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情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

ITストラテジスト 受験振り返り(令和3年春試験)

更新:2022/5/26

 

情報処理試験、受験された方、お疲れ様でした。

論文試験で手首にまだだるさが残っていますが、鉄は熱いうちに打て、で、振り返りをしていきたいと思います。

本記事は筆者が受験した 2021 年春試験の振り返りです。

 

午前IIの振り返り

体感的に、3割くらいは過去問(前回(令和1年)、前々回(平成30年))の類題であったと思います。

全く同じ問題という訳ではないですが、聞かれていることは同じなので、過去問からきちんと知識を得る学習をしていれば、落とさずに済んだのではないでしょうか。

過去問の類題と思われたのは次の通りです。

  • 問6 ファイブフォース分析を問う問題:令和1年 問13 の類題
  • 問10 人口統計的変数を問う問題:平成30年 問10 の類題
  • 問13 SECIモデルを問う問題:平成30年 問14 の類題
  • 問16 TOCを問う問題:平成30年 問17 ★全く同じ設問
  • 問19 デルファイ法を問う問題:令和1年 問19 の類題
  • 問23 格納型XSSを問う問題:平成30年 問23 ★全く同じ設問

この中でも、デルファイ法とSECIモデルは、試験センターが好んでよく問われている設問である気がします。

また、格納型XSSはストラテジ系の設問でないのにも関わらず、全く同じ設問が出題されているのは、どのような意図があるのか気になります。

自己採点したところ、6問誤りでした。

試験センター公表の回答はこちら。※午前試験の解答はすでに公表されています。

www.jitec.ipa.go.jp

 

午後Iの振り返り

午後Iは、次の4問が出題されました。

  • 問1 タクシー会社におけるDX
  • 問2 小売業の店舗販売とインターネット通信販売の融合
  • 問3 印刷会社の写真事業における新規ビジネスの企画
  • 問4 AIを用いた節電義手

問4は例年通りエンベデッド系であり、対策が不足しているので、残り3問を評価します。

過去問とは異なり、3問とも、比較的素直な構成の設問でした。

素直な構成とは、設問から読んで問題文の構成の見通しが付きやすい問題のことです。

 

問1の設問は、

  • 〔A社の新サービス〕:(設問1)
  • 〔車載アプリとサービスプラットフォームの連携〕:(設問2)
  • 〔配車アプリとサービスプラットフォームの連携〕:(設問3)
  • 〔課題と対応策〕:(設問4)

の構成となっており、問題文の後半の段落タイトルに対応しています。

問2の設問は、

  • 〔ネット通販の強化とネット通販システムの構築〕:(設問1)
  • 〔店舗の取組〕:(設問2)
  • 〔情報システムの対応〕:(設問3)

の構成となっており、問題文の後半の段落タイトルに対応しています。

問3の設問は、

  • 〔小中学校の状況〕:(設問1)
  • 〔新規ビジネスの概要〕:(設問2)
  • 〔保護者説明会と要望への対応〕:(設問3)

 の構成となっており、問題文の後半の段落タイトルに対応しています。

という具合に、設問を読めば問題文の後半に何が書かれているかを読む前から予想を立てられることを、ここでは素直な構成と呼んでいます。

過去問では、3問中1問は素直ではない構成の問題が含まれていたので、今回は出題スタイルを変えてきたなという印象でした。

また、問1はUBERのような配車アプリの、問2はコロナの社会情勢を踏まえた背景が描かれており、昨今の潮流を踏まえた出題であると感じました。

 

私としては素直な2問を選択するつもりでいました。

しかし3問とも素直な構成であったので、単に面白そうな2問を選びました。

 

午後IIの振り返り

次の3問が出題されました。

  • 問1 デジタルトランスフォーメーションを実現するための新サービスの企画
  • 問2 個別システム化構想におけるステークホルダの意見調整
  • 問3 異業種メーカとの協業による組込みシステムの製品企画戦略

問3はエンベデッド系であり対策不足のため、2問について評価します。

問1はDXに関する設問であり、最近のバズワードを地で行くような設問でした。

問題文の中に、DXに関する説明が大半を占めており、試験センターなりの定義があるように感じました。

問2はステークホルダの調整であり、特有性は少なく、王道的な設問に感じました。

問1はトップダウンアプローチ、問2はボトムアップアプローチと言えそうです。

合格以上の目的を踏まえると、今後のIT業界を見据えている実のある設問は、問1の方と思います。

DXの具体例・業界・顧客ターゲティング・採用技術例を紙面の多くを割いて説明している問1の文章は、向こう数年間の試験センターの考えを示す重要な資料になるでしょう。

一方、問2はこれまで準備してきた論文パーツをそのまま流用できる、素直で分かりやすい問題だったと言えるのではないでしょうか。

 

私は問2を選択しました。問1に挑戦することも試みましたが、自分の用意していた論文パーツの業界からフィットさせることができず断念しました。

 

私の回答と感想

私の午後Iの回答と午後IIの論文骨子については、次の通りです。

午後I(私の回答)

問1
設問1 実車率の向上 顧客の利便性の向上
設問2
(1)空車が集中して効率よく顧客を獲得できない状況を回避するため
(2)目的地を登録するのに手間がかかり道順を指示せざるを得ない顧客
設問3 時間・料金予測サービスの精度が向上しタイミングよく乗車できる
設問4
(1) A社からの配車が行き届かない地域においても配車を可能にするため
(2) 車載アプリに表示される走行ルートを利用でき利便性が向上する


問2
設問1 外部のネット通販は制約が多くアピールが弱くなるため
設問2
(1) 受取商品が想像と異なる場合に手早く返品や交換に対応するため
(2) ある地域でブームになった商品を定価で売り切るため
(3) 実際に商品を試すことで購買意欲が高まる商品を訴求するため
(4) 販売機会を逃さず素早く値引き対応するため
(5) 店舗の粗利率が目標を達成しているか確認するため
設問3
(1) ネット通販の売上が手作業のため最新化されていない
(2) 店舗の落ち込みをネット通販が保管するべく全商品を網羅させる

 

午後II(私の回答)

問2 論文骨子
『中堅SIerの調達システムの刷新』
1.私が携わった個別システム化構想の策定
1-1.事業目標・事業戦略
顧客投資控えで苦境。経費削減で営業利益率向上が中長期目標
1-2.関係するステークホルダ・業務特性
各事業部が独立して調達しておりQCD非効率
2.個別システム化構想におけるステークホルダの意見調整
2-1.あるべき姿・システム
購買管理システム・業務のTo-be像
2-2.ギャップ分析
購買先選定の現場のノウハウ不足、不公平感
2-3.意見調整・工夫した点
全社購買先管理基準の共同策定、人材・スキル調達の予算申請制度
3.調整結果を反映した個別システム化構想の経営層への説明と評価
3-1.経営層への説明と評価
無駄コスト排除と適正化で経費削減の経営目標へ貢献
3-2.助言を受け改善したこと
KPI見直し
実行フェーズの内部監査制度導入

 

走り切ることはできたかなとは自負していますが、何ぶん、試験区分の最高峰でもあることから、平均点が高くなりがちなので、頭1つ抜け出るほどのアピールができたかというと、疑問が残ります。

試験センターの午後試験の解答が出るまで、まだ時間があります。

まずは、試験を完遂できた自分をほめて、休息しましょう。

ITストラテジスト受験記としては、次は自己採点をしたときに、報告をしたいと思います。

ではそれまで。