本記事は、ITストラテジスト試験の論文対策の特集記事です。
名付けて、「論文事例マップ」!
設問で問われている「問い」と、論文の回答表現「答え」をマッピングすることで、
どのような形式で問われても回答を紡げるフレームワークです。

本記事では、ITストラテジストで問われていることを改めて分析し、
論文事例マップの見方・作り方、
論文事例マップのITストラテジストならではのポイントについて解説します。
1. 論文で問われていることの再確認
まずは、論文で問われていることを再確認しましょう。
なお、ITストラテジストの論文対策の全般的なところは、
下記の記事でまとめていますので、あわせてご確認ください。
1-1. 設問アで問われていること
過去数年~10数年を遡って、かいつまんでまとめてみました。
設問アで問われていること
・経営や業界を取り巻く背景
・経営課題
・事業目標、事業戦略、事業概要、事業施策
・システム化計画
上記がベースで、年によっては、+αで問われることがあります。
たとえば、
・関連するステークホルダ
・リスク
・採用予定の新技術
といったところですね。
これらは、何が問われるかは事前に分からない、各年の "カラー" と言ってよいでしょう。
1-2. 設問イで問われていること
同様にまとめます。
設問イで問われていること
・個別システム化構想の概要
・システム化計画
・情報システム概要
・推進体制
・効果/リスクの分析
・フィット&ギャップの分析
「システム化計画」など、システムそのものの要素は、
設問アで問われることもあれば、
設問イで問われることもあるようです。
マネジメント系に広げるかテクニカル系に広げるかで分かれそうです。
ご自身が得意な方を聞かれている問を選ぶのが良いでしょう。
推進体制やステークホルダが聞かれていればマネジメント系、
システムそのものの概要や採用技術が聞かれていればテクニカル系、
というように、ざっくりと見極めて選びましょう。
1-3. 設問ウで問われていること
同様にまとめます。
設問ウで問われていること
・経営層への説明
・経営層からの評価
・投資効果を高める工夫
・リスクマネジメントの課題
・組織間の対立解消
・事業部門への支援内容
特に、ITストラテジストは経営との橋渡しとなる役割なので、
設問ウで経営陣を登場させる設問が多いようです。
設問で求められていなくても、経営陣を登場させると、
採点者に「分かってるな」と思わせることができます。
なお、経営陣との関係や、ITストラテジストの立場については、
以下記事も参照にしてください。
>ITストラテジストの合格秘訣まとめ② - 3-1. 求められる姿勢
2. 論文事例マップの見方
2-1. 全体
さて、いよいよ論文事例マップの見方を説明しましょう。

まずは図の下側に書かれている矢印に着目してください。
各設問ア・イ・ウで問われていることが図のどこにあるか、
また左から右に向かって論述されてゆくイメージがつかめると思います。

次に、緑の楕円に着目してください。
これが、対応する設問で「問われていること」となります。
さらに、回答としての論述文案が各楕円の下に書かれています。

回答としての論述文例は、ご自身で使いやすい文を
持ってきてあてはめ、整理するとよいでしょう。
また、点線の矢印は、このように論述を進めれば
論理的でよい流れを作ることができるというものです。
これが唯一の正解ではないことに注意してください。
あくまで、設問に問われていることに忠実に答える、
という基本は外さないようにしましょう。
2-2. 活用のポイント
ここで、ポイントは、
設問アでも設問イでも問われることがある
設問イでも設問ウでも問われることがある
ということがある点です。
たとえば、「システム化計画」は、年度や問によって、
設問アでもイでも問われてきました。
また、「各部署の意見調整」も、設問イでもウでも
問われたことがありました。
ここで重要なのは、各設問を切り離して理解するのではなく、
各設問は論文事例マップのように連続しているイメージを持つ、
ということです。
硬直的に、この論旨は設問アでしか書いていけない、
といったことは無いのです。
(傾向的に、設問アで問われやすいものはありますが)
このことを理解していれば、
自身の用意してきた知識体系のセットを、
柔軟に設問に当てはめて回答できるようになるはずです。
論文事例マップは、ご自身の知識体系を整理し、
問われていることに対応しやすくするための
深堀りツールだと思ってください。
3. 自分だけの論文事例マップの作り方
では、実際に自分だけの論文事例マップを作成してみましょう。

まずは左上に論文題材例を書きましょう。
2つ以上は題材があるとよいと思います。

題材の書き方は、
| (a)題材 (b)総開発工数 (c)開発費総額 (d)開発期間 (e)特徴・制約・背景 |
のトピックを書き出し、
ご自身の経験や文章を連想して引き出せるようにしておきます。
それから、過去問を何回か解いてください。
出来映えは、ひとまず度外視してかまいません。
出来上がった論文から、論文事例マップの楕円の下に書けることを
抽出して書きましょう。
自分の論文でなくても、論文事例集などから、
自分の文章として書けそうな文例をピックアップする、
でも構いません。
ただし、その際、前後の楕円や、
論文全体で矛盾の無いように注意してください。
矛盾が表れてないかを注意深く確認しながら、
矛盾があれば、文章を書きなおして、補正していきます。
この時、自分の認識も矯正しているという感覚を持つと
よいと思います。
型にはまる、ということにネガティブな印象を持たれる
方もいるかもしれませんが、
人間関係においても提案・交渉しやすい型というのは存在しますし、
まして合格だけを考えるならば、いかに早く
試験センターが意図する型を意識して自分を染めるかの勝負です。
私の提唱した論文事例マップに合わせて文例を整理すれば、
合格に近づけると思います。
慣れてきたら、自分のまとめやすい論旨(楕円の中に入る言葉)を
変えて、体系を整理しなおすのもよいでしょう。
※ただ、その体系で設問に答えられるか? ということは意識しましょう
4. ITストラテジストの論文ポイント
最後に、ITストラテジストにおける論文のポイントを
ご紹介しましょう。
論文マップでは、黄緑色の四角で書いた部分です。
- 設問アの事業目標や課題は、ボトムアップかトップダウンのシナリオがある
- 事業課題やシステム概要は、QCDなどの切り口で分けて書くと書きやすい
- システム化計画の論述は、「個別システム化構想」であることを念頭に置く
- 設問イは長い文字数を書ききるため、分析プロセスや切り口を複数準備すること
- システムそのものの記載は、テクニカル系の知識を盛り込みアピール
- 各部署の意見調整は、マネジメントの経験があると書きやすい
全て盛り込む必要はありません。
ご自身の論文事例マップを作成する上でのヒントとなれば幸いです。
5. おわりに
いかがでしたでしょうか。
論文事例マップを作り、論文自体が楽しく取り組めるようになれば、
合格は一挙に近づくことと思います。
また、ITストラテジストで論文をやりきるためには、
戦略策定プロセス、経営戦略と情報戦略の関係、バランススコアカード(BSC)
などの知識に長じておくことも重要でしょう。
そういった個別的な知識を深堀した記事もゆくゆくはまとめたいと思います。
「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。
知識と自分の型の両輪で、合格をつかみ取れることを信じています。
合格の報告を楽しみにしています!
ではそれまで。