スタディルーム by rolerole

情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

ITストラテジスト 出題予想(令和8年前期)(最新)

本記事では令和8年前期向けのITストラテジストの

出題予想を行っています。

 

次回ITストラテジストを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを科目B-1問題(記述)、科目B-2問題(論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.ipa.go.jp

 

 

1. 科目B-1(記述)予想

過去問(5年分)

上図は過去5年分の過去問テーマ分析です。

科目B-1は令和6年春より3問から2問選択することとなっています。

問1~3から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

科目B-1の出題予想ポイントは次の通りです。

 

■科目B-1出題予想ポイント■
1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルが出題されそう
2. 問2・3はどちらかあるいは両方が文章中心(マネジメント系)の問題が出題される

順に説明します。

 

1-1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルが出題されそう

過去5年を分析すると問1はデジタルトランスフォーメーション(DX)など

先端技術がテーマです。

令和5年はブロックチェーン、令和6年はデジタル経済圏、

令和7年はAI画像解析(スタートアップ)がテーマでした。

 

IPAはDXに関するメッセージ・研究をたくさん発信していますが、

令和1~4年で連続してDXがキーワードとして出題された後に

令和5年で異なるキーワードで出題されたので、

今後は少し傾向が変わる(DXのキーワードとしての"旬"(役割)が

終わりつつある)かもしれません。

 

参考までに、IPAが発しているDX事例などを

まとめているサイトを紹介しておきます。

DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査

 

1-2. 問2・3はどちらかあるいは両方が文章中心(マネジメント系)の問題が出題される

問2・問3の過去問を分析すると、どちらかは図表のない問題が出題されています。

 

傾向としては、図表のない問題の方が文章からの読解力、

つまり自分で必要なキーワードを抽出し

自分で図や表におこして整理する力が求められます。

反対に図表のある問題は、文章と図表の対応付け、

図表そのものを読み取る力が求められるでしょう。

 

傾向として、図表のない問題はマネジメント系、

図表のある問題はテクニカル系であることが多いようです。

 

過去は以下の通りになっています。

  • 令和7年春 問1が図表あり 問2,3が図表無し
  • 令和6年春 問1,3が図表あり 問2が図表無し
  • 令和5年春 問1,2が図表あり 問3が図表無し
  • 令和4年春 問1,2が図表あり 問3が図表無し
  • 令和3年春 問1,3が図表あり 問2が図表無し
  • 令和1年秋 問1,2が図表あり 問3が図表無し

 

 

■科目B-1のオススメ参考書■

 

 

記述式の対策は解説が充実していることが重要なので、

その観点で「アイテック 重点対策」を評価してみますと、

  • 200ページ超の分量
  • 段階的に仕上げることができる仕組み
    (テクニック、作成例、実践、解説と節立てされている)
  • とりあげている過去問(解説)が多い

と、かなり充実しておりオススメです。

 

 

「翔泳社 情報処理教科書」は比較的、科目B対策に特化しています。

各章で知識体系を整理でき、

習得具合を節目節目にある小テストでチェックができます。

じっくりと知識を習得してからテスト対策をしたい方にオススメです。

 

 

 

 

2. 科目B-2(論述)予想

過去問(5年分)

上図は過去5年分の過去問テーマ分析です。

科目B-2は令和6年春より2問から1問選択することとなっています。

問1~2から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

科目B-2の出題予想ポイントは次の通りです。

 

■科目B-2出題予想ポイント■
1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルによる"攻め"の問題が出題されそう
2. 問2は既存業務やプロジェクトを前提とした"守り"の問題が出題されそう

 

順に説明します。

 

2-1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルによる"攻め"の問題が出題されそう

"攻め"や"守り"といった言葉遣いはイメージですが、

問1は新規投資や事業停滞打開など、事業として攻めの姿勢で

手段としてDXなどを用いる文脈での問題が出題されています。

 

過去の問1の問題文に例示されているDX事例ならびに特徴は以下の通りです。

  • 令和7年春
     システム刷新の必要性と経営上の有効性を問う
  • 令和6年春
     DXの集大成的な出題。AIやIoTといった新技術採用
  • 令和5年春
     ビジネスの変化の速さを背景に既存システムを全体最適の観点から改修
  • 令和4年春
     (DX事例)保険会社における顧客健康データを活用した割引などの新サービス
  • 令和3年春
     (DX事例)流通業におけるICタグを用いた物流保管のプラットフォームサービス
     (DX事例)測量機器メーカにおけるドローンとAIを用いたサブスク監視サービス

 

 

実際の企業における経営課題は千差万別ですが、

ITストラテジストで出題される問題にはいくつかのパターンがあります。

"攻め"のパターンとして、上記の事例は読み込んで理解しておくと

よいでしょう。

 

 

 

3-2. 問2は既存業務やプロジェクトを前提とした"守り"の問題が出題されそう

問2は比較的保守的な文脈で出題されることが多く、

過去5年は以下のようなことが問われています。

  • 令和7年春 技術・データ・体制・投資金額(DX)
  • 令和6年春 新しいビジネスモデルの策定
  • 令和5年春 システムリスク対応方針
  • 令和4年春 スケジュールの管理
  • 令和3年春 ステークホルダの意見調整

試験区分の領域としてはプロジェクトマネージャーの

知見・経験があると有利でしょう。

令和7年春はDXというキーワードが含まれており、

従前に比べると若干"攻め"寄りでしたが、

技術・データ・体制・投資金額といった切り口での質問となっており、

主にマネジメント力をアピールできる出題でした。

 

 

なお、本ブログでは論文の書き方シリーズで過去問分析と解法をまとめています。

合わせてご確認ください。

 

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

下記のカテゴリ一覧記事から、ITストラテジスト区分を探してみて下さい。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

■科目B-2のオススメ参考書■

 

 

筆者の場合、基本的に論文系の試験区分の試験対策には

このシリーズで準備しています。

 

とにかく、文の事例が豊富。

 

おすすめする点は、これにつきます。

論文で、どのように表現するべきか迷ったとき、

事例が豊富にあると、参考にしたり取捨選択して

自分のものにできたりします。 

 

 

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

ITストラテジストを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

システムアーキテクト 出題予想(令和8年前期)(最新)

本記事では令和8年前期向けのシステムアーキテクトの

出題予想を行っています。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

「どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

「残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回システムアーキテクトを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを科目B-1問題(記述)、科目B-2問題(論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.ipa.go.jp

 

 

 

1. 科目B-1(記述)予想

過去問分析(5年分)

上図は過去5年分の過去問テーマ分析です。

科目B-1(午後I)は令和6年春より3問から2問選択することとなっています。

問1~3から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

科目B-1の出題予想ポイントは次の通りです。

 

■科目B-1出題予想ポイント■
1. 1問か2問はST系のスキルがあると有利な問題が出題される
2. 1問はDB系の問題が出題されそう

 

年度や問題によってSTやDBの問題の比重・難易度はまちまちですが、

得意・不得意によって問題選択の参考にするとよいでしょう。

特に、ST系の問題とDB系の2問を選択した場合、

求められる知識やスキルがかなり異なるので

時間内に頭を素早く切り替える必要があります。

 

1-1. 1問か2問はST系のスキルがあると有利な問題が出題される

ITストラテジストの知識があると有利な問題がよく出題されます。

近年、その傾向が顕著になってきています。

過去の例でいうと以下の通りです。

  • 令和7年春:問2、問3
  • 令和6年春:問2
  • 令和5年春:問1、問3
  • 令和4年春:問1

ITストラテジストは戦略・企画を担い、システムアーキテクトとしては

開発・実装を担当します。

そのため戦略・企画上の狙いを理解しておくことが

試験センターの期待値としてはあるものだと思います。

実務においても重要な視点だと言えるでしょう。

 

1-2. 1問はDB系の問題が出題されそう

令和7年を例外として、例年、1問か2問は概念データモデル(ER図)

または関係スキーマ(テーブル設計図)をもとにして必要なデータを

整理させた上で回答する問題が出題されていました。

過去5回で見ると以下の具合です。

  • 令和7年春:出題無し
  • 令和6年春:問1、問3
  • 令和5年春:問2
  • 令和4年春:問2
  • 令和3年春:問1、問3

 

 

関係スキーマの例:令和2年春問2より

 

■速読・速答テクニックを磨く■

科目B-1試験は時間との勝負でシステムアーキテクトも例外ではありません。

時間内に完答するには問題文構造を手早く理解し速読し、

必要な材料が揃った時点で回答を記述します。

問題文を全文読んでから設問1から順に対応するようでは

時間は足りなくなるでしょう。

 

令和5年問3「融資保証システムの再構築」を例に具体的に説明します。

ご参考:IPA過去問

 

問題用紙を開いたらまずは各段落の章タイトルを把握します。

例の場合、

〔融資保証の概要〕図1あり

〔現在の業務と現行システムの概要〕

〔新システムへの要望〕

〔新システムの方針〕

〔新システムの設計〕表1あり

という5パートに分かれていることを把握します。

 

次に各パートを横串で通すようなキーワード(要件名や業務名)を

ざっくり把握します。

例の場合、

(1)申込

(2)承諾/審査

(3)融資

(4)返済/残高管理

(5)代位返済

といったキーワードを把握します。

多くの場合、カッコ数字((1)など)のタイトルになっています。

 

問題文は隅々まで読まずに設問文を読み、

キーワードを識別したら、各パートのそのキーワードが書かれている

部分を読んで回答材料を探して記述します。

 

例えば、設問4は「融資残高管理機能」について問われていますので、

各パートから関連の部分のみ読めば回答材料が揃います。

例外もありますが、基本は関連部分のみで記述することができ、

隅々まで読む必要はありません。

 

なお、上記の点は三好康之様の下記動画で詳しく紹介されております。

www.youtube.com

 

 

 

■科目B-1のオススメ参考書■

 

 

記述式の対策は解説が充実していることが重要なので、

その観点で「アイテック 重点対策」を評価してみますと、

  • 200ページ超の分量
  • 段階的に仕上げることができる仕組み
    (テクニック、作成例、実践、解説と節立てされている)
  • とりあげている過去問(解説)が多い

と、かなり充実しておりオススメです。

また私がお世話になった2022年版の場合ですが

3-2章に主要業務の解説に紙面が割かれ参考になりました。

販売管理・生産管理・購買管理・物流管理といった

いわゆる「基幹系」の業務のDFDがまとめられており

科目B-1対策のみならず科目B-2対策としても重宝しました。

 

 

「翔泳社 情報処理教科書」は比較的、科目B対策に特化しています。

各章で知識体系を整理でき、

習得具合を節目節目にある小テストでチェックができます。

じっくりと知識を習得してからテスト対策をしたい方にオススメです。

 

 

2. 科目B-2(論述)予想

過去問(5年分)

上図は過去5年分の過去問テーマです。

科目B-2は令和6年春より2問から1問選択することとなっています。

問1~2から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

科目B-2の出題予想ポイントは次の通りです。

 

■科目B-2出題予想ポイント■
1. DXやシステム刷新を前提とした"攻め""上流""戦略(企画)"の問題が出題されそう
2. 既存システムへの改修など"守り""データ""実装"の問題が出題されそう

 

順に説明します。

 

2-1. 問1はDXを前提とした攻め""上流""戦略(企画)"の問題が出題されそう

新規投資や事業停滞打開など、事業として攻めの姿勢で

DXやアジャイル開発を採用するシーンをイメージしてください。

 

過去の問題で問われた"攻め"の出題は以下の通りです。

  • 令和7年春
     問1 複数の情報システムのデータを収集する必要がある指標の提供について
  • 令和6年春
     問1 人手によってしか実現できないと考えていた業務への先進技術の適用について
  • 令和5年春
     問1 デジタルトランスフォーメーションを推進するための情報システムの改善について
  • 令和4年春
     問1 概念実証(PoC)を活用した情報システム開発
  • 令和3年春
     問1 アジャイル開発における要件定義の進め方

 

最近のITストラテジストの傾向も合わせて把握しておくと

出題予想が立てやすいかもしれません。

 

 

■求められる姿勢について理解する■

システムアーキテクトが求められる姿勢について理解しましょう。

 

プロジェクトマネージャーやITストラテジストとは異なり、

どのように設計するか、実装するかといったテクニカルな知識を

アピールする必要があります。

一方、データベーススペシャリストや応用情報技術者とは異なり、

実装面やタスクの遂行だけをスコープとするのは足りず、

主体的にステークホルダとコミュニケーションをとり

要件を定義したり機能の提案をしたりする必要があります。

 

まとめると、企画/プロジェクトといったマネジメントと

設計/実装といったテクニカルを橋渡しするような

振る舞いが求められるでしょう。

 

 

 

 

2-2. 問2は既存システムへの改修など"守り"の問題が出題されそう

一方、問2は比較的保守的な文脈で出題されます。

過去5年は以下のようなことが問われています。

  • 令和7年春
     問2 現行システムと新システム間の差異を踏まえたデータ移行について
  • 令和6年春
     問2 バッチ処理の設計について
  • 令和5年春
     問2 利用者と直接の接点がない情報システムのユーザインタフェースの検討について
  • 令和4年春
     問2 業務のデジタル化について
  • 令和3年春
     問2 情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計

徐々に問われる状況や条件が細かく指定されてきている印象であり、

新規に基幹システムを構築するといったようなシンプルな開発は

あまり出題されないでしょう。

 

なお、本ブログでは論文の書き方シリーズで過去問分析と解法をまとめています。

合わせてご確認ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

 

下記のカテゴリ一覧記事から、システムアーキテクト区分を探してみて下さい。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

■科目B-2のオススメ参考書■

 

 

筆者の場合、基本的に論文系の試験区分の試験対策には

このシリーズで準備しています。

 

とにかく、文の事例が豊富。

 

おすすめする点は、これにつきます。

論文で、どのように表現するべきか迷ったとき、

事例が豊富にあると、参考にしたり取捨選択して

自分のものにできたりします。 

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

システムアーキテクトを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

高度情報処理技術者 科目B対策の仕方と参考書の選び方

更新:2026/8/1

 

一段と暑くなりましたね。

従来の試験方式(論文方式など)での試験は今年度が最終です。

前期試験(従来の春季試験:ST、SA、NW、SM)は10月より、後期試験(従来の春季試験:PM、DB、ES、AU)は2月より開催予定です。

 

本記事は、高度情報処理試験を受験予定の方を対象に書いています。

 

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験と違って、

「高度は何を対策すればいいんだろう?」と悩んでいたり、

「論文や記述式ってどう対策したら?」と思っていませんか。

 

本記事では、高度情報処理試験を受験される方向けに、

  • 高度試験って、基本情報・応用情報にない何か特別な対策をする必要ある?
  • 科目B対策で、何を一番重視して進めていけばいい?
  • 科目Bの、記述式と論文って、どう対策分けすればいいの?
  • おすすめの参考書は?

といった疑問にお答えしたいと思います。

 

なお、今年度で最終となる試験方式で受験を迷っている方は、下記記事も参考にしてください。

>高度情報処理試験 令和9年/2027年の展望と今の受験者がするべきこと - スタディルーム by rolerole

 

筆者は高度情報処理試験を全て制覇しております。

実際の体験も踏まえながら、高度に特有の試験対策を説明していきます。

 

 

1. 応用情報(AP)にない特別な対策

応用情報技術者試験(AP)の受験経験がある方向けに、

まずは高度情報処理試験の対策として同じ所と違う所を

整理して説明します。

 

1-1. 応用情報(AP)と同じ対策でいいところ

高度区分の試験は、科目A-1と科目A-2は4択マークシート式ですが、

応用情報と同じマークシート選択式です。

これにより、マークシート選択式の特有の対策は、応用情報と同じでよいと言えます。

 

応用情報でもそうですが、過去問から同じ問題・類題が

多く出題されます。

これにより、特に科目A対策としては、過去問を繰り返し解いて対策とする、

ことも同じ所と思います。

 

1-2. 応用情報(AP)とは異なる対策がいるところ

一方応用情報と大きく異なるのは、科目Bと思います。

まずは、試験時間をチェックしましょう。

 

 

情報処理安全確保支援士以外の8区分は以下の時間配分です。

基本情報・応用情報に比べ、長い。体力も必要。

 

科目B-1(90分)は、高度試験の全区分で記述式で出題されます。(情報処理安全確保支援士の科目Bも記述式)

一方、科目B-2(120分)は、区分によって記述式か論文かで分かれます。

 

このため、最も異なる対策が必要となるのは科目Bです。

ご自身の受験予定の区分を確認し、特に論文が必須の場合は、

応用情報とは大きく異なる対策がいるでしょう。

 

2. 科目A対策よりも科目B対策に注力しよう

前述の通り、科目Bの方が過去問一辺倒では対策がしづらく、

勉強の進め方としては科目B対策に注力するのがよいでしょう。

 

逆に科目Aは過去問からの採用率が高いので、3~4年程度の

過去問を頭に入れておくだけで十分合格できるでしょう。

 

短絡的な考え方かもしれませんが、合格だけを目的に考えるなら、

出題された単語や意味などを覚えなくても、

問題文と回答のセットだけを覚えれば十分です。

 

科目Aはそのように対応をすればよいので、

科目B対策をどのように進めるか、が合格への鍵になります。

 

2-1. 科目B対策をどのように進めるか

誤解のないように最初に述べておくと、

その区分に求められている知識、という意味では、

科目Bであろうと科目Aであろうと共通しています。

 

プロマネの例で言うと、PMBOKの基本的な知識エリアや、

ウォーターフォール開発モデルの各工程(V字モデル)は、

科目A-2(選択式)であろうと科目B-1(記述式)であろうと

科目B-2(論文)であろうと、求められる知識です。

(科目A-1は各区分共通の問題が出題されるので、

その区分特有の知識が求められる比重は小さい)

 

「その区分に求められる知識」というのが存在することを

念頭に置いたうえで、選択式・記述式・論文それぞれに

対処するイメージで対策するとよいでしょう。

 

それでは次に、科目B対策の話を中心に掘り下げていきます。

 

3. 科目B対策(記述式と論文)

3-1. 記述式の対策

記述式の問題は、時間との戦いになりがちです。

区分によっては、90分の記述式(科目B-1)と

120分の記述式(科目B-2)が連続に取り組まなければなりません。

※情報処理安全確保支援士の場合は科目Bのみで150分

 

合格点に満たない時の大きな「課題」としては

  1. 時間が足りない
  2. 知識が足りない
  3. 解き方が分からない

のいずれかだと思います。順にみていきましょう。

 

3-1-1. 「時間が足りない」への対策

これは時間さえあれば合格点に達成できたのに、という

場合の対策です。

 

この課題への対策は、

長文である問題文の読み方、設問文との対照付けなど、

問題を把握するスピードをあげること

と、

記述する内容のあたりをつけてから制限字数にまとめて

記述するスピードをあげること

の2つが主に考えられます。

 

前者は、試験区分によって若干クセがあり、

その試験特有の出題のルールのようなものを

理解する必要があります。

 

たとえば、ITストラテジストでは、

「課題」-「機能」ー「設問」

がセットになっており、「設問」に対応する

「機能」と「課題」が問題文中のどこに記載されているかを

見極めることが重要になります。

これにより、問題に取り組むスピードを向上できます。

 

後者は、内容のあたりのつけ方と、

あたりをつけたあとに手早くまとめる力が必要です。

 

この対策は色々あるので本記事だけではとてもまとめられないですが、

最も効果的なものを1つだけ述べておきます。

 

それは、「迷ったときのルールを予め決めておくこと」です。

 

区分にもよりますが、たとえば、次のようなルールが考えられます。

 

問題文から、回答文として記述する情報元が複数あり、文字数的にどちらかを選択する必要がある場合。設問文のキーワードが書かれている問題文中の箇所からの距離が物理的に(問題文の紙面的に)近い方を選択する。

 

上記のルールを作る場合、「なぜ?」という理由付けは何でも構いません。

重要なことは、時間をかけても意味のないこと(迷う行為)を

減らすということです。

 

この節については情報量が多かったので、いったんまとめておきます。

 

■「時間が足りない」への対策■

1. 問題文を把握するスピードをあげること [INPUT SPEED UP]

その試験特有のクセを理解し、把握に努める。
設問文と問題文の関係と構造把握がカギとなる。

2. 制限字数にまとめるスピードをあげること [OUTPUT SPEED UP]

迷ったときに拠り所にする自分だけの記述ルールを
予め決めておく。

 

3-1-2. 「知識が足りない」への対策

これは前節の前提になっており、時間があったとしても

解けないという場合の対策となります。

 

「知識が足りない」のは勉強したてであれば仕方のないことです。

 

「知識が足りない」への対策は、すなわち

「その区分に求められる知識」を習得するということが

対策となるので、当ブログの各試験区分の

対策を覗いてみてください。

 

ひとつ言えるのは、科目A対策のように、過去問のみで

仕上げるのは難しいです。

ここは参考書に頼りましょう。

 

問題は、ある程度勉強していたり、何度か不合格を経験していたりで、

得点が取れないのが、「知識が足りない」からなのか、

他に理由があるのかが曖昧になってしまう場合です。

 

ここでは、「知識は足りているが解けない」とは

どのようなパターンがあるか述べておきましょう。

 

■知識は足りているが解けないとは■
・ある程度自信をもって記述した自分の解答文が、微妙に/明らかに正答文と異なる
・複数の解答候補は思いつくが、最終的に正答となる候補を選択できない
・何度やっても、同じようなミスをする
・参考書を読んでも、納得がいかない

 

上記のようなケースにあてはまる場合は、

知識というよりも、次に述べる「解き方が分からない」

状況にあると考えられます。

 

3-1-3. 「解き方が分からない」への対策

これは知識は足りているけど、間違えてしまうという

場合の対策です。

 

筆者の周囲を見ると、現役やベテランエンジニアのように、

ある程度の知識や経験を備えている方が、

頭を情報処理試験のために切り替えられずに

陥っているケースがあるようです。

 

そのことの是非はともかく、合格を目指すならば、

いったんは自分の自信も経験も置いておいて、

解き方がわかってないかも? と自分の思考回路を

振り返ってみてください。

 

この節で言いたいことは、自分の考え方のクセを、

情報処理試験合格のために、矯正することにあります。

 

このことを理解するには、いちど情報処理試験に臨んだり、

過去問を実際に解いてみる必要があります。

 

その上で、自分の疑問を言語化して、

さらにその上で、なぜその考え方ではいけないか、を

納得しなおす必要があります。

 

このプロセスには、一定の勉強時間がかかります。

もしも試験が直前に迫っているのならば、

考え方は納得しなくてもよいので、

正答の表現や参考書に書かれていることを、

「鵜呑み」してしまいましょう。

(あるいは、単にその問題を捨てるか)

 

この節に書かれていたことをまとめておきます。

 

■「解き方が分からない」への対策■

「自分の考え方のクセ」を客観視し、試験合格のために考え方を矯正する。

実際に問題を解いてみて、自分の考え方のクセを認識したら、
その思考プロセスを言語化し、なぜそのプロセスだといけないのかを
納得する。

時間が無ければ、参考書に書かれていることを、「鵜呑み」する。
単に捨てるのも手。

 

こうした、"セルフアジャスト" のプロセスは、

試験合格に限らず、さまざまな人間関係の場面でも、

重要なことだと思います。

 

3-2. 論文の対策

論文は、人によっては問答無用で苦手意識を持っており、

この時点で受験者にとって大きな差になるところと思います。

 

筆者も初の論文試験はとても警戒・勉強しても身になった感覚を持てず、

何度か不合格になり苦手意識を持っていました。

 

ただ、論文も書き方やコツがあります。

ひとたび、合格した区分があったあとは、基本的には、

私はむしろ論文系の試験区分の方が対策が立てやすい、と

思っています。

 

このコツのようなものを一言で言い表すのは難しいですが、

それでもあえて言うと、

「求められている"論文構造"に気付くこと」

だと思っています。

 

また、単に知識・経験が足りなくて論文が書けない、

ということもあります。

 

120分という時間をどうやって使うか、という点も、

実際に取り組んでみないと、自分に最適な

時間配分は導き出せないと思います。

 

こうした、「その区分に求められる知識」や、

論文に対する基本的なお作法などは、参考書に頼りましょう。

 

また、論文対策においては、最終的に、

自分の表現に"昇華"させる必要があります。

このために参考にしていただきたい本ブログのオリジナルのフレームワークが、

「論文事例マップ」です。

別記事にまとめていますので、合わせてご参考ください。

 

■論文事例マップの作り方■
ITストラテジストを例に、論旨展開の"型化"を目指すフレームワークの紹介記事です。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

上記のリンクは、

「求められている"論文構造"に気付くこと」

を自分の論述につなげる試みでもあります。

コツのようなものを会得する一助になれば幸いです。

 

4. おすすめの参考書

色々述べましたが、ここからは、科目B対策となる、

記述式と論文の参考書を筆者の体験をもとに紹介していきます。

 

4-1. 記述式対策の参考書

記述対策に求めるポイントは、次の1点です。

解説が充実していること

どの区分にしろ、勉強し初めから試験センターの定義する

「正解」を記述する事はできないでしょう。

自分の考え方のクセを意識して、「正解」に合わせる行為が必要です。

そこで必要なものが、「解説の充実度」です。

 

ここからは、私自身の体験も踏まえて、参考書について評価してみましょう。

iTEC 重点対策

ITストラテジストに合格した筆者は、

記述対策にiTECの『重点対策』を用意しました。

 

科目A、科目B-1、科目B-2まですべて

これ1冊でカバーしているところが強みです。

紙面の配分も同等か、しいて言うならば

科目B-2対策の分量が少ないと言えるかもしれません。

 

記述式の対策は解説が充実していることが重要なので、

その観点で評価してみますと、

  • 200ページ超の分量
  • 段階的に仕上げることができる仕組み
    (テクニック、作成例、実践、解説と節立てされている)
  • とりあげている過去問(解説)16問(うち3問が組込みシステム)

と、かなり充実していると言えそうです。(2020年版の評価です)

 

ただ、解説自体に納得がいかないものも一部でありました。

たとえば、解説文が、問題文の引用や焼き直しに終始しており、

「なぜその回答になるのか?」という論理が足りないと感じるものがありました。

その正答ならば、問題文のこの部分を引用しないのはなぜ?

といったような疑問がわくものもありました。

 

ただし、筆者の場合は一発で合格できたので、

上に指摘した問題点も大した問題ではないのかもしれません。

 

翔泳社 情報処理教科書

システム監査技術者の合格の際は、

翔泳社の『情報処理教科書』で準備しました。

最新版ではなく、2014年版を中古で購入しました。

 

比較的、科目B対策に特化しています。

全体的な章立てとしては、

  • 監査の計画
  • 監査の実施
  • 監査の報告

などいくつかの体系に分けられており、

章ごとに知識・科目B-1対策・科目B-2対策ができるようになっています。

章の体系からして、合格に向けた対策がとれることと同時に、

各監査のフェーズにおける専門知識を習得できるようになっており、

実際の監査業務に役立てやすい構成になっていると感じます。

特に、第1章に書かれている「監査とは」の部分は個人的に必見です。

なぜ監査が必要か、監査はどうあるべきで、

実務を踏まえてどうアジャストする必要があるかなどといった

観点が含まれています。

実体験を通じておぼろげながら理解できているという人でも、

よりクリアに理解しなおすことができます。

 

なお、筆者は2014年版で対策し2020年に受験しましたが、

試験体系も、ましてや監査の勘所といった点は

あまり変わりません。

(何しろ監査という概念そのものは、ITが登場する前からあったので)

ですので、対策本を検討する際は、

最新のものに固執せず、中古で安く仕入れるという

考え方もアリだと思います。

 

4-2. 論文対策の参考書

本記事では1冊、参考書のシリーズを紹介します。

論文のある試験区分では『合格論文の書き方・事例集』という

シリーズが出ており、その名の通り、論文を書く上での

言い回しや論旨展開の事例集として活用できます。

 

筆者の場合、基本的に論文系の試験区分の試験対策には

このシリーズで準備しています。

 

とにかく、文の事例が豊富。

 

おすすめする点は、これにつきます。

論文で、どのように表現するべきか迷ったとき、

事例が豊富にあると、参考にしたり取捨選択して

自分のものにできたりします。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

高度情報処理試験を受験予定で、どのように対策を

進めればよいか、考え方の一助となれば幸いです。

 

各試験別の資格取得メリットをまとめた記事も参考に載せました。

勉強のモチベーション喚起などにもご利用ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

高度情報処理試験 令和9年/2027年の展望と今の受験者がするべきこと

2026/7/31 申込日程に関して追記

 

 

こんにちは。

情報処理技術者試験は令和9年/2027年次より新制度への移行が決まっており、

今年度に入りあらかたの情報は揃いつつある状況です。

従来制度の試験は今年度(前期10月、後期翌2月)が最終です。

 

この記事を読めば、

  • 新制度の展望が5分でわかります
  • 従来制度と新制度のつながりが分かります
  • 今期、受験予定の方がどうすればよいのか分かります

 

なお、本記事(私のブログ)は従来制度のレベル4の

高度区分の資格者・受験予定者が対象です。

基本情報やITパスポートなどの区分の受験予定者は

別の方がよりよくまとめていらっしゃいますので、

そちらをご参考ください。

 

 

新制度 令和9年/2027年からの展望

全区分CBT化

これまで高度区分の試験はペーパー方式でしたが、

新制度においては基本的に全区分が

CBT(Computer Based Testing)方式です。

 

新試験区分

データマネジメント試験(仮称)

データマネジメント試験(仮称)が新設されます。

AI活用に必要なデータ整備・管理スキルを評価します。

 

ITパスポート試験の次のステップとして位置づけられます。

 

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)

現行の応用情報技術者試験と高度試験9区分を、3つの領域に再編します。

高度区分の試験は次の3つの試験に対応します。

 

  • プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験
  • プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験
  • プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験

 

現行の高度9区分との対応は、下図の平成21年から令和9年(予定)の

遷移を見ればわかります。

今回の見直しを含めた試験制度の変遷

 

他にもITパスポート試験の出題分野の再整理や、

情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験の変更、

情報処理安全確保支援士試験の変更といった点が

今回の新制度移行に伴い変更予定とのことですが、

詳細は公式情報(下記)をご確認・お待ちください。

www.ipa.go.jp

 

受験者への影響

ここからが本記事の本題です。

 

高度情報処理試験も他区分と同様、

従来試験区分での受験は今期(令和8年/2026年)が最終です。

したがって、従来区分で受験・合格したい場合は、

今期が最後のチャンスです。

 

 

従来9区分と新制度の対応

新制度においては、従来9区分の対応は次の通りです。

従来区分 新制度
ST、PM、SM、AU プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)
DB プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)
SA、NW、ES、SC プロフェッショナルデジタルスキル(システム)

 

ご自身が得たい専門性やキャリアに応じて、

目指す試験を選ぶ際の参考にしてください。

 

会場一斉受験方式の撤廃

新制度では、一定期間内に複数日で試験を実施します。

受験者は実施期間中の空席がある日時を選択して申込できるようになります。

 

試験会場は全国に設置し、実施期間中に空席のある試験会場から、

選択して申込できるようになります。

 

受験者にとっては、従来、全国一斉の「試験日」があり、

そこに向けて勉強や準備を重ねていきましたが、

新制度においては、「受験日」を受験者自身で決定できるため、

勉強や準備の計画がより「受験者任せ」になります。

 

受験者としては、新制度においてはより勉強の計画性が

重要になってきます。

 

記述式・論述式の方式撤廃

新制度においては次のような主題形式となります。

新制度の出題形式

高度9区分において、従来制度の午後試験(新制度の科目Bに対応)は

記述式または論述式という方式でした。

新制度ではいずれも多肢選択式となります。

 

まったく見当のつかない問題であったとしても、

選択式である以上、適当にマークすれば、何割かの確率で

正答できることもあるわけです。

この確率は従来制度に比べると格段に上がることになるでしょう。

 

そうなったとき、その試験に求める「合格」の価値がどうなるか…

ここについては、次の章で改めてまとめたいと思います。

 

 

 

今 受験者はどう動くべきか

ここからは私の考え方を述べていきます。

まず、今年度、従来制度の最後のチャンスに受験すべきかという点です。

 

結論から言うと、受験すべきだと思います。

 

なぜならば、新制度試験においても、各区分の役割やスキルセットは

引き継がれる公算が高いからです。

それならば、今、狙っている試験区分が明確なのであれば、

早いうちに取得することに越したことはありません。

 

悪い目が出て不合格であったとしても、対応する後継の試験を

受験する際、勉強した知識と受験した経験が活用できるでしょう。

 

今年度受験することのデメリットや不安があるとすれば、

それは新制度においては記述式・論述式の方式が撤廃されるため、

せっかく勉強した内容が活用できないこと、ではないでしょうか。

 

しかしながら、そのデメリット・不安は、これまで高度のみならず

全レベル・全区分を受験・合格した筆者に言わせれば、

取るに足らないことだと思います。

 

なぜならば、本質的に試験によって得られる知識やスキルセットは、

選択式・記述式・論述式といった方式に左右されるものではないからです。

 

PMであれば、PMBOKや計画・実行フェーズにおけるマネジメント。

STであれば、SWOTなどの理論、戦略・要件の統合、経営との橋渡し。

SAであれば、要件と実装の統合、デザインパターンなどの開発理論。

AUであれば、リストコントロール、監査手続・証跡との関連性。

 

などなど、それぞれにおけるスペシャリストに求められる大まかな能力は

制度変更に伴い一括ですべて陳腐化・無意味化するとは考えられないためです。

 

もしも、「勉強したことが無駄になるかもしれない」という恐れを抱いて

今年度の受験勉強の決心がつかない方がいらっしゃれば、それは

「受験しないことの言い訳」になっていないか、よく見極めてみることが大切です。

 

 

そして、とりもなおさず、資格としての、合格としての価値も

同じことだと思います。

記述式でなくなったから、論述式でなくなったから、

選択式なので当てずっぽうに選べば正答確率があがるから、

そのような試験に合格して何になるのか、と言う問いに対しては、

試験や合格の価値は方式に左右されるものではない、に尽きると思います。

 

時代や技術の流れで、方式や内容の修正があったとしても、

その試験や合格の価値に求める期待は、受験者自身で決めるべきですし、

今度の制度改定では、そこまで価値が急落するような変更でもないと思います。

 

また、難易度調整も行われるかもしれません。

記述式・論述式の方が一概に言って難しいですから、

選択式の難易度を上げる調整が行われる可能性があります。

 

試験センターとしても、実績のない方式を経ながら調整を

行う必要があるでしょうから、従来以上の難易度に設定される

可能性もあります。

であるならば、今年度のうちに受験・合格してしまった方が良い、

という考え方もあるかもしれません。

 

(2026/7/31 追記)

申込日程に関する情報が公式から出ています。(前期・後期)

詳しくは公式記事・下記記事を参考にしてください。

www.ipa.go.jp

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

 

高度試験対策を継続したい方向け

いかがだったでしょうか。

参考になったという方は、今年度で最後となる従来試験区分の

試験対策記事など別の記事も確認してみてください。

 

メンバーシップでは論文例や分析も公開しています。

 

よりよいキャリアやスキルセット獲得のため、

合格の一助となれるよう、今後もサポートしてまいります。

引き続きよろしくお願いします。

システム監査技術者 システム導入の決定過程における監査【論文の書き方】(令和7年秋問1)

本記事ではシステム監査技術者の午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和7年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

問題文はこちらです。



設問文はこちらです。



 

何が問われているかを把握する

本問題は情報システム導入の決定過程における

監査について問われています。

 

情報システムの導入時は「正当性」が求められますが、

監査によってそれを保証するような関係です。

 

また、本問は「特有のリスク」について論じ、

それが対応策によって許容範囲にまでリスクが

低減していることが示される必要があります。

 

出題要旨と採点講評からの分析



試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨



第一文に

その導入に伴う新たなリスク(以下、特有のリスクという)

と書かれています。

既存の情報システムの改修や、機能追加など、

一般的なリスクとは異なるリスクを論じる必要があります。

 

第二文に

特有のリスクを特定して評価するだけではなく、対応策によってそのリスクの大きさをリスク許容範囲内まで低減できる必要

と書かれています。

リスク特定・リスク分析・リスク評価・対応策立案・リスク再評価と、

リスク管理のプロセスに精通していることが重要です。

情報処理安全確保支援士(SC)のスキルがあると有利でしょう。

 

第二段落には

情報システム導入の決定過程において、当該情報システム特有のリスクの特定及び評価が適切に実施され、対応策によってそのリスクの大きさがリスク許容範囲内まで低減できることが適切に評価されているかどうか

を確かめるための

監査手続

と書かれています。

ここで重要なのは、情報システムの導入に関わった主体と

監査主体は別人格であることが必要です。(監査の独立性)

よって、リスク評価を行う人と、その適切性を確かめる人は

別人として論文を設計する必要があることに注意しましょう。

 

 

採点講評

全問共通の採点講評では

  1. 問題文の趣旨を踏まえていない論述
  2. 監査証拠が具体的ではない監査手続に関する記述
  3. 論文の体裁が十分整っていない

という3つのNG例が載っていました。

表現は若干変わりますが、毎年の採点講評とほぼ同じ内容でした。

 

2点目に関してですが、システム監査技術者試験では

必ず「監査手続」について問われます。

監査手続については、下記記事に基本をまとめているので、

不安な方は再確認しておきましょう。

システム監査技術者の論文対策(リスク・コントロール・監査手続) - スタディルーム by rolerole (hatenablog.jp)

 

問1の採点講評では、第一文と第二文に

他の情報システムや導入前の情報システムで既に識別されているリスクについての論述

AIやIaaSなどの新たな技術そのものをリスクとし、これらの技術を導入することで生じる特有のリスクを明確にしていない記述

がNGの例として挙げられています。

これは設問アで問われている「特有のリスク」を適切に

捉え切れていない論述・記述です。

 

第三文に

特有のリスクである理由が不明確

対応策が一貫していなかったりする記述

がNGの例として挙げられています。

これは設問イで問われている「特有のリスク」を特定した「理由」や

その「対応策(防止策と発見策)」が不十分な記述です。

 

第四文に

対応策の監視手続だけを記述している回答

がNGの例として挙げられています。

これは設問ウで問われている「監査手続」がリスクの「対応策」

だけにとどまっており、「評価のプロセス」が不十分な記述です。

情報システム導入を保証する監査ですから、リスク評価の

プロセスは重要な監査項目になります。

 

■論文の文字数■
システム監査技術者は他の区分と異なり、設問イと設問ウの
指定文字数が一緒です。(700字~1400字)
他の区分は設問イと設問ウで指定文字数が異なっていることが多いので、
いくつかの区分を受験予定・受験中の方は注意しましょう。

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは「情報システムの概要と目的」と「特有のリスク」

について問われています。

 

「情報システムの概要と目的」は単純なシステムの改修や

機能追加に留まらないような内容にした方が良いです。

問題文にある通り、未経験の開発手法や新技術の大規模システム、

機微情報を海外拠点と共有するシステム、などのように、

"特有性"がなくては「特有のリスク」を導けないためです。

 

「特有のリスク」もその内容が、「他の情報システムや

導入前の情報システムで既に識別されているリスク」ではない

ことを確認しましょう。

 

なお、設問アの範疇はまだ「システム監査人」は登場しません。

情報システムの導入を検討する別の主体(人物)を登場させる

イメージで、「情報システムの概要と目的」「特有のリスク」を

論述するのが良いでしょう。

 

情報システムの導入を検討する主体(人物)としては、

存在する「特有のリスク」に対して低減策を講じるなどの

何らかのコントロールを図る必要があります。

これについては設問イで中心的に述べます。

 

設問イの設計

設問イは、主に設問アで論述した「リスク」に対する

コントロールについて述べることになります。

 

ここではまだシステム監査人は登場しません。

 

設問文に則ると、特有のリスクを「特定した理由」、

「リスクの大きさを含めた評価方法」、「対応策(防止策及び発見策)」

について述べていくことになります。

 

「特定した理由」については明確に述べる必要があり、

そのリスクが"特有"であることを、情報システムの特徴を

踏まえて論じるようにします。

 

「リスクの大きさを含めた評価方法」、「対応策(防止策及び発見策)」

はリスク管理のプロセスが重要です。

ここは情報処理安全確保支援士(SC)のスキルセットがあると

有利でしょう。

 

リスクの洗い出し、リスクの評価(発生確率と影響度など)、

リスクの対応策(防止策)、予兆を踏まえて未然に防ぐ(発見策)

これらが一貫性をもって論じられていることが必要です。

 

 

設問ウの設計

設問ウは、これまで述べられたリスク(設問ア)と

コントロール(設問イ)が適切かといった観点での

監査について述べます。

 

ここで初めてシステム監査人が登場する構成にすると

書きやすいでしょう。

 

設問イの流れで論述すると、「リスクへの対応策」が

適切かといった観点で論じたくなりますが、

今回のシステム監査の役割が、「システム導入の決定過程」の

保証にあることを思い出しましょう。

 

情報システムの導入を検討する主体(人物)が行った

リスクのコントロールが適切であることを監査するには、

リスク管理のプロセスそのものを監査する必要があります。

 

このとき、システム監査人として査閲できる監査証跡は、

リスク管理上の報告書やリスク管理簿、ヒアリング記録、

リスク対応方針書などが考えられます。

 

システム監査技術者試験では、監査手続について述べる際は、

具体的な監査証跡をもって論じる必要があります。

 

 

論文骨子

ここでは、参考として論文骨子の例をご紹介します。

■設問ア

 1.情報システムの概要と特有のリスク

  1-1.情報システムの概要と目的

  販売管理システムの導入過程における監査

  国内・海外向けそれぞれにあった販売管理システムを統合

  販路別のコスト非効率を解消し利益率を向上

  導入検討:J社の情報システム部の企画担当N課長

  1-2.特有のリスク

  (1)マスタ定義差異

  国内・海外のマスタのコード体系に差異

  開発工程における名寄せ失敗・重複登録・集計不整合

  (2)個人情報保護法制差異

  日本:個人情報保護法 EU圏:GDPR

  データ移転違法化、制裁金・利用停止命令

■設問イ

 2.特有のリスクの特定とコントロール

  2-1.リスクの特定

  N氏のリスクアセスメント

  リスクの特定:ステークホルダへのヒアリング、

   過去事例の分析、チェックリスト

  リスクの分析:発生確率と影響度を組み合わせ、

   リスク値を導出

  次に述べる2つのリスクは特有のリスクとして特定した。

  (1)マスタ定義差異

     発生確率:大 影響度:大

  (2)個人情報保護法制差異

     発生確率:中 影響度:極大

  特定した理由:単なるシステムのリプレイスや機能追加

   といった標準形に依存しないため

  2-2.防止策と発見策

  (1)マスタ定義差異

  防止策:国内と海外のコード体系を標準化、

   マッピングルールを整備

  発見策:データ品質KPIを定め、重複率や不整合率を

   監視

  (2)個人情報保護法制差異

  防止策:国別の法規制を調査、法務部門レビュー、

   データ分類管理をルール化し暗号化・匿名加工

   といった管理方法を定義

  発見策:システム稼働後の監視項目の中に

   個人情報のデータ移動を検知する機能を導入

■設問ウ

 3.特有のリスクの評価と対応策の監査

  私(システム監査人)が導入過程における

  リスク評価の監査を行う

  3-1.特有のリスクの評価の監査手続

  アセスメントに関する議事録、ヒアリング記録、

  チェックシートを査閲

  J社のリスクアセスメント標準に準拠したプロセス

  でリスクの洗い出しがなされていることを確認

  3-2.対応策の適切性に関する監査手続

  リスク管理表、残留リスクの監視計画書、

  経営報告書を査閲

  J社のリスクアセスメント標準に則って適切に

  再評価されていることを確認

  経営報告書からは、残留リスクが許容範囲内で

  あることの経営承認を受けていることの証跡を確認

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではシステム監査技術者の午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析しました。

設問ア・イ・ウがリスク・コントローラ・監査手続について

問われており、比較的オーソドックスな出題でした。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、論文の書き方記事を充実していきます。

ではそれまで。

高度情報処理試験 令和8年試験の日程と申込に関する整理

2026/2/11 最新情報 追記

2026/2/27 最新情報 追記

2026/5/26 高度論文対策を継続したい方向け お知らせ 追記

2026/7/31 申込日程に関して追記


こんにちは。

次期の高度情報処理試験や応用情報技術者試験(AP)、情報処理安全確保支援士(SC)は従来のペーパー方式からCBT(Computer Based Testing)方式へ移行する旨がIPAより発表されています。

 

www.ipa.go.jp

 

本記事においては、今一度発表の内容の振り返りと、試験申し込みに関する整理を行います。

 

IPA発表のCBT方式移行の内容について

従来はペーパー方式で春季(4月)と秋季(10月)の2回に分けて実施していました。

2026年からはCBT方式に移行することが2025年8月12日付けでIPAより発表されています。

 

対象となる試験区分

  • 応用情報技術者試験(AP)
  • 高度試験
    • ITストラテジスト試験(ST)
    • システムアーキテクト試験(SA)
    • プロジェクトマネージャ試験(PM)
    • ネットワークスペシャリスト試験(NW)
    • データベーススペシャリスト試験(DB)
    • エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
    • ITサービスマネージャ試験(SM)
    • システム監査技術者試験(AU)
  • 情報処理安全確保支援士試験(SC)

 

※ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報は従来どおり

 

試験実施時期

一定期間内に複数日で試験を実施する予定です。受験者は実施期間中の空席がある日時を選択して申込できるようになります。

試験実施場所

試験会場は全国に設置し、実施期間中に空席のある試験会場から、選択して申込できるようになります。

 

試験範囲・形式

試験区分で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。
また、出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数及び試験時間も同様に変更はありません。

 

科目名称について

予約枠から日時選択できる方式となるため、従来の午前・午後の区分けは撤廃され、以下のように科目名が変更される予定です。

区分 現在の科目名 CBT移行後の科目名(予定)
応用情報技術者試験(AP) 午前試験
午後試験
科目A試験(150分)
科目B試験(150分)
高度試験 午前Ⅰ
午前Ⅱ
午後Ⅰ
午後Ⅱ
科目A-1(50分)
科目A-2(40分)
科目B-1(90分)
科目B-2(120分)
情報処理安全確保支援士(SC) 午前Ⅰ
午前Ⅱ
午後
科目A-1(50分)
科目A-2(40分)
科目B(150分)

なお、免除制度は継続予定とのことです。

午前Ⅰ免除制度 は 科目A-1試験免除制度に、午前Ⅱ免除制度 は 科目A-2試験免除制度に。

 

 

申込について

科目A試験、科目A-1試験及び科目A-2試験(「科目A群」という)と科目B試験、科目B-1試験及び科目B-2試験(「科目B群」という)は、実施期間を分けて実施を予定しています。
申込みの際は、「科目A群」と「科目B群」を同時に予約する方式です。

科目A群・B群の実施イメージ(IPAより)

「科目A群」、「科目B群」ともに、会場ごとに試験実施時間帯が異なります。受験者は会場ごとに設定された予約枠から自由に選択できます。
身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方を対象として、筆記による試験(特別措置試験)の実施を予定しています。

 

試験日程についてのまとめ

ここからは、今後の試験申し込みなどに関してまとめていきます。

 

(2026/7/31 追記)

7月に入り、試験の申し込み日程と実施期間が発表されました。

前期試験と後期試験の日程

前期試験(従来の春季試験:ST、SA、NW、SM)の申込受付開始は10/6、締切は10/24です。

科目A群は10/17~27の間に、科目B群は11/11~23の間に日程と会場を選択して受験します。

 

後期試験(従来の春季試験:PM、DB、ES、AU)の申込受付開始は1/27、締切は2/27です。

科目A群は2/20~3/2の間に、科目B群は3/16~28の間に日程と会場を選択して受験します。

 

本記事の執筆時点(更新時点)で前期試験の科目Aまで残り3か月といったところです。

引き続き情報発信をしていくので、ともに頑張りましょう。

 

 

参考リンク:

www.ipa.go.jp

 

高度論文対策を継続したい方向け

以下も公開していますので、別の記事も確認してみてください。

  • PM / SA / ST / AU の論文対策

  • 新制度の変更点整理

  • 論文構成の考え方

  • 学習方針の比較

また、メンバーシップでは、論文例や継続的な考察も更新しています。
ぜひ一度覗いていって下さい。

プロジェクトマネージャー プロジェクトにおけるチームの育成計画【論文の書き方】(令和7年秋問1)



本記事ではプロジェクトマネージャーの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された過去問を分析します。

 

人間関係やコミュニケーション管理、組織管理がテーマです。

 

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和7年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

 

 

設問文は以下の通り。



 

何が問われているかを把握する

本問はPMBOKの領域でいうところの「組織マネジメント」

「コミュニケーションマネジメント」がテーマです。

この領域は近年、毎年または隔年に一度は出題される

頻出分野です。

 

設問アでは「プロジェクト目標」ならびに、

目標達成を阻害する「不健全な状態」、

それを引き起こす「人間的側面での背景や事象」について

問われています。

 

設問イでは不健全な状態になることを避けて、

目指した「チームの健全な状態」とそれを目指した「理由」、

人間的側面に着目した「チームの育成計画」について

問われています。

 

設問ウでは実行段階において発生した「問題と解決策」、

および育成計画のプロジェクト目標達成に対する「貢献」

について問われています。

 

 

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨



問題のタイトルにある通り「チームの育成計画」について問われています。

PMBOKで言うところの、組織マネジメント・コミュニケーションマネジメント

の知識エリアの範疇でしょう。

PMBOKの知識エリア別の出題例や対策については、以下記事も合わせて

ご確認ください。

>プロジェクトマネージャー PMBOKに沿った論文対策!その①#組織・コミュニケーションマネジメント

 

出題趣旨の第一段落からは

メンバーに対する動機付け・チームワークの醸成

を例としてチームの育成計画を作成する必要があると述べられています。

メンバーやチームなど、人間関係における工夫やマネジメントを

述べるよう求められていることが分かります。

 

出題趣旨の第二段落の第一文目には次の3点が論述の趣旨として

述べられており、それぞれ設問ア・イ・ウに対応しています。

メンバーやチームを不健全な状態にすると考えた人間的側面での背景や事象(設問ア)

人間的側面に着目したチームの育成計画(設問イ)

その実行の過程での行動(設問ウ)

 

出題趣旨の第二段落の第二文目には

チームの育成計画の作成に関する知識、経験、実践能力

を論述を通じて評価すると書かれています。

人間関係はどのような立場の人間でも直面する課題・テーマですので、

経験をもとにいかに論文の形で仕上げることができるか、といった点が

重要でしょう。

 

 

採点講評

はじめに「全問共通」の採点講評ですが、第二文目に、

コミュニケーションの改善の記述にとどまる

というNG例が紹介されています。

ここはより詳しく、第三文目に、

マネジメントの視点を欠いた、チームのマネジメント手法の説明

に終始している論文がNGであると示されています。

 

マネジメントの視点を欠く、とはどういう論文でしょうか?

この点は、いくつかの対策がありますが、

まずはプロジェクト管理の基本である、「計画」と「実行」を

対応付けることを意識しましょう。

プロジェクトの実行中と計画中

本問の場合、「チームの育成計画」を立案している設問イのフェーズが

「プロジェクトの計画中」であり、

課題と対応策を論じる設問ウのフェーズが

「プロジェクトの実行中」であると言えます。

 

この対応ができておらず、例えば計画に基づいていない対応を

実行フェーズで行っているような場合は、

「場当たり的な対応を行っている」とみなされ、

「マネジメントの視点を欠いている」と評価されてしまいます。

 

 

次に「問1」の採点講評ですが、第二文目に、

QCDや勤務実績などの定量的な情報、会議や面談時での定性的な情報によって評価する、改善するなどの取組

がOKな論述として評価されています。

 

QCDとはQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の略で、

プロジェクトをマネジメントする上での主要な管理すべき項目である

と言えます。

また、「定量」「定性」も良く登場する観点です。

「定量」は数値で言い換えられる指標、

「定性」は数値で言い換えられない指標と

捉えておくとよいでしょう。

プロジェクトマネージャーとしては、「定量」「定性」の両方の

指標をもとに総合的に評価・判断していく姿勢が求められます。

 

一方、採点講評の第三文目には、

技術的側面だけに着目した育成計画

はNGであったと述べられています。

本問の場合は、人間的側面に着目する必要があるので、

技術的側面だけではNGとなります。

人材のスキル・能力「だけ」に着目した論文はNGとなる

可能性があるので、他の人間的側面を組み合わせて論じる必要があるでしょう。

 

同じく第三文目には、

コミュニケーションの改善にとどまり育成計画にはなっていない

もNGであると述べられています。

これは「全問共通」の採点講評の解説時にも述べましたが、

対策として「コミュニケーションの改善」を行っただけでは

マネジメントの視点を欠いたものになってしまうので、

「計画的な対応」が求められていることに注意しましょう。

 

では具体的にどのように論文を設計していけばよいでしょうか?

次に、設問別に解説をしていきます。

 

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アでは「①プロジェクト目標」ならびに、

目標達成を阻害する「②不健全な状態」、

それを引き起こす「③人間的側面での背景や事象」について

問われています。

 

また、「②不健全な状態」と「③人間的側面での背景や事象」に

ついては問題文中に例示がありますので確認しましょう。

 

設問アで問われていること

 

問題文中や採点講評からの注意事項としては、「技術的側面」に

終始してはいけないという点です。

 

では、実際に設問アの論文を設計していきます。

 

まず、「①プロジェクト目標」には指定が無いので、用意してきた

「プロジェクト目標」を書けばよいでしょう。

新機能の実装や、品質の作りこみ、予算達成、

システム納期などが代表的な目標と言えます。

 

「②不健全な状態」と「③背景と事象」は、書きやすい順で論述する

のが良いと思います。

はじめに「私(プロジェクトマネージャー)の

考える人間的側面での"②不健全な状態"」を論述してから、

「③背景と事象」を論述した方が書きやすいかもしれません。

なぜなら、「私が②不健全な状態と考えた理由」として、

「なぜなら"③背景と事象"があるから」と"定義→理由"の

関係で展開しやすいためです。

 

「②不健全な状態」は、問題文中には、

  • メンバーが相互に支援したり、協力したりする意思や姿勢が見られない。
  • チーム内での議論がかみ合わず、チームとしての一体感が不足していると感じたり、士気が上がらなかったりするメンバーが多い。

と言う例が示されています。

「プロジェクト目標の達成が危ぶまれる」ような「状態」を

論述する必要があります。

たとえば、

  • メンバー間の意思が疎通しづらい状態
  • 前提知識の共有不十分による生産性低下

というような表現が考えられるでしょう。

 

「③背景や事象」は、問題文中には、

異なる慣習や価値観をもつメンバーによるチーム編成、プロジェクト開始直前の急なメンバー交代など

が例として示されています。

プロジェクトマネージャーが、人間的側面での「②不健全な状態」を

懸念している理由として「③背景や事象」を書くようにします。

たとえば、

一部のプロジェクトメンバーが3年前から自社に合併した

他グループ社出身であり、文化の違いからなじめていない

などといった表現が考えられるでしょう。

 

 

設問イの設計

設問イでは不健全な状態になることを避けて、

目指した「チームの健全な状態」とそれを目指した「理由」、

人間的側面に着目した「チームの育成計画」について

問われています。

 

問題の表題にも含まれる、「チームの育成計画」を中心に論じ、

「チームの健全な状態」と「理由」が含まれるように

心掛けましょう。

 

問題文中には、「チームの健全な状態」として

  • メンバー間の協力によって問題解決や意思決定ができており、チーム内のコンフリクトも建設的に解消できている
  • メンバー間の信頼関係が構築され、チームの一体感や士気が保たれている

という例が示されています。

これは設問アの「不健全な状態」の例と対応していることに気が付くと思います。

 

また、「問1の採点講評」では

QCDや勤務実績などの定量的な情報、会議や面談時での定性的な情報によって評価する、改善するなどの取組

が良い論述として評価されていますが、設問イではこれらの取組を

計画フェーズとして施策やルールとして盛り込んだことを

「チームの育成計画」として論述するのが良いでしょう。

 

ここまでを図にまとめておきます。

設問イで問われていること

 

設問イは計画フェーズですから、「育成計画」において

実行フェーズのことを書いてはいけません。

計画フェーズとして論旨を展開するには、以下のようなキーワードに

着目して執筆するのが良いでしょう。

  • プロジェクト憲章、目標
  • 方針、施策、ルール
  • メンバーに守らせる取り決め、会議体の設計
  • モニタリング指標

たとえば、目標として、チーム内の文化の対立が起こっている背景から、

「プロセス融合の促進」を掲げ、

プロセスの調査や調整に要した工数を報告させる「ルール」を設け、

それを定量的に「モニタリング」するというような骨子が考えられます。

 

また、知識エリアでいうところのQCD(Quality(品質)、Cost(コスト)、

Delivery(納期))を中心的に書いてもいけないことにも注意が必要です。

本来のプロジェクトマネジメントではQCDの計画的指標は重要ですから、

一部のみ触れておくのは構わない(経験のアピールになる)でしょう。

 

 

 

設問ウの設計

設問ウでは実行段階において発生した「問題と解決策」、

および育成計画のプロジェクト目標達成に対する「貢献」

について問われています。

 

設問イで定義した計画に照らして、実行フェーズでの対応と

評価を述べるという、典型的な出題形式であると言えます。

 

問題文を確認すると、設問ウに関わる分量は少なく、

参考にできるような例示も見当たりません。

経験と知識をたよりに、どのような課題が発生し、どう

解決したのかを論じていきましょう。

 

設問ウの構造

「場当たり的に解決した」印象を与えないためにも、

設問イで定めた方針やルールを参照して対応していることを

アピールしましょう。

 

「問1の採点講評」では

QCDや勤務実績などの定量的な情報、会議や面談時での定性的な情報によって評価する、改善するなどの取組

が良い論述として評価されていますが、設問ウではまず

何をもって問題を検知したか、それをもとにどう改善したかを

論述するのが良いでしょう。

 

「検知」には、勤務実績などの工数状況の急な変動、

会議や面談時のメンバー時の発言などが考えられます。

このとき、なぜその事象を問題(あるいはその予兆)として

「検知」したのかを述べるとより説得力が増します。

解決策として「改善」したことを述べると良いでしょう。

人間的側面での問題ですから、配置換えや指導など、

プロジェクトマネージャーでしかできない対応をとる

ようにします。

 

またプロジェクト目標達成に対する「貢献」は、

設問アの冒頭で触れた「プロジェクト目標」に対して

どのように貢献したかをプロジェクトマネージャーの

目線で評価するようにしましょう。

論旨としては、「育成計画」によって問題を防ぎ、

「不健全な状態」を回避し、「目標達成」に貢献した

とまとめるのが良い構成です。

 

 

論文骨子

論文骨子の例を参考までにあげておきます。

■設問ア

 1.目標達成を阻害する人間的側面での不健全な状態

  1-1.プロジェクトの目標

  旧システムのEOLを迎えるまでの新機能を実装した

  新システムのリリース

  1-2.人間的側面での不健全な状態とその背景

  不健全な状態:

  ①メンバー間の意思が疎通しづらい状態

  ②前提知識の共有不十分による生産性低下

  背景:A社に合併したグループ会社B社出身の

  メンバーがおり、異なる文化や前提知識を持つ

■設問イ

 2.人間的側面に着目したチームの育成計画

  2-1.プロジェクト憲章への人間的側面の目標の盛

      り込み

  目標:A社とB社のプロセス・文化の融合の促進

  前提知識のメンバー間共有により、

  コミュニケーションのコストを低減

  健全な状態:お互いの理解と信頼醸成に努め、

  プロセスやツールの融合に貢献する活動を期待。

  2-2.プロジェクト開始時に定めた施策

  ・「プロセス・文化融合」に要した工数を報告させる

   ルール

  勤務実績報告に「プロセス・文化融合」に関する区分

  を設け、プロセスの調査や調整に要した工数や、改善

  に要した工数を報告。

  ・「プロセス・文化融合」に関するWBSの定義と進

   捗報告の義務付け

  ツールやプロセス単位で担当者をアサインし、

  課題や状況の報告を受けるように工夫

  ・定量・定性指標を設け人間的側面からの不健全な状

   態に陥っていないことのモニタリング

  意思疎通が図れていない状況や生産性の低下を検知

  し、マネジメントとしての手を打てるように工夫

■設問ウ

 3.育成計画の実行中で生じた課題と解決策

  3-1.生じた課題

  PoCの推進担当のC氏より、検証プログラムの製造

  を依頼したD氏に断られたという報告

  3-2.育成計画に基づいた解決策

  B氏の勤務実績より「プロセス・文化融合」の工数の

  割合が増えていることを確認

  「発注・稟議」のプロセス改善のWBSの実行責任を

  持つ担当者であるE氏に支援に入ってもらうよう要請

  3-3.育成計画の評価

  育成計画により早期・効果的に手を打つことができた

  プロジェクトを目標通り完結でき、成功に貢献した

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではプロジェクトマネージャーの午後II(論文)対策として、

令和7年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

 

頻出の出題分野である組織マネジメント・コミュニケーション

マネジメントがテーマであり、「人間的側面」からの論述で

あったため、どのような立場の受験者の方にも

経験のある、取り組みやすいテーマであったように思います。

 

しかし、取り組みやすさと実際に論文を書くのは異なります。

論文を書く練習を繰り返し、事例を確認し、論文試験に備えましょう。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。