本記事ではシステムアーキテクトの午後(記述)対策として、
令和4年午後1問1で出題された過去問の解説をします。
問題
過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。
問題文全文
出題趣旨(試験センターより)
採点講評(試験センターより)
問題特性
出題年度 | 令和4年春 | 問題 | 午後I・問1 | |
出題形式 | 記述式 | 設問数 | 8 | |
問題文ページ数 | 5ページ | 設問タイプ別 内訳 |
単語回答 | 1 |
記述 | 6 | |||
選択 | 1 | |||
設問文ページ数 | 2ページ | |||
総合難易度 | 易 | |||
総評(筆者) | コンタクトセンタシステムを題材にした問題です。問題文の構造は現状、課題、新システムの機能、新システム下の運用となっておりオーソドックスと言えます。特別な予備知識も不要で、取り組みやすい問題です。ITサービスマネージャの受験・勉強経験者でヘルプデスク業務などの題材に触れていれば回答しやすい設問が多いでしょう。 |
コンタクトセンタの新たなシステム構築を題材とした問題で、
ITサービスマネージャ寄りだったと言えます。
現場で問い合わせ対応などの経験がある受験者は
取り組みやすい問題だったのではないでしょうか。
解法
設問1 新たなコンタクトセンタシステムの構築
(1) クラウド型PBXの導入目的
設問タイプ | 記述(25字以内) | 対策 | 読み方を覚える |
難易度 | 易 | 配点(筆者予想) | 6 |
正答 | 在宅かつ柔軟な勤務時間で働けるようにするため |
問題文全体の構造は
- 〔カスタマサービスの現状〕
- よくある問合せの特徴(表1)
- 〔課題〕(表2)
- 〔新たなコンタクトセンタシステム〕(表3)
- 〔構築後の運用〕
と分かれています。
クラウド型PBXについては〔新たなコンタクトセンタシステムの構築〕の
機能概要(表3)に書かれています。
設問で問われているのは導入目的なので解決したいのはどの課題かを考えます。
表2のカスタマサービスの課題を順に確認すると、
設問文にもある「オペレータの勤務形態」に関する課題が
(e)に書かれていることが分かります。
クラウド型PBXの導入はオペレータの在宅・柔軟な勤務時間で働きたい
というニーズに応えるためであると考えられます。
正答:在宅かつ柔軟な勤務時間で働けるようにするため
(2) AIチャットボット・ボイスボットの対応想定
設問タイプ | 単語回答 | 対策 | 解き方を理解する |
難易度 | 難 | 配点(筆者予想) | 4 |
正答 | 購入方法の情報収集、会員情報の確認 |
本問では採点講評にも正答率が低いと書かれている通り、
1つひっかけの要素があります。
まずはAIチャットボットとボイスボットについて確認します。
下線を引いた通り、AIチャットボットとボイスボットでできるのは
「FAQを参考に自動回答したり、定型的な手続きを実行したり」なので、
表1を確認しどの問い合わせが該当するかを考えます。
該当しそうなのは
- 「購入方法の情報収集」
- 「購入した商品の使用」
- 「会員情報の確認」
の3つであり、残りは定型的な対応は難しそうです。
ただここで落とし穴があり、6ページの〔コンタクトセンタシステム構築後の運用〕
にて次のような記述があります。
下線を引いた通り、「使用中の商品に関する問い合わせ」は
対象にしないとあります。
よって「購入した商品の使用」は回答に含まれないことになります。
設問から〔コンタクトセンタシステム構築後の運用〕の該当箇所に
たどり着くのは難しく、問題文を全部読んで情報を整理し回答する必要が
あることから難易度は「難」としました。
正答:購入方法の情報収集、会員情報の確認
(3) 有人チャットを起動できない条件
設問タイプ | 記述(20字以内) | 対策 | 読み方を覚える |
難易度 | 易 | 配点(筆者予想) | 6 |
正答 | オペレータが勤務していない時間のとき |
はじめにAIチャットボットと有人チャットに関する説明を確認します。
有人チャットはオペレータが対応することになるので、
オペレータがいなければ対応できません。
そこでオペレータの勤務時間に関する記述を確認します。
下線で引いた通り、オペレータは日中しか勤務していません。
よって有人チャットは日中しか起動できないように設定されなければなりません。
正答:オペレータが勤務していない時間のとき
(4) コールバックで解決できる課題
設問タイプ | 選択 | 対策 | 読み方を覚える |
難易度 | 易 | 配点(筆者予想) | 5 |
正答 | (c) |
はじめにコールバックの機能を確認します。
次に課題である表2を確認し、コールバック機能が
どの課題を解決できるかを考えます。
そうすると (c) の記述が目につきます。
電話がつながるまで待つか折り返し電話を要求するか選べるようにするのが
コールバックの機能なので、直接的に解決するのは長時間電話口で
顧客を待たせるという課題であると考えられます。
正答:(c)
(5) キーワード分析を商品事業部が利用できる理由
設問タイプ | 記述(35字以内) | 対策 | 読み方を覚える |
難易度 | 易 | 配点(筆者予想) | 8 |
正答 | 商品の改善のために問合せやクレームを活用するため |
はじめにキーワード分析の機能を確認します。
問われているのは商品事業部の社員もキーワード分析を
利用できるようにした理由です。
表2の課題で、商品事業部の社員の視点を確認しましょう。
商品事業部の社員には商品の改善のために情報を活用できていない課題を持っています。
ここでいう情報とは、顧客からの問合せ・クレームとなります。
組み合わせて回答を記述しましょう。
正答:商品の改善のために問合せやクレームを活用するため
設問2 について
設問2 については有料とはなりますが、
以下の note の記事をご購入いただき、
末尾よりご確認をお願いします。
総評
解答一覧
設問 | 正答 | 配点 (筆者 予想) |
設問タイプ | 難 易 度 |
対策 | ||
設 問 1 |
(1) | 在宅かつ柔軟な勤務時間で働けるようにするため | 6 | 記述(25字以内) | 易 | 読み方を覚える | |
(2) | 購入方法の情報収集、会員情報の確認 | 4 | 単語回答 | 難 | 解き方を理解する | ||
(3) | オペレータが勤務していない時間のとき | 6 | 記述(20字以内) | 易 | 読み方を覚える | ||
(4) | (c) | 5 | 選択 | 易 | 読み方を覚える | ||
(5) | 商品の改善のために問合せやクレームを活用するため | 8 | 記述(35字以内) | 易 | 読み方を覚える | ||
設 問 2 |
(1) | 一人のオペレータが同時に複数の顧客の対応をする | 7 | 記述(25字以内) | 易 | 読み方を覚える | |
(2) | パンデミック時に特定のコンタクトセンタが閉鎖される状況 | 7 | 記述(30字以内) | 易 | 読み方を覚える | ||
(3) | 新商品の発売時に早くFAQを掲載して簡単な問合せの急増を防ぐ | 7 | 記述(30字以内) | 中 | 読み方を覚える |
問題特性(再掲)
出題年度 | 令和4年春 | 問題 | 午後I・問1 | |
出題形式 | 記述式 | 設問数 | 8 | |
問題文ページ数 | 5ページ | 設問タイプ別 内訳 |
単語回答 | 1 |
記述 | 6 | |||
選択 | 1 | |||
設問文ページ数 | 2ページ | |||
総合難易度 | 易 | |||
総評(筆者) | コンタクトセンタシステムを題材にした問題です。問題文の構造は現状、課題、新システムの機能、新システム下の運用となっておりオーソドックスと言えます。特別な予備知識も不要で、取り組みやすい問題です。ITサービスマネージャの受験・勉強経験者でヘルプデスク業務などの題材に触れていれば回答しやすい設問が多いでしょう。 |
いかがでしたでしょうか?
現場で働くオペレータを想像できる経験を持つ方であれば、
比較的容易に突破できる問題であるように思いました。
今後、過去問の徹底解説記事を引き続き充実して参ります。
ではそれまで。