スタディルーム by rolerole

情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

高度情報処理試験対策 勉強法・参考書・気構えについて(残70日!)

令和3年度の情報処理試験(4/18)まで残り70日となりました。

私はITストラテジストを受験します。

同様に情報処理試験を目指す方、共に頑張りましょう。

緊急事態宣言のさらなる延長(本稿執筆時点で、2021/3/7迄)が発表されない限りは、予定通り実施されるのではないかと思っています。

本記事では、合格に向けてどのような準備をしていけばよいかについて書いていきたいと思います。

高度情報処理試験の長い試験時間

私は高度情報処理試験としては、NW、DB、SC、PM、SM、ES、AU保有しています。

「レベル4」と言われる高度試験においても、論文が出題されるか否かで大きく分かれるといえるでしょう。

下の図を見ながら確認してください。

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IPA 試験区分一覧 H29春以降

中央ピンク色で表現されている試験9区分が高度試験と呼ばれています。

9区分のうち、ST、SA、PM、SM、AUの5区分が午後IIに論文試験があります。

一方、NW、DB、ES、SCは午後IIは午後Iと同様、記述試験です(午後Iよりも分量の多い記述試験という感じ)。

9区分の試験区分は同一です。

  • 午前I:50分
  • 午前II:40分
  • 午後I:90分
  • 午後II:120分

試験終了は16時30分になります。他の試験区分の中でも試験時間が長いことが特徴です。

このことから、長い試験時間に耐えれることが必要でしょう。

初めて受験される方は、一度は自分で一日を通して模擬試験をしてみることをおすすめします。

なお、試験区分はIPAの試験区分一覧も参考にしてください。

www.jitec.ipa.go.jp

過去問の重要性

情報処理試験は過去問とその回答を公開しているので、それを解くだけで合格できるという人もいます。

特に午前の試験は選択式で、かつ過去問の採用率が高いので、3~4年分の過去問を頭に入れておくだけで合格できます

短絡的な考え方かもしれませんが、合格だけを目的に考えるなら、出題された単語や意味などを覚えなくても、問題文と回答のセットだけを覚えれば十分です。

一方、午後の試験(記述式・論述式)は同じ問題は出ないので、過去問だけを解いて合格しようとするのは、膨大な時間をかける必要があるという意味で、無理があるでしょう。

IPAでは過去問の解答は公開しても、解説までは公開しないので、ここは参考書に頼るのがよいと思います。

記述対策:参考書の選び方

午後が記述式がメインの試験区分では、解説が充実している参考書がよいでしょう。

ITストラテジストを目指す私は、iTECの重点対策を用意しました。

www.amazon.co.jp

また、前回合格できたシステム監査技術者の際は、翔泳社の情報処理教科書で準備しました。

www.shoeisha.co.jp

教科書とは自分との相性もあると思いますので、書店で手にとって比較するのがよいと思います。

ただ、ここに挙げたものに限らず、目的が合格にあるという点ではどれも同じなので、まずは1冊選んでとにかく沿って学習してみる(その方が参考書を比較検討する時間を削って勉強にあてられる)、という考え方もあるかもしれません。

以上のことを前提にしたうえで、私なりに上記2冊の評価をしてみます。

iTEC 重点対策

iTECは、午前II、午後I、午後IIまですべてこれ1冊でカバーしているところが強みです。

紙面の配分も同等か、しいて言うならば午後II対策の分量が少ないと言えるかもしれません。

記述式の対策は解説が充実していることが重要なので、その観点で評価してみますと、

  • 200ページ超の分量
  • 段階的に仕上げることができる仕組み(テクニック、作成例、実践、解説と節立てされている)
  • とりあげている過去問(解説)16問(うち3問が組込みシステム)

と、かなり充実していると言えそうです。(2020年版の評価です)

私自身、この教材を使って試験対策をするのは初めてですので、勉強を深めていく中でや、合格の結果が出た頃に、改めて、教材の評価をしてみたいと思います。

翔泳社 情報処理教科書

翔泳社は、比較的、午後対策に特化しています。

私はこの教材をもとに前回合格を果たしました。

全体的な章立てとしては、

  • 監査の計画
  • 監査の実施
  • 監査の報告

などいくつかの体系に分けられており、章ごとに知識・午後I対策・午後II対策ができるようになっています。

章の体系からして、合格に向けた対策がとれることと同時に、各監査のフェーズにおける専門知識を習得できるようになっており、実際の監査業務に役立てやすい構成になっていると感じます。

特に、第1章に書かれている「監査とは」の部分は個人的に必見です。

なぜ監査が必要か、監査はどうあるべきで、実務を踏まえてどうアジャストする必要があるかなどといった観点が含まれていて、実体験を通じておぼろげながら理解できているという人でも、よりクリアに理解しなおすことができます。

なお、本書は2014年版の評価ですが、試験体系も、ましてや監査の勘所といった点もあまり変わっておりません。(何しろ監査という概念そのものは、ITが登場する前からあったので)

ですので、対策本を検討する際は、最新のものに固執せず、中古で安く仕入れるという考え方もアリかもしれません。

論文対策:参考書の選び方

本記事では1冊、参考書のシリーズを紹介します。

www.itec.co.jp

論文のある試験区分ではシリーズが出ており、論文の事例集として活用できます。

私の場合、他の論文系の試験区分を合格した際も、このシリーズで準備をしました。

論文で、どのように表現するべきか迷ったとき、事例が豊富にあると、参考にしたり取捨選択して自分のものにできたりします。

私の勉強方針

勉強方針は万人に通じる方法は無いかと思いますが、私の場合を挙げておきます。

  • 過去問を解く(2年分)
  • 参考書を読む(iTEC 重点対策&事例集)
  • 自分のチートシートを作る(専門知識や論文パーツなど)

過去問は多く解いた方が有利ですが、本業があるのと、私の場合はある程度試験にも慣れてきているので、過去問は最小限にします。

そして、過去問からというより、自分のチートシートを作ることに比重を置き、理解を深めようと考えています。

チートシートは、本番当日の朝の移動中や、休憩中にざっと目を通せる配分にまとめておきます。

また、論文対策で、添削を受けるサービスがありますので、慣れない方は受けるとよいでしょう。

客観的な視点はとても重要です。

私は今回ST試験に向けては添削サービスは使わないつもりですが、利用したこともあるので、メリットや限界など、まだの機会に紹介したいですね。

SNSでモチベーションアップ

賛否が分かれるかもしれませんが、モチベーション管理のために、SNSで受験する方の状況をチェックするのもよいと思います。

たとえばtwittertwitterをやっていなくとも、リアルタイム検索でキーワードを登録しておけば、通知を受け取れるアプリがあります。

promo-search.yahoo.co.jp

キーワードには、情報処理試験や、受ける試験区分の試験名を登録しておくとよいでしょう。

尚、私もtwitterはやっていますので、よろしければフォローもご検討ください。

ここには書けないような日常のTIPSや細かい記事ネタもつぶやいていますので、本ブログの先取りになるかもしれません。

まとめ

それでは、情報処理試験の高度試験にどのように準備するか、本記事で紹介したことをまとめておきます。

  • 気構え:長い試験時間に耐えられる覚悟・体調管理
  • 午前II対策:過去問を解くこと
  • 午後対策(記述対策):解説の多い参考書で準備
  • 午後対策(論文対策):事例集で自分なりの表現を掴む
  • 気構え:SNSでモチベーション維持

では、春を目指して共に頑張りましょう。

途中経過も、可能な限りで本ブログで報告・紹介していきたいと思っています。

ではそれまで。 

採点講評を読んでみる(令和2年度午後II・システム監査技術者)

本記事では、引き続きシステム監査技術者の採点講評を読んでみましょう。

合格直後の振り返りの記事はこちらを参照ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

午後IIの採点講評

共通の採点講評

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採点講評 令和2年 午後II 共通

問1と問2共通の採点講評は、例年と同様のことが言われているようですね。

 システム監査人の立場から論述することを求めているが、システム担当者としての対応を論述している解答が散見された

毎回のようにこれを言われるような解答が多い、ということは、システムを担当するエンジニアの方が、監査を担当する人より圧倒的に人口が多いということなのでしょうね。

ただ、これもよく言われることですが、情報処理試験の高度試験は、必ずしもその試験で問われている立場(今回はシステム監査人)としての経験は不要です。

私も、多くの高度試験は、その経験を踏まえないまま合格してきました。

合格に必要なのは、その立場を想像して成りきること。

決して「優秀な」システム監査人ではなく「一般的な」システム監査人に成りきれれば合格できるので、どうか何度受験している方も、あきらめないでほしいです。

監査手続を求めている論述では、そもそも監査手続の意味を理解できていなかったり

これも頻出の講評であり、これは「監査手続とは何か」ということを周辺の概念と合わせて理解しておく必要があることを示しています。

この点、詳しく説明してみましょう。

リスク、コントロール、監査手続

システム監査技術者には、一にも二にも、これを理解することが第一と言える概念が、リスクとコントロールと監査手続です。

これらを関連付けて説明できることが合格の必須条件と言ってよいでしょう。

  • リスク:想定される状態とは異なる状態に陥る可能性
  • コントロール:リスクを防止・低減するために行う施策
  • 監査手続:コントロールが機能していることの確認

上記のように説明することができるので、思考としては、リスク⇒コントロール⇒監査手続の順に整理するとよいでしょう。

イメージしやすい身近な例で考えてみます。

  • リスクの例:傘を忘れて雨が降ると体が濡れてしまう(想定とは異なる「望ましくない」状態)
  • コントロールの例:天気予報を毎朝必ず見る。天気予報の結果を踏まえて、出掛ける際、傘を持っていくかを必ず玄関で判断する(リスクを低減させる施策)
  • 監査手続の例:天気予報を毎朝見ているか確認する。玄関で傘を持っていくかを家族に報告する(徹底されているかが確認できる状態)

3つの中でも中心的な概念である、「監査手続」について、もう少し詳しく説明しましょう。

もう一度監査の目的に立ち返って

上記の例を見て、行動の主体が「リスク」「コントロール」と「監査手続」で変わっていることにお気づきでしょうか?

傘を忘れて、体が濡れて困る人と、そうならないように天気予報を見て、傘を持っていくかを判断する人は同じです。

しかし、きちんと天気予報を見ているかを確認し、傘を持っていくかの報告をさせる人は、別の人(家族や恋人)なのです。

これは、監査の目的に立ち返ってみれば自明なことです。

すなわち、システムを問題なく設計・構築・運用する担当者と、果たして本当に問題ないかをチェックする監査人は、別の人であるべきという原則です。(独立性の原則)

監査人は自分の役割を全うするため、実現可能な監査手続を組む必要があります。

具体的には、ドキュメントやログなどの査閲、担当者本人にヒアリングする、ことなどが考えられます。

これ(ドキュメントやログ、ヒアリング内容)が監査証拠となります。

従って、監査手続を実現可能たらしめるために、監査手続を説明する際には、

〇〇であることを確認するために××(監査証拠)を確認する

という表現がテンプレートになります。

先ほどの例でいえば、天気予報を毎日見ていることを確認するために、毎日メールやLINEで連絡させたものを確かめる、というようなことが考えられるでしょう。

・・・。

と、いうようなことが本当に起きたとしたら、おそらくその人は相当に、束縛の気が強いと言えそうです・・・。

というのは半分冗談ですが、実際に監査人は対象のリスクが起きないよう助言・保証したりしないといけない訳ですから、ある程度束縛感のある振る舞いが求められると思います。

さて、以上のことを一枚の絵でまとめておきましょう。

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システム監査技術者の中核的概念

これらのことが頭に入っていれば、あとは設問に問われた条件・シチュエーションに当てはめて考えていけばよい、ということになります。

それでは、実際に各問の採点講評を見ながら考えてみましょう。 

問1(AI技術を利用したシステムの企画・開発)の採点講評

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採点講評 令和2年 午後II 問1

問1も、

リスクを問うているのにコントロールを論述していたり、確かめるべき具体的な監査証拠を記述していなかったり

と、前述の中核的な概念に沿ってない解答が見られたようですね。

リスクの例

設問イで問うている状況は、「利用段階におけるリスク」ですので、まずはここから考えるとよいでしょう。

AI技術は便利ですが、必ずしも想定した結果を返してくれる存在ではありません。

ここから、想定される主なリスクの例としては、

  • 学習が足りなくて、想定した結果が導かれないリスク
  • 学習させるのに、学習用データセットを準備するなど想定以上に時間やコストが発生するリスク

を考えるとよいでしょう。

また、AIシステムに関係ない、一般的なシステムでも容易に考えられる利用段階におけるリスクとして、

  • 利用者の要求を満たしていない(開発者のひとりよがりな)システムができてしまうリスク

も挙げてもよいでしょう。

いくつかのリスクを書けば、700字以上の文字数は楽に超えるでしょう。

コントロールの例

設問ウは「企画・開発段階において実施すべき監査手続」が問われています。

これはすなわち、設問イで述べた「利用段階の」リスクに対して、未然に防ぐために上流工程でどのような施策(=コントロール)がとれるか? ということを考えなければなりません。

リスクに対応付けてコントロールを考えます。一例を示します。

  • 学習が足りなくならないよう、必要な学習量を設計し、事前にテストをする
  • 学習用データセットを準備する時間やコストが想定外にならないよう、インクリメンタル(段階的に)リリースする計画とし、経営陣に合意をとる
  • 利用者の要求を踏まえられるように、利用者からの要求を吸い上げ、確定できるような会議体を設置する

最後の例は、まさによくある例で、逆に現場の経験がある人は、当たり前すぎて施策になっている自覚が得にくいところかもしれません。

ただ、ここではあくまで監査人として実現可能な監査手続を考えることが重要です。

監査手続きの例

監査手続には監査証拠が必要なので、上記のコントロールが機能しているかを確認する監査証拠を考えます。一例を示します。

  • 学習量が想定された設計書。テストの計画書。
  • 経営陣への報告書。議事録。
  • 利用部門との会議事録。利用者にヒアリング。

これらを併記すれば、700字以上は楽に書けるでしょう。

また、設問イのリスクと設問ウの監査手続の間に、説明しなければならないコントロールはどちらで書くべきかという問題が残ります。

これは、結論から言うと、どちらに書いても構わないです。その時の文字数の状況から、臨機応変に判断しましょう。

ちなみに、私の経験則からは、設問イ(リスク)の中で、合わせてコントロールを説明してしまう方がおさまりがよくなることが多かったように思います。

問2(IT組織の役割・責任に関するシステム監査)の採点講評

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採点講評 令和2年 午後II 問2

問2でも、設問イでリスクを、設問ウで監査手続を主に問われている構成は変わらないですが、採点講評では、

設問ア、イ、ウで一貫した論述を心がけてほしい

 と言われています。

すなわち、リスク・コントロール・監査手続の論理の展開を、設問で問われている状況に即して破綻なく論述できていない解答が多かったと予想されます。

問2も、同様にリスク・コントロール・監査手続の3点セットで考えてみましょう。

たとえば、次のような流れが考えられます。

  • リスク:クラウドサービスは手軽に利用できる反面、IT部門ではない様々な部門が深く考えずにサービスを利用することにより、サービスレベルやコストを想定通り維持できなくなってしまう
  • コントロールクラウドサービスを選定する際、サービスレベルやコストを必ず確認するようガイドラインを社内に公布し、事前にIT部門に相談するように標準化する
  • 監査手続:ガイドラインを査閲。またIT部門に相談した際の議事録を査閲し、クラウドサービスを導入する前にアセスメントがされているかを確認する

この問題は、他にも問題文中にいくつか例がありますので、また違った3点セットを導くこともできそうです。

よくある3点セットをたくさん事前に想定できるようになっておけば、多くの設問で指定される状況に対応して論述することができるようになるでしょう。

また、リスク・コントロール・監査手続の中核的概念は、午後Iの問題に解答するときも重要な概念になります。

午後Iの採点講評を読んでみた記事はこちらを参照ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

本ブログでも、リスク・コントロール・監査手続の3点セットの事例集をまとめることができたら、参考になると思いますので、手掛けてみたいと思っています。 

ではそれまで。

 

採点講評を読んでみる(令和2年度午後I・システム監査技術者)

本記事では、システム監査技術者の採点講評を読んでみましょう。

合格直後の振り返りの記事はこちらを参照ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 採点講評を読むことで、振り返りを深めることができます。

今後、システム監査技術者を受ける予定のある方は、採点講評から、出題者の意図を読み取ることができるので、本記事を参考にしてみてください。

勉強中、過去問を解いた際も、採点講評を読み・分析することによって、自身の認識のずれを修正することが期待できます。伸び悩んでいる方は、ぜひお試しください。

採点講評とは

採点講評とは、通例、合格発表後1カ月後くらいに、IPAが公表する、問題に対する評価です。

中には、具体的に各設問に対して、正答率の高低を評してくれています。自分の回答の正否と見比べて、自身の知識や回答のクセを見直してみましょう。

また、

「××という誤答が多くみられたが〇〇してほしかった」

 と表現される個所は、〇〇の部分が出題意図となるので、注目していくと問題を解くための考え方に迫れると思います。

中には、納得のいき難い内容のときもありますが…

令和2年度は、12/25に合格発表があり、1/15に採点講評が公開されていました。

午後Iの採点講評

採点講評によれば、問1、2、3の正答率はいずれも「平均的」ということでした。いかんせん、参考にしづらいですね。

というのは、通例、どの問の正答率が高いか低いかが評価されているので、それによって自分の選択が「あたりだ」「はずれだ」などと振り返ることができるのですが。

たとえば、問1、問2の正答率が高く、問3が低い年に、自身が問1と問2を選択して合格したならば、選球眼は正しかったな、などと自己分析ができるということです。今回は、それはできないので、それはさておいて、それぞれの問の採点講評を見てみましょう。

問1(DXの推進状況)の採点講評

問1はDX(デジタルトランスフォーメーション)という先端フレーズが題材となっていますが、設問構成としては比較的素直だった印象です。

採点講評はこちらです。

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午後I 問1の採点講評

私見ですが、流行のキーワードが入っている題材の設問は、知らないととっつきづらそうな面とは裏腹に、難易度は低く作られていることが多いので、狙い目にするとよいと思います。

設問構成が素直と感じた根拠として、採点講評にもある通り、

「監査手続きとして監査の対象・方法とそれによって確認する事項」

 とありますが、監査手続きを問う設問は頻出の設問であり、それが3問も出題されている(設問2,3,5)ことが言えます。

この類の設問は

○○を確認して、××かどうかを確認する

 が回答テンプレートになります。

  • 〇〇が監査証跡:報告書などのドキュメントやログなど
  • ××が確認したいこと

になります。

逆に言えば、この回答テンプレート以外で正答をとるのは難しいということです。部分点狙いであったとしても、監査手続き設問はこのテンプレートで回答、を意識するととりやすいでしょう。

問2(システム監査計画)の採点講評

問2は監査部が何かを監査するというプロセスではなく、監査計画自体を題材にしている点が特異だったと思います。

採点講評はこちら。

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午後I 問2の採点講評

ただ、この問題も設問構成としては素直だったと思われます。

その根拠は、問題文の最終段落に〔監査計画に対する社長からの指示〕が5点あげられていますが、これが設問の5問に対応している点です。

システム監査技術者の午後Iの試験は、このように問題文の最後に述べられる項目が各設問に対応している構成であることが多いです。

これは、他の高度試験にはみられない特徴です。

このことを頭に入れておくと、設問を解くために問題文に探しにいく取っ掛かりに利用することができ、回答スピードをアップできます。

採点講評には、

社長の指摘内容を参考に

ですとか、

システム部門の目線での回答も散見された

などといった表現がされていることから、関係する部門・プロセスのことも念頭に置きつつ、監査部門としての役割を踏まえた回答をしなければならないというところが、回答に苦戦する方が多かった点だったと思います。

問3(システム有効性評価)の採点講評

問3は私は選択しなかった設問ですが、これも見ていきましょう。

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午後I 問3の採点講評

システム監査に特有の概念を示す、「コントロール」に関する出題があることが印象的です。

コントロールを問う設問は、過去問にも多く珍しくないですが、問1と問2で問われていなかった&採点講評でも触れられていなかったところが、本年の特異性と言えるかもしれません。

設問のテーマとしては、システムの有効性を評価する内部監査を通じて、ITガバナンスの適切性を検証するという内容で、重厚長大・監査の冥利につきるといったような内容ですね。

経済産業省が平成30年に改訂した"システム管理基準"でもITガバナンスについて大幅に拡充しているので、そうした変化に配慮した出題だったと言えそうです。

リスクがあり、それに対するコントロールがあり、それに対する監査手続きがある、というのがシステム監査の通底にある考え方ですが、これらについては改めて説明記事を書けたらよいなと思います。

 

午後Iの採点講評だけでかなり紙面を使ってしまったので、午後IIの採点講評の確認はまたの記事にしましょう。

ではそれまで。

システム監査技術者試験(令和2年)に一発合格しました

合格証が届きました。

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システム監査技術者試験・合格証

一発合格でした。嬉しいですね。

簡単ですが、取り組んだ感想と、振り返りを行っていきたいと思います。

新型コロナの影響

今期(令和2年)は、新型コロナの影響もあり、もともと春(2020年4月)に予定されていた試験が、秋(2020年10月)に延期されたこともあり、半年間勉強時間が伸びたことも、プラスに働いたように思います。

また、そのためか、合格証の番号も、本来受験月をあらわす桁が04と表記されていました。(下図赤丸参照)

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合格証の番号。本来10のところ04と表記されている

これはバグと言っていいのではないかと思うのですが、後日別の情報処理試験の願書提出時で午前I試験を免除申請するときに、合格済みの試験があればその合格時の証書番号を入力するのですが、下図のように、「受験月」と記載されています。

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受験月と書かれている。実際に受験したのは10月だが…

合格証書番号に書かれている「04」を入れるのが正しいのですが、受験した月にならって「10」と入れると、エラーになります。これから次の情報処理試験を受けようとされている方は、ご注意ください。

成績照会の結果

私の成績の結果は以下の通りでした。

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システム監査技術者試験 成績照会の結果

午前IIの合格ラインも午後Iの合格ラインも60点(60%)以上なので、楽勝とまではいかなくともまあまあ危なげなく突破できたのではないかと思います。

午前IIの振り返り

午前IIはそれほど困る問題は出ていなかったと記憶しています。見返すと、

が個人的には目新しかったかと思います。

ただ、どの高度試験にも言えることと思いますが、午前IIは基本的には過去問からの再掲が多いので、目新しい設問が2,3あったところで、恐れることはないです。

午後Iの振り返り

 午後Iは、

  • 問1 デジタルトランスフォーメーション推進プロジェクトの監査
  • 問2 システム監査計画
  • 問3 システムの有効性の監査

から2問を選択し回答します。

問1は昨今のバズワードといってもよい、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関するプロジェクトが社内で推進されている状況における、プロジェクト監査を題材にしています。

問2は設問の中で監査部が何かを監査するというシナリオではなく、監査部の監査計画自体を題材にしているところが特徴的だったと思います。

問3は経営陣の課題認識を踏まえ、IT投資の計画と有効性評価を題材にしており、監査のみならずITストラテジの守備範囲も含まれると思います。

おしなべて、例年に比べると類型的・定型的ではなく、少々とがった・特徴的な題材が多かった印象です。

私は問1と問2を選択しました。午後Iは90分で2問を解くので、1問にかけられる時間は45分です。

問1を解いている間に時間が不足しかけた(途中で45分を超えかけた)ので、記述式の文章を下書きして推敲するのではなく、回答欄に直接書き出して時間節約を図りました。

前提知識や経験が不足していると、何度も書き直してかえってタイムロスになるやり方ですが、私の場合はこのやり方でスピードアップできたので、受験勉強の量(試験に対する理解度)的にも、よい判断ができたと思います。

午後IIの振り返り

 午後IIは、

  • 問1 AI技術を利用した企画・開発に関する監査
  • 問2 IT組織の役割・責任に関するシステム監査

のいずれかを選び回答します。

問1は、企画・開発などの上流工程に親和性があり、問2は、構築・運用などの下流工程に親和性があるといえるでしょう。その人の経験に合わせて選択できれば良いと思います。

私は問1を選択しました。午後IIの論文で何が出るかの予想は色々あり、その中でもAIは重点予想の一つであったので、やはり出たか、と思いました。

題材はAI技術という最先端の内容(厳密にいえば、AIそのものの歴史は古いのだが…)ですが、設問構成は、

  • 設問ア でその技術を利用する目的とシステム概要
  • 設問イ で利用段階で想定されるリスク
  • 設問ウ で企画・開発段階で実施すべき監査手続き

というシステム監査技術者試験の鉄板の構成でしたので、取り組みやすかったと思います。

特に設問イで「利用段階で想定されるリスク」は、フィクションの世界や陰謀論的な世界観で「AIが暴走する!」ようなイメージがあるので、そこまで極端でなくてもよいですが、想定はしやすいのではないかと思います。

もう少し論文にかけそうな形に落とすと、「AIを利用したはいいが、意図と異なるような判断がされた」「意図に沿うようにするには学習工程が必要だが、学習データの収集に想定外の工数・期間・コストがかかった」というようなシナリオにするとよいでしょう。

より詳しくは別の記事にて解法について解説してみたいと思います。

それにしても、120分で最低約2100文字~最高3600字を書くのは、論文系の情報処理試験では当然なのですが、利き手の神経・筋肉を、極限にまで使いあげますね…疲れる…

一発合格の秘訣

今期は、コロナ禍もあり、少しでも体調を崩したり、社会情勢が厳しくなったら受験を棄権もするつもりでいたので、そうした肩の力を抜いて臨めたのがよく作用したのではないかと思います。

ということを言っても何の参考にもならないと思うので、合格を狙うには、システム監査技術者試験特有のコツを学んで臨むことが秘訣だと思います。

他の高度系の論文試験・記述試験とは異なり、設問の解き方・力点が、かなり異なっているので、それを見極められれば、合格は容易い、とまでは言わずとも、普通に合格はできるのではないでしょうか。

そのあたりの話も、別の記事にて解説できればと思います。

ではそれまで。