本記事では令和6年春向けのシステムアーキテクトの
出題予想を行っています。
勉強をそれなりにしてきた人であれば、
「どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、
これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、
「残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。
本記事では、次回ITストラテジストを受験される方向けに、
- 出題にはどのような傾向があるんだろう?
- 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
- で、それらを午前問題、午後問題(記述・論文)について知りたい!
といった疑問・要望にお答えしたいと思います。
なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。
1. 午前II予想
上図は過去4年の出題一覧です。
他区分でも言えることですが、過去問から同じ問題・似た問題が
出題されることが多いです。
午前IIは25問中15問(60%)正解で通過できます。
午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。
2. テスト系は今年も出そう
3. SC系・DB系・NW系からの問題が今年も出そう
順に説明します。
1-1. 令和元年~5年の過去問から同じ問題が6~7問出そう
令和5年春の過去問を分析すると、実に4割が過去問の再出題でした。
内訳は以下の通り。
- 問1 アシュアランスケース:令和3年 問1
- 問2 DFD:令和1年 問1
- 問5 オーバーライド:令和1年 問4
- 問6 GoFデザインパターン:令和1年 問2
- 問7 チューリングテスト:令和1年 問12
- 問9 スプリントレトロプロスペクティブ:平成30年 問13
- 問14 WTO政府調達協定:令和3年 問15
- 問17 共通鍵暗号:令和4年 問15
令和1年(3期前)からの再出題が最も多いです。
3期前からの再出題が多いことを仮定すれば、
令和3年に着目して過去問対策をすると効率がよいでしょう。
1-2. テスト系は今年も出そう
過去4回は毎回テスト系の問題が出題されています。
令和元年秋問7(網羅性テスト)、問9(リグレッションテスト)、
令和3年春問9(システム適格性テスト)、
令和4年春問8(探索的テスト)、
令和5年春問7(チューリングテスト)、問11(ソフトウェア受入テスト)
などです。
テスト系はまとめて覚えてどれが問われても正答できるように
しておきましょう。
午前II試験は周辺の他区分の問題も出題されます。
システムアーキテクトの場合、頻出される他区分の問題について
イメージを画像でまとめました。
テクニカル系・マネジメント系・ストラテジ系の3つに分かれます。
システムアーキテクトでは、テクニカル系の出題としては
応用情報技術者やデータベーススペシャリスト寄りの問題が多い印象です。
具体的には、可用性計算やアクセス速度などが応用情報技術者寄りで、
データベースの2相ロックやトランザクションログなどが
データベーススペシャリスト寄りであると言えます。
マネジメント系・ストラテジ系の出題としては
プロジェクトマネージャーやITストラテジスト寄りの問題が多い印象です。
システムアーキテクトは設計を主導するのでプロジェクトマネージャーや
ITストラテジストと連携して活動することが多いことからも
妥当な傾向であると言えるでしょう。
1-3. SC系・DB系・NW系からの問題が今年も出そう
例年、自区分以外の問題も出題されています。
SC系(3~4問)、DM・NW(それぞれ1~2問)
という具合であり、15問正解で合格を考えるとこれらは
無視できない問題数です。
特にSC系は過去問を何度も実施して
得点源とするよう準備しましょう。
システムアーキテクトを勉強するに際しては、
様々な技術やフレームワークを理解する必要があります。
多岐に渡るフレームワークや技術を理解するには、
どのフェーズで利用されるかをジャンルとして整理するとよいでしょう。
上図に列挙した各フェーズの代表的な技術・フレームワークは、
ざっくりでもいいので理解しておいた方が良いでしょう。
午前IIは過去問対策をするのが近道であるのと、
インターネットにも対策コンテンツが充実しているので、
書籍のメリットは、「手に取って対策したい」という点でしょうか。
書き込みや付箋をつけるなど、実際に手を動かして対策を進めたい
方にオススメです。
2. 午後I(記述)予想
上図は過去4年分の過去問テーマ分析です。
午後Iは令和6年春より3問から2問選択することとなります。
従前の問4(エンベデッドスペシャリスト系)が出題から外れると予想されるので、
問1~3から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。
午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。
2. 1問はST系の問題が出題されそう
順に説明します。
2-1. 1問か2問はDB系のスキルがあると有利な問題が出題される
例年、1問か2問は概念データモデル(ER図)または関係スキーマ(テーブル設計図)
をもとにして必要なデータを整理させた上で回答する問題が出題されています。
過去4回で見ると以下の具合です。
- 令和5年春:問2
- 令和4年春:問2
- 令和3年春:問1、問3
- 令和元年秋:問2
年度や問題によってDBの比重・難易度はまちまちですが、
得意・不得意によって問題選択の参考にするとよいでしょう。
特に、ST系の問題とDB系の2問を選択した場合、
かなり求められる知識やスキルが異なるので時間内に頭を
素早く切り替える必要があります。
午後I試験は時間との勝負でシステムアーキテクトも例外ではありません。
時間内に完答するには問題文構造を手早く理解し速読し、
必要な材料が揃った時点で回答を記述します。
問題文を全文読んでから設問1から順に対応するようでは
時間は足りなくなるでしょう。
令和5年問3「融資保証システムの再構築」を例に具体的に説明します。
ご参考:IPA過去問
問題用紙を開いたらまずは各段落の章タイトルを把握します。
例の場合、
〔融資保証の概要〕図1あり
〔現在の業務と現行システムの概要〕
〔新システムへの要望〕
〔新システムの方針〕
〔新システムの設計〕表1あり
という5パートに分かれていることを把握します。
次に各パートを横串で通すようなキーワード(要件名や業務名)を
ざっくり把握します。
例の場合、
(1)申込
(2)承諾/審査
(3)融資
(4)返済/残高管理
(5)代位返済
といったキーワードを把握します。
多くの場合、カッコ数字((1)など)のタイトルになっています。
問題文は隅々まで読まずに設問文を読み、
キーワードを識別したら、各パートのそのキーワードが書かれている
部分を読んで回答材料を探して記述します。
例の場合、設問4は「融資残高管理機能」について問われていますので、
各パートから関連の部分のみ読めば回答材料が揃います。
例外もありますが、基本は関連部分のみで記述することができ、
隅々まで読む必要はありません。
なお、上記の点は三好康之様の下記動画で詳しく紹介されております。
2-2. 1問はST系の問題が出題されそう
ITストラテジストの知識があると有利な問題もよく出題されます。
過去の例でいうと以下の通りです。
- 令和5年春:問1、問3
- 令和4年春:問1
- 令和元年秋:問1
ITストラテジストは戦略・企画を担い、システムアーキテクトとしては
開発・実装を担当します。
そのため戦略・企画上の狙いを理解しておくことが
試験センターの期待値としてはあるものだと思います。
実務においても重要な視点だと言えるでしょう。
記述式の対策は解説が充実していることが重要なので、
その観点で「アイテック 重点対策」を評価してみますと、
- 200ページ超の分量
- 段階的に仕上げることができる仕組み
(テクニック、作成例、実践、解説と節立てされている) - とりあげている過去問(解説)が多い
と、かなり充実しておりオススメです。
また私がお世話になった2022年版の場合ですが
3-2章に主要業務の解説に紙面が割かれ参考になりました。
販売管理・生産管理・購買管理・物流管理といった
いわゆる「基幹系」の業務のDFDがまとめられており
午後I対策のみならず午後II対策としても重宝しました。
「翔泳社 情報処理教科書」は比較的、午後対策に特化しています。
各章で知識体系を整理でき、
習得具合を節目節目にある小テストでチェックができます。
じっくりと知識を習得してからテスト対策をしたい方にオススメです。
3. 午後II(論述)予想
上図は過去4年分の過去問テーマ分析です。
午後IIは令和6年春より2問から1問選択することとなります。
従前の問3(エンベデッドスペシャリスト系)が出題から外れると予想されるので、
問1~2から自分にとって相性のよいものを選択しましょう。
午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。
2. 既存システムへの改修など"守り"の問題が出題されそう
順に説明します。
3-1. DXを前提とした"攻め"の問題が出題されそう
"攻め"や"守り"といった言葉遣いはイメージですが、
新規投資や事業停滞打開など、事業として攻めの姿勢で
DXやアジャイル開発を採用するシーンをイメージしてください。
過去の問題で問われた"攻め"の出題は以下の通りです。
- 令和1年秋
問1 ユーザビリティを重視したユーザインタフェースの設計 - 令和3年春
問1 アジャイル開発における要件定義の進め方 - 令和4年春
問1 概念実証(PoC)を活用した情報システム開発 - 令和5年春
問1 デジタルトランスフォーメーションを推進するための情報システムの改善について
最近のITストラテジストの傾向も合わせて把握しておくと
出題予想が立てやすいかもしれません。
システムアーキテクトが求められる姿勢について理解しましょう。
プロジェクトマネージャーやITストラテジストとは異なり、
どのように設計するか、実装するかといったテクニカルな知識を
アピールする必要があります。
一方、データベーススペシャリストや応用情報技術者とは異なり、
実装面やタスクの遂行だけをスコープとするのは足りず、
主体的にステークホルダとコミュニケーションをとり
要件を定義したり機能の提案をしたりする必要があります。
まとめると、企画/プロジェクトといったマネジメントと
設計/実装といったテクニカルを橋渡しするような
振る舞いが求められるでしょう。
3-2. 既存システムへの改修など"守り"の問題が出題されそう
一方、比較的保守的な文脈で出題されるケースもあります。
過去4年は以下のようなことが問われています。
- 令和1年秋 システム適格性テストの計画
- 令和3年春 情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計
- 令和4年春 業務のデジタル化について
- 令和5年春 利用者と直接の接点がない情報システムのユーザインタフェースの検討について
徐々に問われる状況や条件が細かく指定されてきている印象であり、
新規に基幹システムを構築するといったようなシンプルな開発は
あまり出題されないでしょう。
筆者の場合、基本的に論文系の試験区分の試験対策には
このシリーズで準備しています。
とにかく、文の事例が豊富。
おすすめする点は、これにつきます。
論文で、どのように表現するべきか迷ったとき、
事例が豊富にあると、参考にしたり取捨選択して
自分のものにできたりします。
おわりに
いかがだったでしょうか?
システムアーキテクトを受験予定で、どのように対策を
進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。
本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。
「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。
それでは、ともに頑張りましょう。
ではそれまで。