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情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

情報処理試験 受験に向けて モチベーションをアップしよう

更新:2024/1/9

 

こんにちは。本記事は情報処理試験合格を目指して始動される方向けに書いています。

受験を申し込むのはよいが、長い勉強期間にモチベーションを持ち続けられるか

不安に思っていませんか?

 

本記事は情報処理試験の受験を申し込んだエンジニア、社会人、学生の方向けに

モチベーションを喚起、または継続するために、

  • 資格を取得するとどんなメリットがあるのか
  • どうやって勉強を続ければよいのか
  • どんな人が合格するのか・どんな仲間がいるのか

といった疑問に答えたいと思います。

 

 

 

資格を取得するメリットについて

情報処理試験は業界唯一の国家資格であり、スキルの保有証明に適格です。

なぜならIT業界は変化のスピードが速く、知識の陳腐化も速いためです。

ベンダー資格とは異なり業界横断型の試験を展開している情報処理試験は、時代の推移の影響を受けづらいと言えます。

 

より具体的に資格のメリットを知るために、試験センターであるIPAサイトを覗いてみましょう。

事例1. インタビュー(SCSK株式会社)

IT業界の雄、SCSK株式会社では次のようにインタビューに答えています。

情報処理試験のメリットとしては、業界全体で認知されている国家試験であると同時に、ほとんどの業務領域に連動しているため、客観的なスキル判断の尺度となるからです。当社では、人材育成の重要な一翼を担っています。

このように、資格自体が人材計画に組み込まれている会社が存在します。

社内での有望なプロジェクトに手を挙げたり、異動の交渉などに有利に働くことが考えられると思います。

www.ipa.go.jp

 

事例2. インタビュー(株式会社日立ソリューションズ)

同じくIT業界の雄と言える日立系のSI会社でのインタビューでは女性役員がこのようなことを話しています。

人生85年と考えれば、仕事をする期間は40年くらいで、子育てはたったの10年程度。意外に短いのです。そう考えれば、今しかやれないことを思い切りやって、その後にたくさんの選択肢を残してあげたほうが、未来の自分がずっと幸せになれます。IT業界は知識と意欲があれば、ブランク後の復帰もしやすい業界です。

人材のダイバーシティが騒がれて久しいですが、女性の出産・育児休暇からの復帰は人材マネジメントとしても課題です。

情報処理試験を取得しておくことで、復帰する際の意欲や能力の証明とすれば、障壁なく職場に復帰することができると考えられます。

www.ipa.go.jp

 

また、各高度試験区分の取得メリットについては以下の記事にまとめていますので

合わせてご参照ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

どうやって勉強を続ければよいのか

効果的なのは試験当日までの勉強計画を立てることです。

短期的な目標・中期的な目標・最終目標を定めて勉強することにより、

「何を今日は勉強しようか」という迷いを取り払うことができるからです。

具体的には人それぞれ最適な計画が存在するはずですが、

ここでは筆者からおススメの勉強計画の例を挙げておきます。

 

■勉強計画の例■

初期(試験日3か月以上前):参考書を手に取り知識を補充する。業務に直結する内容や興味のある内容からでよい。自分が面白いと感じる内容は掘り下げてみる。

中期(試験日2か月前):過去問を解いて傾向を知り対策を立てる。必要に応じて参考書を買い足す。

後期(試験1か月前):これまでの勉強の振り返りを行い、残り時間を改めて可視化する。過去問は複数回取り組み、記述式や論述式それぞれの形式に応じた対策を立てる

直前(試験1週間前):最後に集中して取り組む形式の勉強や知識範囲を絞り込む。

 

当ブログでは具体的な勉強方法についても発信しています。

勉強計画や期間に応じた記事もアップしていますので過去記事をチェックしてみてください。

 

 

どんな仲間が受験するのか

受験者や合格者の平均年齢は公開されています。

  • 基本情報は26歳くらい。
  • 高度区分は30代後半から40歳くらい。

基本情報は腕試し的な位置付けで若手あるいは学生のうちに受験し、高度区分は業務で体系的知識を身に付けるため学び直すマインドで取得する人が多いと思われます。

1回の応募者数は全体で20万人超。

合格率の統計も公開されています。平成21年度~現在までのデータですと、

  • 基本情報で25~30%
  • 応用情報で20%前半
  • 高度区分で10%台

といったところです。

参考:応募者・受験者・合格者の試験区分別平均年齢

ところが申し込んだのに受験しないという割合が3割にのぼるというデータもあります。

受験しなければ合格はおろか、次につながる自分の中の気付きも発生しないことになるので、申込んで受験しないというのは絶対に無いようにしましょう。

 

www.jitec.ipa.go.jp

 

私の場合

ところで私の場合ですが、新人の頃から情報処理試験のコンプリートを目指してきました。

しかし仕事の先輩や上司の中にも、試験など業務に無意味とばかり頭から見下す方もいました。

それでも体系的な知識の収集・補充ができることから勉強は続けました。

その結果、多くの現場においても経験を積むことができ応用を利かせやすい人材になれたように思います。

 

無料サポートの活用もご検討ください

いかがでしたでしょうか?

情報処理試験の合格に向けたモチベーションを喚起する情報となっていれば幸いです。

 

また、以下のツイートにあるように、無料での相談サービスも立ち上げています。

論文添削や相談にご興味のある方、ぜひ活用してみてください。 

 

 

 

 

近い未来、晴れて合格証を手にしているあなたを信じています。

ではそれまで。

システムアーキテクト DXを推進するための情報システムの改善【論文の書き方】(令和5年春問1)



本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和5年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し論文骨子を

設計するところまでやっていきます。

 

問題(令和5年問1)

 

 

過去問は試験センターから引用しています。

表題:『デジタルトランスフォーメーションを推進するための情報システムの改善について』

 

設問文は以下の通り。

 

何が問われているかを把握する

 

本問ではデジタルトランスフォーメーション(DX)というキーワードが

目を引きます。

DXはITストラテジスト区分でよく目にするキーワードです。

ただ問題文をよく見ると

システムアーキテクトは、DXの推進を支援する必要がある」と

書かれており、あくまでDX推進の補佐的な立場であることが分かります。

 

DX推進の「補佐的な」立場とはどのような立場でしょうか?

DX推進の「主導的な」立場とは、事業や業界の背景を踏まえ、

経営目標とも整合性を取りながら、事業改革を実現するための

業務要件・システム要件を定義し、情報システムの構想をまとめます。

ITストラテジストに求められる人材像だと言えます。

 

対してDX推進の「補佐的な」立場とは、本問題文を読むと、

情報システムの連携やデータ構造などにある課題を特定し、

解決することによって支援する、とあります。

本問題のシステムアーキテクトに求められる人材像だと読み取れます。

 

「補佐的な」立場ということに注意して論文を設計しましょう。

 

設問ア、イ、ウで問われているのはそれぞれ以下の通りです。

  • 設問ア 課題、DXの目的、情報システムの概要
  • 設問イ 情報システムをどのように改善したか、解決できると考えた理由
  • 設問ウ 何のためにどのような工夫をしたか

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨

出題要旨の3文目に以下の記述があります。

課題を解決してDXの推進を支援することが求められており、その際には、既存の情報システムの改善が必要になることがある

ここでも問題文と同様、システムアーキテクトはDXの推進の「支援」が

求められているとあります。

DXを主導的に推進する立場で論文を書かないように注意しましょう。

 

また、既存の情報システムという言葉もあることから、

新たなシステムの構築が主題となっていないか注意しましょう。

本問題の場合、DXの推進の妨げとなる情報システム上の課題を特定し

改善することが主題ですから、新たなシステムの構築だけが登場する

論文ですと出題趣旨に沿った論述ができなくなるでしょう。

 

採点講評

まずは全問共通の採点講評から見てみましょう。

赤線で引いたところには、

問題文に記載してあるプロセスや観点などを抜き出し、一般論と組み合わせただけの表面的な論述も散見された

と書かれており、NG例であることが分かります。

 

問題文から抜き出し、一般論と組み合わせただけの論文とは

どういう論文でしょうか?

本問題の場合の、設問イで問われる「解決できると考えた理由」を

論述するケースで考えてみましょう。

 

問題文には関連する記載として以下があります。

基幹情報システムにPOS情報を連携して、DXの推進に必要な情報を蓄積する

ここで「解決できると考えた理由」を以下のように論述するとします。

POS情報を連携することにより、POS情報に含まれる販売した商品・点数・場所・日時を基幹情報システムから可視化・分析できるため

上記はNG例です。

なぜならデータ連携の一般的なメリットを述べている(=一般論)に

過ぎないからです。

 

試験センターの求める問題の趣旨に沿うには、「解決できると考えた理由」を

DXの目的や情報システムの課題などに応じたものにしなければなりません。

具体的にどのように書いていけば良いかは、本記事を読み進めて

いただければと思います。

 

次に問1の採点講評も見てみましょう。

2文目に以下の記述があります。

業務の改革や改善を伴わない、現行業務の単純なIT化・デジタル化をDXとしていた論述も散見された

これは試験センターの求めるDXを取り違えるというNG例を示しています。

DXとはデジタル技術による業務の改革や新しい業務・ビジネス・サービスの

創造なので、単なる現行業務のデジタル化という論旨になっていないか

注意しましょう。

 

さらに3文目にも問われる要素の論理的整合性がとれていないという

NG例が記載されています。

整合性を取るべき要素

本論文において各要素の関係は重要であるため、図で整理しています。

どのように各要素の整合性を取れば良いかは、本記事を読み進めて

いただければと思います。

 

論文を設計する

 

 

問われていることの概略を把握したら自身の経験や用意してきた

論文パーツに当てはめてどのように論述を展開するかを設計します。

 

設問アの設計

 

設問アで何が問われているか確認しましょう。

設問アの文章

まず、DXの推進における課題を問われています。

そこに、DXの目的と情報システムの概要を含める、という指定があります。

 

DXの推進における課題とは、どのようなものが想定されているのでしょうか?

DXの目的とは、どのようなものが想定されているのでしょう?

問題文を見て、ヒントを探してみましょう。

DXの目的と課題の関係

設問文には「どのような課題があったか。DXの目的と…を含めて」と

「課題→目的」の順に記載されていますが、問題文には上図のように

「目的→課題」の順に記載されています。

「課題」は「(DXの)目的達成を阻害する課題」を記述することからも、

論述する上では「目的→課題」の順に書いた方が書きやすいと思います。

 

また問題文には「情報システムの課題」として、

「飲料の製造販売会社」と「車載機器製造販売会社」の具体例が

書かれています。

熟読することで、システムアーキテクトがどのような課題に対応する

ことが求められているかが読み取れます。

「問われていることを把握する」節でも述べた通り、

DXの推進を支援する「補佐的な」立場で、主に「情報システム」の

観点から課題を論じる必要があることに注意しましょう。

 

 

情報システムの課題を考える

この節では情報システムの課題を考えるプロセスを説明します。

問題文に記載された情報システムの課題の例

はじめに問題文に書かれている2つの例を確認すると、

前者はデータがシステム間で連携されていないという課題、

後者はデータの体系が不一致であるという課題を述べています。

 

問題文に「DXの推進に必要な情報が整備されていないなどの課題」と

書かれていることも合わせて考慮すると、

情報(データ)に関する課題を取り上げると書きやすいでしょう。

 

DXの目的と課題の関係


上図のように、DXの目的と課題は整合がとれている必要があります。

「整合がとれている」とは、論じる課題が「DXの目的を妨げる課題」に

なっている必要があるということです。

DXの目的とは関係のない、単なる既存業務のデジタル化や改善に対する

課題設定になっていないか注意しましょう。

 

 

私の場合はスーパーマーケットにおける店舗販売とオンライン販売の

データを全社統合的に戦略立案に活用するというDXの目的に対して、

両システム(ID情報)が統一されていないことを課題として挙げました。

 

設問アで記述するには、スーパーマーケットの業態、それぞれの販売業務、

利用者管理の方法、関連システムを列挙した上で課題を記載しなければ

ならないので、字数制限の800字ギリギリまで論述する必要がありました。

私の例に限らず、本問題の設問アは具体的なシステムやデータにまで

踏み込んで課題を説明する必要があるので、字数に余裕は無いものと

考えた方がよいでしょう。

 

設問アの骨子例

設問アの論文骨子の例を記載します。

■設問ア

 1.DXの目的と情報システムの概要、課題

  1-1.DXの目的

  スーパーマーケットのS社 店舗とオンラインの2つの販売チャネル

  DX目的:競争力向上のため全社の販売データを活用した販売戦略を

       立てられるようにすること

  1-2.情報システムの概要、課題

  店舗販売:レジ端末の入力データは本社の販売管理システムで管理。

       データにはポイントカードの利用者の氏名やポイント

       カードID、保有ポイントが含まれる。

  オンライン販売:オンライン販売事業部がECサイトを管理・運用。

          ECサイトの利用者にはサイト利用者IDを発行。

  課題:ID情報が別々に管理されていること。

 

 

設問イの設計

 

設問イで何が問われているか確認しましょう。

設問イの文章

設問イは「課題の解決のための情報システムの改善」が問われていますが、

設問の文章で注目したいのは、次の2つです。

  • 「どのように」改善したかと問われている部分
  • 「解決できると考えた理由を含め」と指定されている部分

はじめに後者から見ていきましょう。

 

解決できると考えた理由

問題文ではどういった例が記載されているか確認します。

設問アでも確認した「飲料の製造販売会社」「車載機器製造会社」の例で、

情報システムの改善内容が書かれています。

重要なのが上図で四角で囲った部分であり、設問でも聞かれている、

「解決できると考えた理由」に対応する部分です。

 

つまり「解決できると考えた理由」とは、「DXの目的を達成できるから」と

言えます。

設問イでは、設問アで述べた「DXの目的」を踏まえ、「このように

情報システムが改善されることによって、DXの目的が達成できるから、

課題を解決することになる」という論法で論述することが求められます。

 

どのように改善したか

次に、「どのように」改善したかという部分について解説します。

ここでは、単に改善策を述べるのではなく、改善策を策定するために

「どのように」手順を踏んだかが重要になります。

 

問題文には手順の例が書かれていないので、受験者が自分の経験を

もとに論じる必要があります。

よくある論述パターンとしては次の通りです。

  • 課題を深堀りして分析する
  • いくつかの改善策を比較し検討する

 

前者はたとえば関連する組織へのヒアリングなどが考えられます。

後者は改善策を列挙し、最終的に選定する時に、

前節で説明した「DXの目的を達成できるから」と理由を述べれば

説得力が増すでしょう。

 

 

情報システムの改善の例

私の場合はヒアリングを経て、単にIDをどちらかに揃えるという

方法では解決しないことを示し、真の問題点を明確にして

解決するというステップを論述しました。

情報システムの改善ステップの例

上図のように、独自にIDを活用した既存の業務(経理部と物流部)が

存在することを示し、影響の無いように紐づけを利用者自身で行う案を

採用したことを述べています。

 

設問イの骨子例

設問イの論文骨子の例を記載します。

■設問イ

 2.DXの推進を妨げる情報システムの課題と解決策

  2-1.課題の分析

  営業部、オンライン販売事業部、経理部、物流部にヒアリング。

  ①経理部の売上集計業務:

   本社の販売管理システムからはポイントカードID、

   ECサイトの販売管理システムからはサイト利用者ID、

   それぞれに応じた、管理会計に用いる売上情報を集計。

   経理部はIDごとにカテゴライズする台帳ファイルを独自に持っており、

   IDが変わると集計に影響が出る。

  ②物流部の在庫引当業務

   棚番割当ての独自ノウハウにサイト利用者IDを活用。

   サイト利用者IDが変わると棚出し業務に支障が出る。

  2-2.解決策の検討

  案① ポイントカードIDの氏名情報をもとにサイト

     利用者IDをポイントカードIDに寄せる

  案② サイト利用者IDの氏名情報をもとにポイント

     カードIDをサイト利用者IDに寄せる

  既存の業務に影響が出るためいずれも根本解決にはならない。

  →「ECサイトのログイン時に、利用者自身がポイントカードIDを

    入力してサイト利用者IDと紐づけるための画面を設ける」

    という案を採用した。

    いずれのIDも変更しないので既存の業務に影響が出ずに

    DXの目的を達成できるため。

設問ウの設計

 

設問ウで何が問われているか確認しましょう。

設問ウの文章

設問ウでは情報システムの改善における工夫ですが、設問文から気にするべき

点としては「何のためにどのような」工夫を検討したかと書かれている点です。

問題文からも確認しましょう。

設問ウに対応する問題文

設問アから例示されている「飲料の製造販売会社」「車載機器製造販売会社」で

対応している工夫の箇所を見ると次の通りです。

  • (何のために):購入者の行動履歴を把握しつつ個人を特定できないようにするために → (どのような工夫):情報の一部を匿名化
  • (何のために):業務横断でのデータの活用を推進するために → (どのような工夫):データ項目の意味を標準化

以上のように、設問ウでは「何のために」という目的を明確にした上で

目的を達成するための工夫を論じることが重要です。

 

私の場合は、DXのための新情報システムをクラウド上で構築する

ことになったことに触れ、IDなどの個人情報をクラウド上で扱うことの

リスクを課題としました。

課題を解決するために、複数の解決案を比較検討し、

クラウド上では個人を特定する情報は扱わないという案を採用しました。

 

設問ウの骨子例

設問ウの論文骨子の例を記載します。

■設問ウ

 3.情報システムの改善への工夫

  3-1.改善にあたり生じた課題

 DXのための新情報システムをクラウド上に構築することになった。

 この時、次の課題が生じた。

  課題① 個人情報の利用可能範囲を逸脱するおそれ

  課題② クラウド上に構築した新情報システムで個人

   情報を管理するとセキュリティポリシーに抵触してしまう

  3-2.課題解決のための工夫

  案①個人情報の利用目的を修正し、利用者に再告知する。

  案②クラウド上に構築した新情報システムでは個人を特定する情報を

    扱わないようにする。

  案②を採用。案①は課題②を解決できないことに加え、

  利用者自身に予め同意を得る必要が生じ、迅速なDXの

  実現の妨げとなるから。

 

論文骨子

以上を踏まえ、論文骨子は次のようになりました。

 

■設問ア

 1.DXの目的と情報システムの概要、課題

  1-1.DXの目的

  スーパーマーケットのS社 店舗とオンラインの2つの販売チャネル

  DX目的:競争力向上のため全社の販売データを活用した販売戦略を

       立てられるようにすること

  1-2.情報システムの概要、課題

  店舗販売:レジ端末の入力データは本社の販売管理システムで管理。

       データにはポイントカードの利用者の氏名やポイント

       カードID、保有ポイントが含まれる。

  オンライン販売:オンライン販売事業部がECサイトを管理・運用。

          ECサイトの利用者にはサイト利用者IDを発行。

  課題:ID情報が別々に管理されていること。

 

■設問イ

 2.DXの推進を妨げる情報システムの課題と解決策

  2-1.課題の分析

  営業部、オンライン販売事業部、経理部、物流部にヒアリング。

  ①経理部の売上集計業務:

   本社の販売管理システムからはポイントカードID、

   ECサイトの販売管理システムからはサイト利用者ID、

   それぞれに応じた、管理会計に用いる売上情報を集計。

   経理部はIDごとにカテゴライズする台帳ファイルを独自に持っており、

   IDが変わると集計に影響が出る。

  ②物流部の在庫引当業務

   棚番割当ての独自ノウハウにサイト利用者IDを活用。

   サイト利用者IDが変わると棚出し業務に支障が出る。

  2-2.解決策の検討

  案① ポイントカードIDの氏名情報をもとにサイト

     利用者IDをポイントカードIDに寄せる

  案② サイト利用者IDの氏名情報をもとにポイント

     カードIDをサイト利用者IDに寄せる

  既存の業務に影響が出るためいずれも根本解決にはならない。

  →「ECサイトのログイン時に、利用者自身がポイントカードIDを

    入力してサイト利用者IDと紐づけるための画面を設ける」

    という案を採用した。

    いずれのIDも変更しないので既存の業務に影響が出ずに

    DXの目的を達成できるため。

 

■設問ウ

 3.情報システムの改善への工夫

  3-1.改善にあたり生じた課題

 DXのための新情報システムをクラウド上に構築することになった。

 この時、次の課題が生じた。

  課題① 個人情報の利用可能範囲を逸脱するおそれ

  課題② クラウド上に構築した新情報システムで個人

   情報を管理するとセキュリティポリシーに抵触してしまう

  3-2.課題解決のための工夫

  案①個人情報の利用目的を修正し、利用者に再告知する。

  案②クラウド上に構築した新情報システムでは個人を特定する情報を

    扱わないようにする。

  案②を採用。案①は課題②を解決できないことに加え、

  利用者自身に予め同意を得る必要が生じ、迅速なDXの

  実現の妨げとなるから。

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和5年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

DXというキーワードが登場したので驚いた受験者の方もいたと

思いますが、よく問題文を読むことで求められていることは

従来のシステムアーキテクトの試験とさほど変わらないことが

理解できると思います。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。

ITストラテジスト 出題予想(令和6年春)(最新)

本記事では令和6年春向けのITストラテジスト

出題予想を行っています。

 

次回ITストラテジストを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題(記述・論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去問分析(4年分)

上図は過去4年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、過去問から同じ問題・似た問題が

出題されることが多いです。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和元年~5年の過去問から同じ問題が7~9問出そう
2. 売上高など計算して選択する問題は今年も出そう
3. 特定商取引法など契約・法律系の問題は今年も出そう

 

順に説明します。

 

1-1. 令和元年~5年の過去問から同じ問題が7~9問出そう

令和5年春の過去問を分析すると、

令和4年から1問

令和3年から6問

令和元年から3問の

計9問(1問重複あり)が再出題されています。

 

2回前の令和3年からの出題率が多いので、

今年は令和4年からの出題率が高くなりそうです。

令和4年春問1。正解はエ。

 

1-2. 売上高など計算して選択する問題は今年も出そう

与えられた条件を加味して計算して選択する問題も

毎年出題されています。

令和3年春問17は計画生産量計算、

令和4年春問16は正味所要量計算、

令和5年春問20は売上高計算、問21は売上高総利益計算、

といった具合です。

 

計算問題は時間を取られるので、時間配分に注意しましょう。

令和4年春問16。正解はイ。

 

1-3. 特定商取引法など契約・法律系の問題は今年も出そう

契約・法律系の問題は毎年必ず出題されます。

令和元年秋問5は実費償還型契約、

令和3年春問22は特定商取引法

令和4年春問5は準委任契約、

令和5年春問22は資金決済法、

といった具合です。

 

ITストラテジストの役割を考慮すると

契約や法律の知識は求められやすいといったところでしょう。

令和4年春問5。正解はイ。

 

 

■午前IIのオススメ参考書■

 

 

午前IIは過去問対策をするのが近道であるのと、

インターネットにも対策コンテンツが充実しているので、

書籍のメリットは、「手に取って対策したい」という点でしょうか。

書き込みや付箋をつけるなど、実際に手を動かして対策を進めたい

方にオススメです。

 

 

 

2. 午後I(記述)予想

過去問分析(4年分)

上図は過去4年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは令和6年春より3問から2問選択することとなります。

従前の問4(エンベデッドスペシャリスト系)が出題から外れると予想されるので、

問1~3から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルが出題されそう
2. 問2・3はどちらかが文章(マネジメント系)、どちらかが図表(テクニカル系)の読解力が求められる問題が出題される

順に説明します。

 

2-1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルが出題されそう

過去4年を分析すると問1はデジタルトランスフォーメーション(DX)か

先端技術(ブロックチェーン)がテーマです。

IPAはDXに関するメッセージ・研究をたくさん発信していますが、

令和1~3年で連続してDXがキーワードとして出題された後に

令和4年で異なるキーワードで出題されたので、

今後は少し傾向が変わるかもしれません。

 

参考までに、IPAが発しているDX事例などを

まとめているサイトを紹介しておきます。

DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査

 

2-2. 問2・3はどちらかが文章(マネジメント系)、どちらかが図表(テクニカル系)の読解力が求められる問題が出題される

問2・問3の過去問を分析すると、どちらかは図表のない問題が出題されています。

 

傾向としては、図表のない問題の方が文章からの読解力、

つまり自分で必要なキーワードを抽出し必要であれば

図や表におこして整理する力が求められると思います。

反対に図表のある問題は、文章と図表の対応付け、

図表そのものを読み取る力が求められるでしょう。

 

傾向として、図表のない問題はマネジメント系、

図表のある問題はテクニカル系であることが多いようです。

 

過去は以下の通りになっています。

  • 令和1年秋 問3が図表無し
  • 令和3年春 問2が図表無し
  • 令和4年春 問3が図表無し
  • 令和5年春 問3が図表無し

 

 

■午後Iのオススメ参考書■

 

 

記述式の対策は解説が充実していることが重要なので、

その観点で「アイテック 重点対策」を評価してみますと、

  • 200ページ超の分量
  • 段階的に仕上げることができる仕組み
    (テクニック、作成例、実践、解説と節立てされている)
  • とりあげている過去問(解説)が多い

と、かなり充実しておりオススメです。

 

 

翔泳社 情報処理教科書」は比較的、午後対策に特化しています。

各章で知識体系を整理でき、

習得具合を節目節目にある小テストでチェックができます。

じっくりと知識を習得してからテスト対策をしたい方にオススメです。

 

 

 

 

3. 午後II(論述)予想

過去問分析(4年分)

上図は過去4年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは令和6年春より2問から1問選択することとなります。

従前の問3(エンベデッドスペシャリスト系)が出題から外れると予想されるので、

問1~2から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルによる"攻め"の問題が出題されそう
2. 問2は既存業務やプロジェクトを前提とした"守り"の問題が出題されそう

 

順に説明します。

 

3-1. 問1は先端技術や新流行のビジネスモデルによる"攻め"の問題が出題されそう

"攻め"や"守り"といった言葉遣いはイメージですが、

問1は新規投資や事業停滞打開など、事業として攻めの姿勢で

手段としてDXを用いる文脈での問題が出題されています。

 

過去の問題文に例示されているDX事例は以下の通りです。

  • 令和1年秋
     病院における音声認識とAIを活用した記録業務のデジタル化
     組立加工業におけるAR機器とIoTによる組立業務のデジタル化
  • 令和3年春
     流通業におけるICタグを用いた物流保管のプラットフォームサービス
     測量機器メーカにおけるドローンとAIを用いたサブスク監視サービス
  • 令和4年春
     保険会社における顧客健康データを活用した割引などの新サービス

 

令和5年春はDXに特化したものではなく、

ビジネスの変化の速さを背景に構築後のITシステムを

全体最適の観点から改修要望に対応するというものでした。

 

実際の企業における経営課題は千差万別ですが、

ITストラテジストで出題される問題にはいくつかのパターンがあります。

"攻め"のパターンとして、上記の事例は読み込んで理解しておくと

よいでしょう。

 

なお、令和3年~令和5年については本ブログでも解説記事を

あげているので合わせてご確認ください。

 

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

 

3-2. 問2は既存業務やプロジェクトを前提とした"守り"の問題が出題されそう

問2は比較的保守的な文脈で出題されることが多く、

過去4年は以下のようなことが問われています。

  • 令和1年秋 ビジネスモデル策定の支援
  • 令和3年春 ステークホルダの意見調整
  • 令和4年春 スケジュールの管理
  • 令和5年春 システムリスク対応方針

試験区分の領域としてはプロジェクトマネージャーの

知見・経験があると有利でしょう。

また令和5年春は情報処理安全確保支援士の知見があると有利です。

 

IPAとしてはアジャイルの台頭を受けシラバス

2022年に更新しています。

もしかするとアジャイル開発を前提とするような文脈で

問題が出される可能性もあるでしょう。

 

 

■午後IIのオススメ参考書■

 

 

筆者の場合、基本的に論文系の試験区分の試験対策には

このシリーズで準備しています。

 

とにかく、文の事例が豊富。

 

おすすめする点は、これにつきます。

論文で、どのように表現するべきか迷ったとき、

事例が豊富にあると、参考にしたり取捨選択して

自分のものにできたりします。 

 

 

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

ITストラテジストを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

ITストラテジスト 出題予想(令和5年春)

本記事では令和5年春向けのITストラテジスト

出題予想を大胆に行っています。

 

※予想は筆者の独断です。読者の責任でご活用ください。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回ITストラテジストを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題(記述・論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去3年分の出題実績・分析。

上図は過去3年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、過去問から同じ問題・似た問題が

出題されることが多いです。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和元年~4年の過去問から同じ問題が4~5問出そう
2. 予測法のデルファイ法は今年も出るかも
3. 特定商取引法など契約・法律系の問題は今年も出そう
4. 計画生産量など計算して選択する問題は今年も出そう

 

順に説明します。

 

1-1. 令和元年~4年の過去問から同じ問題が4~5問出そう

令和4年春の過去問を分析すると、その前の令和3年・令和元年の

2回分から3~4問ほど同じ問題・類題が出題されています。

1期前(令和4年秋試験)では過去問からの出題率は少し減った印象ですが、

それでも令和元年からの過去3回分からは4~5問くらいは

再出題しそうであると考えられます。

 

令和3年春問1。正解はイ。

 

1-2. 予測法のデルファイ法は今年も出るかも

2回前(令和3年春)と3回前(令和元年秋)において

予測法のデルファイ法を問う問題が出題されています。

 

1回前(令和4年春)が出題されていませんが、

昔からの頻出ではあるので今年も出題されるのではないでしょうか?

 

令和3年春問19。正解はイ。

 

1-3. 特定商取引法など契約・法律系の問題は今年も出そう

契約・法律系の問題は毎年必ず出題されます。

令和元年秋問5は実費償還型契約、

令和3年春問22は特定商取引法

令和4年春問5は準委任契約、といった具合です。

 

ITストラテジストの役割を考慮すると

契約や法律の知識は求められやすいといったところでしょう。

 

 

令和3年春問22。正解はウ。

1-4. 計画生産量など計算して選択する問題は今年も出そう

与えられた条件を加味して計算して選択する問題も

毎年出題されています。

令和元年秋問18・21は顧客獲得単価計算・利益最大化計算、

令和3年春問17は計画生産量計算、

令和4年春問16は正味所要量計算、といった具合です。

 

令和3年春問17。正解はイ。



 

計算問題は時間を取られるので、時間配分に注意しましょう。

 

 

2. 午後I(記述)予想

過去3年分の出題実績・分析

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは4問中2問を選択します。

うち、問4は例年エンベデッド系(組込みシステム)のテーマが出題されます。

自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1は製造業系などのデジタルトランスフォーメーションが出題されそう
2. 問4はAIをテーマにした組込みシステムが出題されそう
3. 問2・3はどちらかが文章、どちらか図表の読解力が求められる問題が出題されるかも
4. 難易度についてはここ数年の傾向から難しすぎず簡単すぎずとなりそう

 

順に説明します。

 

2-1. 問1は製造業系などのデジタルトランスフォーメーションが出題されそう

過去3年を分析すると問1は全てデジタルトランスフォーメーション(DX)が

テーマです。

この傾向は令和1年からです。

IPAはDXに関するメッセージ・研究をたくさん発信しているので、

すぐにDXというテーマが出題されなくなることは

まあ無いだろうと思います。

 

問1の過去のモチーフは以下の通りです。

  • 令和1年秋 化学品メーカ
  • 令和3年春 タクシー会社
  • 令和4年春 国際物流会社

IPAが発しているDX事例などを確認すると、

次に来るのは製造業などではないでしょうか?

下記のリンクからヒントを探すと、

  • 日報管理業務の電子化、ペーパーレス化
  • センサーや営業装置を活用した溶接作業のデータ化

などが考えられますがいかがでしょう。

DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査

 

2-2. 問4はAIをテーマにした組込みシステムが出題されそう

例年問4は組込みシステムが出題されますが、

過去のテーマは以下の通りです。

  • 令和1年秋 自動運転技術を用いた海底探査システム
  • 令和3年春 AIを用いた節電義手
  • 令和4年春 AIを利用した気象予測システム

自動運転技術も要素技術にAIが組み込まれていると考えるならば、

令和5年も同様にデータからインサイトを得て活用するような

AIが技術的テーマになり得るのではないでしょうか。

 

2-3. 問2・3はどちらかが文章、どちらか図表の読解力が求められる問題が出題されるかも

問2・問3の過去問を分析すると、どちらかは図表のない問題が

出題されています。

 

傾向としては、図表のない問題の方が文章からの読解力、

つまり自分で必要なキーワードを抽出し必要であれば

図や表におこして整理する力が求められると思います。

反対に図表のある問題は、文章と図表の対応付け、

図表そのものを読み取る力が求められるでしょう。

 

過去は以下の通りになっています。

  • 令和1年秋 問3が図表無し
  • 令和3年春 問2が図表無し
  • 令和4年春 問3が図表無し

もちろん図表のあるなしはただの目安ですが、

本番にどれを選ぶかの方針が定まってない方は

参考にしていただいてもよいのではないでしょうか。

 

2-4. 難易度についてはここ数年の傾向から難しすぎず簡単すぎずとなりそう

採点講評には問題全体の正答率についてコメントがあります。(令和3年から)

過去2年の採点講評を見ると、問題全体の正答率については

どの問題についても「平均的だった」とコメントされています。

 

正答率と難易度は異なるものですが、

あえて予想をすると年ごとに正答率や難易度のばらつきは

少ない方が試験センターとしても望ましいでしょうから、

今回も平均的な問題が出題されるのではないでしょうか。

 

3. 午後II(論述)予想

過去3年分の出題実績・分析

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは3問中1問を選択します。

うち、問3は例年エンベデッド系(組込みシステム)のテーマが出題されます。

自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1はDXを前提とした"攻め"の問題が出題されそう
2. 問2は既存業務やプロジェクトを前提とした"守り"の問題が出題されそう

 

順に説明します。

 

3-1. 問1はDXを前提とした"攻め"の問題が出題されそう

"攻め"や"守り"といった言葉遣いはイメージですが、

問1は新規投資や事業停滞打開など、事業として攻めの姿勢で

手段としてDXを用いる文脈での問題が出題されています。

 

過去の問題文に例示されているDX事例は以下の通りです。

  • 令和1年秋
     病院における音声認識とAIを活用した記録業務のデジタル化
     組立加工業におけるAR機器とIoTによる組立業務のデジタル化
  • 令和3年春
     流通業におけるICタグを用いた物流保管のプラットフォームサービス
     測量機器メーカにおけるドローンとAIを用いたサブスク監視サービス
  • 令和4年春
     保険会社における顧客健康データを活用した割引などの新サービス

 

実際の企業における経営課題は千差万別ですが、

ITストラテジストで出題される問題にはいくつかのパターンがあります。

"攻め"のパターンとして、上記の事例は読み込んで理解しておくと

よいでしょう。

 

なお、令和4年春については本ブログでも解説記事を

あげているので合わせてご確認ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

3-2. 問2は既存業務やプロジェクトを前提とした"守り"の問題が出題されそう

問2は比較的保守的な文脈で出題されることが多く、

過去3年は以下のようなことが問われています。

  • 令和1年秋 ビジネスモデル策定の支援
  • 令和3年春 ステークホルダの意見調整
  • 令和4年春 スケジュールの管理

試験区分の領域としてはプロジェクトマネージャーの

知見・経験があると有利でしょう。

IPAとしてはアジャイルの台頭を受けシラバス

2022年に更新しています。

もしかするとアジャイル開発を前提とするような文脈で

問題が出される可能性もあるでしょう。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

ITストラテジストを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

ITストラテジスト DX実現の新サービス【論文の書き方】(令和3年春問1)

本記事ではITストラテジストの午後II(論文)対策として、

令和3年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和3年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

表題:『デジタルトランスフォーメーションを実現するための新サービスの企画について』

 

 

 

設問文は以下の通り。

 

 

何が問われているかを把握する

問題文を読むと第二、第三段落が問題文分量の大半を占めており、

DXの例について書かれていることが分かります。

次いで第四、第五段落にDXの手順が述べられていることが分かります。

 

読み方としては第二、第三段落を読んで問題文が提示する

具体的なDX像の事例をイメージし、

第四、第五段落と照らし合わせて論述の骨子を見出すのがよいでしょう。

 

 

設問アは、背景にある「事業環境」「事業特性」「DXの取組の概要」

が問われています。

問題文上には対応する箇所は無く、受験者自身が用意した

シナリオで論述しましょう。

 

設問イは、DXを実現する企画の「ターゲットとした顧客とそのニーズ」

「活用したデータとディジタル技術」が問われています。

問題文上で対応する箇所は第四段落です。

後述しますが、「ターゲットとした顧客」は従来の顧客とは別の顧客とする

ことが重要です。

 

設問ウは、「経営層への提案、評価、改善策」が問われています。

問題文上で対応する箇所は第五段落です。

 

まとめると問われていることは次の通りです。

 

設問ア

 事業環境

 事業特性

 DXの取組の概要

設問イ

 ターゲットとした顧客とそのニーズ

 活用したデータとディジタル技術

設問ウ

 経営層への提案、評価、改善策

 

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨

 

出題要旨の2段落目に、

ターゲットとした顧客とそのニーズ、活用したデータとディジタル技術

を求められているとあります。

設問イで問われていることであり、設問に沿って回答しないと

減点対象となるでしょう。

また

新サービスを具体的にするための提案

を求められているとあります。

設問ウで問われていることの一部であり、経営層へ提案するにあたり

具体化の道筋を意識することが重要であると考えられます。

 

採点講評

 

「全問共通」の採点講評からは、

"論述の対象とする構想、計画策定、システム開発などの概要"又は"論述の対象とする製品又はシステムの概要"が適切に記述されていないものが散見された

とあります。

論文用紙の前にある、下の画像のような論述の概要を記載する用紙ですね。

試験センターも明確に「評価の対象」と言っているので、

手を抜かずに記入しましょう。

聞かれる項目はほぼ毎回同じなので、

予め回答を想定して準備しておきましょう。

 

問1の採点講評では、中段にNG例が記載されています。

ディジタル化による業務改善や、業務の一機能に対するディジタル化にとどまっている

既存の業務の延長となるようなシステム化ではNGということです。

 

ではどのようなケースがDXとしてOKなのか、という点ですが、

採点講評の中でも次の表現があるので引用します。

「組織や地域社会の課題に対して、既存の事業を変革したり、新しいビジネスモデルを創出」

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとディジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 

試験センターとしてはDXの例としてさまざまな情報を発信しているので

キャッチアップするようにしましょう。

 

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは「事業環境」「事業特性」「DXの取組の概要」

を問われています。

設問アの執筆に着手する前に、設問イで触れることになる

「DXを実現する新サービスの企画」の骨子は作っておきましょう。

 

まずは問題文の事例を確認しましょう。

①倉庫会社と②測量機器メーカの事例が述べられています。

 

問題文中の事例確認

問題文中の事例を確認して論述対象の業界や業種をイメージしたら、

まずは設問イで詳しく書くことになる「活用したデータ」「ディジタル技術」

「ターゲット顧客・ニーズ」の骨子を決めるのがよいでしょう。

 

設問イの骨子を決めたら、なぜそうしたかの”根拠・理由”として

設問アの「事業環境・事業特性」を決めます。

 

骨子の作成プロセス

上図の場合、設問イでどのようなDXを実現するかの骨子に対して、

設問アの事業特性として「顧客のこだわりに応えたきめの細かい

家事サービスに対応」できるという強みを設定しました。

 

設問アで強みを論じることで、のちの設問イで、

なぜ「従来顧客のデータ」を活用するのかの根拠としています。

 

また設問イで「新たな顧客のニーズ」として「A社の知名度と営業力」を

設定していますが、説得力をあげるために設問アで

「A社が業界大手でシェアが高い」などの事業環境を述べておくような

工夫も加点対象となるでしょう。

 

 

 

設問アの後半で「DXの取組の概要」について触れる必要がありますが、

どこまで述べるべきかは少し悩むかもしれません。

 

執筆スタイルにもよると思いますが、ここでは2つの案を提案します。

 

案① 問題文に沿って「~というDX」という表現で論述する

 

問題文の2つの事例では以下の表現があります。

  • 物流保管サービスのプラットフォーマに変革するというDX
  • サービス業にも事業を拡大するというDX

このように「~というDX」という表現で論述するというものです。

 

案② 設問イで触れる各要素について一通り触れる

 

設問イでは「活用したデータ」「ディジタル技術」「ターゲット顧客・ニーズ」

について詳しく論じる必要がありますが、

一通り触れるというものです。

問題文中の事例の段落(第2, 第3段落はそれぞれ200字強の分量)の書き方を

参考にするのも良いと思います。

 

 

設問アの骨子の例をまとめます。

■設問ア
 1.事業環境、事業特性、DXの取組の概要
  1-1.事業環境と事業特性
   首都圏の居住者向けの家事代行サービス(A社)
   顧客のこだわりに応えたきめの細かい家事サービスに対応
   参入競業多く、顧客獲得数が鈍化
  1-2.DXの取組の概要
   顧客にA社の家事代行サービスを提供するだけではなく、
   家事代行サービスを請け負う個人事業主のサービスを
   紹介するプラットフォームを展開する

 

設問イの設計

設問イでは「ターゲット顧客・ニーズ」「活用したデータ」「ディジタル技術」

について詳しく述べる必要があります。

 

どの順序で書いてもよいですが、上述の順序で書くのが書きやすいと思います。

なぜならば要件(概要)→設計(詳細)の順序となるためです。

 

ターゲット顧客・ニーズ

ターゲット顧客は「従来の業種・業態における顧客とは異なる新規顧客」を

設定する必要があることに注意してください。

 

問題文中の事例では次の関係になっています。

事例①倉庫会社

 従来顧客:一定数量以上の在庫を抱える顧客

 新規顧客:一点ものの管理に悩みのある顧客(衣料品レンタル会社)

事例②測量機器メーカ

 従来顧客:測量事業者

 新規顧客:道路運営会社や電力会社

 

このことから設定すべきターゲット顧客は

従来の業種・業態の延長線上や単なる捉え直しでは趣旨に合わないと言えます。

 

家事代行サービスを例にとると、従来顧客像が30~40代のファミリー世帯に

対して新規顧客像を20代の単身世帯などに設定してはならないという

ことになります。

(このレベルのターゲットの捉え直しではDXにも繋がらないと考えられます)

 

 

DXの例として、新旧のビジネスモデルを下に図示します。

新旧ビジネスモデル

従来顧客に対して、新顧客(家事代行サービスを営む個人事業主)を

設定しています。

A社としては仲介プラットフォーム業に変革しています。

 

ニーズについては

「A社の知名度と営業力 が個人事業主には無いため(個人のニーズ)」

「多様な働き方(ギグワークなど)を社会が求めているため(社会のニーズ)」

などを述べることとなります。

 

活用したデータ・ディジタル技術

実現するDXによって様々な回答が考えられますが、

家事代行サービスA社の場合について回答をします。

まず、新ビジネスモデルを再掲します。

新ビジネスモデル(再掲)

活用したデータは「従来顧客のプロファイル・利用サービス」などです。

このデータの蓄積はA社の強み(競争力の源泉)であり、

設問アの「事業特性」でも触れていた部分です。

 

論文としては、(なぜそのデータを活用したか)の理由として

A社の強み(競争力の源泉)であるからと述べるのが

説得力のある展開となります。

 

 

 

採用したディジタル技術は

・AI技術(機械学習

スマートデバイスにインストールするアプリ

です。

前者については、クラウドサービスのマネジメント型のサービスを

利用したと述べると現実的で良いと思います。

 

 

設問イの骨子の例をまとめます。

■設問イ
 2.DXを実現するための新サービスの企画
  2-1.ターゲット顧客とニーズ
   新たなターゲット:家事代行サービスを請け負う個人事業主
   ニーズ:A社の知名度と営業力
  2-2.活用したデータとディジタル技術
   活用したデータ:A社の従来顧客のデータ
    例)顧客プロファイルと利用した家事代行サービスなど
   ディジタル技術:
    クラウドサービス(データストア、AI技術)
    スマートデバイスアプリ

 

設問ウの設計

設問ウは「経営層への提案、評価、改善策」が問われています。

注意したい点として、問題文に以下の記述があります。

収益モデル、業務プロセス、新サービスの市場への普及方法、リスク対応策、協業先などを検討し、投資効果と合わせて経営層に提案することが重要

したがって、経営層から提案内容を評価された後で、

収益モデルやリスク対応策を検討しても遅いことになります。

先に検討して提案に臨むことが求められます。

 

 

たとえば

  • 社内に採用する新技術のノウハウが無いので協業先の候補をした
  • 新サービスの市場への普及方法を検討した

などを経営層への提案に盛り込んだことを論述します。

 

経営層からの評価の例としてはITストラテジストが単独では

解決しづらい指摘を受けるようにすると、

論述しやすいと思います。

 

たとえば

  • 協業先の選定には財務状況などの与信調査を行うこと
  • 仲介手数料の料率は、収益予想を明確化し財務目標と整合性をとること

といった指摘です。

 

逆に上述の指摘をITストラテジスト単独で活動して解決するような

動きをすると、「動きすぎ」となり、試験センターが求める

ITストラテジスト像から逸脱してしまうので注意してください。

 

改善策として、購買部・財務部・人事部などと連携を取り、

調整してサービス企画を肉付け・改善したと結べば良いでしょう。

 

 

論文骨子

以上を踏まえ、論文骨子は次のようになりました。

■設問ア
 1.事業環境、事業特性、DXの取組の概要
  1-1.事業環境と事業特性
   首都圏の居住者向けの家事代行サービス(A社)
   顧客のこだわりに応えたきめの細かい家事サービスに対応
   参入競業多く、顧客獲得数が鈍化
  1-2.DXの取組の概要
   顧客にA社の家事代行サービスを提供するだけではなく、
   家事代行サービスを請け負う個人事業主のサービスを
   紹介するプラットフォームを展開する
■設問イ
 2.DXを実現するための新サービスの企画
  2-1.ターゲット顧客とニーズ
   新たなターゲット:家事代行サービスを請け負う個人事業主
   ニーズ:A社の知名度と営業力
  2-2.活用したデータとディジタル技術
   活用したデータ:A社の従来顧客のデータ
    例)顧客プロファイルと利用した家事代行サービスなど
   ディジタル技術:
    クラウドサービス(データストア、AI技術)
    スマートデバイスアプリ
■設問ウ
 3.経営層への提案、評価を受けての改善点
  3-1.経営層への提案と評価
   提案:A社内には実装ナレッジ不足(リスク)のため
      ソフトウェアハウスを協業先の候補として選定
   評価:概ね良いが次の点は再考
    ①協業先の選定には財務状況などの与信調査を
     行うこと
    ②仲介手数料の料率は、収益予想を明確化し
     財務目標と整合性をとること
  3-2.評価を受けての改善点
   ①購買部門に与信調査を依頼
   ②財務部門の中長期経営目標に基づき事業収益の予算を作成

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではITストラテジストの午後II(論文)対策として、

令和3年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

DXを全面に押し出す、当時としては新傾向の出題であったと思います。

今後もしばらくは1問はDX系が出題されると思いますので、

狙い目とする方は類題を解いて練習を重ねてください。

 

私自身の受験記もまとめているので合わせて参考にしてください。

 

ITストラテジストの合格秘訣まとめ■

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。

高度情報処理技術者 各区分の資格取得メリットについて

更新:2023/10/25

 

秋が深まってきましたね。

秋の情報処理試験も終わり、次は春の試験です。

 

前回の試験を受けた方も、受けていない方も、

高度の情報処理試験を初めて受けるという方も、

何を受けよう?」と迷っていたり、

そもそも受けるメリットってなんだろう?」と思っていませんか。

 

本記事では、主に実際にエンジニアの若手~中堅として活躍されている方向けに、

  • 資格取得に興味はあるけど、費用対効果ってどれくらいあるんだろう?
  • 苦労して取得しても、意味が無かったら嫌だな。業務に活用できるの?
  • 基本情報(応用情報)は取得したけど、次はどの資格が狙い目なんだろう?

といった疑問にお答えしたいと思います。

 

筆者自身、エンジニアとして社会人経験を過ごし、

高度情報処理試験の全てをコンプリートしました。

実際の業務経験も踏まえながら、資格が役立った場面を紹介したいと

思いますので、参考にしてください。

 

 

■ATTENTION■
読んでくださる方のために、筆者のバックグラウンドを簡単に説明します。

✔ 社会人経験=エンジニア経験 15 年

業務カットの経験
✔ 社内の技術サポート
✔ フィールドSE(お客様御用聞き)
✔ システムインフラ保守・運用・構築
✔ エンタープライズ向けサービス開発・稼働維持・企画

技術カットの経験
✔ ネットワークやサーバーなどインフラ
✔ 簡単なプログラミング
✔ 自動化ツールの開発

転職経験
✔ あり(1回)

そんな筆者の視点から、各試験区分の取得メリットと、簡単な取得動機を説明します。
参考になるものがあれば幸いです。

 

0. 高度情報処理試験の全般的な取得メリット

まずは高度情報処理試験の全般的なメリットについて述べていきます。

各区分別のメリットを先に読みたいという方は、本章は読み飛ばしてください。

 

0-1. 基本情報の知識補強ができる

本記事は、基本情報試験は取得済みの方を想定しています。

基本情報技術者試験は、テクニカル系・マネジメント系・ストラテジ系と、

「広く浅く」知識を習得することができます。

 

そのため、使っていない知識はすぐに忘れがちです。

エンジニアとして長く活躍していきたいと考えている皆さんにとって、

キャリアのステップや仕事の内容によって、知識の使う・使わないは

明確に分かれます。

すると、使っていない知識は軽視され、忘れてしまいかねないですが、

高度情報処理試験を受けることで、再度その区分の勉強をすることになり、

知識の定着を図ることができます。

 

0-2. 高い奨励金を支給される場合がある

即物的なメリットとしては、奨励金です。

所属している会社や組織の方針もあると思いますが、

IT業界の会社の資格奨励制度には、

基本情報や高度情報の奨励金があり、

多くの場合、高度情報はより多くの奨励金がもらえます。

 

中には10万円以上の高額の奨励金が出ることもあり、

資格勉強のためにかかる参考書や通信教材のコストを差し引いても、

純利益が出る場合があります。

かくいう筆者も、資格取得を目指した最初のモチベーションはここにありました。

 

ぜひ、ご自身の所属する会社・組織の資格奨励制度を確認してみてください。

 

0-3. 自分の意見を後押しする根拠になる

社内や組織で、互いに資格を保有しているか否かという話題に

なることはありますか?

筆者の所属していた会社では、そこまで頻繁に話題に上ることは

ありませんでしたが、半期や通期の目標設定/上司面談で

資格取得に関するヒアリングもありましたので、

それを機に、同僚で情報交換が行われることがありました。

 

そうすると、自然と、社内の○○さんは資格を大量に保持しているらしい、

とか、○○さんと○○さんは高度の□□試験を受けるらしい、とか、

そういったうわさ話が耳に入ってくることがありました。

 

そういった空気感を前提に仕事をしていると、ふとした業務遂行上の

協議やディスカッションにおいて、○○さんは□□資格を保持しているから、

これに詳しいでしょう、と自分の意見を通してもらえたり、

決定権を渡してもらえたりすることがあります。

時には、ただの無茶ぶりもあるわけですが、それだけ慎重に避ければ、

高度資格を保有していると、それだけ有利・円滑に仕事を

進めていけることができるように思います。

 

 

0-4. 転職やポスティングに有利

情報処理試験は、歴史が長いことも有利に働きます。

制度自体は昭和40年代からの資格。

これは、いまベテラン以上の年代のエンジニアが

若手の頃からあった資格ということです。

彼らも全員が取得できた資格ではないので、

簡単な資格ではないことは知られています。

つまり人事部や転職先・ポスティング先のしかるべき役職に

ついているであろう方の目にも止まりやすい。

これは、自分の市場価値を高める上で、差別化しやすい

大変なメリットになります。

 

 

1. 各区分の取得メリットと動機付け

それでは本章から各区分の簡単な紹介と、

筆者の経験を基にした取得メリットと取得動機について

解説していきます。

 

1-0. 高度情報処理技術者試験の概要

前提として、試験の概要と形式に触れておきます。

ここは知っているよという方は、本節は読み飛ばしてください。

 

高度情報処理試験とは、IPAのレベル区分でレベル4に該当するものです。

f:id:createrolerole:20210615145119p:plain

高度区分は図中央のピンク部分。IPAより

全部で9種類の資格があり、試験時間は次の通り。

f:id:createrolerole:20211130161910p:plain

長丁場。前の試験に落ちると次の試験には行けない。

午前Iは4択問題で30問。午前IIは4択問題で25問。午後Iは記述式。

午後IIは資格ごとに記述式か論述式かで分かれます。

 

なお、午前Iは免除制度があり、応用情報・高度の合格者ならびに午前I通過者は

2年以内であれば免除申請することが可能です。

 

 

以下、筆者の取得順に各試験について解説していきます。

受験予定の科目、気になる科目を中心にご確認ください。

 

1-1. 情報処理安全確保支援士のメリットと取得動機

略称 SC 実施時期 春・秋 午後の形式 長文読解
タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル 脆弱性・脅威、リスクコントロール、定性・定量のリスク評価、セキュリティポリシーの定め方

 

■メリット■

 

あなたがアプリ寄りインフラ寄りいずれであっても、

意識しなければならないセキュリティに関する知識セットを

備えることができます。

セキュリティは近年ますます需要が高まっている知識分野の一つで、

取得メリットは極めて大きいと思います。

高度区分の中では難易度的にもとっかかりやすく、他の区分の試験でも

セキュリティの範囲は問われることが多いため、

初めて高度を取る方、今後複数の高度を取る予定の方におすすめです。

 

■筆者の取得動機■
 

当時、ファイアウォールなどのセキュリティを具備するシステムを

主に扱っていたため。

ポリシーベースの制御法は、セキュリティポリシーの実装の基礎ですので、

資格取得後は、隣の部のセキュリティ実装の助言をしたら

一目置かれるようになりました。

セキュリティに携わる実機を実際に触る方はオペレータとして、

自分の判断を交えずに淡々と処理することが重要ですが、

本資格があれば設計段階でセキュリティを加味させることや、

オペレータの負荷にならないような可読性の高いポリシー実装や資料化に

貢献することができます。

 

1-2. ネットワークスペシャリストのメリットと取得動機

略称 NW 実施時期 午後の形式 長文読解
タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル OSI参照モデル通信プロトコル、ネットワーク図の読み書き

 

■メリット■

 

あなたがインフラSEならば、登竜門的・代表的な資格に値するので、

この資格を取得することで、システムの通信という

根本的な部分を理解していることを示せます。

また、あなたが自チーム外の活動も意識しなければならないとしたら、

OSI参照モデルとはそのまま組織やチーム分けの

前提になっていることも多いので、

この資格の知識を基に低レイヤと高レイヤを俯瞰視して

チーム間の橋渡し役を買うこともできるでしょう。

 

■筆者の取得動機■

ルータやスイッチなど、ネットワークアプライアンスの担当と

なったため。

実務ではIPアドレスの計算を人より早く

できることが信頼に繋がるように思います。

詳細で複雑なネットワーク図の読み解きも

できるようになり、一歩進めて相手の理解度に応じて

正確さと分かりやすさのトレードオフを調整しながら図おこし

できるようになりました。

 

■COLUMN■

■効率的な勉強法

情報処理安全確保支援士とネットワークスペシャリストは相性がよく、

重複して問われる要素があります。

情報セキュリティの脅威を考える上で、侵入"経路"とは

ネットワークに他ならないためです。

両者を両方取得するつもりなら、時間を空けずに

勉強すると効率がよいかと思います。

 

 

1-3. データベーススペシャリストのメリットと志望動機

略称 DB 実施時期 午後の形式 長文読解
タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル ER図、関係スキーマ、正規化(特に第3正規化)

 

■メリット■

あなたがバックエンドのアプリSEであったり、

システム全体の設計を考慮してデータの配置をデザインする立場であれば、

データベースのテーブル設計手法やデータ呼び出しアプリケーションとの

関係を説明・提案できるようになります。

あなたがフロントエンドのアプリSEであったり、

インフラSEであったとして、実務に精通していなくても、

簡単なSQL文やDB設計書を読めるようになります。

 

 

■筆者の取得動機■

業務上必要だった訳ではありませんが、自身の知見を広げるために取得。

後年になり、システム保守の現場でSQL文やDB設計書に触れることがあり、

知識の効果を実感しました。

また、要件定義の段階でも、データ同士の1対1とか1対Nとかと

いった特徴を掴んで、第三正規化やER図の知識を活かして図おこしし、

関係者と認識の一致を図ることなどに、役立ちました。

 

1-4. プロジェクトマネージャーのメリットと志望動機

略称 PM 実施時期 午後の形式

長文読解

論文

タイプ マネジメント系

難易度

(偏差値)

69
身につく本質スキル PMBOKの実践、ウォーターフォール型開発のあるあるネタ追体験

 

■メリット■

あなたが上司に報告しなければならない立場であったり、

チームをまとめる立場にステップアップを考えていたりするならば、

本資格の取得勉強を通じて、上司への報告に使いやすいフレームワークや、

進捗管理や組織運営に必要なノウハウを学ぶことができます。

ネームバリューはもっとも高い資格。

転職やポスティングにも条件として

明示されていることが、基本情報を除くと最も多いように思います。

 

ちなみに、プロジェクト管理やチーム運営に特に大切なことは、

どんな分野に置いても、予め基準を決めておくこと。

こうすることで問題発生の予兆が掴め初動が

早くなり、対応が均質化され、判断コストが下がります。

基準が間違っていれば、修正すればよいです。

 

■筆者の取得動機■

資格の名の通り、プロジェクト管理を任されることが増えつつあったため。

にわとりたまごですが、実体験があった方が合格しやすいと思う反面、

先に合格レベルの知識を備えていると実際のプロジェクト管理も円滑にいくことも

あるように思います。

結論としては、「実体験は必須ではない」ですね。

 

また、プロジェクトは必ず終わりがあり、目標があります。

抜擢された若手が突然チームの目標を定めたりするのは

気恥ずかしく不安もありますが、PMBOKに代表される

フレームワークに過ぎないと思えれば、

淡々とこなしていくことが可能になると思います。

 

■COLUMN■

■筆者の体験談

私は当時はインフラレイヤのプロダクト知識が中心だったので、

プロジェクトマネージャーの想定する業務システム開発の知識を勉強するのが

最も苦労しました。

多くの論文事例集を読み込み、合格論文の"型"を掴んでいく勉強法をとりました。

 

■COLUMN■

■情報処理安全確保支援士との関係

プロジェクト管理にはリスク管理が重要で、

上司によってはリスクの報告をするだけで事足りるようなケースもあります。

リスク管理は安全確保支援士の知識が活用できるので

リスク分析や対応策の策定を論述する際などに、勉強し直して

みると効率的に思います。

 

 

1-5. ITサービスマネージャーのメリットと志望動機

略称 SM 実施時期 午後の形式

長文読解

論文

タイプ マネジメント系

難易度

(偏差値)

68
身につく本質スキル ITIL、変更管理、問題管理、インシデント管理

 

■メリット■

あなたがシステムやサービスの運用・保守を担当しているなら、

問題(インシデント)発生の暫定対処、根本対処の違いなど、

見過ごされがちな業務の中で必要な本質的な要素を理解できます。

あなたが運用・保守とは畑違いであったとしても、

運用・保守に引き継ぐべきフレームワークや重要な点を学べます。

また、ヘルプデスク運営が学べます。

 

■筆者の取得動機■

システムやサービスの運用・保守に携わっていたため。

運用側として、開発側からの受け入れ基準を整備することで、

断る理由を説明して、チームを守れたこともありました。

運用をしていると、一見無駄に思う業務が

たくさんありますが、資格を取得していると、

無駄に見えるけど必要な業務か本当に無駄な業務か

識別できるようになります。

 

1-6. エンベデッドスペシャリストのメリットと志望動機

略称 ES 実施時期 午後の形式

長文読解

論文

タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

67
身につく本質スキル ハードとソフトの結合、組み込みシステムの利点と欠点への理解

 

 

■メリット■

あなたが組込みシステムの開発者であったり、

制御系システムやエッジデバイスのプロダクトSEであるならば、

本資格の知識を活かして、ハードやソフトの特性を改めて理解し、

より最適なシステム実装の提案ができるようになります。

IoTやセンサーネットワークが叫ばれ、

低コスト・高品質のエッジコンピューティングが

求められている昨今、業界によっては需要の高いスキルと思われます。

 

■筆者の取得動機■

エッジデバイスを駆使した

エンタープライズ向けサービスを担当したため。

既製品プロダクトをカスタマイズする際にも会社間、組織間の責任分界点を、

契約書ベース以外に、技術的な領域で整理して

理解・説明できるようになったと思います。

 

出題は、駅の改札口やドローン、自動運転システムや駐車場システム、

自動音声案内ロボットなど、身近な題材が多く、興味をもって

取り組みやすかったです。

 

1-7. システム監査技術者のメリットと志望動機

略称 AU 実施時期 午後の形式

長文読解

論文

タイプ マネジメント系

難易度

(偏差値)

70
身につく本質スキル リスクとコントロールと監査手続

 

■メリット■

あなたが監査側の業務に携わる人ならば、

監査そのものの意義や原則(独立性や追跡性)、

監査人としてのふるまいを改めて学べます。

あなたが監査される側の人ならば、

求められる監査記録や対応について学べ、

システムログや議事録や管理基準の整備の必要性が学べます。

 

■筆者の取得動機■

いまいち監査の必要性が自分にも理解できていなかったため。

持続可能な組織を実現するためには、

監査の手続きが古来から有効だったということが認識できました。

取得することで、普段の運用や開発の業務時も

監査に求められる記録を意識して振る舞えるようになり、

定期・不定期の監査への対応にも余裕をもって

臨めるようになりました。

 

■COLUMN■

■プロジェクトマネージャーとの関係

プロジェクトマネージャーが、基準を整備することで

リスクをコントロールしているとしたら、

システム監査技術者はその基準と対応記録を査閲して

適切にコントロールされているかを確認する立ち位置になります。

論文執筆時には、こうした立場を明確にする必要があります。

 

1-8. ITストラテジストのメリットと志望動機

略称 ST 実施時期 午後の形式

長文読解

論文

タイプ ストラテジ系

難易度

(偏差値)

71
身につく本質スキル 情報戦略、BSC、マーケティング、プロモーション戦略、KPIの設定方法

 

■メリット■

あなたが管理職であるなど、技術者集団から一歩離れて

経営陣に近いところで執務しているならば、

本資格の知識を活かして情報戦略策定に関われます。

情報システムの経営に対する有効性の説明、KPIを設定して

成果のモニタリングをデザインできるようになります。

あなたが一技術者であったとしても、企画や戦略の

意図を理解しやすくなることになり、

これにより、部門横断的な取組みや、

既存システムの改善提案もしやすくなるでしょう。

 

■筆者の取得動機■

エンタープライズ向けシステムの

企画業務に従事するようになったため。

既存システムの保守費用を捻出するのに、

システムの意義や目標を踏まえて上司経由で経営側を

説得する必要がありましたが、どんな説明が求められているか

"あたり"をつけられるようになりました。

 

時々、まったく型にはまらない方もいて、その方専用の

説明資料を作る必要があることもありましたが・・・

 

■COLUMN■

■PM・SM・AUとの関係

ウォーターフォール型の開発モデルでは、

ITストラテジストが企画・要件定義フェーズに関わり、

プロジェクトマネージャーが要件定義~実装フェーズに関わり、

ITサービスマネージャーが運用テスト以降の受け入れと実際の運営を担うことになります。

システム監査技術者は上述のどのタイミングでも

コントロールが利いているかを検証する訳ですが、

出題として多い・実業務現場として監査の有効性が高いのは

やはりプロジェクト管理のフェーズのようです。

 

1-9. システムアーキテクトのメリットと志望動機

略称 SA 実施時期 午後の形式

長文読解

論文

タイプ テクニカル系

難易度

(偏差値)

68
身につく本質スキル UML図、デザインパターン

 

■メリット■

あなたがどんな形であれシステム開発に関わる方なら、

システムに採用する実装技術の利点と欠点への理解が深まります。

また技術のフィージビリティの評価ができるようになります。

 

■筆者の取得動機■

高度区分の試験全制覇!

開発系の業務は最近は離れてしまいましたが、

世にあるプロダクトや技術を組み合わせて

自分の手で検証、実装するのはエンジニアの醍醐味と思います。

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

資格取得の費用対効果や、基本情報(応用情報)の次に何を取ろうか

迷っている方に向けて有益な情報となっていたら幸いです。

各試験のメリットを記載したので参考にしていただき、

ご自身のキャリアプランに合わせて、

最適な資格を選択していくことが、費用対効果も最大化されることになる

と信じています。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

是非、一緒に頑張りましょう!

 

ではそれまで。

情報処理技術者試験(高度) 出題 振り返り速報 令和5年秋・最新

情報処理技術者試験、受験された方、お疲れ様でした。

 

試験センターからはまだ出題要旨や採点講評は公開されていませんが、

各区分の振り返り評価をしていきたいと思います。

 

本ブログでは出題予想をしております。

本記事では予想に対する評価を中心に行います。

各区分の出題予想に対する詳細は過去にアップした

出題予想記事を参考にしてください。

 

 

プロジェクトマネージャ

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイントの的中評価■
1. RACIチャートに関する出題が今年も出そう →的中せず。
2. 令和3年秋から同じ問題が6~7問出そう →的中せず。再出題/類題はPDM、クリティカルチェーン法、リスクの特定・評価。
3. 計算問題は今年も1~2問出そう →計算問題は6問ほどで多く出題された印象。
4. PMBOK 7 版準拠・アジャイル開発に関する問題が出るかも →的中。問1でアジャイル宣言の背景、問15でスクラムが問われた。

 

 

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

 

  テーマ
問1 価値の共創を目指すプロジェクトチームのマネジメント
問2 システム開発プロジェクトにおけるイコールパートナーシップ
問3 化学品製造業における予兆検知システム

 

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 新規事業や顧客価値などといったST寄りの出題が出題されそう → 問1が価値の共創がテーマであり的中。
2. アジャイル開発を前提とした出題があるかも → 問2で、アジャイルそのものではないがキーワードである準委任・請負契約の差に触れていた。
3. チームやステークホルダ管理が出そう → 問1ではリーダシップ、問2、3ではモチベーションが問われておりチーム管理が重要な傾向があった。

 

 

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

 

  テーマ
問1 プロジェクトマネジメント計画の修整(テーラリング)について
問2 組織のプロジェクトマネジメント能力の向上につながるプロジェクト終結時の評価について

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. "変化や不確かさへの対応力"を問う出題がありそう → 問1がマネジメント計画を標準から修整するテーマなので変化への対応力を問うている
2. 救済のため?オーソドックスなQCDに関する出題がありそう → 問2もプロジェクトの反省から改善に繋げるテーマであり、QCDに閉じた出題は無かった

 

 

システム監査技術者

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和3年秋と令和2年秋から同じ問題が7~8問出そう → 的中。令和3年からの再利用率/類題率が高かった。
2. アジャイル系やクラウド系の知識が問われるかも → 的中せず。先端技術系ではAIシステムが問1で問われた。

 

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

 

  テーマ
問1 クレジットカード情報保護の監査
問2 ローコード/ノーコード開発ツールを利用したシステム開発の監査
問3 人材管理システムの監査

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1は先端テーマ(AI、IoT、クラウドアジャイル等)が出題されそう → 問2でローコード/ノーコード開発ツールが問われた
2. 問1は採点基準が易しくなる可能性あり → 問2が先端テーマなので問2の正答率が高まる可能性があるが採点講評を待って評価する
3. 設問と問題文本文のマッピングが難しい問題の方が問題自体は易しくなる可能性あり → 問1がマッピングが難しいので正答率が高まる可能性があるが採点講評を待って評価する

 

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

 

  テーマ
問1 データ利活用基盤の構築に関するシステム監査について
問2 サイバーセキュリティ管理態勢に関するシステム監査について

 

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1は先端キーワード(DX、チャットボット、PoCなど)をテーマとした出題がありそう → 問1は例年通り先端キーワードだったが内容はビッグデータだった
2. 問2はオーソドックスなキーワード(新サービス、スケジュール管理など)をテーマとした出題がありそう → 問2がセキュリティがテーマであり経験に左右されそうな印象だった

 

 

 

データベーススペシャリスト

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和3年、2年、4年のDB系出題(問1~18)から同じ問題が7~8問出そう → 例年より全体の再出題率は低かった。内、令和3年からの再出題率は高かった。(CAP定理、2相ロック、隔離性水準、インシデントハンドリングマニュアル)
2. SQL問題が4~5問出そう → SQL問題は少なめだった(問9,10)

 

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

 
  テーマ
問1 電子機器の製造受託会社における調達システムの概念データモデル
問2 ホテルの予約システムの概念データモデリング
問3 農業用機器メーカーによる観測データ分析システムのSQL設計、性能、運用
 
午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 問1は図表完成問題が出題される → 問1設問2、問2設問1で出題
2. 問2,3のどちらかはSQLの比重が大きい問題が出題される → 問3で出題

また全体としてシステム開発の背景や目的が問題タイトルに記載されるようになり、重要視されている印象。 

 

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

 

  テーマ
問1 生活用品メーカーの在庫管理システムのデータベース実装・運用
問2 ドラッグストアチェーンの商品物流の概念データモデリング

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1はSQLの比重が大きい問題が、問2は図表完成問題が出題される → 的中。例年通り。

 

 

エンベデッドスペシャリスト

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 過去問(特に令和2年秋)から同じ問題が3~4問出そう → LoRaWAN、SAML、インターバルタイマなど再出題はあったが特定年度に集中する傾向はなかった
2. 計算して解く問題が出るかも → 程度差はあるも問2,4,5,11が計算問題だった

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは2問中1問を選択します。

 

  テーマ
問1 建設機械の自動・自律運転システム
問2 スマートマラソン訓練システム

 

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。
 

 

■午後I出題予想ポイント■
出題予想時点では2問選択形式になったことをキャッチアップできておりませんでした。問1はHW寄り、問2はSW寄りという、従来の午後IIのような出題傾向でした。

 

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

 

  テーマ
問1 組込みシステムの製品企画段階における脅威分析について
問2 組込みシステムにおけるマルチコアの利用について

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. 問1/2でそれぞれハードウェア寄り・ソフトウェア寄りの問題が出題されるかも
2. 問1/2でそれぞれSA寄り・ST寄りの問題が出題されるかも

→ 切り口として、問1がST寄り、問2がSA寄りの出題だった

 

 

情報処理安全確保支援士

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 過去問からは特に令和4年春から同じキーワードの設問出そう → 的中。OSコマンドインジェクション、NOTICE、SAML、DNSSECが再出題/類題。
2. SSO/SAMLは最近頻出で今回も出そう → 的中。SAMLが出題。
3. 問18~20はNW系、問21はDB系、問25はAU系から出題される → 毎回の通りで的中。

 

 

午後

午後の出題テーマは以下の通りです。

午後は4問中2問を選択します。

 

  テーマ
問1 Webアプリケーションプログラム開発
問2 セキュリティ対策の見直し
問3 継続的インテグレーションサービスのセキュリティ
問4 リスクアセスメント

 

午後の出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

 

■午後出題予想ポイント■
1. NW系のスキルがあると有利な問題が1~2問出題される → 問2がNW系、問4も若干NW色だった
2. アプリ系のスキルがあると有利な問題が出題されるかもしれない → 問1がアプリ系、問3も若干アプリ色だった
3. マネジメント系のスキルがあると有利な問題が出題されるかもしれない → 問4がマネジメント系、問3も若干マネジメント色だった

問3はSSLSSHの知識があると有利な印象だった

 

 

総評コメント

今期はエンベデッドスペシャリストと情報処理安全確保支援士の

午後が新形式となり初の試験でしたが、概ね傾向は事前の予想通りでした。

プロジェクトマネージャは従来のQCDを問うような問題は

今後出されないのではと思わされる内容で、時代の変化を感じます。

データベーススペシャリストは実装面よりもシステムを使う

目的や背景についての情報密度が上がっており、より

利用者を意識したシステム開発・実装が求められているように感じました。

 

おわりに

試験センターの午後試験の解答が出るまで、まだ時間があります。

まずは、試験を完遂できた自分をほめて、休息しましょう。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

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試験センターの解答や合格発表は時間がかかるので、

それまでに私も対策記事・講評記事をアップしていきたいと思います。

ではそれまで。