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情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

エンベデッドスペシャリスト 出題予想(令和4年秋)



本記事では令和4年秋向けのエンベデッドスペシャリストの

出題予想を大胆に行っています。

 

※予想は筆者の独断です。読者の責任でご活用ください。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回データベーススペシャリストを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去問分析。令和2年の出題は注目。

上図は過去3年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、「2回前」の出題との一致率が高いです。

過去問から対策する場合は令和2年秋の試験出題から勉強すると効率的でしょう。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和2年秋から同じ問題が2~3問出そう
2. 計算して解く問題はあまり出なそう

順に説明します。

 

1-1. 令和2年秋から同じ問題が2~3問出そう

前回(令和3年秋)と3回前(平成31年春)を比較すると、

メモリインターブ、3入力AND回路、共通鍵暗号方式が

重複して出題されています。

 

このことから今年も前々回(令和2年秋)から同じ問題が

出題される可能性が高いです。

スヌープキャッシュ、PLL回路は昔からの頻出なので

今回も出題されるのではないでしょうか?

 

令和2年秋問4。正解はウ。

 

 

■ESの2回前からの再出題率は低い?■

他区分に比べ、エンベデッドスペシャリストは2回前からの

再出題比率が低いようです。

DBの場合、平成31年と令和3年では8~9問が再出題されていましたが、

ESでは3問という結果でした。

 

ESの場合は2年前だけに特化せず、古い過去問からもっと時間をあけて

再出題される問題があるので、過去問対策をする場合は

3年だけではなくもっと遡って問題を解いた方がよいでしょう。

 

1-2. 計算して解く問題はあまり出なそう

平成31年の過去問を見ると、ディスク平均待ち時間や

主記憶展開時間など計算して解く問題が3~4問出題されていますが、

前々回(令和2年)は1~2問になり、

前回(令和3年)は出題されていません。

共通鍵暗号方式の鍵数計算くらい。しかも区分的にはESではなくSC)

 

傾向としては、計算して解く問題はあまり出ないかもしれません。

 

2. 午後I(記述)予想

過去問テーマ分析。問題タイプや採点講評からの独自分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは3問中2問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1はハードウェア(HW)とソフトウェア(SW)がバランスよく、問2はSW寄り、問3はHW寄りが出題される
2. 計算問題は必ず出題される
3. 問3は難問となる可能性がある

 

順に説明します。

 

2-1. 問1はHWとSWがバランスよく、問2はSW寄り、問3はHW寄りが出題される

過去問を分析すると出題にある傾向が見られます。それは

  • 問1はハードウェア/ソフトウェアのバランスがいい
  • 問2はソフトウェア寄り
  • 問3はハードウェア寄り

ということです。

 

問1に関しては平成31年まで必須(残り1問を問2か3から選択)だったので

どちらにも寄らないようバランスを取っていた傾向が

今も残っているものと思います。

 

ここから、

  • ソフトウェアが得意な方は問1,2を選択する
  • ハードウェアが得意な方は問1,3を選択する

というのが基本的な戦略になると思います。

 

2-2. 計算問題は必ず出題される

過去3年分析しましたが計算問題はハードウェア・ソフトウェア問わず

必ず出題されています。

計算問題はエンベデッドスペシャリストの出題は

少しクセがあるので慣れておく必要があります。

 

たとえば小数第○位という指定があるのに

答えが整数になるケースがあります。

その場合は、あえて回答に19.0とか、「.0」の部分も回答する必要があります。

 

さらに周期や回転度数など、慣れていないと計算式を

誤る問題もあるので、しっかりと対策をしておきましょう。

 

なお、傾向としては問3(ハードウェア)が

計算問題を多めに出題されるようです。

 

2-3. 問3は難問となる可能性がある

これは過去3年の試験センターの採点講評を根拠にしていますが、

どの問題も正答率が平均的、またはコメント無しというものがほとんどでしたが、

令和2年の問3、平成31年の問3だけ正答率が低かったと評されています。

 

もちろん、その問題を選択した方のなかでの正答率でしょうから、

一概にその問題が難問とは限りませんが、

もしも本番で問題選択に迷ったら参考にしては

いかがでしょうか。

 

 

3. 午後II(論述)予想

過去問テーマ分析。問題タイプや採点講評からの独自分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは2問中1問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1はハードウェア寄り、問2はソフトウェア寄りの問題が出題される
2. 問1は易問となる可能性がある

 

順に説明します。

 

3-1. 問1はハードウェア寄り、問2はソフトウェア寄りの問題が出題される

問1は従来ハードウェア寄り、問2はソフトウェア寄りを含む問題が出題されます。

午後I試験と対応付けると以下の通りです。

  • ハードウェア寄りの問題:
     午後I:問3 午後II:問1 
  • ソフトウェア寄りの問題:
     午後I:問2 午後II:問2

たとえばハードウェアを得意にしている方であれば、

午後Iは問3を、午後IIは問1を選択すれば

得意を活かして試験突破できる可能性があります。

 

過去問を解く際も、午後Iは問3を中心に、午後IIは問1を中心に

解き重ねることによって、効率的な勉強が可能です。

 

3-3. 問1は易問となる可能性がある

試験センターが公表する採点講評から分析すると、

過去3年の傾向として問1よりも問2の方が正答率が低かったようです。

 

各年の正答率の講評:

 令和3年 問1:中 問2:中

 令和2年 問1:中 問1:中

 平成31年 問1:低 問2:中(全体の正答率コメント無し)

 

その問題を選んだ方の中での正答率、なので

一概にその問題が易問・難問だったかという評価ではありません。

ですが、もしも選択に迷われるようでしたら、

参考にしてみるのもありかもしれません。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

エンベデッドスペシャリストを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

データベーススペシャリスト 出題予想(令和4年秋)

本記事では令和4年秋向けのデータベーススペシャリスト

出題予想を大胆に行っています。

 

※予想は筆者の独断です。読者の責任でご活用ください。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回データベーススペシャリストを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去問分析。令和2年の出題は注目。

上図は過去3年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、「2回前」の出題との一致率が高いです。

過去問から対策する場合は令和2年秋の試験出題から勉強すると効率的でしょう。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和2年秋のDB系出題(問1~18)から同じ問題が8~9問出そう
2. SQL問題が2~3問出そう
3. CAP定理に関する問題が今年も出るか

 

順に説明します。

 

1-1. 令和2年秋のDB系出題(問1~18)から同じ問題が8~9問出そう

前回(令和3年秋)と3回前(平成31年春)を比較すると、

部課係の階層関係、ER図(診療)、第1~第5の正規形の説明、

トランザクションの隔離性水準、SQL(社員取得資格)、属性n個の射影、

SQL(会員項目表への発行)、入れ子ループ法の計算量、MVCCあたりが

重複して出題されています。

 

このことから今年も前々回(令和2年秋)から同じ問題が

出題される可能性が高いです。

BASE特性のあるNoSQL、CEPは昔からの頻出なので

今回も出題されるのではないでしょうか?

令和2年秋問2。正解はイ。

 

■DB以外の区分の対策は難しい?■

他区分では自区分以外の問題も一定数再利用されていますが、

DBの場合、平成31年から令和3年で他区分の問題は再出題されていません。

※たとえば、PM試験の場合、平成31年で午前IIでDNSSEC(SC区分)が

出題されましたが、令和3年でも全く同じ問題が出題されています。

DBにはこのような例はありませんでした。


午前IIの足切り基準は6割(15問)なので、

DB系を完璧に対策すれば18~19問はとれるので通過できます。

 

DB以外の問題は過去問から対策しても再出題されない可能性が高いので、

DBの区分に絞って対策した方が効率が良いと言えるでしょう。

 

1-2. SQL問題が2~3問出そう

SQLの問題も例年2~3問出題されています。

令和3年では3問、令和2年では3問、平成31年は2問です。

得点を稼げるので、過去問を解いて対応できるようにしておきましょう。

 

令和2年秋問8。正解はウ。

 

1-3. CAP定理に関する問題が今年も出るか

1点予想ですが、CAP定理に関する問題が今年も出るかもしれません。

その根拠は、ここ3回分は問1にCAP絡みの問題が

出題されているからです。

 

令和2年秋問1。正解はイ。

 

試験センターの好みなのかもしれませんね。

 

CAP定理とは、Consistency(一貫性)、Availability(可用性)、

Partition-torlerance(分断時の耐久性)の頭文字であり、

この3つの性質のうち同時に2つは満たせるが

3つは満たせないというもの。

 

上に引用した令和2年秋の問1は良問で、上記のことがよく理解できます。

 

参考までにCAP定理についてもリンクをはっておきます。

CAP定理 - Wikipedia

 

2. 午後I(記述)予想

過去問テーマ分析。問題タイプや採点講評からの独自分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは3問中2問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1は図表完成問題、問2・3はSQLが出題される
2. 問3はSQLの比重が大きい問題が出題される
3. 問2は難問、問3は易問となる可能性がある

 

順に説明します。

 

2-1. 問1は図表完成問題、問2・3はSQLが出題される

過去問を分析すると出題にある傾向が見られます。それは

  • 問1は図表完成問題(概念データモデルの完成問題)を含む
  • 問2・3はSQL問題(穴埋めや選択問題)を含む

ということです。

 

前者は解答用紙に未完成の概念データモデルの図が書かれており、

問題文の文章や関係スキーマをもとに図を完成させる問題です。

 

未完成の概念データモデルを完成させる問題の例(令和2年秋問1)

後者はSQL文を完成させる問題です。

 

SQL文を完成させる問題の例(令和2年秋問2)

 

傾向として、問1には概念データモデルの完成問題、問2,3にはSQL問題を

含んで出題されることが見えているので、たとえばSQLが得意な方は

問2,3を選ぶといったことを戦略として持てると思います。

 

 

■概念データモデルの完成問題のヒント■
ここでは即効性のあるテクニックをご紹介します。

「○○と○○明細」の関係は下矢印で書ける
発注と発注明細、生産と生産明細のような関係ですね。

令和2年問1より。設問で直接聞かれているので絶対に落とせない。

矢印は基本的に1方向(特に上から下)にひかれる
実際の開発現場のドキュメントにおいても、可読性を重要とするため、
試験センターとしてもあまりトリッキーな矢印を書かせる設問は
出しにくいと考えられます。

このことを頭に入れておくと、
「逆向きの矢印をひくことをなくせる」
「極論、解答用紙の余白から完成図が想像できるようになる」
ようになります。

 

 

2-2. 問3はSQLの比重が大きい問題が出題される

過去3年から分析すると、問2よりも問3の方がSQLの設問が多いです。
令和3年、令和2年は有意に差があったので、最近の傾向として
問3はSQLの比重が大きくなることが予想されます。

 

SQLが苦手な方は、あえて選ぶならば問3よりも問2を選ぶ、
などが考えられるかもしれません。

 

■DBの問題タイトルからの傾向分析■
問題タイトルから傾向を分析すると次の通りです。

問1はここ数年、「データベースの設計」というタイトルで変わりません。
問2は同じく「データベースの実装」というワードを含むタイトルです。
問3は業務やシステムの特徴を示すワードを含むタイトルです。

問1は概念データモデルの完成問題などを試験センターとしては"設計"と
捉えているように思います。

問2はより詳細な部分(性能、ログ、排他制御など)を含むことを
"実装"と捉えている感じでしょうか。

問3は業務知識を有していると有利かと思いきや、問われている内容は
問2以上に細かいSQLの知識であったり、計算問題が多いので、
問2以上にDBの実装的な知識が求められる印象です。

 

2-3. 問2は難問、問3は易問となる可能性がある

これは試験センターの採点講評を根拠にしています。

問2は令和3年・令和2年と最近過去二回、正答率が低かったと評されています。

問3は令和2年・平成31年が正答率が高かったと評されています。

 

もちろん、その問題を選択した方のなかでの正答率でしょうから、

一概にその問題が易問・難問とは限りません。

しかし、もしも本番で問題選択に迷ったら参考にしては

いかがでしょうか。

 

 

3. 午後II(論述)予想

過去問テーマ分析。問題タイプや採点講評からの独自分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは2問中1問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1はSQL、問2は図表完成問題が出題される
2. 問1は性能(チューニング)を含む問題が出題される可能性がある
3. 問1は易問、問2は難問となる可能性がある

 

順に説明します。

 

3-1. 問1はSQL、問2は図表完成問題が出題される

問1は従来、SQLを含む問題、問2は図表(概念データモデルの完成問題)を
含む問題が出題されます。

午後I試験と対応付けると以下の通りです。

  • 図表(概念データモデルの完成)問題:
     午後I:問1 午後II:問2 
  • SQL問題:
     午後I:問2,3 午後II:問1

たとえばSQL問題を得意にしている方であれば、

午後Iは問2,3を、午後IIは問1を選択すれば

図表(概念データモデルの完成)問題に触らずに試験突破できる

可能性があります。

 

なお、午後IIにおいて問2は

文章で業務を説明する比重が大きいため、

業務知識を持っていると有利でしょう。

SAやPMなどの高度資格を持っている場合は

問2を選んだ方が取り組みやすいと思います。

 

 

3-2. 問1は性能(チューニング)を含む問題が出題される可能性がある

問1は問2に比べ、実装寄りの問題が出題されます。

問題タイトルも例年「データベースの実装」というワードが含まれており、

よりデータベースに実際に触った方である方が有利と思います。

 

問1の過去3年の設問を分析すると、

令和3年と平成31年はDBログについて、

令和2年は性能(チューニング)について

出題されています。

 

DBログ・性能・DBログと来たので、次は性能がくるのではないか?

という予想になります。

問1を狙っている方は参考にしてみてください。

 

3-3. 問1は易問、問2は難問となる可能性がある

試験センターが公表する採点講評から分析すると、

過去3年の傾向として問1よりも問2の方が正答率が低かったようです。

 

各年の正答率の講評:

 令和3年 問1:高 問2:高

 令和2年 問1:低 問1:低

 平成31年 問1:高 問2:低

 

その問題を選んだ方の中での正答率、なので

一概にその問題が易問・難問だったかという評価ではありません。

ですが、もしも選択に迷われるようでしたら、

参考にしてみるのもありかもしれません。

 

■DBの午後のテクニック集■
ここで、データベーススペシャリストの午後のテクニックをいくつか
ご紹介しましょう。

1. 問題文の属性の説明箇所と、関係スキーマの表を読み比べ、下線やメモを
とりながら読み進めていく。

2. ○○番号という属性が出たら、まずは主キーとしてチェックする。

3. ○○と○○明細は第三正規化のためスキーマを分ける。


1. については、たとえば以下の要領です。

関係スキーマに問題文の節番号をメモする例(令和2年秋午後I問1)

 

問題文に属性名が出てきたら下線をひく例(令和2年秋午後I問1)

 

慣れてきたら、問題文か図表のどちらかやりやすい方に
メモを取りながら理解していくのが時短にもつながり
良いと思います。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

データベーススペシャリストを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

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それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

システム監査技術者 出題予想(令和4年秋)

2023/7/15更新

 

本記事では令和4年秋向けのシステム監査技術者の

出題予想を大胆に行っています。

 

※予想は筆者の独断です。読者の責任でご活用ください。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回システム監査技術者を受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題(記述・論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去問分析。令和2年の出題は注目。

上図は過去3年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、「2回前」の出題との一致率が高いです。

過去問から対策する場合は令和2年秋の試験出題から勉強すると効率的でしょう。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和2年秋のAU系出題(問1~10)から同じ問題が5~6問出そう
2. 令和2年秋のAU以外の出題(問11~25)から同じ問題が1~2問出そう
3. 監査の予備調査に関する問題が出るか

 

順に説明します。

 

1-1. 令和2年秋のAU系出題(問1~10)から同じ問題が5~6問出そう

前回(令和3年秋)と3回前(平成31年春)を比較すると、

EDMモデル、ITF法、クラウドサービスの監査、

アジャイル開発、固定資産管理システムなどが重複して出題されています。

 

このことから今年も前々回(令和2年秋)から同じ問題が

出題される可能性が高いです。

統計的サンプリング、ペネトレーションテストあたりは昔からの頻出なので

今回も出題されるのではないでしょうか?

 

令和2年秋問1。正解はイ。

1-2. 令和2年秋のAU以外の出題(問11~25)から同じ問題が1~2問くらい出そう

同様に、AU以外の区分からの出題も2回前から使いまわしで

出題されています。

 

令和3年と平成31年の場合は、問20 JIS Q 27000(SA区分)が

同じで、問題番号まで同じです。

 

令和2年からを参考にすると、問12DAとDBA、問23カークパトリックモデルなどは

昔からの頻出なので、出題されるかもしれません。

 

令和2年秋問12。正解はイ。

 

AUの自区分比率は低い■

AUは自区分(AU)の出題比率が他区分の試験に比べ小さいので、

ここ(他区分からの出題)の対策が重要になります。

 

午前IIの合格ラインは6割なので15問正解で通過ですが

例年自区分(AU)は10問なのでここを完璧に対策したとしても

あと5問は他区分から正解する必要があります。

 

システム監査人を名乗る以上、他のシステム(他の区分)の

知識も幅広く持っていた方がよいということでしょうね。

 

1-3. 監査の予備調査に関する問題が出るか

1点予想ですが、監査の予備調査に関する問題が出るかもしれません。

その根拠は、令和2年だけでなく、その1つ前の平成31年にも

出題されているからです。

 

令和2年秋問6。正解はア。

 

試験センターの好みなのかもしれませんが、今年も

監査の予備調査は出題されるかもしれません。

 

なお、監査の本調査と予備調査の違いは本質的に理解しておいた方が

よい知識です。

これをテーマにした出題も午後Iや午後IIでされています。

参考までにリンクをはっておきます。

 

itmanabi.com

 

出題時は、たとえばその行為が本調査で行うべきか

(予備調査の時点で確認できる情報じゃないのか)

といった観点で問われます。

 

2. 午後I(記述)予想

過去問テーマ分析。先端キーワードや設問マッピング難易に基づく独自分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは3問中2問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1は先端テーマ(AI、IoT、クラウド、(アジャイル?))が出題されそう
2. 問1は採点基準が易しくなる可能性あり
3. 設問と問題文本文のマッピングが難しい問題の方が問題自体は易しくなる可能性あり

 

順に説明します。

 

2-1. 問1は先端テーマ(AI、IoT、クラウド、(アジャイル?))が出題されそう

過去3年を分析すると問1は先端技術をテーマとする出題が多いです。

令和3年はチャットボット、令和2年はDX、平成31年はRPAです。

 

今年はAIかIoTかクラウドあたりが狙われるのではないでしょうか?

クラウドは単なるハイブリッドクラウドなどの概念が狙われそうです。

シラバスが改訂されているのでアジャイル開発の監査もあるかもしれませんが、

まだ改訂されたばかりで試験センターとしても採点ノウハウ(すなわち監査ノウハウ)

も整備されていないことから、アジャイルが出る可能性は低そうです。

 

AIであれば午後IIの令和2年問1、IoTであれば午後IIの平成31年問1が

参考になると思います。

 

2-2. 問1は採点基準が易しくなる可能性あり

問1は先端技術のキーワードがテーマなので、

そのキーワードを知らない受験者は敬遠しがちです。

 

そのため採点基準が他の"枯れた"テーマに比べ甘くなる可能性があり、

狙い目とするのもよい戦略だと思います。

 

2-3. 設問と問題文本文のマッピングが難しい問題の方が問題自体は易しくなる可能性あり

"設問と問題文本文のマッピング" についてまず説明します。

これは、設問と、問題文の各節が対応しているということを意味します。

 

具体例は、以下の通りです。

令和3年問3より。設問文と問題文がマッピングされている。

上記は典型的な例ですが、これはこの問題だけがそうなのではなくて、

システム監査技術者の試験は必ずこの構成になっています。

 

後述しますが、システム監査技術者の記述式の試験突破には、

設問文から問題文を逆に読み進めていき、

問題文全体の構造を串刺しで理解することが早道です。

 

それで、この設問文と問題文のマッピングが一見すると

マッピングされていないような出題があります。

そうした問題はマッピングが難しい問題ということになりますが、

マッピングが難しいということは、その分このことを知らない

他の受験者の正答率が落ちるということになるので、

逆にこのことを知っている方にとっては相対的に採点基準が甘くなる

可能性があります。

 

AUの午後I取り組み方■
ここで、システム監査技術者の午後Iの取り組み方をまとめておきます。

1. 問題文構造の表を頭の中に意識して、「縦方向に読み解く」ことを心掛ける。
設問と問題文の各章の各節が対応しているので、串刺し的に読み進める。

2. 設問で何が問われているかを、設問だけでなく本文も使って明確にする。
回答材料は問題文構造を縦方向に遡って探しに行く。

3. 監査手続が問われている場合、回答テンプレートを意識して回答する。
"リスク"が"コントロール"されていることを、"監査証跡"で確認する。

3. については午後Iに限らないシステム監査技術者の全体を成すテーマと
言ってよいです。
詳しくはこちらの記事を参照ください。
>リスク・コントロール・監査手続きについて

3. 午後II(論述)予想

過去問テーマ分析。キーワードによる独自分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは2問中1問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1は先端キーワード(DX、チャットボット、テレワーク、PoCなど)をテーマとした出題がありそう
2. 問2はオーソドックスなキーワード(新サービス、スケジュール管理など)をテーマとした出題がありそう

 

順に説明します。

 

3-1. 問1は先端キーワードをテーマとした出題がありそう

問1は従来先端キーワードとしたテーマで出題されています。

令和3年はRPA、令和2年はAI、平成31年はIoTシステムがテーマでした。

 

今年の予想ですが、DX、チャットボット、

テレワーク、PoCあたりが狙われるのではないでしょうか?

 

余談ですが、DX、チャットボットは

午後Iの近年の出題をヒントに、

テレワーク、PoCは他区分からの出題をヒントに予想しています。

 

DXはAU午後Iの令和2年問1、チャットボットはAU午後Iの令和3年問1、

テレワークはNW午後Iの令和3年問1、PoCはSA午後IIの令和3年問1を

参考にしてみるとよいでしょう。

 

3-2. 問2はオーソドックスなキーワードをテーマとした出題がありそう

一方、問2は従来オーソドックスなキーワードをテーマとして出題されています。

令和3年は他の監査の利用、令和2年はIT組織の役割・責任、平成31年はセキュリティがテーマでした。

 

予想する材料が少ないですが、新サービス、スケジュール管理

あたりが狙われるのではないでしょうか?

 

新サービスに関してはST区分の過去問のチェックを、

スケジュール管理に関してはPM区分の過去問のチェックを

行ってみましょう。

 

 

AUの午後II取り組み方■
ここで、システム監査技術者の午後IIの取り組み方をまとめておきます。

午後Iと同様、リスク・コントロール・監査手続の3点セットを
論述に落とし込むことが重要です。
詳しくはこちらの記事を参照ください。
>リスク・コントロール・監査手続きについて

なお、実際の例として、以下の過去問に関する記事も参考ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

また、他区分にヒントを求めるとしたら、圧倒的にPM区分がよいでしょう。
監査の対象とするプロセスは、多くの場合はプロジェクトであるためです。
その際、リスクとコントロールについてはPMが行うべきものであり、
その徹底具合をAUが監査手続によって監査する、という関係性を
頭に入れておきましょう。
 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

システム監査技術者を受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

プロジェクトマネージャー 出題予想(令和4年秋)

本記事では令和4年秋向けのプロジェクトマネージャーの

出題予想を大胆に行っています。

 

※予想は筆者の独断です。読者の責任でご活用ください。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回プロジェクトマネージャーを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題(記述・論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去問分析。令和2年の出題は注目。

上図は過去3年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、「2回前」の出題との一致率が高いです。

過去問から対策する場合は令和2年秋の試験出題から勉強すると効率的でしょう。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. RACIチャートに関する出題が今年も出そう
2. 令和2年秋のPM系出題(問1~14)から同じ問題が5~6問出そう
3. 令和2年秋のPM以外の出題(問15~25)からも2問くらい同じ問題が出そう
4. 計算問題は今年も1~2問出そう
5. PMBOK 7 版準拠の問題は初出があるかも

 

順に説明します。

 

1-1. RACI チャートに関する出題が今年も出そう

3年分の過去問を分析すると唯一 RACI チャートというキーワードは

平成31年問2、令和2年問4、令和3年問2と、3年連続で出題されています。

 

令和2年秋問4。正解はア。

 

試験センターの好みなのかもしれませんが、今年も

RACI チャートは出題されるかもしれません。

 

1-2. 令和2年秋のPM系出題(問1~14)から同じ問題が5~6問出そう

前回(令和3年秋)と3回前(平成31年春)を比較すると、

ステークホルダ、RACIチャート、クリティカルチェーン法、

感度分析、傾向分析などが重複して出題されています。

 

このことから今年も前々回(令和2年秋)から同じ問題が

出題される可能性が高いです。

プロジェクト憲章、クリティカルパスあたりは昔からの頻出なので

今回も出題されるのではないでしょうか?

 

令和2年秋問3。正解はエ。

 


1-3. 令和2年秋のPM以外の出題(問15~25)からも2問くらい同じ問題が出そう

同様に、PM以外の区分からの出題も2回前から使いまわしで

出題されています。

令和3年と平成31年の場合は、問17マッシュアップ(SA区分)と

問25DNSSEC(SC区分)が同じで、問題番号まで同じです。

 

令和2年からを参考にすると、問18DAとDBA、問25ファジングなどは

昔からの頻出なので、出題されるかもしれません。

 

令和2年秋問18。正解はイ。


1-4. 計算問題は今年も1~2問出そう

工数やコストのために計算させる問題が毎年出ています。

平成31年の問8,9や令和2年の問13、令和3年の問8,13などです。

今年も出題される可能性があるのでチェックしておきましょう。

令和2年秋問13。正解はエ。

 

計算問題は時間を取られるので、時間配分に注意しましょう。

 


1-5. PMBOK 7 版準拠の問題は初出があるかも

今期からは IPAシラバス更改があり、出題範囲が変わる可能性があります。

これまではPMBOK 6 版から引用した出題が多かったですが、

今期からはPMBOK 7 版も出題対象になると考えられます。

PMBOK 7 版に関する基礎知識も、おさえておければ心強いでしょう。

 

IPAシラバス改版に関するまとめ記事や PMBOK 7 版との関係に

ついては、以下記事を参考ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

2. 午後I(記述)予想

過去問テーマ分析。他試験区分やPMBOK知識エリアの観点で分析。

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは3問中2問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. ST寄りの出題が出題されそう
2. アジャイル開発を前提とした出題がありそう
3. チームやステークホルダ管理が出そう

 

順に説明します。

 

2-1. ST寄りの問題が出題されそう

過去3年を分析するとST寄りの出題が多いです。

令和3年は問1,2、令和2年は問1~3、平成31年は問2が該当します。

 

ここでST寄りとは、組織体を取り巻く背景や事業戦略から説明され、

どのような施策が組織体にどのようなメリットをもたらすかという

タイプの設問が多い問題のことです。

 

情報システムに求められる役割はますます多様化・高度化

していることから、プロジェクトマネージャー区分の問題でも、

戦略的な比重の高い出題が増えることが予想されます。

 

ITストラテジストの資格をすでに持っている方はその復習を、

持っていない方も、課題に対してどう分析して施策を講じれば解決するか

という考え方を身につけておくと解ける問題が増えるでしょう。


2-2. アジャイル開発を前提とした出題がありそう

IPAシラバスが更改されたことに伴い、今後は

よりアジャイル開発を前提とした問題が出題されると思います。

 

注目は令和2年の問2がそのはしりであると言えるでしょう。

 

スプリントに応じ開発を進めたり

そのために組織を作り直すことをしたりするなど、

参考になるアジャイル対応するPMの振る舞いや

設問が見られます。

 

アジャイル用語の重要性については

以下リンクを参考にしてください。

>アジャイル用語を習得する


2-3. チームやステークホルダ管理が出そう

PMBOK 6 版で提唱される10の知識エリアで過去問を分析すると、

チーム管理・ステークホルダ管理・コミュニケーション管理が

頻出傾向にあります。

令和3年の問1,3、令和2年の1~3問が該当します。

 

今年もこの知識エリアからの出題が見込まれます。

 

IPA の新シラバスからも、激しい変化の波を乗り越えるために

チームメイキングが重要であると読み取れます。

このあたりのことは以下のリンクをご参照ください。

>IPA シラバス ver4.9 変更のまとめ

 

さらにPMBOKで提起される10の知識エリア別で

対策を整理しておくことも重要です。

これについては以下の記事を参考ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

3. 午後II(論述)予想

過去問テーマ分析。PMBOK知識エリアの他、キーワードをつけて独自分析。

 

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは2問中1問を選択します。

自分にとって相性のよいものを選択できるよう、

出題予想を参考にしてください。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. アジャイル開発を前提とした体制に関する出題がありそう
2. 救済のため?オーソドックスなQCDに関する出題がありそう

 

順に説明します。

 

3-1. アジャイル開発を前提とした体制に関する出題がありそう

午前IIや午後Iの予想の時にも触れましたが、

今期はIPAシラバスが変わってからの初の試験となるため、

アジャイル開発を前提とした出題があるか注目されます。

 

採点基準もまだ整っていないことが想定されるので、

自分の経験に自信があれば多少の体裁が失われていたとしても

するりと合格できる狙い目かもしれません。

 

情報は少ないですが、参考になるのは

午後Iの令和2年度の問2や、

他区分になりますがSAの令和3年度の問1を

読んでみてください。

 

後者は本ブログでも対策記事をアップしています。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

IPAシラバスの分析も合わせてしておくとよいでしょう。

>IPA シラバス ver4.9 変更のまとめ

 

3-2. 救済のため?オーソドックスなQCDに関する出題がありそう

オーソドックスなQCD(品質・コスト・納期)に関わる出題も

されるのではないかと予想します。

PMBOK の知識エリアでいっても、コスト管理・納期管理・品質管理

あたりが出題されるのではないでしょうか?

その根拠は大きく分けて2つあります。

 

  • 2問中1問はアジャイル系が出題されるので、想定していない受験者を救済するため
  • アジャイル系はチーム管理・コミュニケーション管理・ステークホルダ管理の色彩が濃いので、もう1問はそれ以外が出る

 

PMBOKの知識エリアで言うと、チーム管理・コミュニケーション管理・

ステークホルダ管理は頻出テーマでした。

それがアジャイルのためでないとすると、次に頻出である

納期管理・コスト管理・品質管理あたりが出ることが考えられます。

 

さらに令和3年時点で納期管理が出題されていることを考えると、

コスト管理・品質管理あたりが狙われるのではないでしょうか?

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

プロジェクトマネージャーを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

情報処理安全確保支援士 セキュリティインシデント【記述式の徹底解説】(令和3年秋午後1問1)

 

本記事では情報処理安全確保支援士の午後I(記述)対策として、

令和3年問1で出題された過去問の解説をします。

 

 

問題

過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

問題文全文

出題趣旨(試験センターより)

 

問題特性

出題年度 令和3年秋 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 10
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
記述(20字以上) 4
設問文ページ数 1ページ 記述(20字未満) 2
総合難易度 単語抜き出し 4
総評(筆者) セキュリティインシデントの再発防止がテーマ。FWルールの読解、SSHサーバ設定の改善に関する知識があれば十分合格圏内の得点ができるものと思われる。時系列を整理して解答させる問題(設問2(2))があったのが特徴的。

近年の頻出テーマであるセキュリティインシデントからの

出題です。

 

昨今主流になりつつあるリモートワークを題材に、

業務環境へのアクセス経路に対するセキュリティ、

インシデント、改善策について問われます。

 

ファイアウォールSSHアクセスの設定に関する経験が

あると有利です。

 

解法

設問1 〔顧客管理サーバの保守方法〕について

(1) SSH接続する際のエラーメッセージから想定される状況

設問タイプ 記述(20字以内) 対策 知識
難易度 配点(筆者予想) 5
正答

・接続先が保守用中継サーバではない

・中間者攻撃を受けている

SSHアクセスに関する知識が必要であり、

平常運用時にも意識されることが少ない領域であるためか、

試験センターからの採点講評でも正答率は低と公表されています。

 

空欄 a の場所は〔顧客管理サーバの保守方法〕です。

保守用中継サーバに初めてSSH接続する際の接続先確認方法より抜粋(3ページ)

 

SSH接続での運用を経験したことがあれば、

初めてSSHで接続する際に

Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?

という警告メッセージが表示されることについて

記憶のある方もいるのではないでしょうか?

 

SSH接続におけるフィンガープリント(直訳:指紋)は、

接続先サーバを特定する情報です。

攻撃者としては接続先サーバになりすまして、

接続を待ち受け秘匿情報を窃取したり、

セッションをハイジャックしたりします。

 

もしもSSH接続する際に接続先確認に関する警告メッセージが

表示されるということは、

接続しようとしているサーバの情報(フィンガープリント)が変わったか、

なりすまされている可能性がある、ということです。

 

回答としては、接続先サーバが正しくないことや、

フィンガープリントが防御しようとしている中間者攻撃を

答えれば正答となるでしょう。

 

正答:

・接続先が保守用中継サーバでない(15字)

・中間者攻撃を受けている(11字)

 

■フィンガープリントと中間者攻撃について■
具体的にフィンガープリントが変わるとどのようなエラーが出て、
どのような対処が考えられるかは以下サイトが参考になります。

qiita.com


実際の運用においてもサーバを入れ替えた結果フィンガープリントが
変わり、SSH接続時にエラーが出るのはよくあることです。

ただ、フィンガープリントはなりすましを検知するための
チェック機構ですので、本来の目的を忘れないようにしたいものです。
 
(2) 一般利用者権限を与える理由

設問タイプ 記述(25字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 6
正答 操作ログの改ざんや削除を防止するため

ログに関するファイルを脅威から防御するという視点で

読み進めれば自ずと正答できる問題と思います。

 

識別・認証・認可方法(3ページ)

下線部①は保守用中継サーバの利用者IDに一般利用者の権限を与える

という内容です。

保守用中継サーバと顧客管理サーバを対比させて説明しているので

両者の関係も頭に入れておく必要があります。

 

ネットワーク構成図。緑線は接続パスをイメージ。(2ページ)

保守員は顧客管理サーバ上で作業を行うので、

顧客管理サーバ上では特権利用者の権限を与えられています。

保守用中継サーバ上では一般利用者の権限に限定されているので、

その目的を回答すれば出題の意図に合いそうです。

 

一般に、「権限は最低限に」がセキュリティの基本ですから、

その姿勢で読めば自然と解答のヒントとなる箇所が見えてくると

思います。

 

設問文には「操作ログ」という言葉を用いてという指定があるので

ログの部分も読み進めます。

 

ログ(3ページ)

操作ログに関する部分は緑線を引きましたが、

  • 保守用中継サーバでのコマンド実行及びその結果
  • 顧客管理サーバでのコマンド実行及びその結果

が保守用中継サーバに記録されるとあります。

 

もしも保守用中継サーバ上で一般利用者の権限ではなく

特権利用者の権限を保有していると、これらの記録の

隠蔽や悪意ある修正、誤った削除の危機にさらされることになります。

 

正答としては次のようになります。

 

正答:操作ログの改ざんや削除を防止するため(18字)

 

(3) FWのフィルタリングルールの穴埋め

b

設問タイプ 抜き出し 対策 知識
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 保守用PC-A

c

設問タイプ 抜き出し 対策 知識
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 インターネット

 

ファイアウォールの設定に慣れた方やネットワークスペシャリスト

保有している方には易しい問題です。

そうでなくてもネットワーク図とフィルタリングの表を

突き合わせて整理すれば正答にたどり着くことができます。

 

ネットワーク図。フィルタリングルールの矢印を追記。(2ページ)

上図にはひとまず1. 2. 5. 6. に関するフィルタリングルールの方向を

矢印で記載しました。

 

フィルタリングルール表。SSH接続に関するルールを緑で追記。(4ページ)

問題となっているのはフィルタリングルールの 3. と 4. なので

空欄以外の部分を見ると、これらはどちらも

保守用中継サーバを宛先にSSHで接続する際のルールである

ということが読み取れます。

 

保守用中継サーバにアクセスするのは保守用PCだけなので、

ルールの3.が許可であることからアクセス可能であるPCを、

ルールの4.が拒否であることからアクセスしてはいけないものが

空欄に入ることになります。

 

まずルールの3.ですが保守用PCはA,B,Cの3台ありどれが入るかを

考えます。

保守用PC-Aは固定のプライベートIPアドレスが付与されている

という記載があるため、フィルタリングルールに定義するのに

適切です。

図1 J社ネットワーク構成(抜粋)の注記1(ページ2)

一方保守用PC-Bと保守用PC-Cは固定のグローバルIPアドレス

付与されないので、フィルタリングルールに定義するのに

不適切であると考えられます。

接続経路と接続方法(3ページ)

典型的で流通量の多いファイアウォールは、レイヤ3、4の情報で

フィルタリングルールを定義するのが一般的です。

端末を特定する意図の場合、IPアドレスを固定できるかは

重要な条件です。

 

正答:(空欄 b )保守用PC-A

 

次に空欄 c ですが前問に比べヒントが少ないので

難易度は中と評価しました。

 

フィルタリングルール表。SSH接続に関するルールを緑で追記。(4ページ)

ルール4.も保守用中継サーバにSSH接続するルールについての

定義ですが、動作は「拒否」としています。

さらに注1の部分(緑線で記載)を読むと、保守PC-Bと保守PC-Cの

アクセスの際だけ「許可」に変更すると読み取れます。

 

つまりこのルールは保守PC-Bと保守PC-Cに関する通信に

合致するものであると考えられるので、

これらはインターネット経由でアクセスしてくることを考えると、

空欄の中身は「インターネット」ということになります。

 

保守PC-Bと保守PC-Cに関するルールが他に定義されている

可能性もありそうですが、上記表の注記2には、

「項番7~14にはSSHに関するルールはない」とあるので、

その可能性はないということが分かります。

こうしてみると注記2もヒントであることが分かります。

 

正答:(空欄 c )インターネット

 

設問2 〔セキュリティインシデントの発生と対応〕について

(1) FWログに記録されるフィルタリングルール

設問タイプ 抜き出し 対策 知識
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 6

この問題も設問1(3)と同様ファイアウォールのフィルタリングルール表の

見方が分かれば易しい問題です。

まずは下線部②を確認します。

セキュリティインシデントの発生と対応〕(抜粋)(5ページ)

「試みていたことがわかった」という記載から、

通信は成立せず失敗していたことが読み取れます。

よってFWログは「拒否」となっているフィルタリングルールで

記録されたことが分かります。

フィルタリングルール表。拒否ルールは4か6か15。(4ページ)

拒否ルールは4か6か16なので、この中から選択します。

ルール4は設問1(3)の結果からインターネットからのアクセスですので、

下線②とは通信の方向が逆です。

ルール6とルール15はどちらも下線②の条件を満たしますが、

こうした場合は注記1の通り、項番が小さい順に評価し

最初に合致したルールが適用されることから、ルール6が正答となります。

 

一般的なFWはこの動作を採用しており、

条件が複数合致する場合は最初のルールを適用する動きのことを

ファーストラインマッチと言います。

 

正答:6

 

(2) 第三者SSH接続可能だった期間

設問タイプ 抜き出し 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 6月14日の7時0分から6月14日の9時30分まで

セキュリティインシデント発覚に対する事実確認に

関する設問で、登録セキスぺの振る舞いとして実践的な

問題です。

まずは事実確認した内容を読み込みます。

時間に関する記述を緑線で追記(5ページ)

時系列を整理したものが次の図です。

問題文に登場するS氏も第三者がop1のパスワードを推測して

不正アクセスした可能性が高いと判断しています。

設問には「第三者SSH接続可能だった期間」を問われているので、

保守PC-Cによる作業申請時間、すなわちFWルールが許可になる時間が

正答となります。

 

op1での認証が成功した7時40分からという時間も気になりますが、

SSH接続可能だった期間」という設問に沿って

正答は以下の通りです。

 

正答:6月14日の7時0分から6月14日の9時30分まで

 

設問3 について

設問3については有料とはなりますが、

以下の note の記事をご購入いただき、

末尾よりご確認をお願いします。

note.com

 

総評

解答一覧

設問 正答 配点
(筆者
予想)
設問タイプ

対策


1
(1) ・接続先が保守用中継サーバではない
・中間者攻撃を受けている
5 記述(20字以内) 知識
(2) 操作ログの改ざんや削除を防止するため 6 記述(25字以内) 読み方を覚える
(3) b 保守用PC-A 4 抜き出し 知識
c インターネット 4 抜き出し 知識


2
(1) 6 4 抜き出し 知識
(2) 6月14日の7時0分から6月14日の9時30分まで 5 抜き出し 解き方を理解する


3
(1) ・保守員以外が不正に秘密鍵を利用できないようにするため
秘密鍵が盗まれても悪用できないようにするため
・保守用PCの紛失時に拾得者が秘密鍵をできないようにするため
7 記述(30字以内) 知識
(2) パスワード認証 5 記述(10字以内) 知識
(3) 秘密鍵 4 記述(5字以内) 知識
(4) 送信元IPアドレスを固定にする 6 記述(20字以内) 知識

採点講評(試験センターより)

問題特性(再掲)

出題年度 令和3年秋 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 10
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
記述(20字以上) 4
設問文ページ数 1ページ 記述(20字未満) 2
総合難易度 単語抜き出し 4
総評(筆者) セキュリティインシデントの再発防止がテーマ。FWルールの読解、SSHサーバ設定の改善に関する知識があれば十分合格圏内の得点ができるものと思われる。時系列を整理して解答させる問題(設問2(2))があったのが特徴的。

 

いかがでしたでしょうか?

 

個人的には登録セキスぺを保持するS氏が登場し、

インシデントに対する状況確認、影響把握、改善提案を

行っている様子が実務上の振る舞いも彷彿とさせ印象的でした。

 

本記事は当ブログで情報処理安全確保支援士の

記述式の初の解説記事です。

今後、過去問の徹底解説記事を充実して参ります。

 

ではそれまで。

エンベデッドスペシャリスト ペット医療の点滴で用いるシリンジポンプ【記述式の徹底解説】(令和3年秋午後1問1)

 

本記事ではエンベデッドスペシャリストの午後I(記述)対策として、

令和3年問1で出題された過去問の解説をします。

 

 

問題

過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

問題文全文

出題趣旨(試験センターより)

 

問題特性

出題年度 令和3年秋 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 11
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
記述 3
設問文ページ数 2ページ 単語抜き出し 5
総合難易度 計算問題 3
総評(筆者) ハードウェア・ソフトウェアいずれの知識も求められるがどちらかというとソフトウェア中心。計算問題はパルスと回転角度の知識を抑えていれば怖くない。「設定完了」を始めとする状態遷移は細かく仕様を追いかけて回答する必要がある。タスクの処理概要やタスク間通信に関する出題もオーソドックスな内容。

 

ペット医療で用いるシリンジポンプを題材とした

主にソフトウェアの知識を問う問題です。

 

エンベデッドスペシャリストは問題の特性として

午後I、午後IIともに、

ハードウェア型ソフトウェア型に分かれます。

 

ご自身の専門や興味に応じて選択するのがよいでしょう。

 

■COLUMN ~令和スタイル?~■
エンベデッドスペシャリストの午後Iは平成31年春期まで
1問は必須、残りの1問を2問から選択する形式でした。
令和元年秋期から他試験と同様、単純に3問から2問を選択する
形式に変更されています。

 

解法

設問1 Sポンプの仕様

(1) 状態表示領域に表示される可能性のある状態

 

設問タイプ 抜き出し 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 「設定可」「設定中」「準備中」

 

ステータス遷移の把握力を問う問題です。

どこにステータスに関する情報が載っているかを探しましょう。

また問題文を読む段階から、ステータスに関する記載があったら

チェックをするクセをつけましょう。

 

本問は4ページ~5ページ(〔設定項目の設定動作の概要〕、

〔点滴動作の概要〕)に主に書かれています。

登場する状態遷移については次に丸枠で示した通りです。

ステータス種類は色で区別。初出のステータスは太線。

ステータス種類は色で区別。初出のステータスは太線。

登場するステータスは

「設定可」「設定中」「設定完了」「準備中」「準備完了」「点滴中」

の6種類です。

 

設問には、「"設定完了"から"準備完了"までの間に」という

指定がありますから、その間のステータス遷移を把握しておけば

よいことになります。

 

下記の図は、"設定完了"から"準備完了"までの間の

ステータス遷移を図に起こしたものです。

3つのステータスを回答すればよいので、

まず「準備中」は回答できるでしょう。

残りの2つは問題文をよく読むと、

「設定完了」状態から設定開始キーが押されると「設定中」になると

書かれているので、「設定中」も正答です。

さらに「設定中」から設定項目を編集して設定項目を不足させて

設定終了キーを押すと「設定可」にも戻るので、

「設定可」も正答となります。

 

ステータスの選択肢は多くないので、上のような図を作成せずとも、

消去法で検討すればスピーディに回答することができるでしょう。

 

正答:「準備中」「設定可」「設定中」

 

(2) 準備キーによるレバーの移動距離

設問タイプ 計算 対策 知識
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 0.5


計算問題ですが、エンベデッドスペシャリスト特有の

知識を求められる箇所があります。

順を追って説明します。

 

まずは準備キーを押した際の動作について確認します。

〔点滴動作の概要〕(1) ①の説明(4ページ)

パルスレートは3,200PPS ということが記載されています。

次にレバーの移動距離を算出するのに必要な情報が

記載されている箇所を探します。

Sポンプの機能概要(3ページ)

上記の表に

  • 1パルスでモータが1.8度回転
  • モータ16回転でシャフト1回転
  • シャフト1回転でレバー0.5mm移動

の記載があります。

 

あとは計算問題ですが、ここでパルスと回転度数の関係を

頭に入れて置かないとミスが生じます。

具体的には、1パルスでモータは1.8回転するのではなく

1.8「度」回転するということです。

(モータを1回転させるには、360度÷1.8度=200パルス必要)

 

このあたりはもし「度」の文字を見落としても

専門分野としての常識があれば

すぐに「1.8回転なんてあり得ない」と軌道修正できますが、

そうでない人は与えられた情報から直ちに計算してしまい、

落とし穴にはまります。

 

以下が計算の考え方となります。

モータを1回転させるには360度÷1.8度=200パルス必要。

準備キーを押された時に1秒につき3200パルス発生するから、

モータの回転数は3200パルス÷200パルス=16回転。

シャフトを1回転させるのに16回転が必要だから

シャフトの回転数は16回転÷16回転=1回転。

シャフト1回転でレバーは0.5mm進むから、

レバーの1秒間に進む距離は0.5mm×1回転=0.5mm。

 

 

答えは小数第一位で回答するので、0.5が正答。

 

正答:0.5

 

(3) シャフトとパルスレートの算出

設問タイプ 計算 対策 知識
難易度 配点(筆者予想) 各4 (計8)
正答 シャフト:144 パルスレート:128

 

計算問題ですが、パルスの回転度数の考え方があるので、

知識を求められる問題として分類しています。

パルスと回転度数の関係については前問 (2) で詳しく解説しているので

ご確認ください。

 

本問題は設問文と下記表があれば回答することができます。

Sポンプの機能概要(3ページ)

設問文より

  • 押し子が1mm動くと0.1ml点滴される
  • 7.2ml/時で点滴したい

と記載されています。

このことから、1時間で動作させたいレバーの移動距離は

7.2ml÷0.1ml=72mmとなります。

 

シャフトは1回転につきレバー(押し子)が0.5mm動くので、

1時間の間に72mm動かすために必要なシャフトの回転数は

72mm÷0.5mm=144回転となります。

 

次にパルスレートですが、1時間にシャフトが144回転している

ということはモータの回転数は

144回転×16回転=2304回転です。

 

一方、モータを1回転させるのに必要なパルス量は、

1パルスにつき1.8度モータが回転するから

360度÷1.8度=200パルス必要です。

よって2304回転には200パルス×9=460800パルス必要です。

 

パルスレート(PPS=Pulse Per Second)は1秒単位の

パルス量なので、単位を1時間から1秒に直す必要があります。

1時間は3600秒なので、460800パルス÷3600秒=128PPSとなります。

 

整数で回答するので、正答は以下の通りです。

 

正答:シャフト「144」パルスレート「128」

 

設問2 Sポンプのソフトウェア

(1) 状態表示領域に表示される可能性のある状態

a

設問タイプ 抜き出し 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 キー判定

 

b

設問タイプ 記述(20字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 設定終了キーが押されたこと

 

aはタスク名の抜き出しで、bは20字以内の記述です。

ただしaもbも同じ文中の空欄なので合わせて考えましょう。

 

表3 Sポンプの主なタスクの処理概要(抜粋)(6ページ)

「設定」タスクにおける説明文の空欄であることが分かります。

このように何のタスクから何の通知を受けるとどうする、という

設問はエンベデッドスペシャリストの頻出問題です。

 

この手の問題はタスク構成図がセットになっていることが多いので、

チェックして読み取り方を覚えましょう。

 

図4 Sポンプの主なタスク構成(5ページ)

空欄の a は通知の出し元のタスク名であることが読み取れるので、

図から「設定」タスクに向かう矢印の向きから、

「キー判定」タスクか「メイン」タスクのいずれかであることが

分かります。

 

ここから先は「キー判定」タスクと「メイン」タスクの説明を

より詳しく見ていきます。

表3 Sポンプの主なタスクの処理概要(抜粋)(6ページ)

キー判定タスクの説明を読むと状態に応じて

判定したキーの情報の通知先が異なることが分かります。

  • 設定中であれば「設定」タスクに通知
  • 設定中以外であれば「メイン」タスクに通知

空欄 a の文には設定開始後にある通知を受けると設定終了する、ということが

書かれていますから、状態としては「設定中」であることが考えられます。

 

「設定中」の時には キー判定タスク→設定タスク の流れで

キー情報の通知を受けるので、空欄 a の回答はキー判定タスクとなります。

なお、「設定中」以外の時(たとえば「設定可」の時など)は、

キー判定タスクからのキー情報の通知はメインタスクを経由する

ことになります。

 

次に空欄 b ですが、文末に「設定終了を通知する」と書かれていますから、

設定終了に関する通知を受けた時と推測できます。

設定中~設定終了に関するステータスの説明が書かれている箇所を

詳しく確認します。

〔設定項目の設定動作の概要〕(3) (4) の説明(4ページ)

上の図の下線で引いた通り、設定終了キーが押されると設定タスクと

しての機能は完了します。設定タスクとしては、キーが押下されたことを

自分で知ることはできないので、キー判定タスクから

「設定終了キーが押されたこと」を通知されることによって

設定終了することができます。

以上より空欄 b には「設定終了キーが押されたこと(13字)」が入ります。

 

正答: (a) キー判定 (b) 設定終了キーが押されたこと(13字)

 

(2) パルスレート、パルス数の算出に必要な設定情報

設問タイプ 抜き出し 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 シリンジID、点滴流量、点滴量

 

まずは空欄 c を含む文章を確認します。

表3 Sポンプの主なタスクの処理概要(抜粋)(6ページ)

点滴制御タスクに関する記述であり、

空欄 c をもとにパルスレート、パルス数を算出するとあります。

また設問文にも「適切な設定項目を全て」とあることから、

設定項目が書かれている箇所を確認しにいきます。

 

〔設定項目の設定動作の概要〕の冒頭文(4ページ)

4つの設定項目の説明が書かれています。

パルスレートやパルス数は設問1の計算問題にもあった通り

薬剤を点滴する量や速度に関わる変数ですので、

点滴流量と点滴量は間違いなさそうです。

 

シリンジIDは読み落としがありそうですが、

その説明には内径と長さを含んでいるので、

シリンジIDも算出に必要な情報となりそうです。

 

何をもとに算出しているかの決定打として、以下の記述があります。

〔点滴動作の概要〕(2) ①の説明(5ページ)

①に答えが書いてあると言ってよいでしょう。

 

このことは、設問1 (3) の設問文にもヒントがあります。

設問1 (3) の設問文(6ページ)

「シリンジIDで設定されたシリンジにおいて」

「押し子1mmで薬剤が0.1ml出る"場合"で」

という記述から、シリンジIDの内径や長さも

薬剤投与量の算出に必要であることが判断できます。

 

正答:シリンジID、点滴流量、点滴量

 

(3) 周期タスクから点滴制御タスクの通知状況と事象

状態情報

設問タイプ 抜き出し 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 2
正答 「点滴中」

発生した事象

設問タイプ 記述(25字以内) 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 7
正答 圧力センサの出力値が基準値を超えた事象

前者は状態情報が問われていることに注意が必要です。

採点講評においても、状態情報ではない答え方をした

受験者は多かったようです。

後者は事象が問われていますが、図表に加え動作概要・仕様に

ついても理解して解答にたどり着く必要があります。

タスク名やステータス情報をヒントに問われている事象を問題文から

探し回るプロセスを理解してください。

 

まずは設問文から「点滴制御タスク」と「周期タスク」に関する

概要を確認しにいきます。

表3 Sポンプの主なタスクの処理概要(抜粋)(6ページ)

詳しく読むにあたり、両タスクの関係にも着目しておきます。

図4 Sポンプの主なタスク構成(5ページ)

タスク構成の図より、メッセージの通知は

周期タスクから点滴制御タスクの一方通行であることが分かります。

 

このあたりのことも、周期と命名されるようなタスクが

事象の「検知」や「監視」を目的とすることが多いことを知っていると、

全体像が頭に入ってきやすくなります。

 

以上のことを前提に表3のタスクの処理概要を読み進めます。

まず周期タスクですが、通知される可能性のある情報に注目すると

  • 電源の信号線の情報
  • 光学センサ1,2のON/OFF情報
  • 圧力センサの出力値が基準値を超えたことを示す情報

の3つが候補に上がります。

 

次に点滴制御タスクを読み進めますが、周期タスクからは

一方的にメッセージを受け取るだけという関係性なので、

「受ける通知」に着目してピックアップします。

すると以下の候補があります。

  1. 点滴準備開始の通知(1文目)
  2. 点滴開始の通知(2文目)
  3. 指定されたパルス数分だけモータを駆動した事象(3文目)
  4. 圧力センサの出力値が基準値を超えた事象(3文目)
  5. モータの停止の通知(4文目)

この中で 3 ならびに 4 は「通知」という明記はありませんが、

点滴制御タスクとして「通知されてはじめて認識する可能性」を

視野に入れてピックアップしています。

 

この5点の候補を、先ほどの周期タスクから通知される可能性のある

3つの候補と照らし合わせて1つ1つ検討すると、下記の通りとなります。

 

  1. 点滴準備開始の通知は周期タスクが通知する中にはありません(準備キーを押された事象がメインタスク経由で通知される)
  2. 点滴開始の通知は周期タスクが通知する中にはありません(点滴キーを押された事象がメインタスク経由で通知される)
  3. 指定されたパルス数分だけモータを駆動した事象は周期タスクが通知する中にはありません(点滴制御タスク自身が算出したパルスレート、パルス数からモータの駆動量と駆動完了を判断できる)
  4. 圧力センサの出力値が基準値を超えた事象は周期タスクから通知されて認識します
  5. モータの停止の通知は周期タスクが通知する中にはありません(停止キーを押された事象がメインタスク経由で通知される)

以上より、事象に関する解答は「圧力センサの出力値が基準値を超えた事象」

となります。

 

またこの時の状態情報ですが、点滴動作中の状態情報が

説明されている箇所を確認します。

〔点滴動作の概要〕(2) の説明(5ページ)

周期タスクにより圧力センサの出力値が基準値を超えた事象が

通知されるときのステータスは「点滴中」が解答となります。

 

なお上述の〔点滴概要の説明〕の(2)の②には他の事象として

  • 点滴量の点滴を完了した事象
  • 停止キーが押された事象

という候補もありますが、いずれも周期タスクが通知する中には

ありません。

 

正答:(状態情報)点滴中 (発生した事象)圧力センサの出力値が基準値を超えた事象(19字)

 

設問3 作業ミスの防止機能の追加

設問3では半ページほどの追加機能の説明が

設問文に載っています。

 

(1) メインタスクで制御する処理

設問タイプ 抜き出し 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 (d) 設定開始 (e) 設定中
(f) 準備 (g) 準備中

 

穴埋め問題であり、空欄 d と f はキーの名称を、

空欄 e と g は状態情報を埋めればいいことは予想がつきます。

あとは前後の条件を手掛かりに該当箇所を探せば

無理なく正答を見つけられると思います。

 

まずは作業ミスを防止する機能について整理します。

設問3 より(抜粋)(7ページ)

設問文を読み進めると設定作業ミスを防ぐという目的があり、

そのために「設定完了」ステータスの時にリーダで情報を読み込み

判定を行うという想定であることが分かります。

 

ステータス遷移図にリーダによる判定の遷移を加えた図は

以下の通りです。

作業ミスがあった場合は「設定可」に戻ると記載がありますが、

作業ミスがなかった場合はそのまま先の工程に進めると

理解できますので、ステータスは変わらないものと考えられます。

 

また表示部につけられたリーダの状態を示すアイコンについても

記載があるので整理します。

設問1 (3) の設問文(6ページ)

灰色の丸で示した箇所がアイコンの表示ステータスを示しており、

遷移図を書くと次の通りです。

このことより、リーダから情報を読み込み作業ミスの判定を行うには

  • リーダアイコンが点滅状態であること
  • ステータスが「設定完了」状態であること

が条件であることが分かります。

 

設問(1)ではメインタスクで変更する処理として

上述のステータス遷移とキー操作に関わる不具合を

防止すると述べられています。

 

リーダによる作業ミス判定は「設定完了」状態で

行う必要がありますので、それ以外の状態に遷移しないように

メインタスクで制御する必要があります。

 

具体的には下図の吹き出しで示した遷移は制御する必要があります。

すなわち

  • 設定開始キー押下による設定中への遷移
  • 電気残量OKかつ準備キー押下による準備中への遷移

を無効とします。

 

以上より、空欄にあてはめます。

 

正答:d 設定開始 e 設定中 f 準備 g 準備中

 

(2) 作業ミスの判定が行われない条件

設問タイプ 記述(40字以内) 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 8
正答 状態表示領域に「設定完了」が表示されているときにリーダが接続された場合

状態表示領域に表示するステータスの遷移と

リーダのアイコンステータスの遷移を詳しく把握すれば

解答可能な問題です。

 

ただ前問は穴埋め問題で前後にヒントが多かったのに対し、

本問は遷移条件を把握したうえで制限字数内で記述する必要があり

正答率としては低かったようです。

 

前問で整理したように作業ミスの判定条件は、

  • リーダアイコンが点滅状態であること
  • ステータスが「設定完了」状態であること

です。

 

アイコンに関するステータス遷移図を再掲します。

 

上記を見ると、「リーダアイコン:点滅」に遷移するためには

  • 直前のアイコンステータスが点灯であること
  • ステータスが「設定完了」に遷移すること

の条件があることが分かります。

 

設問文には「リーダを接続したのにアイコンが点滅せず」

という前提が書かれているので、上の条件を検討すると、

  • 直前のアイコンステータスが点灯である条件は満たされている(設問文により、リーダが接続されていることが分かるので)
  • ステータスが「設定完了」に遷移するという条件は満たされているとは限らない(すでにステータスが「設定完了」状態にある場合)

ということが分かります。

 

解答にあたっては、

  • すでにステータスが「設定完了」状態にあること
  • その状態でリーダが接続されたこと(設問文の前提に寄せる)

を織り交ぜて回答するとよいでしょう。

 

正答:状態表示領域に「設定完了」が表示されているときにリーダが接続された場合(35字)

 

総評

解答一覧

設問 正答 配点
(筆者
予想)
設問タイプ

対策


1
(1) 「設定可」「設定中」「準備中」 4 抜き出し 読み方を覚える
(2) 0.5 4 計算 知識
(3) シャフト 144 4 計算 知識
パルスレート 128 4 計算 知識


2
(1) a キー判定 4 抜き出し 読み方を覚える
b 設定終了キーが押されたこと 5 記述(20字以内) 読み方を覚える
(2) シリンジID、点滴流量、点滴量 4 抜き出し 読み方を覚える
(3) 状態情報 「点滴中」 2 抜き出し 読み方を覚える
発生した事象 圧力センサの出力値が基準値を超えた事象 7 記述(25字以内) 解き方を理解する


3
(1) (d) 設定開始 (e) 設定中
(f) 準備 (g) 準備中
4 抜き出し 読み方を覚える
(2) 状態表示領域に「設定完了」が表示されているときにリーダが接続された場合 8 記述(40字以内) 解き方を理解する

採点講評(試験センターより)

問題特性(再掲)

出題年度 令和3年秋 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 11
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
記述 3
設問文ページ数 2ページ 単語抜き出し 5
総合難易度 計算問題 3
総評(筆者) ハードウェア・ソフトウェアいずれの知識も求められるがどちらかというとソフトウェア中心。計算問題はパルスと回転角度の知識を抑えていれば怖くない。「設定完了」を始めとする状態遷移は細かく仕様を追いかけて回答する必要がある。タスクの処理概要やタスク間通信に関する出題もオーソドックスな内容。

 

いかがでしたでしょうか?

 

全体としては計算問題が設問1に、タスクの処理概要に関する設問が

設問2に集中している印象でした。

また設問3は(2)が難問ではあるものの設問文中の情報のみを丁寧に

追えば解答できるので、問題文の中を行ったり来たり

探し回る必要性は全体として薄い印象でした。

 

エンベデッドスペシャリストは世の中に対策ブログは少ないので

受験予定の方はぜひ参考にしてください。

 

今後、過去問の徹底解説記事を充実して参ります。

 

ではそれまで。

プロジェクトマネージャー チーム内の対立の解消【論文の書き方】(令和3年秋問1)

更新:2022/8/23

 

本記事ではプロジェクトマネージャーの午後II(論文)対策として、

令和3年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和3年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

表題:『システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトチーム内の対立の解消について』

 

 

設問文は以下の通り。

 

何が問われているかを把握する

プロジェクトマネージャーの論文は

PMBOKの知識エリアに照らすとどの知識エリアについて

問われているのかを把握することが大切です。

 

本問題は組織マネジメントについて問われています。

 

PMBOKの各知識エリアに沿った論文対策については

次の記事を参照ください。

 

■プロジェクトマネージャーの論文対策■

第1節が組織・コミュニケーション・ステークホルダについて

書いているのでご確認ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

ただPMBOKは新版(第7版)が発行されており、

アジャイルを念頭におくということでIPAシラバス

変更されています。

気になる方は合わせてこちらの記事も確認してみてください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

本問題は組織マネジメントの中でも「チーム内の対立の解消」が

テーマとして問われています。

組織マネジメントのテーマとしてはオーソドックスな内容と

いってよいと思います。

 

また想定される状況としては問題文や設問文に

以下の記載があります。

 

「作業の進め方をめぐって」

 

この記載から、メンバ間やサブチーム間の対立に絞って

論文の骨子を組み立てるのがよさそうです。

 

利用部門とシステム部門の対立やステークホルダ間の対立ですと

「作業の進め方をめぐる」対立とはならないだろうと

想定されるためです。

 

まとめると問われていることは次の通りです。

 

設問ア

 プロジェクトの特徴

 行動の基本原則

 対立の兆候

設問イ

 発生した対立

 対立の解消策・行動の基本原則の改善策

設問ウ

 対立の解消策・行動の基本原則の改善策の実施状況及び評価

 今後の改善点

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨

 

採点講評

 

 

出題要旨の2段落目に以下の記述があります。

「行動の基本原則を定めどのように対立を回避しようとしたのか」

「それでもなお対立が発生した場合、PMとしてその対立をどのように解消したのか」

「行動の基本原則をどのように改善し遵守させたか」

ここから、プロジェクトマネージャーとしてチームを運営するにあたり

行動の基本原則の定義と調整が重要であることが読み取れます。

 

行動に限らず、基本原則を定めることはマネジメントの基本です。

異常事態を判断するのにも基本原則が根拠となりますし、

異常状態からの復帰後は正常状態を維持するために

基本原則を調整することになるからです。

 

採点講評からは次のNG例が目を引きます。

「行動の基本原則がプロジェクトの特徴に即していない論述」

「対立の解消策が対立の内容や原因に対応していない論述」

 

前者は設問アで問われている

「プロジェクトの特徴」と「行動の基本原則」の

繋がりの妥当性を求めていることが分かります。

 

後者は設問イで問われている

「対立の内容」を原因まで掘り下げて論じたうえで

「対立の解消策」に繋げることの妥当性を

求めていることが分かります。

 

本問題のポイントは、

対立の具体的な内容・原因・解決を

行動の基本原則に重きを置いてマネジメントするという点

にあります。

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは「プロジェクトの特徴」「行動の基本原則」「対立の兆候」

について問われています。

 

採点講評のNG例を思い出してください。

「プロジェクトの特徴」は「行動の基本原則」と対応している必要があります。

「行動の基本原則」は設問イの対立の解消と改善策に関わるので、

論文全体の設計として着手するのは対立の内容と解消のシナリオにある

と言えます。

 

1-1. プロジェクトの特徴

「行動の基本原則」との対応を意識した特徴を入れることが必須です。

のちのち、「作業の進め方をめぐって」対立が起きることを念頭に置き、

私の場合は

1. リリースへの期待が高く遅延が許されない

2. チームメンバは平常業務の傍らプロジェクトにあたる

という特徴を入れました。

2点目はのちの確執の火種(ネタ振り)のニュアンスがあります。

 

設問アとしてはプロジェクトそのものの説明も必要なので

一文・二文触れておくとよいでしょう。

何のシステムか、何のプロジェクトか、

内製か外注かなどの簡単な枠組みが意識できればよいと思います。

 

1-2. 行動の基本原則

前節のプロジェクトの特徴を受けた内容にします。

私の場合は

1. リリースを最優先とする

2. 平常業務へ悪影響を与えないため、チーム間の依頼は平常時の手続きを守る

という内容を入れました。

 

2点目の具体的なイメージは依頼の受付窓口サイトが

平常時からあるので、

プロジェクトにおける依頼もその窓口を流用して

依頼の管理・対応を行い作業の均質化を図るといったところです。

 

1-3. 対立の兆候

対立の具体的な内容や原因分析は設問イがメインとなるので、

この節では一般的なプロジェクト管理上で異常を検知する手段に

ついて触れれば十分と思います。

 

たとえば進捗の伸びが期待値より下がっている、

定例会での指摘事項の対応が想定より時間がかかる、

意図しないタスクの滞留がある、

などが考えられると思います。

 

この時にプロジェクト全体におけるどのフェーズなのかを

明示しておくと展開しやすいと思います。

私の場合は開発環境における検証フェーズとして展開しました。

 

設問イの設計

設問文の問われ方は

「作業の進め方をめぐって」という指定があるので

チーム間やメンバ間の対立~原因分析~解決を

具体的に論述することが必要です。

 

論文上は、2-1.節で対立の内容と原因調査/ヒアリング、

2-2.節で原因分析/リーダー協議/解決策を論じるのがよいでしょう。

私の場合は 2-3.節として「改善後の行動の基本原則」を

設けましたが、これは2-2.節と合わせてもいいかもしれません。

 

2-1. 発生した対立

設問アで検知した兆候から、具体的な調査に乗り出します。

ここではプロジェクトメンバにヒアリングした体で対立の構図を

論述します。

 

私の場合はここで簡単にサブチームの紹介を行い、

次のように展開しました。

 

  • アプリチームからの依頼が頻発しインフラチームによる対応に時間がかかるようになっている。
  • インフラチームは本番環境の構築フェーズに入っており人的リソースが少ない。
  • 窓口規定のぎりぎり三営業日かかってしまう状況。規定は守れているが平常時より長くかかる。

 

現在がどのフェーズであるかも説明が必要で、

私の場合は 1-3. 節で触れています。

 

また対立の原因分析の折は現状の行動の基本原則にも触れ、

チーム間は互いに原則を遵守しているのにも関わらず

対立が起きてしまったということを盛り込むのがよいです。

これによりどちらのチームの立場にも立って

解決策を導こうとしている活動をアピールできます。

 

私の場合はこれを以下のように表現しました。

アプリチームとしてはリリース優先の方針のもと、

検証環境で本番にも耐えうる最適な構成を導き出すべく

効率的に検証を進めたいためインフラチームに協力を要請したい。

一方インフラチームとしては本番環境の構築フェーズに

差し掛かっており、リリース優先の方針に従えば

本番環境での作業を優先したい。

 

 

2-2. 対立の解消策

対立の構図を把握して対策のためにPMとして主体的に

活動している様子をアピールします。

 

各サブチームのリーダーと協議し、対策を考案したことを

論述しましょう。

 

問題点と解決策を具体的に論述する必要があります。

 

私の場合は、次のように展開しました。

(問題点)

 ・アプリチームの一部メンバの依頼の品質が低い

 ・対応するインフラチームもモチベーションが下がっている

(解決策)

 ・依頼時にリーダーの承認を得る

 ・施策を伝え依頼へも最短で対応するよう要請

 

2-3. チームの基本原則の改善策

ここでは前節の解決策を受けて改善した基本原則を書けばよいです。

私の場合は以下のように論述しました。

 

1. リリース最優先の方針は変わらず。
2. チーム間の依頼は所属するチームのレビュー・承認を得る。

 

さらに、出題要旨にもある通りこれをどのように

遵守させたかも問われています。

具体的には定例会の場での通知やメンバへの通達など

周知を徹底したことに触れればよいでしょう。

 

設問ウの設計

設問ウで問われていることは設問イまでの論述の

振り返りと今後の反省点ということで

典型的な設問でした。

 

あえて特徴的なところを言うと、

「解消策・改善策の実施状況」について触れる必要があり、

その点については具体的に論述する必要があります。

 

3-1. 解消策・改善策の実施状況及び評価

目に見えた問題点の解消として、進捗率の伸びの回復などが

考えられます。

実施状況を確認するには、依頼窓口の依頼を実際に確認して

承認の記録があるかをチェックするのがよいでしょう。

※このチェックの観点はシステム監査技術者でも問われるところです

 

評価としては次の節に改善点について触れるところがあるので、

ここでは良かった点についていくつか触れるとよいでしょう。

 

私の場合は次のことを書きました。

レビューを通すことにより不要な依頼も減った。

チーム全体の効率性があがり、プロジェクト全体の品質向上に寄与。

 

3-2. 今後の改善点

今回のことを受けて、今後に活かせることを書きましょう。

どのようなことでもよいですが、プロジェクトマネジメントの

ノウハウとして今後も活用するという文脈がオーソドックス

だと思います。

 

私の場合は次のことを書きました。

認識の異なるチーム間の依頼が頻繁に発生するケースは

依頼自体の品質をあげる施策を組み込むよう、

プロジェクトマネジメントのノウハウとして整備。

 

 

論文骨子

以上を踏まえ、論文骨子は次のようになりました。

1.プロジェクトの特徴、行動の基本原則、対立の兆候
 1-1.プロジェクトの特徴
 スーパーマーケットT社の課金・請求システムのアップデート。
 (1)リリース遅延が許されない。
 (2)チームメンバは平常業務の傍らプロジェクトにあたる。
 1-2.定めた行動の基本原則
 (1)リリースを最優先。
 (2)平常業務へ悪影響を与えないため、
    チーム間の依頼は平常時の手続きを守る。
 1-3.察知した対立の兆候
 検証・開発フェーズで予定の進捗が出ない。
 指摘事項が確認される時間がかかるようになってきた。
2.発生した対立、その解消策と基本原則の改善策
 2-1.発生した対立
 プロジェクトチームはインフラチームとアプリチームに分かれる。
 (1)アプリチームからの依頼が頻発しインフラチームによる対応に
    時間がかかるようになっている。
 (2)インフラチームは本番環境の構築フェーズに入っており
    人的リソースが少ない。
 (3)窓口規定のぎりぎり三営業日かかってしまう状況。
    規定は守れているが平常時より長くかかる。
 2-2.対立の解消策
 各サブチームのリーダーと対策協議を主導。
 依頼自体の品質が低いため、対応モチベーションも下がっている状況が判明。
 アプリチームは依頼時にリーダーレビューと承認を得ることを対策に。
 2-3.チームの基本原則の改善策
 (1)リリース最優先の方針は変わらず。
 (2)チーム間の依頼は所属するチームのレビュー・承認を得る。
3.解消策・改善策の実施状況及び評価と今後の改善点
 3-1.解消策・改善策の実施状況及び評価
 進捗の伸びが期待値程度に回復。
 実際の依頼を確認しリーダーの承認取得済みかを確認。
 レビューを通すことにより不要な依頼も減り、
 プロジェクト全体の品質向上に寄与。
 3-2.今後の改善点
 認識の異なるチーム間の依頼が頻繁に発生するケースは
 依頼自体の品質をあげる施策を組み込むよう、
 プロジェクトマネジメントのノウハウとして整備。

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではプロジェクトマネージャーの午後II(論文)対策として、

令和3年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

組織マネジメントは頻出の分野です。

人間関係の調整や板挟みにあった経験のある方は

多いと思いますが、

その内容を論文という形に落とし込む

練習を重ねてください。

 

自分の苦労談を論文という形で表現できるようになれば

実務上のマネジメントにも役に立てることができると思います。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。