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情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

ITストラテジストの合格秘訣まとめ②

最終更新:2021/8/2

ITストラテジストに一発合格しましたので、合格の秘訣についてまとめています。

 

受験直後の速報記事はこちらをどうぞ。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

合格直後の報告記事はこちらをどうぞ。

studyrolerole.hatenablog.jp

午前対策・記述対策(午後I対策)・論文対策(午後II対策)・心構え・参考書の評価という順にまとめています。

本記事では、論文対策(午後II対策)・心構え・参考書の評価についてまとめています。

午前対策・記述対策(午後I対策)は前半の記事でまとめていますので、合わせてご参照ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

一番知りたいところから順に読んでもらえればと思います。

 

3. 論文対策

3-1. 求められる姿勢

どのようなスタンスで論述するかは大事なので、求められる姿勢をイメージしていくことは重要です。

ITストラテジストの行動規範の一つが、

経営陣と事業部門の架け橋になること

です。

つまり、板挟みになりながらも、指針をもって導きつつ調整しなければならない。

試験区分の「最高峰」と言えども、そんな、泥臭く謙虚に取り組む姿が垣間見えます。

そうした思いで、論述をしてゆくとよいでしょう。

3-2. 傾向の分析

私なりに分析した過去問の傾向をお伝えしましょう。

大きく分けると、この2つに大別されます。

前者は経営を取り巻く状況に力点を、後者は分析と真の問題点追求に力点を置いて、論述しましょう。

もう一つ、傾向的なことをお伝えします。

論述する上での立場に関する話です。

  • SI企業に所属している立場
  • ユーザ企業に所属している立場

傾向的に、どちらの立場が書きやすいか。

これは、ユーザ企業の方が書きやすい、とお伝えしておきましょう。

他の高度試験とは異なり、STの場合は、ヒアリング・交渉・分析等で、調整系の論述分量が多いです。

ユーザ企業の内部にいないと、紙面が足りなくなる、というのが理由です。

3-3. 知識の強化

問題を解く上で武器になる知識についてお伝えしましょう。

BSC(バランススコアカード

ITストラテジストとして情報戦略を立案する際に、参考にする経営戦略策定ツールであるBSC(Blance Score Card)は筆頭です。

BSCは、

  1. 財務
  2. 顧客
  3. 内部プロセス
  4. 教育

の4つの視点で目標を設定し、相互の因果関係を整理して経営戦略を策定するツールです。

午後Iや午後IIの問題文を、この4つの視点で色分けしてみましょう。

設問で問われている事や、問われている論述の内容が、浮かび上がって見えてくるはずです。

ビジネスモデルとビジネスプロセス

IPAの採点講評にもあるが、ビジネスモデルとビジネスプロセスは明確に違うので、押さえておきましょう。

実際の業務現場では、混同して使われることも多いと思います。

何が違うか。

最も単純に言うと、主語が違います。

  • ビジネスモデル:経営陣が決定する
  • ビジネスプロセス:多くの社員で実現する

ITストラテジストの権限ならば、実現するのは後者(ビジネスプロセス)が適切でしょう。

前者(ビジネスモデル)は、経営者が策定するのを、ITストラテジストとしては「支援する」のがせいぜいになるはずです。

3-4. 論文の事例

参考書などでITストラテジストの論文例を調べていくと、見えてきたことがあるので、お伝えしましょう。

それは、経営目標に具体的な財務目標をあげるケースは少ないということです。

おそらく、IT戦略(内部プロセス指標・顧客指標)が財務指標に貢献することを客観的に示すことが難しいからでしょう。

ですので、論文には財務指標を目標として盛り込まない方が無難です。

ただし、字数などが足りない場合は、記載してもよいでしょう。

3-5. 論文パーツの例

論文の対象となるシステムやプロジェクトは、決めておきましょう。

特に決めておきたいのは、

です。

勉強開始時点から決まっている必要はないですが、ある程度の論文を実際に書いた後でしたら、自分の論文のパターンに合わせて、決めておくのがよいでしょう。

 

また、1つだけ論文パーツの例を示しておきましょう。

製造系企業で生産管理システムの刷新。

分析して見えた課題は、熟練の職人しかできない作業工程があること。

解決策として、タブレット端末を職人に持たせ、都度数値による入力を行わせることで、最適化とナレッジ継承につなげる。

本記事は秘訣のまとめなので、パーツの例は以上としておきますが、論文パーツだけをまとめた記事もいつかは書きたいですね。 

3-6. 漢字対策

ST区分だけではないですが、論述中にど忘れしそうな漢字はチェックしておきましょう。

  • 基(カン)システム
  • 対策を(テッ)底する

書けますか?

こんなところで焦って集中を乱されたくないですよね。

  • 基幹システム
  • 対策を徹底する

上記が正しい漢字ですね。

最後の手段、問題文に載っていることもあります。

時間を取られ過ぎるのもまずいですが、諦めずに探せば見つかることも。

4. 試験への心構え

ここからは、試験への心構えをお伝えしましょう。

直前まで目を通すチートシートを作って、すぐにみられるようにしておきましょう。

各試験の前は、5分~10分くらいの時間があります。

直前で起動してすぐ見られるよう、テキストにしてスマホに入れておくのもよいでしょう。

起動する時間がもったいないので、理想は印刷ですね。

また、鞄に不要な物をしまってから、試験開始まで、けっこう時間があります。

この時間も有効活用しましょう。

  • 午後Iなら印象的な過去問を連想して、解く上での考え方を思い出せるように。
  • 午後IIなら論文パーツを連想して思い出せるように。

ぎりぎりまで、時間を合格のために使います。

5. 参考書の評価

最後に参考書について評価を加えておきましょう。

5-1. 対策本『アイテック重点対策』

とてもお世話になっていますが、午後Iの解説に納得いかないことも多かったです。

解説文が問題文の引用や焼き直しで、なぜその回答になるかの論理が足りない気がしました。

その正答ならば、問題文のこの引用に触れないのはなぜ?といったような。

 

とはいえ、私は一発合格したので、上に指摘した以外の要素は問題ないと思います。

もっと、参考書のより効果的な使い方について、私も研究したいと思います。

 

さて、2回に分けて、ITストラテジストの一発合格の秘訣をまとめてきました。

いかがでしょうか?

 

しばらくは、令和3年度の秋試験のサポートに回りたいので、対策記事を書きたいと思っています。 

ではそれまで。

ITストラテジストの合格秘訣まとめ①

最終更新:2022/5/26

ITストラテジストに一発合格しました!

本記事では、合格の秘訣について私なりにまとめたいと思います。

鉄は熱いうちに打て、で、合格直後の頭でノウハウを根こそぎ洗い出して形にしたいと思いますので、これから受験予定の方に、参考になれば嬉しいです。

 

受験直後の速報記事はこちらをどうぞ。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

合格直後の報告記事はこちらをどうぞ。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

午前対策・記述対策(午後I対策)・論文対策(午後II対策)・心構え・参考書の評価という順にまとめようと思います。

本記事では、午前対策・記述対策(午後I対策)についてまとめます。

一番知りたいところから順に読んでもらえればと思います。

1.午前対策

1-1. 余裕をもった知識の吟味を

比較的時間や精神的に余裕のある、試験本番の数か月前に一度参考書を読んで、一通りキーワードを押さえておくことをおすすめします。

合格という一過性の目的のみならず、自身の興味がどういった方向にあるかの分析ができるからです。

私の場合は、「官民データ活用推進基本法に基づくオープンデータ」という知識が参考書に紹介されていたので、試験勉強とは別に、軽く調べてみました。

様々な省庁の統計情報が、営利・非営利問わず無料で利用できます。

いつか、自分でも活用して、このブログでもご紹介したいですね。

1-2. 過去問で対策を

午前問題は選択式なので、過去問を解いていれば、それが最も効果的な対策になります。

試験直後の記事でも述べていますが、3割くらいは2年以内の過去問から出題されます。

これは逆に言えば、3割は過去問から正答できるので、合格ラインの6割5分に乗せるには、残りの3割5分を積み上げればよいだけ、ということになります。

4択問題なので、2割5分が偶然にしろ正答できるとしたら、3割5分を積み上げるのは大した苦労ではありません。

1-3. よく出る問題

ファイブフォース分析、SECIモデル、デルファイ法はよく出題されます。

令和3年度の過去問からの類題を下に列記しています。

  • 問6 ファイブフォース分析を問う問題:令和1年 問13 の類題
  • 問10 人口統計的変数を問う問題:平成30年 問10 の類題
  • 問13 SECIモデルを問う問題:平成30年 問14 の類題
  • 問16 TOCを問う問題:平成30年 問17 ★全く同じ設問
  • 問19 デルファイ法を問う問題:令和1年 問19 の類題
  • 問23 格納型XSSを問う問題:平成30年 問23 ★全く同じ設問

人口統計的変数を問う問題が連続して出題される当たり、試験センターの問題制作委員の中に同知識の専門家がいらっしゃるのではと思われます。

また、格納型XSSはストラテジ系の設問でないのにも関わらず、全く同じ設問が出題されているのは、どのような意図があるのか気になります。

2. 記述対策(午後I対策)

2-1. 要点の掴み方

まずは基本形を紹介しましょう。

「課題」ー「機能」ー「設問」

午後Iの問題文には、必ず「課題」とそれを解決する「機能」の組み合わせが記載されています。

そして設問によって問われるのは、基本的に「課題」か「機能」のいずれかです。

代表的な設問形式

  • この「機能」を実現する目的はなぜか? → 回答:「課題」を解決するため
  • この「課題」をどのように解決したか? → 回答:「機能」によって実現した

まずは、どちらが問われているかを見極めて回答しましょう。

慣れてきて、「課題」ー「機能」ー「設問」の組み合わせが浮かび上がって見えてくればしめたものです。

2-2. 応用形の例

基本形 「課題」ー「機能」ー「設問」 を念頭に置きつつ、いくつかの例外(応用形)を紹介しておきましょう。

たとえば、戦略が複数ステップに分かれているケース。

「課題」ー「機能」の組み合わせが複数回登場することがあります。

このケースは、2回目の「課題」は問題文の後半に登場することになります。

問題文の前半=「課題」 後半=「機能」にとらわれていると、要点を見落とすことになります。

 

もう1点、紹介しておきましょう。

「課題」を探しすぎるあまり、「要件」のチェックが疎かにならないようにご注意を。

新たなシステム化戦略の目的として解決するのが「課題」ですが、「課題」がすでにシステム「要件」の姿で記述されているケースがあります。

こうした例では、「要件」を問われるケースもあれば、本文中にない「課題」を問われるケースもあります。 

本文から表層的に抜き出すのではなく、本質的な理解をもって記述するようにしましょう。

2-3. 要求事項を問う問題について

課題を解決するために要求事項が定義されますが、生じる問題について問われる設問についても紹介しておきましょう。

一言でいうと、実現「する」上で生じる問題と、実現「した」上で生じる問題は、別のことを聞かれています。

  • 要求事項を実現「する」上で生じる問題は何か?
  • 要求事項を実現「した」上で生じる問題は何か?

前者は達成するために支障を排除する問題で、後者は要求事項自体の誤りを問う問題です。

前者は、ITストラテジスト、あるいはその指示を受けて動く人間が、実現の支障となっている事柄(主に、現場の問題)を問われています。

一方、後者はITストラテジストとして、抽出された要求事項をそのまま実現すると、別の問題が誘発する(ので、実現要件に含めないなどの対応が求められる)ことについて問われています。

日本語にすると僅かな違いなので、日本語試験と呼ばれる所以かもしれませんね。

2-4. 記述テクニック

記述のテクニックにも触れておきましょう。

便利表現を覚えておこう

ITストラテジストの記述式は、本文中の表現を利用しますが、そのまま抜き出すだけの問題はまず出ないです。

ですので、よく使われる "便利表現" を覚えておきましょう。

たとえば、以下のような表現です。

  • ○○を徹底する
  • ○○を予測する

上記は、実際に試験センターの模範解答でも頻出表現です。

一応のキーフレーズは見えたが、制限時数内で着地できない、といったときにつぶしが効くので、ぜひ本番で試してみてください。

何を書いていいかわからないとき

また、朧気に分かるが何を書いていいか分からないときもよくあるでしょう。

そうしたときでも、自分なりにどう書くか決めておいた方がいいです。

まずは問題文から解答候補となる表現を複数リストアップしましょう。

全部書くと文字数オーバーするので、どれかを選ぶことになります。

その時に選ぶ基準を、自分なりにあらかじめ決めておく、というわけです。

たとえば「より真因に近いもの」など。

このテクニックは、考えてもそれ以上わからないような場面で、迅速に記述を終わらせ、徹底的に時間を節約するためのテクニックです。

因果関係の整理

問題文で、「A→B→C」の因果関係が本文中に示され、設問「Cの原因は?」と問われ、Aを答えるかBを答えるか迷うことがあると思います。

100%ではありませんが、この場合はAが正答のことが多いと思います。

考え方としては、因果律の近いBは「設問の一部に含まれる」と考えるとよいでしょう。

回答欄にとにかく詰め込む

どうしても回答を文字数内に絞り込めない場合は、「おそらくこの辺」というあたりのキーワードを無理やり詰め込んでしまいましょう。

そうすれば、満点は無理だが、部分点は狙えます。

出題者と会話するイメージでいるとよいでしょう。

「聞いているのは、この辺ですよね?」

2-5. 中級者向けの注意

ある程度午後Iに慣れてきた方向けに、いくつか注意事項をお伝えしましょう。

スリードを狙う罠?

少々穿った見方かもしれませんが、たまにミスリードさせるような罠があるケースがあるので注意しましょう。

例えばH29の問1。

一般的な感覚で言うと、緊急課題と長期的な課題が、どうみても逆です。

緊急課題:新規要員が採用できず、ナレッジが引き継がれず、組織が弱体化する

長期的な課題:保有する車両の故障を防ぎ、業務停止を防ぐ

どう考えても、業務停止のリスクの方が喫緊の課題でしょう。

もちろん問題文の通りに問われていますから、正答はできますが、一般的な現場感覚を持っている人ほど、正答しにくいことになりますので、何を目的とした設問なのか、試験センターには説明を求めたいですね。

対策としては、必ずキーワードで本文上の単語や表現を対照付けて、直感の罠に陥らないようにしましょう。

不意のテクニカル出題に注意

すっかり「ストラテジ」系の脳になっている方は、不意の「テクニカル出題」に注意。

H29の午後I問3の3(2)や4(2)などですね。

特に4(2)は問題文に

要件Aに対して実装Bを行った

とあるのに、実装不足を答えるもの。

「ストラテジ脳」としては、実装不足まで疑って対応を講じるのはかなり大変なので、こうした問題もある、と備えておくのがよいでしょう。

もちろん、試験センターのシラバスには、「テクニカル」も出題範囲ですし、実際の業務においても大切な観点ではあるのですけどね。

2-6. 問題の選び方

問題の選び方の基準についても、紹介をしておきます。

4問(うちエンベデッドが1問)から2問を選択しますが、決め方を自分なりに決めておかないと、迷って時間をロスします。

おすすめは、冒頭文と設問文を読んで、より問題文全体の構成が見通しやすそうな2問を選ぶことです。

見通しがよくなるということは、問題間の難易度調整の結果、設問自体が難しくなる可能性も無くはないですが、ここでは早く決めることが重要なので、そうしたリスクは目をつむってしまいましょう。

2-7. 自分の思考のクセに気づく

最後に、一般的なことを。

何事もそうですが、自分の思考のクセに気づいて矯正するのは重要です。

そのためにも、何度も過去問を解いて、解いているときの自分の思考回路を観察する癖をつけましょう。

私の場合は、問題文に

「○○ごとに××する」 

といった表現に無為にスルーしがちでした。

この文章からは、複数の○○を連想しなければならないが、漫然と読んでいると、単数的な印象になっていて、混乱することがよくありました。

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とても長くなってしまったので、残りは次の記事としたいと思います。

ではそれまで。

 

ITストラテジスト(令和3年)に一発合格しました!

更新:2022/5/26

 

合格していました!

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合格です。

一発合格でした。嬉しいですね。

簡単ですが、取り組んだ感想と、振り返りを行っていきたいと思います。

新型コロナの影響

今期(令和3年春)は、新型コロナの影響もあり、もともと秋(2020年10月)に予定されていた試験が、春(2021年4月)に延期されました。

そもそもITストラテジスト(ST)を含む秋試験が、いつ開催されることになるかが曖昧で、勉強を監査技術者試験(AU)と分散的に行っていたのですが、結果的には、プラスに働いたようです。

システム監査技術者試験も、前回一発合格を果たしました。その時のことは以下の記事に書いていますので、受験予定の方は、合わせてご確認ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

一発合格の秘訣

他の試験科目と同様、一発合格を狙うには、ITストラテジスト特有のコツを学んで臨むことが秘訣だと思います。

ここでは、かいつまんでポイントを述べてみましょう。

記述対策

午後Iの問題文には、「課題」と「機能」の組み合わせが記載されているのが "型" となってます。

その "型" を見極め、どう設問に絡んでくるかを見極めましょう。

論文対策

経営(事業計画とシステム投資の関連)に必要な知識を整理しておくこと。

論文例を調べていくと、経営目標が問われている設問に対して「財務目標」をあげるケースは少ないです。

これは、IT戦略(内部プロセス指標・顧客指標)が財務指標に直接的に貢献することを論理的に証明するのが難しいから、と考えられます。

よって、財務指標は書かない方が無難ですが、書いたとしても、「なぜその指標を達成できたのか」というところに紙面を消費する必要はないでしょう。

また、前提知識としては、BSC(バランススコアカード)への理解が必須です。

 

次回は、私なりのITストラテジストに合格するためのコツを、記事にてまとめて解説できればと思います。

ではそれまで。

令和2年度午後I問1・データベーススペシャリスト 徹底解説!

本記事では、令和3年度秋季情報処理技術者試験受験予定の方に向けて、データベーススペシャリストの過去問の徹底解説をいたします。

1年前の過去問ですので、参考になるところが多いのではと思います。

ぜひ、不明点の洗い出しをしてみてください。

過去問はこちらです。

www.jitec.ipa.go.jp

取り組み方

DB区分は、設問文から読むのが取り組みやすいでしょう。

令和2年度午後I問1は、テーブル設計に終始する問題です。

解答用紙を広く使い、ER図を完成させる設問があるのが特徴です。

まずは印刷を

データベーススペシャリストは、その名前から、データの形式・扱い方を整理させることを目的とした技術者であることが求められます。

そのため、問われる問題には、情報の量が多く、また、複雑に絡み合っている情報を解きほぐしていく対応が必要です。

ですので、過去問に取り組む際は、最低限、問題文を印刷して取り掛かるようにしましょう。

問題文に書き込みながら、情報をかみ砕いて理解する意識で臨みましょう。

問題文の構成を理解する

前半が現行業務のテーブル設計、後半が拡張業務(委託生産が増える)のテーブル設計であり、綺麗に前半が設問1、後半が設問2に対応しています。

前半にも後半にもそれぞれ

  • 概念データモデル(ER図)
  • 関係スキーマ(テーブル設計)

が登場します。

問題文と設問文のどこに何が書かれているか、上記のレベルで大まかに頭に入れてから、問題文を読んでいきましょう。

関係スキーマ(テーブル設計)にメモ(設問1)

問題文を読み進めるにあたり、テーブル設計図に問題文の対応箇所をメモしながら読めば、情報を漏れなく拾うことができます。

〔現状業務の概要〕を読みながら、以下のような要領で対応箇所をメモしていきましょう。

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データベーススペシャリスト・テーブル設計図にメモをつける

問題文の属性に下線(設問1)

概念データモデル(ER図)と関係スキーマ(テーブル設計)と見比べつつ、問題文本文の方にも、テーブルの「属性」と思われるものがあれば、チェックしましょう。

このやり方でキーワードを網羅していけば、いつの間にか設問で問われている対象の空欄も埋めることができるでしょう。

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データベーススペシャリスト・属性に下線をつける

DBスペシャリストでよく出てくる表現

○○番号

問題文に○○番号という表現が出てきたら、まずは主キーとしてチェックしましょう。

本問でも、発注番号、生産番号、配送番号・・・とよく聞く○○番号のオンパレードです。

発注番号は設問にも絡んでくるので、絶対に落とせない問題ですね。

○○と○○明細

これも典型的過ぎる表現です。

発注と発注明細

生産と生産明細

配送と配送明細

設問1ではこれがダイレクトに問われているので、これも絶対に落とせない。

下図のように、類推できる形なので、慣れれば図だけで解答できるようになるかもしれませんね。

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データベーススペシャリスト・○○と○○明細の関係

テクニックだけでなく、もう少し本質を追うならば、このような関係になるのは、第3正規化を目指すからですね。

デファクトスタンダードが第3正規形なので、明細とその上位概念は、スキーマを分ける必要が出てきます。

前半(設問1)の難関

前半のヤマと言えそうな部分が、以下の記載。

〔現状業務の概要〕3.発注から配送までの、

(2)④ 生産の対象とした発注明細に対して、生産番号を記録する

(3)④ 配送の対象とした発注明細に対して、配送番号を記録する

この文章が何にかかるかというと、ER図の完成と、スキーマの属性に関わってきます。 

発注明細の属性に生産番号と配送番号が含まれるのか、反対に生産・配送に発注明細番号が含まれるのか。

これで迷うかもしれませんね。

考え方としては、発注明細に「対して」生産ないし配送されることとなるので、発注明細側にカラムを用意するのが自然です。

生産ないし配送に対して発注するわけではないので。

この部分は正答率が低かったようです。

後半(設問2)の読み方

後半も、問題文の構成はよく似ているが、前半と何が違うか? という観点で読むと、以下の記載があります。

問題文10ページの最後から2番目の文

 新たな商品の追加に対応するために、工場、ルート及び自社仕様商品をサブタイプに分割した。

 これが、新要件〔新たな商品の追加〕に対して、具体的に設計をどうしたか? ということの説明となっており、とても重要です。

設問2 ER図作成の注意点

設問2 も ER図とテーブル設計図の完成が問われているが、基本は設問1と同じアプローチでよいでしょう。

  • 問題文を読んで、図にメモ。
  • 逆に、図から問題文にメモ。

慣れてきたら、両方を徹底するのではなく、その時にやりやすい方で進めれば時短にもつながり、よいかと思います。

注意点としては、設問1が「自社」、設問2が「他社委託」と捉えてしまい、以下の図のように、

  • 工場ではなく、自社工場からリレーション矢印を書き出す。
  • 自社仕様商品ではなく、自社商品からリレーション矢印を書き出す。

というミスをしないようにしてください。

正解は、

です。

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データベーススペシャリスト・ER図の完成に向け

上図の緑の線のようにならない理由は、基幹系の発注~生産~配送はプロセスが抽象化されており、自社か委託かは問わないためです。

よって、スーパータイプである「工場」「自社仕様商品」から矢印をひっぱるようにしましょう。

ER図完成設問のヒント

本旨を欠いた考え方かもしれませんが、ER図完成設問に対する傾向としては、基本的に矢印は1方向(特に、上から下)にひかれることが多いです。

これは、実際の開発現場のドキュメントにおいても、可読性を重要とするため、試験センターとしてもあまりトリッキーな矢印を書かせる設問は出しにくいと考えられます。

ということは、慣れてくれば、

  • 反対側の矢印を書くことを無くせる
  • 極論、解答用紙の余白を見るだけで、解答図が類推できる

ようになります。

先に完成図の予想を頭に思い浮かべて問題文を読めれば、圧倒的に有利です。

実際に問題を解く場面では、リレーションの矢印の方向に迷うことが出てくると思います。

そうしたときに、このことを思い出せれば、あまり迷って時間を潰さずに決断ができます。

最難関の設問2(3)・カーディナリティ

設問2(3)のカーディナリティを問う問題は、ヒントが分かりづらく、本問で最難関と言ってよいでしょう。

自社に3か所あるという生産工場が、物流センタを兼ねていることに気づけるかがポイントです。

問題文からのヒントとしては、

問題文9ページの1.の(5)

これまで自社工場内で仕分けと配送を行っていた役割に、工場の拠点コードとは別に物流センタとしての拠点コードを付与する

 という一文があります。

ここから、もともとは単一の役割を管理のため分割したことが読み取れます。

また、

問題文9ページの2.の(1)の①

各自社工場と自社工場内の物流センタ、各委託工場と各物流センタの組を納入ルートと呼ぶ

 という一文があります。

これにより、

  • 自社工場は、工場内に物流センタがある:カーディナリティとしては1対1
  • 委託工場は、物流センタに選択肢がある。自社工場は3か所ある。:カーディナリティとしては3対1

ということが読み取れます。

なお、自社工場が3か所ある、というのは最初のページに記載があります。

問題文6ページの1.の(3)

A社には3か所の生産工場がある

 

採点講評

最後に、採点講評を見てみましょう。

低正答率とされた箇所に下線を引きました。

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データベーススペシャリスト・採点講評

低正答率とされているのは、本記事でも解説しましたが、

  • 設問1の発注・生産・配送の各明細間のリレーションを問う設問
  • 設問2のカーディナリティを問う設問

ですね。

これらを落とさなければ、他の受験者に差をつけることができます。

また、両方正答せずとも、どちらかでも正答し、残りは部分点を狙うことができれば、十分合格圏内に入れると思います。

 

過去問を徹底的に深掘りし、解法パターンを掴んで、本番に臨み、合格しましょう。

ではそれまで。

ITストラテジスト 受験振り返り(令和3年春試験)

更新:2022/5/26

 

情報処理試験、受験された方、お疲れ様でした。

論文試験で手首にまだだるさが残っていますが、鉄は熱いうちに打て、で、振り返りをしていきたいと思います。

本記事は筆者が受験した 2021 年春試験の振り返りです。

 

午前IIの振り返り

体感的に、3割くらいは過去問(前回(令和1年)、前々回(平成30年))の類題であったと思います。

全く同じ問題という訳ではないですが、聞かれていることは同じなので、過去問からきちんと知識を得る学習をしていれば、落とさずに済んだのではないでしょうか。

過去問の類題と思われたのは次の通りです。

  • 問6 ファイブフォース分析を問う問題:令和1年 問13 の類題
  • 問10 人口統計的変数を問う問題:平成30年 問10 の類題
  • 問13 SECIモデルを問う問題:平成30年 問14 の類題
  • 問16 TOCを問う問題:平成30年 問17 ★全く同じ設問
  • 問19 デルファイ法を問う問題:令和1年 問19 の類題
  • 問23 格納型XSSを問う問題:平成30年 問23 ★全く同じ設問

この中でも、デルファイ法とSECIモデルは、試験センターが好んでよく問われている設問である気がします。

また、格納型XSSはストラテジ系の設問でないのにも関わらず、全く同じ設問が出題されているのは、どのような意図があるのか気になります。

自己採点したところ、6問誤りでした。

試験センター公表の回答はこちら。※午前試験の解答はすでに公表されています。

www.jitec.ipa.go.jp

 

午後Iの振り返り

午後Iは、次の4問が出題されました。

  • 問1 タクシー会社におけるDX
  • 問2 小売業の店舗販売とインターネット通信販売の融合
  • 問3 印刷会社の写真事業における新規ビジネスの企画
  • 問4 AIを用いた節電義手

問4は例年通りエンベデッド系であり、対策が不足しているので、残り3問を評価します。

過去問とは異なり、3問とも、比較的素直な構成の設問でした。

素直な構成とは、設問から読んで問題文の構成の見通しが付きやすい問題のことです。

 

問1の設問は、

  • 〔A社の新サービス〕:(設問1)
  • 〔車載アプリとサービスプラットフォームの連携〕:(設問2)
  • 〔配車アプリとサービスプラットフォームの連携〕:(設問3)
  • 〔課題と対応策〕:(設問4)

の構成となっており、問題文の後半の段落タイトルに対応しています。

問2の設問は、

  • 〔ネット通販の強化とネット通販システムの構築〕:(設問1)
  • 〔店舗の取組〕:(設問2)
  • 〔情報システムの対応〕:(設問3)

の構成となっており、問題文の後半の段落タイトルに対応しています。

問3の設問は、

  • 〔小中学校の状況〕:(設問1)
  • 〔新規ビジネスの概要〕:(設問2)
  • 〔保護者説明会と要望への対応〕:(設問3)

 の構成となっており、問題文の後半の段落タイトルに対応しています。

という具合に、設問を読めば問題文の後半に何が書かれているかを読む前から予想を立てられることを、ここでは素直な構成と呼んでいます。

過去問では、3問中1問は素直ではない構成の問題が含まれていたので、今回は出題スタイルを変えてきたなという印象でした。

また、問1はUBERのような配車アプリの、問2はコロナの社会情勢を踏まえた背景が描かれており、昨今の潮流を踏まえた出題であると感じました。

 

私としては素直な2問を選択するつもりでいました。

しかし3問とも素直な構成であったので、単に面白そうな2問を選びました。

 

午後IIの振り返り

次の3問が出題されました。

  • 問1 デジタルトランスフォーメーションを実現するための新サービスの企画
  • 問2 個別システム化構想におけるステークホルダの意見調整
  • 問3 異業種メーカとの協業による組込みシステムの製品企画戦略

問3はエンベデッド系であり対策不足のため、2問について評価します。

問1はDXに関する設問であり、最近のバズワードを地で行くような設問でした。

問題文の中に、DXに関する説明が大半を占めており、試験センターなりの定義があるように感じました。

問2はステークホルダの調整であり、特有性は少なく、王道的な設問に感じました。

問1はトップダウンアプローチ、問2はボトムアップアプローチと言えそうです。

合格以上の目的を踏まえると、今後のIT業界を見据えている実のある設問は、問1の方と思います。

DXの具体例・業界・顧客ターゲティング・採用技術例を紙面の多くを割いて説明している問1の文章は、向こう数年間の試験センターの考えを示す重要な資料になるでしょう。

一方、問2はこれまで準備してきた論文パーツをそのまま流用できる、素直で分かりやすい問題だったと言えるのではないでしょうか。

 

私は問2を選択しました。問1に挑戦することも試みましたが、自分の用意していた論文パーツの業界からフィットさせることができず断念しました。

 

私の回答と感想

私の午後Iの回答と午後IIの論文骨子については、次の通りです。

午後I(私の回答)

問1
設問1 実車率の向上 顧客の利便性の向上
設問2
(1)空車が集中して効率よく顧客を獲得できない状況を回避するため
(2)目的地を登録するのに手間がかかり道順を指示せざるを得ない顧客
設問3 時間・料金予測サービスの精度が向上しタイミングよく乗車できる
設問4
(1) A社からの配車が行き届かない地域においても配車を可能にするため
(2) 車載アプリに表示される走行ルートを利用でき利便性が向上する


問2
設問1 外部のネット通販は制約が多くアピールが弱くなるため
設問2
(1) 受取商品が想像と異なる場合に手早く返品や交換に対応するため
(2) ある地域でブームになった商品を定価で売り切るため
(3) 実際に商品を試すことで購買意欲が高まる商品を訴求するため
(4) 販売機会を逃さず素早く値引き対応するため
(5) 店舗の粗利率が目標を達成しているか確認するため
設問3
(1) ネット通販の売上が手作業のため最新化されていない
(2) 店舗の落ち込みをネット通販が保管するべく全商品を網羅させる

 

午後II(私の回答)

問2 論文骨子
『中堅SIerの調達システムの刷新』
1.私が携わった個別システム化構想の策定
1-1.事業目標・事業戦略
顧客投資控えで苦境。経費削減で営業利益率向上が中長期目標
1-2.関係するステークホルダ・業務特性
各事業部が独立して調達しておりQCD非効率
2.個別システム化構想におけるステークホルダの意見調整
2-1.あるべき姿・システム
購買管理システム・業務のTo-be像
2-2.ギャップ分析
購買先選定の現場のノウハウ不足、不公平感
2-3.意見調整・工夫した点
全社購買先管理基準の共同策定、人材・スキル調達の予算申請制度
3.調整結果を反映した個別システム化構想の経営層への説明と評価
3-1.経営層への説明と評価
無駄コスト排除と適正化で経費削減の経営目標へ貢献
3-2.助言を受け改善したこと
KPI見直し
実行フェーズの内部監査制度導入

 

走り切ることはできたかなとは自負していますが、何ぶん、試験区分の最高峰でもあることから、平均点が高くなりがちなので、頭1つ抜け出るほどのアピールができたかというと、疑問が残ります。

試験センターの午後試験の解答が出るまで、まだ時間があります。

まずは、試験を完遂できた自分をほめて、休息しましょう。

ITストラテジスト受験記としては、次は自己採点をしたときに、報告をしたいと思います。

ではそれまで。

高度情報処理試験対策 1週間前にやるべきこと(残り7日!)

更新:2021/09/21

令和3年度の情報処理試験(4/18)まで残り7日となりました。

大阪府や東京都ではまん延防止法が適用され、不要不急の外出については厳しい目が向けられている状況です。ただし、試験は日中ですし感染対策がされていることもあり、開催されるのではないでしょうか。

本記事では、私のITストラテジスト合格にむけたこれまでの学習状況と、残り1週間で、合格に向けてどのような準備をしていけばよいかについて書いていきたいと思います。

残り1週間で何を対策するか

重点対策をする試験形式を選ぼう

試験形式は、午前Iと午前IIが選択式。午後Iが記述式。午後IIが論文試験です。

すでに残り時間は限られています。今から全てを一から仕上げるのは難しいでしょう。

改めて重要な点ですが、午前で落ちてしまえば、午後の試験が採点されることはありません。

午後の記述式で落ちてしまえば、論文試験には進めません。

この現実を踏まえて、どの形式の準備を重点的に行うか、決めておくべきです。

考え方の例:落ちてもいいと考える場合

極論ですが、今回の合格は諦め、次回のために午前I免除の権利を勝ち取ることを目標にするのなら、午前Iの勉強に集中するのもありでしょう。

また、どの試験形式で脱落するとしても、すべての試験形式を受験するべきでしょう。

今回落ちたとしても、その経験は必ず次につなげることができるからです。

問題は、現時点で当落線上にいると思っている方ですね。

考え方の例:当落線上にいる場合

合格を狙うならば、足切りされてしまうのはとてももったいない結果であると言えます。

論文対策まできちんとしているのに、記述式で落とされてしまうと論文は採点すらされないからです。

同様に、午前の選択式で落ちてしまっても同様ですね。

そこで、どの試験形式を重点対策するか決めかねている方は、「午後Iの記述式を重点対策する」ことを提案したいと思います。

理由は、記述式は最もコンディションに左右されやすいのに、勉強のラストスパートでは論文に注力する受験生が多いため、盲点になりやすいからです。

私自身、何度も午後IIに照準を合わせ勉強してきて、午後Iで危なく落とされそうになったり、実際に落ちたりしています。

「軽い」勉強で仕上げる

今から試験に対してマインドセットを切り替えたり、その試験区分に求められる人物像の行動規範を理解したりするのは、合格に向けては「重たい勉強」と言えます。

ここからは、即得点につながる、「軽い」勉強で仕上げていくのがよいでしょう。

午前の仕上げ:選択式

そういう意味では、午前Iや午前IIの選択式は「丸暗記」が通用するので、1問1答形式で1問でも多く頭に詰め込むのは有効でしょう。

全く同じ問題が出る可能性があるので、ダイレクトに得点に結びつきます。

午後Iの仕上げ:記述式

午後Iの記述式も、全く同じ問題は出ないとはいえ、1問1答形式で暗記しておく、というのは有効だと思います。

ある年度のこの設問の答えは、「○○すること」という風に覚えておくことによって、連鎖的にその設問文、自分の思考のクセ、問題文の構造などを関連付けて思い出すことができるためです。

残り1週間は、隙間時間で、自分で解いたことのある問題文と設問文を見て、解答を思い出せるかという訓練を繰り返しておくとよいと思います。

午後IIの仕上げ:論述式

まさに一夜漬けの利かない試験形式ではありますが、それでも、できる「軽い」勉強はあります。

それが論文パーツの整備です。

小難しいことを考えている時間はありません。

設問に対応した解答となる論述文、言い回しを1つでも多く覚えましょう。

これまである程度対策してきている方は、設問と論文パーツの関連を整理しておきましょう。

ものによっては、ある設問と別の設問で同じ論文パーツが使えるものも出てくるはすです。

最後まであきらめず、どのような角度で問われても論述しきれる可能性を高めておくために、引き出しを充実させておきましょう。

まとめ

それでは、残り1週間においてやるべきことをまとめておきます。

  • 重点対策が見えていないければ、午後I試験を重点的に行う
  • 全体的に、「軽い勉強」で仕上げる

ここまで読んできてくれた方であれば、当落線上にいると思っている方も、是非合格を目指してほしいです。悔いの残らないようにしましょう。

 

私の学習状況

ここで、参考までに私が目指すITストラテジストの学習状況を共有しておきます。

午前対策

ほぼ対策していません。過去問を解いた際、十分合格できる水準であったためです。

残り時間はもう一度過去問を解くか、すでに解いた過去問を軽く見直すくらいに留めます。

午後I対策

過去問を解き、自分の思考のクセを矯正したり、問題に取り組むスタイルを検討したりしました。

ITストラテジストの場合、次の順序で読み進めるとよさそうです。

  1. 問題文冒頭の概要文や導入文
  2. 設問文
  3. 問題文の最後の段落(システムや業務の改善効果などが載っていることが多い)
  4. 初めから読み進める

2.設問文と3.問題文の最後の段落は対応していることが多く、どの設問がどの効果に紐づいているかを頭にいれておくと読みやすいです。

初めから読み進めたときに、効果に対応する課題が目に入りやすくなります。

このように、

「課題」ー「効果」ー「設問」

の紐づけが見えると、その設問には取り組みやすくなります。

また、時間も文字数も制限されている中で記述して解答するには、

○○を徹底する

○○を予測する

といった、便利な言い回しを覚えておくのがよさそうです。

午後Iの1問1答を暗記する際に、合わせて自分にとって活用できそうな解答例から、これらの便利な言い回しをストックしておくとよいと思っています。

午後II対策

自分が普段疑問に思っていることを調査しながら、論文を何度か書きました。

1つ思ったのは、BSC(バランススコアカード)の視点でいうところの、「財務の視点」が事業の目標に掲げられている論文事例は、予想より少ないということです。

実際の中長期計画やIR情報を見ると、財務上の目標は重要な視点です。

しかし、ITストラテジストとしては、情報戦略から財務目標に貢献するのは、実際問題として評価が難しいということがあると思いました。

論文として事業目標を書く場合、財務目標(売上高○億円アップ、収益率○%アップなど)を伏線として書いたとしても、「情報システム構想が直接これを達成しました」と書いて回収することはできない(難しい)と思います。

結論としては、

論文で事業目標を書く場合、財務目標は書いても書かなくてもよい。

むしろ、内部プロセスの視点や学習の視点から目標を掲げた方が、ITストラテジストの論文としては展開が容易そうです。

このように、自分なりに疑問を払しょくしながら、論文パーツを取りそろえることで、本番に臨みたいと思います。

さて、残りはラストスパートですね。

試験後までは twitter 中心で呟きます。

ともに良い成果が出せるよう頑張りましょう!

ではそれまで。

高度情報処理試験対策 1カ月前にやるべきこと(残り40日!)

令和3年度の情報処理試験(4/18)まで残り40日となりました。

首都圏1都3県の緊急事態宣言の2週間延長がされましたが、更なる延長等がなければ、予想通り実施されるのではないでしょうか。(本稿執筆時点で、2021/3/21迄)

本記事では、私のITストラテジスト合格にむけたこれまでの学習状況と、残り約1カ月強で、合格に向けてどのような準備をしていけばよいかについて書いていきたいと思います。

残り1カ月で何を対策するか

まずは振り返りをしよう

人によっては、無勉でも、ここから徹底的に学習して、合格にこぎ着けることも可能と思います。

ただ、多くの人は準備を重ねて残り1カ月を迎えると思います。

そうした人に向けて残り1カ月の過ごし方を、私なりにお伝えいたします。

まず、これまでご自身がどの程度勉強に取り組めたかを振り返ることが大事と思います。

1週間に1時間しか勉強できなかった人が、1カ月前になったからと言って、突然100倍勉強できるはずがありません。

残り1カ月になったら、ある程度勉強時間を確保するつもりであったとします。

だとしても、自由な時間の少ない社会人であれば、せいぜい1.5倍~3倍くらいの時間しか確保できないのではないかと思います。

試験当日から残りの時間を逆算する

実際に、残された時間を可視化するのがよいと思います。

プロジェクト管理の運営上のコツと同じですね。

土日に勉強する時間を設けている、とします。残りの週末の数は、試験当日を含む週を除くと、5回しかありません。

残された週末(土日)

3/13, 14

3/20, 21

3/27, 28

4/3, 4

4/10, 11

4/17, 18(当日)

仮に、1回の週末で1年分の過去問を解いたとしても、5年分しか解けないことになります。

やるべきことを決める

残りの時間は限られていますから、漫然と対策してはいけません。

ここでも、これまでの自分の積み上げた対策を振り返り、より強化が必要なところに集中的に時間を割り振りましょう

より強化が必要なところが分からない、という方は、やはり過去問に触れておくことがよいでしょう。

過去問も解きっぱなしにするのではなく、解いて、採点して、参考書で検討することが重要です。

私のおススメは、過去問を解いた後、すぐに自己採点して、検討し、時間を空けて改めて検討することです。

時間を空けて再検討することで、自分の中に複数の視座を設けることができるようになります。

仮に、何度検討しても納得できない問題があったとしたら、残りの時間も少ないので、諦めるか、丸暗記して臨むと割り切ることも必要でしょう。

私の学習状況

ここで、参考までに私の学習状況を共有しておきましょう。

同様に試験に向かって勉強している方の、何らかの参考になれば幸いです。

午前対策

午前対策として、キーワードを読み込みました。それまで知らなかった知識を体系的に理解するのは楽しいです。

そのうえで、1年分の過去問を解きましたが、十分合格できる得点でした。

ですので、残り時間は、単に興味のある学習を進めます。

法律系の知識や、業務知識を系統立てて理解したいですね。実務でも応用ができそうですし。

本ブログでは、あくまで試験に合格するのをゴールに情報を発信していますが、資格試験を通じて仕事や実務に活用するのは理想的なことだとは思います。

午後I対策

過去問を眺めながら、問題文と設問・解答の特徴を掴むことをやりました。

実際に過去問を解く、ということはあまりやれていないので、残り1カ月はそれをやりたいですね。

ITストラテジストの使命は、ITシステムを活用してどう目標に向かって課題を解決していくかが重要、です。

すると、問題文を読んでいると課題らしきものが散りばめられています。

課題らしきものと設問分を照らし合わせて、キーワードを抽出して記述できれば回答することができます。

あとはそのパターン(キーワードをどうやって記述するか)を習得していくことをやりたいですね。

これは他の高度試験にも言えることですが、解答のパターンを自分のものにしていくことで、合格に近づくことができます。

午後II対策

過去問や自分自身で作成した論文を見比べながら、ITストラテジストに必要なエッセンスを抽出することをやりました。

基本的には、

  1. 経営上・あるいは組織上どんな課題や目標があるか、あるいはその背景を問うのが設問ア。
  2. 検討しなければならない条件を踏まえて、課題自体や解決方針を述べるのが設問イ。
  3. 解決方針や工夫について述べるのが設問ウ。

になることが多いと思います。

これは他の論文試験にも言えることと思いますが、設問アと設問ウは、ある程度定型要素があります。

特に設問アは、丸々自分が用意してきた論文のパーツが使えることが多いです。

設問ウは、問われていなくとも、自身の活動に対する評価や反省を入れることで、ある程度の論旨を展開することができます。

問題は設問イですね。

検討しなければならない条件」というのは、設問によって異なるので、やはり、過去、どういった点が問われているかを調べておくのがよさそうです。

たとえば、組織間の利害調整、とか。業界の状況、とか。

そういった条件ごとに、自分の論旨を展開できる論文パーツを準備しておくとよいでしょうね。

 

勉強スケジュールモデル

ちょっと忙しい方向けに、残りのスケジュールのモデルを出しておきます。

3/13, 14 過去問1年分解き、自己採点

3/20, 21 前週の自己採点と再検討

3/27, 28 過去問1年分解き、自己採点

4/3, 4 前週の自己採点と再検討

4/10, 11 総まとめ

4/17, 18(当日) 

上記ですと、結局2年分しか過去問は解けません。 

ちょっと心もとないですが、やみくもに勉強するよりも力がつくと思うので、何をしたらいいか分からなくなっている方は、是非やってみてください。

私も、基本的には上記に似たスケジュールで臨むと思います。

また、試験日が近づいたら、状況を報告し、残りの時間でやるべきことを述べます。次は、1週間前になると思います。

ともに頑張りましょう!

ではそれまで。