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情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

情報処理技術者試験(高度) 出題テーマ振り返り速報 令和4年春

情報処理試験、受験された方、お疲れ様でした。

試験センターからはまだ出題要旨や採点講評は公開されていませんが、各区分の振り返り評価をしていきたいと思います。

IPA試験センターが公開している午後I・午後II問題に対してコメントをしていきます。

ITストラテジスト

午後I

  テーマ
問1 国際物流会社におけるデジタルトランスフォーメーション
問2 製造業の情報システム戦略の策定
問3 スーパーマーケットにおけるITを活用した事業拡大
問4 AIを利用した気象予測システム

 

■速報コメント■

 

問1は攻めのDXでビジネスモデルの転換・創出がテーマでありトップダウン型。運送業でアジアに展開しており、佐川急便のような物流会社がイメージしやすい。問2、問3はどちらかというと内部プロセスの改善でアプローチもボトムアップ型。問4は例年通りエンベデ系で、市場展開と事業戦略策定までを題材としている。

 

午後II

  テーマ
問1 ITを活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画について
問2 システム開発プロジェクトにおけるスケジュールの管理について
問3 経営環境の急激な変化に伴う組込みシステム事業の成長戦略の意志決定について

 

■速報コメント■
 
問1は攻めの姿勢のDX、問2は守りの姿勢のDX。特に問2は保守・運用系の経験のある方であれば"あるある"と共感できそうなテーマ。問3はテーマであるアンゾフの成長マトリクスの前提知識があると取り組みやすい。
 
 

 

■参考■
STの合格秘訣に関する記事はこちら

 

システムアーキテクト(今期の筆者の受験区分)

午後I

  テーマ
問1 新たなコンタクトシステムの構築
問2 品質管理システムの構築
問3 保険申込システムの再構築
問4 IoT、AIを活用した橋梁点検・診断システム

 

■速報コメント■

 

問1はST寄りの出題で、コンタクトセンターという他区分の過去問にも登場しているテーマであり経験があると取り組みやすい。問2はDB寄りの設問であり、余白にER図を作成しながら問題文を読み進めないと厳しい。特に設問1が難問。問3は保険の見積もり~注文受付システムがテーマで最もSA区分らしい問題か。問4は例年通りエンベデ系であり既存システムの改修がテーマ。

午後II

  テーマ
問1 概念実証(PoC)を活用した情報システム開発について
問2 業務のデジタル化について
問3 IoT、AIなどの技術進展に伴う組込みシステムの自動化について
 
■速報コメント■

 

問1はPoCで問題文中の例としてAIに触れている。問2はデジタル化(DX)というキーワードはあるものの中味はそれほど先端的な技術は求められていない。問3は例年通りエンベデ系で、IoTやAIがキーワードであるのは近年の傾向の通りだが自動化というテーマに絞り込まれているのが特徴的。

 

■参考■
今期私が受験したのはSAでしたが受験当日の振り返りを記事にしています。
こちら

 

ネットワークスペシャリスト

午後I

  テーマ
問1 ネットワークの更改
問2 セキュアゲートウェイサービスの導入
問3 シングルサインオンの導入
 
■速報コメント■

 

問1はNW図が最も多くレイヤ2~3がメインでパケットキャプチャの経験があると有利。問2は多少レイヤがあがりFWセキュリティの設計・管理の経験があると有利。文中にVRFが登場するが、ルーティングテーブルを仮想的に分割している技術ということまで理解していれば十分と思われる。問3はケルベロス認証が出題されかなりセキュリティ色が濃い。DNSの経験もあると有利。

午後II

  テーマ
問1 テレワーク環境の導入
問2 仮想化技術の導入
 
■速報コメント■

 

問1はテレワーク環境導入のために必要として、SSL-VPNやポートフォワーディングの実装に触れられた後、可用性のためNW冗長化技術にも触れられており実践的な出題。問2は仮想化技術とはコンテナ技術のことで、サーバサイドの知見もあると有利。IPA試験区分でいうとここ(NW区分)で出題されるしかない。実際の業務でもコンテナ化に際してNW技術者がNW設計に助言をすることはあるだろう。

 

ITサービスマネージャ

午後I

  テーマ
問1 サービスレベル管理
問2 容量・能力管理
問3 サービスの移行
 
■速報コメント■

 

問1はシステム刷新時のサービスレベル管理がテーマ。サービスレベルを定義し、それを達成するために契約条件などの検討を行う。問2はキャパシティ/パフォーマンス管理でありサーバやディスクのスペックに触れられていることからテクニカル色が濃い。また計算問題も多い。問3はサービス移行がテーマでありクラウドが検討される。クラウド経験があると有利。また、インシデント管理からの出題もある。

 

午後II

  テーマ
問1 災害に備えたITサービス継続計画について
問2 ITサービスの運用品質を改善する取組について

 

■速報コメント■

 

問1は災害時の事業継続計画(BCP)がテーマで業務継続に必要な障害状況の想定と対策を整理する、どちらかというと"守り"寄りの出題。問2は改善提案を運用・保守サイドから行う内容で、場合によってツールの開発依頼・導入も検討される"攻め"寄りの出題。

 

情報処理安全確保支援士

午後I

  テーマ
問1 Webアプリケーション開発のセキュリティ対策
問2 セキュリティインシデント対応
問3 スマートフォン向けQRコード決済サービスの開発
 
■速報コメント■

 

問1は脅威・脆弱性・リスク分析からセキュアなWebアプリを開発するシナリオで、ソースコードが引用されておりアプリ系が有利。問2はNW寄り。本年は過去問に比べNW色が薄かった印象。問3は比較的図表が少なくテクニカルというよりはマネジメント寄りの出題だった。

 

午後II

  テーマ
問1 Webサイトのセキュリティ
問2 クラウドサービスへの移行
 
■速報コメント■

 

問1はリスク分析の結果、XSSCSRF・SSRFからの対策を技術面・体制面で図る展開。攻撃シーケンスの図表を丁寧においかける姿勢が必要。問2はクラウドサービスへの移行がテーマでNWの知識があると有利。こちらもSSOなどの認証シーケンスの図を丁寧においかけて解く設問がある。

 

■参考■
前期(令和3年秋)の振り返りはこちら

 

総評コメント

論述系のSTとSAは、DXを思わせるテーマで論述させる問題が出ており近年の傾向を踏襲している印象。比較的新しいキーワードとしては、AIやクラウドが区分を問わず登場するようになっており、対策を講じやすくなってきた。NW区分でコンテナ技術が登場しており今後は他区分でもテーマになることが増えるのではと思われる。

新型コロナや全世界的な物流不安を受けて、テレワークの導入や事業継続計画の策定もテーマとして出題されやすくなっている印象である。

 

おわりに

試験センターの午後試験の解答が出るまで、まだ時間があります。

まずは、試験を完遂できた自分をほめて、休息しましょう。

 

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試験センターの解答や合格発表は時間がかかるので、

それまでに私も対策記事・講評記事をアップしていきたいと思います。

ではそれまで。