

 

■COLUMN■

■PM・SM・AUとの関係

ウォーターフォール型の開発モデルでは、

ITストラテジストが企画・要件定義フェーズに関わり、

プロジェクトマネージャーが要件定義~実装フェーズに関わり、

ITサービスマネージャーが運用テスト以降の受け入れと実際の運営を担うことになります。

システム監査技術者は上述のどのタイミングでも

コントロールが利いているかを検証する訳ですが、

出題として多い・実業務現場として監査の有効性が高いのは

やはりプロジェクト管理のフェーズのようです。

 

1-9. システムアーキテクトのメリットと志望動機

略称 SA 実施時期 2月 午後の形式

長文読解

論文

タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

68
身につく本質スキル UML図、デザインパターン

 

■メリット■

あなたがどんな形であれシステム開発に関わる方なら、

システムに採用する実装技術の利点と欠点への理解が深まります。

また技術のフィージビリティの評価ができるようになります。

 

■筆者の取得動機■

高度区分の試験全制覇!

開発系の業務は最近は離れてしまいましたが、

世にあるプロダクトや技術を組み合わせて

自分の手で検証、実装するのはエンジニアの醍醐味と思います。

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

資格取得の費用対効果や、基本情報(応用情報)の次に何を取ろうか

迷っている方に向けて有益な情報となっていたら幸いです。

各試験のメリットを記載したので参考にしていただき、

ご自身のキャリアプランに合わせて、

最適な資格を選択していくことが、費用対効果も最大化されることになる

と信じています。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

是非、一緒に頑張りましょう!

 

ではそれまで。

システムアーキテクト 収集データから指標を提供する機能【論文の書き方】(令和7年春問1)

 

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和7年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

 



 

設問文は以下の通り。

 

 

何が問われているかを把握する

本問はデータを収集して指標を提供する機能について

問われています。収集元となるシステムは

複数のシステムである必要があることに

注意が必要です。

 

設問アは達成する「業務目標」、提供する「指標」、

収集元となる「複数の情報システム」、収集する「データ」

について問われています。

 

設問イは「どのような事項をどのように検討したか」

について問われています。

 

設問ウは「データの内容の問題」と「対応」

について問われています。

 

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題趣旨

 

出題趣旨の2文目には

業務目標と求められる指標の関係を理解した上で

と書かれています。

設問アでは「業務目標」と「指標」について問われていますが、

この2つの関連性を論じることが求められているということです。

 

出題趣旨の最終文には

業務を理解する能力

情報システムを設計する能力

複数の情報システムからのデータ収集に関する経験

を評価する、とあります。

論文を通して、これらの能力や経験について

アピールすることが必要です。

 

 

採点講評

 

「全問共通」の採点講評の2文目にはNG例が書かれています。

実施した理由や検討の経緯が読み取れない論述

上記は、ここ数年は毎年のように指摘されています。

また、システムアーキテクト区分に限らない、

論文の一般的な注意事項でもあります。

 

実施したことのみ論述する"したした論文"になってしまい

論拠を説明できていない論文がこれにあたります。

 

論文の基本的な作法や経験によって払拭できる注意点なので、

論文作成時に意識して取り組みましょう。

 

 

問1の採点講評の3文目には次のNG例が紹介されています。

業務目標と指標の関係が不明確な論述

指標と関連の薄い要件定義を記述している論述

各設問で問われている事柄に対して、関係や関連性を

えがけていない論述はNGとされています。

 

関係や関連性を説明するには、事柄について述べた後で

「なぜならば」といった接続詞で理由を示すのが良いです。

 

 

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは「業務目標」と「指標」と「情報システム」と「データ」

について問われています。

 

問題文の上部に事例が書かれているので確認しましょう。

業務目標と指標と情報システムとデータ(具体例)

「情報システム」については複数の情報システムをもとにする

必要があることに注意しましょう。

 

また達成するべき業務目標と提供すべき指標についても

関連性を持って論じることが重要です。

 

私の場合は、問題文1つ目の例に近い形で論じました。

①生産管理システムから設計・仕様関連データ

②保守業務支援システムから故障・保守履歴データ

以上の2点をもとに、製品やロットごとの障害検知時間と

原因特定までの時間を可視化する機能を設計する方向性としました。

 

設問イの設計

設問イでは「どのような事項をどのように検討したか」について

問われています。

問題文の記載を確認しましょう。

 

どのような事項をどのように検討したか(具体例)

 

指標の算出のためデータを分析することは必要なプロセスです。

また、検討するべき事項は問題文と全く同じにする必要はありません。

 

問題文以外に考えられる検討事項としては、例えば、

  • データの外れ値の扱い
  • データの表示設計(UI設計)
  • 補助指標との連携

などが考えられます。

 

私の場合は、問題文に近い形で論じました。

①指標を算出する手順

では、「障害とは何か」を明確に定義し、

障害検知時間や原因特定時間が

何と何の時点の差なのか、といった点を

述べました。

②データのクレンジング

では、各システムのデータ体系や単位を確認の上、

中間データを生成し、データ定義の差を吸収する

方法などを検討しました。

 

設問ウの設計

設問ウは「データの内容の問題」と「対応」が問われています。

問題文にも例があるので確認しましょう。

データの内容の問題と対応(具体例)

設問イにおいてデータの分析を経ているので、

設問ウではその分析の結果、データ上の具体的な問題点に触れ、

解決する展開が必要です。

 

データベーススペシャリストなどのデータを扱う実務経験や

知識があると書きやすいでしょう。

 

私の場合はデータの登録漏れやフォーマットの差を問題点とし、

設問イでも触れた中間データを生成する具体的設計を掘り下げ、

データにおける課題への対応としました。

 

 

論文骨子

論文骨子の一例を示します。

■設問ア

 1.業務目標達成のための指標とデータ

  1-1.業務目標と指標

  A社はNC工作機械を製造・販売するメーカー

  業務目標:利用顧客の満足度向上のための製造の品質向上

       MTTRの30%改善

  求められた指標:MTTR。中でも障害検知までの時間と

          原因特定までの時間が重要。

  1-2.複数の情報システムとデータ

  活用する情報システム・データ

  ①生産管理システム・設計、仕様関連データと製造工程データ

  ②保守業務支援システム・稼働データや故障、保守履歴データ

■設問イ

 2.指標を提供する機能の設計

  2-1.指標を算出する手順

  はじめに障害を明確に定義。

  顧客における生産に影響を与える突発的な設備停止を伴う障害。

  次に障害検知時間と原因特定時間を定義。

  障害検知時間=障害発生時点T1と障害検知時点T2の差

  原因特定時間=障害検知時点T2と原因特定時点T3の差

  2-2.データのクレンジング

  システム間に共通する製品番号による突合を

  行うことで必要な中間データを生成。

  障害履歴情報(T1~T3)のデータ定義の差を検討。

■設問ウ

 3.データの内容の問題と対応

 次のような課題に直面。

 ①両システムでデータ構造やキーが不一致。

 ②T1~T3のフォーマットの差や登録漏れ。

 課題に対し、次のように対応。

 ①ロットと設置先の対応表となる中間マスタを生成。

 ②フォーマットの差はT3に合わせる。

  時刻が登録されていないケースについては、

  追加で登録されている時刻を補助データとして読み替える。

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

収集データを分析・加工して指標として提供する機能開発という

テーマですので、データベーススペシャリストの範囲の

知識や経験があると選びやすかったものと思います。

 

私自身の受験記もまとめているので合わせて参考にしてください。

 

システムアーキテクトの合格秘訣まとめ■

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。

ITストラテジスト 基幹システムの刷新方法の策定について【論文の書き方】(令和7年春問1)

 

本記事ではITストラテジストの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和7年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

 





設問文は以下の通り。

 

 

何が問われているかを把握する

設問アは「事業概要と事業特性」「基幹システムの概要と課題」を問われています。

この中で「課題」については問題文の第一、第二段落に例示がありますので

どのような課題を設定するのがよいか参考にしましょう。

 

設問イは、「基幹システムの刷新方針」について述べることになりますが

「刷新することの必要性」「経営上の有効性」「重要と考えて工夫したこと」

を盛り込む必要があります。

「重要と考えて工夫したこと」の例としては、問題文の第四段落

(箇条書きのある次の段落の「そして、」で始まる段落)に

検討ポイントがあるので参考にするとよいでしょう。

 

設問ウは、「事業部門との交渉・調整」「経営層への説明」「経営層の評価と改善点」

が問われています。経営層への説明と指摘の改善はITストラテジスト

設問ウの典型的な設問です。

 

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題趣旨

 

出題趣旨の1文目に、

システム構造が複雑化していたり、最新技術が適用できない旧式のIT

という記述がありますが、設問アで問われる「基幹システムの課題」の

主な例であると言えます。

 

IPAはDX(デジタルトランスフォーメーション)を標榜・推進していますが、

複雑化・陳腐化しているシステム構造が阻害要因であると考えられます。

ITストラテジストは、阻害要因を明確にしたうえでDXのためのシステム整備や

構想を打ち立てていくことが求められています。

 

2文目には

刷新することの必要性や経営上の有効性

事業部門との交渉や調整を行ったこと

とありますが、前者は設問イに、後者は設問ウで問われています。

いずれも、3文目に書かれている通り、

基幹システムの刷新方針を策定する能力

事業部門との交渉や調整を行い、経営層から承認を得る能力

を示すという意識で論述する必要があります。

 

 

採点講評

 

「全問共通」の採点講評はここ数年同じことが書かれており、

"論述の対象とする構想、計画策定、システム開発などの概要"が適切に記述されていないものが散見された

とあります。

論文用紙の前にある、下の画像のような論述の概要を記載する用紙ですね。

試験センターも明確に「評価の対象」と言っているので、

手を抜かずに記入しましょう。

聞かれる項目はほぼ毎回同じなので、

予め回答を想定して準備しておきましょう。

 

また、今年は

システム規模、総額などの整合性がとれないものが散見された

というNG例が記載されています。

"論述の対象とする構想、計画策定、システム開発などの概要"には

規模や総額を記載する欄がありますが、明らかに不適切な数値や金額が

記載されている場合、専門性を疑われるので注意しましょう。

 

 

問1の採点講評の2文目には次のNG例が紹介されています。

  • 基幹システムの技術的な課題の解決だけを目指して、古いIT基盤をクラウド基盤に更改するなどの論述

NGの要素は一言でいうと"技術偏重"ということでしょう。

システムの技術面だけを課題として取り、構成を変えるから解決する、

という論旨だとNGであることが分かります。

また3文目には次のNG例が紹介されています。

  • 刷新方針として、段階的な刷新や業務改革だけの論述にとどまり、新しいシステム構造やITへの具体的な言及が不足している論述

NGの要素は先ほどとは逆に、しいて言うと"業務偏重"ということでしょう。

業務のみ、あるいは経営的な観点のみで論述するとシステム構造や技術面が

ないがしろになり、これも専門性や能力を疑われることになります。

 

技術面と業務面、さらに経営的か観点も踏まえ、バランスよく関連付けて

論述するようにしましょう。

 

どのように論文を設計すればNG例に抵触しないか、

次節より説明していきます。

 

 

 

 

 

 

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは「事業概要と事業特性」「基幹システムの概要と課題」

を問われています。

 

論述対象の事業は、基幹システムを持ち得るものであれば

何でもよいと思います。

基幹システムは、のちにDX等に向けた改修をするには複雑で陳腐化

している状況にあるものを論じるとよいでしょう。

 

問題文にヒントを求めると、

IT基盤を長期にわたって維持、改修してきた結果、システム構造が複雑化していたり、最新技術が適用できない旧式のITであったり

という文が第一段落に書かれていますが、いわゆるレガシーと呼ばれる

システムの多くはこのような状況にあるものと思われます。

この状況にあると何が「課題」であるかというと、

担当するIT要員のスキルが継承できなかったり

必要なIT要員が確保できなかったり

企業が進める業務の変革に迅速に対応できなかったり

IT運用・保守費用がかさみ新たなサービスへのIT投資が捻出できなかったり

といったものが、第二段落にある通り、主に挙げられます。

 

これらの論述の構造を満たすには、一定の年数を経ており、比較的

規模の大きい事業を論述対象に選ぶのがよいでしょう。

スタートアップなどの新しい事業は旧式といえるほどシステムが古く

なっていなかったり、小ぶりな事業は基幹システムを展開するほど

の理由がなかったりするためです。

 

論述対象の基幹システムについても、販売系、生産管理系、財務系など

どれでも良いと思いますが、設問ウにおいて「事業部門との交渉や調整」を

論じる必要があることから、設問アの時点で具体的な事業部門と特徴について

紹介しておくようにしましょう。

 

 

 

設問イの設計

設問イでは「基幹システムの刷新方針」について述べることになりますが

「刷新することの必要性」「経営上の有効性」「重要と考えて工夫したこと」

を盛り込む必要があります。

採点講評で確認した通り、"技術偏重"でも"業務・経営偏重"でもいけないので、

「刷新することの必要性」は技術面から入って業務をどう改善できるか、

「経営上の有効性」では業務プロセスの改善等を根拠に経営上のメリットが

何かを説明しましょう。

 

下記に、「刷新することの必要性」の例についてまとめます。

刷新の必要性(技術面・業務面)の例

「課題」や「リスク」を示した上で、

基幹システムを刷新することが、「どのように」課題を解決するか

記載することが重要です。

 

「どのように」の部分には、システム構成や採用技術などに触れ、

技術的な専門性があることをアピールしましょう。

 

下記に、「経営上の有効性」の例についてまとめます。

経営上の有効性の例

基幹システムを刷新することでどのような経営上の効果があるかを

説明しましょう。

 

また、設問イでは「あなたが特に重要と考えて工夫したこと」に

ついても言及が必要です。

問題文からは

  • 刷新によって実現される業務プロセス
  • 業務や組織の必要な見直し方法
  • 優先度を考慮した段階的な移行
  • 刷新の効果と費用

などといった観点が示されているので参考にしましょう。

全て盛り込む必要はありません。

 

 

設問ウの設計

設問ウは、「事業部門との交渉・調整」「経営層への説明」「経営層の評価と改善点」

が問われています。経営層への説明と指摘の改善はITストラテジスト

設問ウの典型的な設問です。

 

「事業部門との交渉・調整」は設問アですでに触れた「事業概要」「事業特性」

に絡めて論述できるとよいでしょう。

 

「経営層の評価」は典型的な設問なのでいくつか汎用的に

論述できる"論文パーツ"をストックしておくとよいでしょう。

 

例えば、「費用対効果」「刷新に伴うリスク」

「経営指標やKPIとの連動性」「投資回収スケジュール」

などが主な論点となるでしょう。

 

 

論文骨子

論文骨子の一例を示します。

■設問ア

 1.基幹システムの刷新方針の背景

  1-1.事業概要と事業特性

  A社は部品の製造機械や制御部品を製造・販売する企業。

  事業特性:

  ・唯一品として製造する機械や部品が少なくない

  ・独自にカスタマイズされた製造プロセスやシステムが多い

  1-2.基幹システムの概要と課題

  主な基幹システム:

  ①生産管理部門が主に使用する製造計画管理

  ②販売部門が主に使用する受注・売上管理

  ③製造部門が主に使用する製造工程管理・在庫管理

  課題:

  ・独自にカスタマイズされたサブシステムが乱立

  ・ベテラン社員による非公式の手作業プロセスが多い

  ・SIerしかソースコードを理解していないものもある
■設問イ

 2.基幹システムの刷新方針の策定

  2-1.刷新の必要性

 (1)ソースコードの可読性・保守性が低下

 (2)システムに合わせた業務運用が続き、業務改善提

   案や自動化が阻まれる。

  リファクタリングを行うことで、ベテラン社員でなく

  とも保守が可能になる。

  マイクロアーキテクチャを採用し業務間の依存関係

  を最小化することで、今後の業務改善をしやすくする。

  2-2.経営上の有効性

  ・全社で統一されたデータをリアルタイムで活用し、

   経営判断の即時化を実現

  ・業務プロセスを標準化・統合することにより、新規

   製品製造のための投資判断を迅速化

  ・運用保守の自動化・効率化により、基幹システムの

   運用コストを20~30%削減

  2-3.策定した刷新方針と工夫した点

  製造計画管理や製造工程管理のメニューにおいて、

  工場・拠点別にチューニングができるように設計する

  よう工夫。

  A社の情報システム部門を従来の「維持管理」から

  「事業価値創出」へと役割転換し、人材活用と

  組織変革を盛り込むこと。

■設問ウ

 3.事業部門との交渉・調整や経営層への説明

  3-1.事業部門との交渉・調整

  既存業務に執着・愛着のある現場部門から

  一定の反発が生じることが予見。

  A社の中長期計画においてもDXを実現し

  既存業態を改革するという経営層からのメッセージも

  あるため、販売部門・生産管理部門・製造部門への

  説明には全社方針である旨を含めて調整を主導。

  3-2.経営層への説明と評価・改善点

  経営層へはA社中長期計画におけるDX実現の布石に

 なるという点を盛り込み経営戦略との整合性を踏まえて

 説明した。

  経営層からは、過去にも同様の構想があったが実現し

 なかったケースがあることが指摘された。

 私は今回の基幹システムの刷新構想は

 段階的導入をすることでリスクを分散できることを

 説明し推進の承認を得た。

                     以 上 

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。 

note.com

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではITストラテジストの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

基幹システムに題材が絞られた形式は令和に入ってからは

珍しい出題であったと思われます。

 

私自身の受験記もまとめているので合わせて参考にしてください。

 

ITストラテジストの合格秘訣まとめ■

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。