スタディルーム by rolerole

情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

システムアーキテクト 新たなコンタクトセンタシステムの構築【記述式の徹底解説】(令和4年春問1)

本記事ではシステムアーキテクトの午後(記述)対策として、

令和4年午後1問1で出題された過去問の解説をします。

 

 

問題

過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

問題文全文

出題趣旨(試験センターより)

 

採点講評(試験センターより)

 

問題特性

出題年度 令和4年春 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 8
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
単語回答 1
記述 6
選択 1
設問文ページ数 2ページ  
総合難易度
総評(筆者) コンタクトセンタシステムを題材にした問題です。問題文の構造は現状、課題、新システムの機能、新システム下の運用となっておりオーソドックスと言えます。特別な予備知識も不要で、取り組みやすい問題です。ITサービスマネージャの受験・勉強経験者でヘルプデスク業務などの題材に触れていれば回答しやすい設問が多いでしょう。

コンタクトセンタの新たなシステム構築を題材とした問題で、

ITサービスマネージャ寄りだったと言えます。

現場で問い合わせ対応などの経験がある受験者は

取り組みやすい問題だったのではないでしょうか。

 

解法

設問1 新たなコンタクトセンタシステムの構築

(1) クラウド型PBXの導入目的

設問タイプ 記述(25字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 6
正答 在宅かつ柔軟な勤務時間で働けるようにするため

問題文全体の構造は

  • 〔カスタマサービスの現状〕
  • よくある問合せの特徴(表1)
  • 〔課題〕(表2)
  • 〔新たなコンタクトセンタシステム〕(表3)
  • 〔構築後の運用〕

と分かれています。

クラウド型PBXについては〔新たなコンタクトセンタシステムの構築〕の

機能概要(表3)に書かれています。

表3 新たなコンタクトセンタシステムのサービス機能 (抜粋・ページ5)

設問で問われているのは導入目的なので解決したいのはどの課題かを考えます。

表2のカスタマサービスの課題を順に確認すると、

設問文にもある「オペレータの勤務形態」に関する課題が

(e)に書かれていることが分かります。

表2 カスタマサービスの課題 (抜粋・ページ4)

クラウド型PBXの導入はオペレータの在宅・柔軟な勤務時間で働きたい

というニーズに応えるためであると考えられます。

 

正答:在宅かつ柔軟な勤務時間で働けるようにするため

 

(2) AIチャットボット・ボイスボットの対応想定

設問タイプ 単語回答 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 購入方法の情報収集、会員情報の確認

本問では採点講評にも正答率が低いと書かれている通り、

1つひっかけの要素があります。

まずはAIチャットボットとボイスボットについて確認します。

表3 新たなコンタクトセンタシステムのサービス機能 (抜粋・ページ5)

下線を引いた通り、AIチャットボットとボイスボットでできるのは

「FAQを参考に自動回答したり、定型的な手続きを実行したり」なので、

表1を確認しどの問い合わせが該当するかを考えます。

表1 顧客の行動ごとのよくある問合せ内容及び特徴 (ページ3)

該当しそうなのは

  • 「購入方法の情報収集」
  • 「購入した商品の使用」
  • 「会員情報の確認」

の3つであり、残りは定型的な対応は難しそうです。

ただここで落とし穴があり、6ページの〔コンタクトセンタシステム構築後の運用〕

にて次のような記述があります。

〔コンタクトセンタシステム構築後の運用〕 (抜粋・ページ6)

下線を引いた通り、「使用中の商品に関する問い合わせ」は

対象にしないとあります。

よって「購入した商品の使用」は回答に含まれないことになります。

設問から〔コンタクトセンタシステム構築後の運用〕の該当箇所に

たどり着くのは難しく、問題文を全部読んで情報を整理し回答する必要が

あることから難易度は「難」としました。

 

正答:購入方法の情報収集、会員情報の確認

 

(3) 有人チャットを起動できない条件

設問タイプ 記述(20字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 6
正答 オペレータが勤務していない時間のとき

はじめにAIチャットボットと有人チャットに関する説明を確認します。

表3 新たなコンタクトセンタシステムのサービス機能 (抜粋・ページ5)

有人チャットはオペレータが対応することになるので、

オペレータがいなければ対応できません。

そこでオペレータの勤務時間に関する記述を確認します。

〔コンタクトセンタシステム構築後の運用〕 (抜粋・ページ5)

下線で引いた通り、オペレータは日中しか勤務していません。

よって有人チャットは日中しか起動できないように設定されなければなりません。

 

正答:オペレータが勤務していない時間のとき

 

(4) コールバックで解決できる課題

設問タイプ 選択 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 (c)

はじめにコールバックの機能を確認します。

表3 新たなコンタクトセンタシステムのサービス機能 (抜粋・ページ5)

次に課題である表2を確認し、コールバック機能が

どの課題を解決できるかを考えます。

そうすると (c) の記述が目につきます。

表2 カスタマサービスの課題 (抜粋・ページ4)

電話がつながるまで待つか折り返し電話を要求するか選べるようにするのが

コールバックの機能なので、直接的に解決するのは長時間電話口で

顧客を待たせるという課題であると考えられます。

 

正答:(c)

 

(5) キーワード分析を商品事業部が利用できる理由

設問タイプ 記述(35字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 8
正答 商品の改善のために問合せやクレームを活用するため

はじめにキーワード分析の機能を確認します。

表3 新たなコンタクトセンタシステムのサービス機能 (抜粋・ページ5)

問われているのは商品事業部の社員もキーワード分析を

利用できるようにした理由です。

表2の課題で、商品事業部の社員の視点を確認しましょう。

表2 カスタマサービスの課題 (抜粋・ページ4)

商品事業部の社員には商品の改善のために情報を活用できていない課題を持っています。

ここでいう情報とは、顧客からの問合せ・クレームとなります。

組み合わせて回答を記述しましょう。

 

正答:商品の改善のために問合せやクレームを活用するため

 

設問2 について

設問2 については有料とはなりますが、

以下の note の記事をご購入いただき、

末尾よりご確認をお願いします。

 

note.com

 

総評

解答一覧

設問 正答 配点
(筆者
予想)
設問タイプ

対策


(1) 在宅かつ柔軟な勤務時間で働けるようにするため 6 記述(25字以内) 読み方を覚える
(2) 購入方法の情報収集、会員情報の確認 4 単語回答 解き方を理解する
(3) オペレータが勤務していない時間のとき 6 記述(20字以内) 読み方を覚える
(4) (c) 5 選択 読み方を覚える
(5) 商品の改善のために問合せやクレームを活用するため 8 記述(35字以内) 読み方を覚える


(1) 一人のオペレータが同時に複数の顧客の対応をする 7 記述(25字以内) 読み方を覚える
(2) パンデミック時に特定のコンタクトセンタが閉鎖される状況 7 記述(30字以内) 読み方を覚える
(3) 新商品の発売時に早くFAQを掲載して簡単な問合せの急増を防ぐ 7 記述(30字以内) 読み方を覚える

問題特性(再掲)

出題年度 令和4年春 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 8
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
単語回答 1
記述 6
選択 1
設問文ページ数 2ページ  
総合難易度
総評(筆者) コンタクトセンタシステムを題材にした問題です。問題文の構造は現状、課題、新システムの機能、新システム下の運用となっておりオーソドックスと言えます。特別な予備知識も不要で、取り組みやすい問題です。ITサービスマネージャの受験・勉強経験者でヘルプデスク業務などの題材に触れていれば回答しやすい設問が多いでしょう。

いかがでしたでしょうか?

 

現場で働くオペレータを想像できる経験を持つ方であれば、

比較的容易に突破できる問題であるように思いました。

今後、過去問の徹底解説記事を引き続き充実して参ります。

 

ではそれまで。

 

システムアーキテクト 業務のデジタル化【論文の書き方】(令和4年春問2)

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和4年問2で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し論文骨子を

設計するところまでやっていきます。

 

問題(令和4年問2)

 

 

過去問は試験センターから引用しています。

表題:『業務のデジタル化について』

設問文は以下の通り。

何が問われているかを把握する

 

本問で問われているのは「業務のデジタル化」という一見広い概念ですが、

問題文を通して読むと、「紙媒体」という言葉こそが真のキーワードで

あることが分かります。

 

問題文にある例示でも、「稟議書」という紙媒体が出てきています。

最後の段落でも、紙媒体などで運用していた業務をデジタル化したことに

より、利用者が新しい業務に習熟できない…という課題が書かれています。

 

よって紙媒体をデジタル化するというシナリオで論文を展開すると

よいでしょう。

 

設問アでは対象業務、情報システムの概要、業務改善の内容が、

設問イではデジタル化の検討が、

設問ウでは利用支援の仕組みが問われています。

 

設問イとウではそれぞれの観点で課題の定義とその解決策を

工夫したことも書く必要があります。

 

まとめると、問われていることは次の通りです。

設問ア
 対象業務
 情報システムの概要
 期待した業務改善の内容
設問イ 業務プロセスのデジタル化
 デジタル化の方法
 課題
 対応策
設問ウ 利用支援の仕組み

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨

採点講評

 

出題要旨の2文目に、「効果の高い業務を見極めて」という一文があります。

なぜその業務をデジタル化したのかというところを論述する必要があります。

設問アの後半か、設問イの前半で述べておくとよいでしょう。

 

3文目には「デジタル化における課題の想定と対応策が必要」とあり、

設問イで問われていることが重要視されていることが分かります。

 

採点講評には「現行の業務をデジタル化で解決するといった趣旨に

沿えていない」というNG例が紹介されています。

現行の業務をデジタル化する際に何らかのアナログ(紙媒体)に

触れられていないなどがNGになると考えられます。

 

論文を設計する

 

 

問われていることの概略を把握したら自身の経験や用意してきた

論文パーツに当てはめてどのように論述を展開するかを設計します。

 

設問アの設計

 

設問アは設問イで主に述べることになる業務のデジタル化について、

対象の業務と情報システムの他、

デジタル化したことによる業務改善の内容を聞かれています。

 

ポイントは既存の業務においてどのような「紙媒体」があるかを

イメージすることだと思います。

新規にシステムを作る場合にしろ、既存のシステムを改修する場合にしろ、

既存の業務にある「紙媒体」がデジタル化されたことにより

どのように業務改善につながったかのアウトアインを書く必要があります。

 

1-1. 対象業務

問題文の例示では「りん議業務」にあたるところです。

登場する紙媒体は「稟議書」です。

業務を説明するにあたり、どのような紙媒体が登場するかを書きます。

 

私の場合は多店舗展開しているホームセンタにおける在庫管理業務とし、

発送票に基づく発送業務、

紙の在庫管理台帳に基づく台帳の更新業務を挙げました。

 

1-2. 情報システムの概要

1-1.に対応させたシステム名とするのがよいでしょう。

問題文の例示では「りん議業務」に対して「ワークフローシステム」と

言っているところですね。

 

販売管理業務であれば販売管理システム、

課金請求業務であれば課金請求システムのように

対応させるのが分かりやすいと思います。

 

私の場合は「統合在庫管理システム」としました。

"統合"と頭につけることで多店舗をまたいで一括で在庫管理ができるという

ニュアンスを含めました。

 

1-3. 期待した業務改善の内容

問題文の1文目に「紙媒体の管理コストの削減及び業務の効率化」、

2文目に「情報が検索しやすくなったり、

モノの動きがリアルタイムに把握できたり」という例が挙げられています。

 

設問イでは業務プロセスのデジタル化の方法を書きますが、

なぜその業務プロセスを選んだのかという根拠が1-3.に対応します。

 

私の場合は業務改善の内容として

  1. 紙媒体による管理コストの削減
  2. 判読できない文字による非効率・形骸化の打破
  3. 在庫問合せの手間の削減

をあげました。

1.と3.は問題文の例示に寄せています。

2. については手書きならではの非効率を書きました。

 

次の設問イにおいてなぜその業務プロセスを選んだかというと、

ここ(1-3.)に書いた効果が高いから、という理由付けになっています。

 

設問イの設計

 

設問イは業務のデジタル化について、どのような業務プロセスを

どのようにデジタル化したことについて問われています。

また生じた課題と対応策についても問われています。

問題文の例示も参考にしながら、出題の意図を掴んでいきましょう。

 

この時、後述する設問ウでは利用支援の工夫を書くことになるので、

課題のネタが被らないようにする必要があります。

具体的には、使いづらさ・分かりづらさといった

「使用性に関する課題」は避けた方がよいでしょう。

 

2-1. 業務のデジタル化の方法

どの業務プロセスをデジタル化したかについて明確にする必要があります。

問題文の例示においては「りん議業務」ということになりますが、

出題要旨にある通り、「なぜその業務プロセスをデジタル化の対象に

選んだかと言えば、効果が高いから」と書くとよいでしょう。

効果が高いことの根拠として、1-3.の期待する改善内容に触れるのが

よいと思います。

また、2-2.で課題、2-3.で対応策を書く場合は、

2-1.である程度どのようにデジタル化するのかを説明しておくと

展開が繋がりやすくなります。

 

私の場合は在庫管理業務における「発送業務」と「毎日の在庫管理

台帳更新業務」を挙げました。

発送業務では、

・発送票をデジタル化し手書きの発送票は廃止。

・専用端末にて対象商品と数量を入力し印刷した発送票を貼りつけて発送。

・入力したデータは在庫マスタと連携して情報を更新。

在庫管理台帳の更新業務では、

・紙媒体の台帳は廃止。

・発送票の控えを確認する業務の代わりに専用端末より発送の履歴を確認する業務に変更

というようにデジタル化された業務を説明しました。

 

2-2. デジタル化における課題

問題文においては次の3点が例示として出されているところです。

  1. リモートワークでは従来の印鑑での押印ができない
  2. 決裁ルートに長期の不在者がいた場合、決済が滞る
  3. 情報漏えいなどのセキュリティリスクに対処が必要

このうち2点目はデジタル化における課題というよりも現状の業務プロセスでも

発生する課題ですが、「代理決裁者」を「システム的に」設けることで

「システム的に解決できる」ので良いと解釈しました。

 

私の場合は

  1. 誤入力が在庫マスタに即反映されてしまうと影響が大きい
  2. 情報セキュリティの脅威に対応する必要がある
  3. 専用端末の故障時に在庫管理業務が滞ってしまう

としました。

このうち1.は解決策を「承認機能を設ける」とするので、

例示の1.に寄せた内容になっています。

2.は例示の3.と同じですね。

3.については、何かをシステム化する時に必ず発生する

避けては通れないものです。

汎用性の高い課題なので本問に限らず意識しておくとよいでしょう。

 

2-3. 検討した対応策

問題文の例示では次の3点が対応しています。

  1. 承認欄にログインユーザの情報・タイムスタンプを記録
  2. 代理決裁者を設ける
  3. アクセス権限強化やログの監視をする

私の場合は

  1. 入力を即反映させるのではなく、店舗の責任者による承認機能を設ける
  2. ウイルス対策ソフトウェアなどの導入により情報漏えいや改ざんのリスクを減らす
  3. 故障時は発送票を手書きで記入できるようにする

としました。

特に3.はアナログ業務を一部認めることになりますが、

実際の現場でも発生しうるデジタル業務移行の課題の対応策として

よく登場する内容だと思います。

 

設問ウの設計

 

設問ウはイで生じた課題と対応策の関係に近いですが、

利用者の支援の仕組みを書くので「使用性に関する課題」を書き、

それを解決するというシナリオで書くのが良いでしょう。

 

「使用性に関する課題」ネタを持っていれば、比較的

定型的に展開・論述できる設問であったように思います。

 

3-1. 使用性に関する課題

問題文においては、例示は無いので経験などから考える必要があります。

私の場合は

  1. 高齢者が多いため画面上の細かい文字を目で追えない
  2. 情報システムに習熟していない利用者が多く入力方法が分からない

としました。

 

3-2. 利用支援の仕組み

問題文においては、次のような例示があります。

  1. 業務の頭文字で電子文書をアイコン化する
  2. 情報システムへのガイド機能を組み込む

私の場合は

  1. 可能な限り表示する文字を大きくした
  2. 次に入力するべき箇所を活性化させて目立たせた

としました。

 

論文骨子

以上を踏まえ、論文骨子は次のようになりました。

 

1.対象業務、情報システムと期待する業務改善

 1-1.対象業務

 ホームセンタS社の在庫管理業務。

  発送業務:発送票に基づく店舗間の商品の発送・受取

  在庫管理台帳の更新業務:毎日、発送票の控えと商品の受取をもとに在庫管理台帳を更新

 1-2.情報システムの概要

 店舗をまたいで一括で在庫管理ができる統合在庫管理システム。

 1-3.期待した業務改善の内容

 紙媒体の管理コストの削減。

 判読できない文字による非効率・形骸化の打破。

 在庫問い合わせの手間の削減。

2.業務のデジタル化

 2-1.在庫管理業務のデジタル化の方法

 発送業務と在庫管理台帳の更新業務のプロセスを見直し。

 デジタル化するにおいて特に効果の高い業務プロセスであるため。

 発送業務:発送票をデジタル化し手書きの発送票は廃止。

  専用端末にて対象商品と数量を入力し印刷した発送票を貼りつけて発送。

  入力したデータは在庫マスタと連携して情報を更新。

 在庫管理台帳の更新業務:紙媒体の台帳は廃止。

  発送票の控えを確認する業務の代わりに専用端末より発送の履歴を確認する業務に変更  

 2-2.デジタル化における課題

  ①誤入力が在庫マスタに即反映されてしまうと影響が大きい

  ②情報セキュリティの脅威に対応する必要がある

  ③専用端末の故障時に在庫管理業務が滞ってしまう

 2-3.検討した対応策

  ①入力を即反映させるのではなく、店舗の責任者による承認機能を設ける

  ②ウイルス対策ソフトウェアなどの導入により情報漏えいや改ざんのリスクを減らす

  ③故障時は発送票を手書きで記入できるようにする

3.情報システムに組み込んだ利用支援の仕組み

 3-1.使用性に関する課題

 利用者が混乱することを想定し、使用性に関する課題について仮説を立てた。

 習熟に時間がかかれば、業務改善の効果が低減するため。

  ①高齢者が多いため画面上の細かい文字を目で追えない

  ②情報システムに習熟していない利用者が多く入力方法が分からない

 3-2.利用支援の仕組み

 在庫管理システムのパッケージをカスタマイズして工夫。

  ①可能な限り表示する文字を大きくした

  ②次に入力するべき箇所を活性化させて目立たせた

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和4年問2で出題された論文の書き方を紹介しました。

汎用的な構成ではあったものの、「紙媒体をデジタル化した」という

経験がものをいう出題であったように思います。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。

システムアーキテクト PoCを活用した情報システム開発【論文の書き方】(令和4年春問1)

 

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和4年問1で出題された過去問を分析します。

実際に論文を書く上での考え方を整理し

論文骨子を設計するところまでやっていきます。

 

 

 

問題(令和4年問1)

過去問は試験センターから引用しています。

表題:『概念実証(PoC)を活用した情報システム開発について』

 

 

設問文は以下の通り。

 

 

何が問われているかを把握する

問われている中心は掲題にもある通りPoC(概念実証)です。

PoCは流行り言葉(バズワード)の一つと言えると思います。

もし「聞いたことが無い」という方は本問を選ぶのは少し難しいかもしれません。

意味は「概念実証」と書かれている通り、本番導入前の検証の一種であり、

手早く実現性を確認して採否を決定できるというメリットがあります。

 

PoCの方法として中段に製造業の製品外観検査業務が例示されており、

論述量としては最も大きくなることが期待されています。

設問イで問われていますね。

 

設問アではPoCの背景や前提条件として

対象業務・システム開発の目的・採用しようとした技術が問われています。

PoCをやるからには「それまで導入したことのない新技術」の実証が

主な目的なので、単純な基幹業務・情報系システムでは論文が書けないでしょう。

 

本文にもある通り、IoT、ビッグデータ、AIなどといった新技術を

素材にする必要があります。

理由は後述しますがAIを一部でもいいので採用した形の方が

書きやすいのではないかと思います。

 

設問ウでは検証結果と適用可否が問われています。

また本文には「効果やリスクなどから総合的に判断する」という文章があるので、

新技術を導入することによる効果はもちろんリスクについても

触れて判断していることを論述しましょう。

 

まとめると問われていることは次の通りです。

 

設問ア

 対象の業務

 システム開発の目的

 システムに適用する技術

設問イ 実施したPoC

 設定した仮説

 検証方法

 PoCにおける工夫

設問ウ 

 検証結果

 適用可否

 

 

出題要旨と採点講評からの分析

 

試験センターから公表されている出題要旨と採点講評を確認して

出題の意図と論述のNG例を把握します。

 

出題要旨

 

採点講評

 

出題要旨の3文目に、「仮説を立てる」ことの重要性が強調されています。

仮説を検証するための(小規模な)情報システムを構築しているかが

重要なポイントです。

 

採点講評でも「仮説やPoCの内容を明確に述べていない」という文がありますが、

仮説に基づいてPoCを行う点が曖昧だったり意味を履き違えていないか、

確認するようにしましょう。

「はじめに仮説ありき」で仮説を確かめるためにPoC(の具体的な方法)が

設問イで述べられてなければいけません。

 

また「業務への適用可否の判断理由が曖昧」という文がありますが、

判断は本文中にもある通り効果とリスクを踏まえて

総合的になされなければなりません。

効果だけチェックしてOKとしていないかなど、改めて注意をしましょう。


リスクの方は問題文から例示やヒントは無いので、

経験や過去問から「その技術を採用したら当然発生するであろうリスク」と

その対処法について設問ウで述べられるかがカギとなります。

 

論文を設計する

問われていることの概略を把握したら

自身の経験や用意してきた論文パーツに当てはめて

どのように論述を展開するかを設計します。

 

 

設問アの設計

設問アは設問イにつながる前段として「業務」「目的」「技術」の3点が

主に問われています。

 

PoCをする以上は、「技術」から考えて用意してきた論文シナリオを

選ぶのがよいでしょう。

 

私はデータセンタにおける機器の現地での保守業務を例にとり、

AIとAR(拡張現実)ゴーグルを用いた支援システムを

開発するシナリオとしました。

 

1-1. 対象の業務

データセンタの保守業務とし、後述の情報システム開発のために、

現状でも「作業ミスが発生すると影響が大きいこと」を

ネタ振りとしていれました。

 

 

1-2. システム開発の目的

問題文の1文目にある「業務の効率化や品質向上を目的として」という文に

対応している箇所です。

 

作業ミスを減らすために、

業務品質向上、特定の作業員負荷の軽減、ノウハウの水平展開による業務効率化

を目的としました。

 

1-3. 適用する技術

問題文の1文目に「IoT、ビッグデータ、AIなどに代表される新技術」という文に

対応している箇所です。

いわゆる"枯れた技術"ではなく、業界や競合他社においても

まだ採用が本格化していないような技術がよいでしょう。

基幹システムのパッケージなどで書くと、PoCをやる意味がなくなり

不合格となってしまいます。

 

 

設問イの設計

設問イでは「仮説」「検証方法」「工夫」が問われています。

論述量が最も大きくなるのは具体性も必要になる「検証方法」ですが、

大きく合否を左右するのは「仮説」との関係性でしょう。

 

いきなり具体的な「検証方法」から書きたくなるかもしれませんが、

それはよくある「したした論文」(やったことを散文的に

書き散らしているだけでシステムアーキテクトとしての考えが分からない)

になってしまいます。

 

また問題文本文にも最も記述量が多いところなのでよく読み、

設問との対応付けをしっかり頭に入れておきましょう。

 

2-1. 設定した仮説

問題文の2段落目の1文目に

「外観検査員と同等の制度の検査をAIによって実現できる」

という仮説の例示があります。

これに合わせると

「現地作業員と同等の制度の検査をARゴーグルによって実現できる」

といった仮説になります。

 

全く同じ構文としてしまうとかえって経験や理解を疑われる

(採点講評にも「本文からの抜き出しただけの論述は表面的」であり

NGとされています)ので、少し肉付け・言い換えをするとよいでしょう。

 

たとえば、

「ARゴーグルの導入によりどの作業員でも一定以上の作業品質を得られる」

などです。

 

また仮説は設問アの1-2.で述べた「システム導入の目的」との整合性も

意識すると良いです。

本来この観点はITストラテジストの範疇ですが、

「なぜそのシステム導入が現状の業務課題を解決することになるのか」

という視点ですね。

ですので仮説から1歩進めて、仮説が立証されたなら課題も解決でき、

1-2.の目的も達成できるという文章を連ねると

考え方のアピールにもつながるでしょう。


たとえば

「ノウハウの水平展開が促進され業務全体の効率化と品質が向上する」

などです。

 

2-2. 検証方法

問題文の2段落目の最後にある3点の箇条書きが対応しています。

簡単にまとめると以下です。

  • A. 具体的なデータと正解データをもとにAIに学習させる
  • B. AIに実施させた検査の精度を測定する
  • C. AIが誤ったデータは再度正しく学習させ精度を高めていく

 

PoCを行う以上、短い期間・小さいコストで実現可能性を見極める必要があります。

AIの学習精度のように、何サイクルか回して効果を確認できる

新技術であることが本文からは期待されているように思われます。

またAIであれば、PoCで学んだ学習モデルを本番にも適用できるメリットがあります。


以上より、本論文の技術テーマとしてはAIを一部でもいいので

盛り込むことをおすすめします。

 

検証の方法としては上記A.~C.を意識しつつ、

私の場合は次の4ステップで論述しました。

 

  (1)機器の画像を収集し、機器の種別などの情報をAIに学習させる。
    → A.に対応
  (2)解析データ上に、電源スイッチなどを付加情報として表示できるように、AIに学習させる。 → A.に対応
  (3)機器の識別・付加情報の表示をAIに実施させ、識別精度を測定する。
   → B.に対応
  (4)AIが誤ったデータに関しては再度正しい情報を学習させ精度を高める。 
   → C.に対応

 

 

2-3.  PoC における工夫

問題文の3段落目

「経験豊富な外観検査員の参加」「画像データの撮影条件の変更」

に対応しています。

他の設問との関連性は薄く、実際に経験した工夫を書けばよいでしょう。


私の場合は問題文の例示に寄せて、

「効率的なAI学習のため、PoCの段階でベテラン作業員を参画させる。」

「画像データによっては光源の位置や機器の配線の重なりで

正しく判定できなかったので、撮影する位置・角度・距離を工夫した。」

としました。

 

さらに問題からは求められておらず、PoCの主旨でもないですが、

「可能である限り機器・配線も整理し直して、

保守業務自体の品質も上げられるようにした。」

という点も論述し、自分自身が様々な経験と能力があること

(この例示はITサービスマネージャの範疇と言える)のアピールをしました。

 

設問ウの設計

設問ウでは「検証結果」「適用可否」「判断理由」が問われています。

さらに本文4段落目からは「効果やリスクなどから総合的に」という

指定もあるので加味します。

 

論述の骨格としては、PoCの結果~リスク判明~対応策~適用を判断

とするのが書きやすいと思います。

 

節立てとしては3-1.を「検証結果」としてリスクの内容までを書き、

3-2.で「適用可否と判断理由」としてリスクへの対応策と判断を書く、

などが考えられます。

 

3-1. 検証結果

PoCの検証結果とは2-1.で設定した仮説の検証に他ならないので

内容が対応しているか確認しましょう。

導入しなければ分からないこと(生産性アップや売上アップ)などが

書かれていないか要注意です。

 

私の場合は「作業員の作業品質が上がること」が仮説なので

  • AIによる判定
  • AIのサポートがあれば導入効果が見込まれるかを作業員自身にアンケートをとる

ことにより検証の効果を確認しました。

 

その結果リスクとして

「AIの誤判定による作業品質の低下を作業者自身が考えている」

ということが表面化したという筋書きとしました。

※検証する前から分かるようなことですが、

実際にアンケートを取り結果を評価したというプロセスが重要です

 

3-2. 適用可否と判断理由

作業品質低下の懸念はAIの誤判定なので、

  • 学習モデルに判定させる光学データが不確実
  • AIの判定が不確実

の2点に分けて対応策を検討します。

 

ここで新システムが実装された後の保守手順に言及して次のように展開しました。

 

 (1)作業員は二人ともARゴーグルを装着する。
    →二人のうちのどちらかのゴーグルが正しく判定すればよいのでリスクが減る
 (2)オペレータはAI誤判定している場合は正しい情報に書き換える。
    →人の判断を介入できるのでリスクが減る

 

なお(1)は2-3.で触れた「画像データの問題で正しく判定できなかった」

という課題を伏線として回収しています。


※この対応付け(2-3.と3-2.)までは本問の出題要旨としても

求められてはいないとは思いますが、論文試験に慣れているアピールが

できると思います。

 

論文骨子

以上を踏まえ、論文骨子は次のようになりました。

1.PoCを実施した情報システム開発の概要
 1-1.対象の業務
 データセンタ保守業務。
 作業員は二人一組で現地作業を行い、遠隔からのオペレータの指示に従う。
 万一の作業ミスは影響が大きい。
 1-2.保守業務支援システム導入の目的
 業務品質向上、特定の作業員負荷の軽減、ノウハウの水平展開による業務効率化。
 1-3.保守業務支援システムに適用する技術
 膨大な数の機器を識別・学習できるAI
 現地作業員に装着させるゴーグル
 ゴーグルの内側に付加情報を表示させる拡張現実(AR)
2.実施したPoC
 2-1.設定した仮説
 ARゴーグルを導入すればどの作業員でも一定の作業品質を得られる
 ノウハウの水平展開が促進され業務全体の効率化と品質が向上する
 2-2.検証方法
 小規模な検証環境を構築した。小さいコスト・時間で仮説の正当性を素早く見極めるため。
  (1)機器の画像を収集し、機器の種別などの情報をAIに学習させる。
  (2)解析データ上に、電源スイッチなどを付加情報として表示できるように、AIに学習さ
せる。
  (3)機器の識別・付加情報の表示をAIに実施させ、識別精度を測定する。
  (4)AIが誤ったデータに関しては再度正しい情報を学習させ精度を高める。
 2-3.PoCにおける工夫
 効率的なAI学習のため、PoCの段階でベテラン作業員を参画させる。
 画像データによっては光源の位置や機器の配線の重なりで正しく判定できなかったので、
 撮影する位置・角度・距離を工夫した。
 可能である限り機器・配線も整理し直して、保守業務自体の品質も上げられるようにした。
3.PoC検証結果と業務への適用可否
 3-1.検証結果
 PoC期間を経てAIによる学習制度は誤判定率が平均的な作業員相当の2%まで低下。
 作業員にアンケートを取得。新技術導入の効果やリスクを総合的に判断するため。
 一部にはAIの誤判定による作業品質の低下を危ぶむ声もあり。
 3-2.適用可否と判断理由
 作業品質リスク軽減のため保守業務の手順を見直した。
 (1)作業員は二人ともARゴーグルを装着する。
    →二人のうちのどちらかのゴーグルが正しく判定すればよいのでリスクが減る
 (2)オペレータはAI誤判定している場合は正しい情報に書き換える。
    →人の判断を介入できるのでリスクが減る
 以上のようにリスク軽減できると判断し、保守業務支援システムの導入を決定。

 

論文全文について

ここまででも十分考え方はお伝え出来たかと思いますが、

論文全文を参考にされたい方は有料とはなりますが

以下記事の末尾をご参照ください。

note.com

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事ではシステムアーキテクトの午後II(論文)対策として、

令和4年問1で出題された論文の書き方を紹介しました。

どちらかと言えば新技術・攻めのシステム投資に対する問題でした。

 

また、他の区分・過去問の【論文の書き方】の記事については

以下リンクを参照ください。

論文の書き方 カテゴリーの記事一覧 - スタディルーム by rolerole

 

今後も、【論文の書き方】記事を充実して参ります。

ではそれまで。

システムアーキテクト 保険申込システムの再構築【記述式の徹底解説】(令和4年春問3)


本記事ではシステムアーキテクトの午後(記述)対策として、

令和4年午後1問3で出題された過去問の解説をします。

 

 

問題

過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

問題文全文

画像画像画像画像画像画像

 

 

出題趣旨(試験センターより)画像

 

採点講評(試験センターより)

画像

 

問題特性

出題年度 令和4年春 問題 午後I・問3
出題形式 記述式 設問数 12
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
単語回答 4
記述 5
設問文ページ数 1ページ  
総合難易度
総評(筆者) 文章中心の設問で45分で精読するには時間が足りなくなります。問題文の構造は、現状の業務~新システムへの要望~新システムの機能という形式で、ITストラテジスト寄りと言えます。問題文の構造を理解して、細部に時間を取られないように設問文・問題文を読み進めましょう。システムアーキテクトの試験なので機能や実装についての記述が多いですが、KPIなどのITストラテジストで問われる用語や考え方を理解していると速読や正答率の高さにつながるでしょう。

 

保険申込システムを題材にとった新システム導入の問題です。

設問1は現在の業務について、

設問2は新システムについて、

設問3は新システムの中でも実績集計機能について問われています。

メインは設問2でありどの機能が何のデータ・ステータスを

処理しているかを頭に入れつつ文章や表の情報を手早く

理解して回答にあたる必要があります。

 

解法

設問1 現在の業務とK社の保険申込システムの概要

設問タイプ 記述(40字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 8
正答 申込書と1対1で紐づく提案書の内容に不整合が生じないようにするため

現在の業務の範疇からの設問です。

下線①は次の「(3)保険提案書再作成業務」内にある部分です。

〔現在の業務とK社の保険申込システムの概要〕(抜粋・ページ15/16)

提案書番号と保険条件が1対1であることを示しています。

保険条件がころころ変わるのは困るので当たり前のようですが、

設問文の指定にある通り

「業務上の観点から」記述する必要があります。

提案書番号が使われる業務は他の部分でどこにあるかに

注目して業務の説明を読み進めていくと、「(4)保険申込書作成業務」に

次の記述があります。

 

〔現在の業務とK社の保険申込システムの概要〕(抜粋・ページ16)

申込書に提案書番号が記載されて、申込書と提案書が1対1である

ことが示されています。

設問文の指定の「業務上の観点」とは、申込書の点に触れて

記述すれば良さそうです。

正答例は次の通りです。

 

正答:申込書と1対1で紐づく提案書の内容に不整合が生じないようにするため

 

設問2 新システムの設計

(1) 手続切替え可能な申込ステータス

設問タイプ 単語回答 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 "ペーパレス手続選択済" "申込確認済" "申込書入力済"

 

申込ステータスはページ18/19の表1「新システムの機能概要」に

文章の形で説明があります。

表1は文章量が多いので、どこに何の情報が書かれているかという

"規則性"を理解して効率的に読む必要があります。

たとえば申込ステータスは各機能概要の最後の項目に書かれている

ことが多く、その箇所は7つあります。

 

1つ目 申込書作成 ”ペーパレス手続選択済” (ページ18)

2つ目 申込確認 ”申込確認済” (ページ18)

3つ目 申込書入力 ”申込書入力済” (ページ19)

4つ目 告知手続 ”告知手続済” (ページ19)

5つ目 払込方法選択 ”払込方法選択済” (ページ19)

6つ目 取扱報告書作成 ”承認待ち” (ページ19)

7つ目 申込書承認 ”承認済” (ページ19)

設問では「書面手続に切り替え可能な」ステータスを

問われているので、上記7つから選択します。

そこでペーパレス手続と書面手続に関する新システムへの要望の

記述を確認します。

 

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ17)

 

決定的な情報となるのが赤の四角で囲った部分で、

「告知書の署名後は切り替えられない」という点です。

告知書への署名は申込手続業務の一環で成されるもので、

以降は切り替えられないことになります。

4つ目の「告知手続」機能において告知書に署名されるので、

3つ目の「申込書入力」機能より以前の申込ステータスであれば

書面手続に切り替えられることが分かります。

 

正答:"ペーパレス手続選択済" "申込確認済" "申込書入力済"

 

なお、表1の読み方を先に説明したかったので7つのステータスを

先に確認しましたが、要望から考えれば「告知手続」機能以降は

チェック不要になるので解答の時短に繋がります。

 

(2) 改ざん検知が必要な機能

設問タイプ 単語回答 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 申込書入力 告知手続

改ざん検知についての要望が述べられている箇所は以下の部分です。

 

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ17)

改ざん検知を導入するのは顧客控え書類に対してであると書かれています。

さらに保存する電子書類とは、顧客が入力・自署した書類であることも

書かれています。

次に表1を見て、顧客控え用の資料を保存する機能について確認します。

すると「署名完了後、顧客控え用の(書類)を作成し、保存する」という

項目が書かれていることが分かります。

 

表1 新システムの機能概要(抜粋・ページ19)

保存する機能に改ざん検知を考慮する必要があると考えるので、

正答は上記2つの機能であることがわかります。

 

正答:申込書入力 告知手続

 

(3) 不備対応時間の短縮を考慮した機能

設問タイプ 単語回答 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 申込確認 申込書入力 告知手続 取扱報告書作成

 

設問タイプ 記述(20字以内) 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 入力時点で誤りを表示し自己修正を促すこと

 

試験センターの採点講評によれば正答率に低かった設問です。

確かにヒントは少なく、何を問われているのか把握しづらく、

経験も問われる設問だったように思います。

下線②部分は以下です。

 

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ17)

2つの項目を引用しましたが1つ目の項目の具体的内容が

2つ目の項目に相当します。

ここでのキーワードは責任者がチェックする「書類」です。

具体的にどの書類をチェックするかは1つ目の項目にある

「申込手続事後業務」に書かれていそうだと考えます。

 

〔現在の業務とK社の保険申込システムの概要〕(抜粋・ページ16)

 

責任者がチェックする書類とは取扱報告書に加え

申込書・告知書・意向確認書とあります。

よってこれら4点に関する新システム上の取り扱いを確認します。

 

表1 新システムの機能概要 (意向確認書の取り扱いの抜粋・ページ18)

表1 新システムの機能概要 (申込書の取り扱いの抜粋・ページ19)

表1 新システムの機能概要 (告知書の取り扱いの抜粋・ページ19)

 

表1 新システムの機能概要 (取扱報告書の取り扱いの抜粋・ページ19)

以上4点の書類を取り扱う機能の説明を読むと、

同じ表現が繰り返し登場していることがわかります。

入力する際に入力内容をチェックし、誤りがある場合は、

画面にその内容を表示する

下線②を含む文章にも、

チェックして不備があった場合、対応に時間が掛かっている

とあるので、画面に誤りを入力時点で表示する機能は

責任者の不備対応時間を短縮する要望の実装だとわかります。

よって正答は以下の通りです。

 

正答:

(機能)申込確認 申込書入力 告知手続 取扱報告書作成

(考慮内容)入力時点で誤りを表示し自己修正を促すこと

 

■独りよがりに解釈しない■
実際の現場においては申込書や告知書はそれを顧客に見せる前に
上司に確認してもらうようにすればいい、と考える人もいるかもしれません。

ただ、それは問題文の業務の説明に書かれていることではないのです。
情報処理試験で記述式の問題に取り組む場合は自分の常識を当てはめる
のではなく、あくまで問題文に沿って解答にあたる必要があります。

 

(4) 手続きの効率化のためのユーザーインタフェース

設問タイプ 単語回答 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 4
正答 ペーパレス手続メニュー

 

設問タイプ 記述(25字以内) 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 次に実施すべき作業メニューだけ活性化させること

この問題もヒントは少なく、経験が問われる設問のように思います。

まず、下線③に書かれている要望を確認します。

 

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ17)

 

設問は新システムの機能名を求めていますが、下線③は

特定の業務プロセスに対する機能についての要望では無さそうです。

よって、機能の中でも業務プロセスを抽象化しているようなものを

探すのが良さそうです。

  1. 「ペーパレス手続メニュー」
  2. 「書類印刷」
  3. 「申込書データ連携」
  4. 「実績集計」

あたりが特定の業務プロセスによらない機能ですが、

このうち、募集人による手続きが関わる機能は1.か2.ですが、

2.は単なる印刷機能のことしか説明がありませんので、

正解は1.「ペーパレス手続メニュー」だと分かります。

 

表1 新システムの機能概要 (ペーパレス手続メニューの抜粋・ページ18)

 

表1を参照すると、次に実施すべき作業メニューが活性化するという

記載があり、募集人による手続きの円滑化に貢献する機能だと

分かります。

これを制限字数にまとめて回答すればよいです。

 

正答:

(機能)ペーパレス手続メニュー

(考慮内容)次に実施すべき作業メニューだけ活性化させること

 

設問3 について

設問3 については有料とはなりますが、

以下の note の記事をご購入いただき、

末尾よりご確認をお願いします。

note.com

 

総評

解答一覧

設問 正答 配点
(筆者
予想)
設問タイプ

対策
設問1 申込書と1対1で紐づく提案書の内容に不整合が生じないようにするため 8 記述(40字以内) 読み方を覚える


(1) "ペーパレス手続選択済" "申込確認済" "申込書入力済" 4 単語回答 読み方を覚える
(2) 申込書入力 告知手続 4 単語回答 読み方を覚える
(3) 機能 申込確認 申込書入力 告知手続 取扱報告書作成 4 単語回答 解き方を理解する
考慮
内容
入力時点で誤りを表示し自己修正を促すこと 5 記述(20字以内) 解き方を理解する
(4) 機能 ペーパレス手続メニュー 4 単語回答 解き方を理解する
考慮
内容
次に実施すべき作業メニューだけ活性化させること 5 記述(25字以内) 解き方を理解する


(1) 払込方法選択日時が当月の申込書データの申込日時と払込方法選択日時の時間差 8 記述(40字以内) 解き方を理解する
(2) 連携日時が当月の申込書データの申込日時と連携日時の時間差 8 記述(35字以内) 解き方を理解する

問題特性(再掲)

出題年度 令和4年春 問題 午後I・問3
出題形式 記述式 設問数 12
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
単語回答 4
記述 5
設問文ページ数 1ページ  
総合難易度
総評(筆者) 文章中心の設問で45分で精読するには時間が足りなくなります。問題文の構造は、現状の業務~新システムへの要望~新システムの機能という形式で、ITストラテジスト寄りと言えます。問題文の構造を理解して、細部に時間を取られないように設問文・問題文を読み進めましょう。システムアーキテクトの試験なので機能や実装についての記述が多いですが、KPIなどのITストラテジストで問われる用語や考え方を理解していると速読や正答率の高さにつながるでしょう。

 

いかがでしたでしょうか?


ITストラテジストのキーワードである企画や成果指標などといった業務内容に経験がある方は取り組みやすかったと思います。
そうでなくとも、文章中心で情報を処理するのに自信のある方は選択してみるとよい問題だったのではないでしょうか?

今後、過去問の徹底解説記事を引き続き充実して参ります。


ではそれまで。

システムアーキテクト 品質管理システムの構築【記述式の徹底解説】(令和4年春問2)

 

本記事ではシステムアーキテクトの午後(記述)対策として、

令和4年午後1問2で出題された過去問の解説をします。

 

 

問題

過去問の問題文、出題要旨、採点講評は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

問題文全文

 

出題趣旨(試験センターより)

 

採点講評(試験センターより)

 

問題特性

出題年度 令和4年春 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 12
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
単語回答 3
記述 8
設問文ページ数 2ページ 選択 1
総合難易度  
総評(筆者) 典型的なデータベーススペシャリスト寄りの問題で、シフト表作成のイメージなどかなり詳しい業務知識と合わせてテーブル構造の主キーなどの知識が求められます。システムアーキテクト試験としてもデータベーススペシャリスト試験としてもそれなりに難しい問題だったと思います。問題文には様々な業務やシステム仕様が説明されていますが、問われているのはそのうちの一部なので、設問文から問題文に対してアプローチして解くのが効率的でしょう。

 

食品製造の現場における品質管理がテーマであり、

様々な業務や機能についての説明が本文にはありますが、

設問で問われているのはそのうちの一部です。

  • 設問1が担当者変更に関して
  • 設問2が品質検査の実績入力
  • 設問3が出荷前承認に関して

という具合です。

まずは設問文から目を通して、キーワードとなる機能や業務を

インプットしてから、そのキーワードに沿って問題文を詳しく

読むのがよいでしょう。

 

たとえば製造の工程や品目の仕様などは紙面も大きく割かれて

説明がありますが設問では問われないので、詳細に理解しようと

すると時間が足りなくなってしまいます。

ざっと読んで大まかに理解して、設問文のキーワードを中心に

時間と集中力を使いましょう。

 

解法

設問1 検査担当者変更機能、及び品質検査指示作成機能

(1) 検査担当者変更に必要な属性

設問タイプ 単語回答 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 製造日、便コード、品目コード

 

第一問から問題文全面に目を通す必要があり、

要求されるデータベースの知識もそれなりに高く、

業務イメージの想起も求められるので、

難易度は「難」としました。

 

はじめに検査担当者をめぐる業務である

「品質検査実施準備」業務について理解する必要があります。

具体的には"シフト表"のようなイメージを持てたかというところが

ポイントです。

品質検査実施準備業務について(シフト表作成のイメージ)

 

上記のようなイメージを持つためにチェックする問題文の箇所を

述べていきます。

〔製造から出荷までの流れ〕(抜粋・9ページ)

1日に3回の「便」があることが上記から読み取れます。

〔現行の製造及び品質管理の概要〕(抜粋・9ページ)

曜日・便・品目ごとに担当者は1人であることが分かります。

上図で下線を引いた文章の次に、

「担当する一部又は全部の品目」という文があることから、

1人が複数の品目を検査してよいことも分かります。

 

シフト表のイメージがわきましたら、検査担当者を変更する業務について

具体的に考えていきます。

 

品質検査実施準備業務(検査担当者の変更)

Aさんが月曜日に早退のため便3を欠席するとします。

このとき品目1と品目3の検査に穴が出るので、

どのように対応すればよいでしょうか?

〔現行の製造及び品質管理の概要〕(抜粋・9ページ)

上に下線で引いた箇所の通り、特定の製造日・便において担当者都合で

検査を実施できない場合は、他の担当者に変更するとあります。

検査担当者変更に関しては、新システムに対しても要望があります。

見ていきましょう。

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ11)

品質検査の実施見込回数を参照したいとあります。

また変更元と変更先とで見込回数の算出方法を変えたいと書かれています。

どういうことか、図で確認しましょう。

品質検査担当者変更(見込回数の表示)

変更元(Aさん)は品目ごとの見込回数なので、

  • 品目1の見込回数:1
  • 品目3の見込回数:1

のように参照できればよいです。

変更先(DさんやGさん)は検査担当者ごとの見込回数なので、

  • Dさんの見込回数:3
  • Gさんの見込回数:3

のように参照できればよいです。

 

なお、見込回数が複数回ということは、

1回の品質検査で合格したのではなく、

不合格となり複数回の製造工程が走ったことの表われです。

 

検査責任者としては見込回数の情報をもとに

検査担当者の変更を判断することになります。

以上が新システムでやりたいこととなります。

やりたいことが分かったので、実装について考えていきましょう。

表1 新システムの主要なファイルと属性(12ページ)

設問で問われているのは空欄「a」について、

すなわち「検査担当者変更」ファイルについてです。

表2 新システムの機能概要(抜粋・ページ12)

表2の「検査担当者変更」機能は上図の赤い枠線で囲った通り

  • 「検査担当者変更ファイル」
  • 「品質検査指示実績ファイル」
  • 「検査担当者マスタ」

の3つにアクセスします。

「検査担当者変更」機能ははじめに「製造日・便及び変更元検査担当者を

指定する」とあります。

以降の(A)~(D)のプロセスをシフト表を変更するイメージで説明します。

検査担当者変更のプロセス(シフト表変更のイメージ)

はじめに(A)で指定した曜日・便の品目コードを抽出します。

(A)でアクセスするのは「品質検査指示実績ファイル」であり、

品質検査の実績回数がわかります。

 

次に(B)で指定の曜日・便の社員コードを抽出します。

次に(C)にて(A)と(B)の結果を結合すれば、指定の曜日・便の

担当者別・品目別の実績一覧を表示できる元データができあがります。

 

最後に(D)で、

変更元担当者(Aさん)の品目別の実績回数

  • 品目1の見込(実績)回数:1
  • 品目3の見込(実績)回数:1

変更先(DさんやGさん)は検査担当者ごとの実績回数

  • Dさんの見込(実績)回数:3
  • Gさんの見込(実績)回数:3

を表示することになります。

 

以上の情報をもとに検査責任者は検査担当者の変更を行い、

新システム(検査担当者変更ファイル)に登録します。

検査担当者変更ファイルに必要な属性を考えると、

  • 製造日
  • 便

の情報が必要(プロセス(A)や(B)の抽出条件であるため)で

あることがわかります。

また、具体的な担当者変更には品目ごとに行う必要がある

(たとえば、

  • 品目1はDさんが代行する
  • 品目3はGさんが代行する

のように)

ため、品目も必要な属性(登録する上で必要)であることが分かります。

 

正答:製造日、便コード、品目コード

 

(2) 検査担当者変更で検査責任者が行うこと

設問タイプ 記述(20字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 5
正答 各検査担当者の作業負荷の確認

 

前問と同様、検査担当者変更機能に関する問題です。

空欄 b については以下の部分です。

表2 新システムの機能概要(抜粋・ページ12)

検査責任者が新システムにおいて(A)~(D)の工程で

見込回数(実績回数)が表示された内容に基づいて

行うことは何かという問題です。

〔新システムの要望〕から確認します。

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ11)

実施見込回数は作業負荷の目安のために参照するものであり、

検査責任者が各検査担当者の作業負荷を確認することが読み取れます。

よってこれを20字以内でまとめます。

 

正答:各検査担当者の作業負荷の確認

 

(3) 社員コードの抽出元への要件

設問タイプ 記述(30字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 6
正答 変更前の検査担当者の割当てに従って集計するため

 

問われているのは特に(B)の社員コードを抽出するプロセスです。

検査担当者変更のプロセス(シフト表変更のイメージ)

見込回数を抽出するには品質検査指示実績ファイルがあれば

事足りるはずなのに、あえて検査担当者マスタから社員コードを

抽出しているのは何故か、という問題ですね。

表1 新システムの主要なファイルと属性(12ページ)

検査担当者マスタは曜日・便・品目ごとに1人割り当てられている、

いわばシフト表の基本となる情報が格納されているマスタです。

実績ではなく基本情報から社員コードを抽出している理由は、

〔新システムへの要望〕に答えがあります。

〔新システムへの要望〕(抜粋・ページ11)

上の引用の太い線で書いた通り、実績として検査担当者への変更が

入った場合でも、変更前の割当てに従って集計してほしいという

要望があります。

見込回数は細い線で書いた通り、前週の実績回数から算出するので、

もしも担当者の変更が入っていた場合、「品質検査指示実績ファイル」からの

抽出では「変更後の割当て」から担当者が抽出されてしまうことになります。

よってこれを30字以内にまとめます。

 

正答:変更前の検査担当者の割当てに従って集計するため

 

設問2 次に品質検査対象となるロットを表示する条件

設問タイプ 単語回答 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 2
正答 検査結果
設問タイプ 記述(15字以内) 対策 解き方を理解する
難易度 配点(筆者予想) 3
正答 “未実施”であること
設問タイプ 単語回答 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 2
正答 製造完了日時
設問タイプ 記述(15字以内) 対策 読み方を覚える
難易度 配点(筆者予想) 3
正答 最も古い日時であること

 

下線①は以下の部分です。

表2 新システムの機能概要(抜粋・ページ13)

下線①に「さらに二つの項目」とある部分が問われています。

問題文を読んでヒントを探しに行く方法もよいですが、

テーブルの属性情報から類推する方法もあります。

表1 新システムの主要なファイルと属性(抜粋・12ページ)

属性の数は多いのですが、順に確認してあたりをつける方法ですね。

下線①にすでに「社員コードが検査担当者自身と一致すること」という

条件が書かれているので、他に2つ属性と条件を指定します。

 

品質検査の実績を入力するプロセスでのことなので、

属性「検査結果」についての条件がつくことは想像できるのでは

ないでしょうか?

"合格" "不合格" などの結果が入っていれば次に表示する必要は無いので、

"未実施" であることが条件となります。

 

もう1つは、品質検査の業務の説明が書かれている箇所を確認します。

〔現行の製造及び品質管理の概要〕(抜粋・10ページ)

検査担当者は受け取った全てのロットに対して「古い順に」という

指定があることに気付きます。

よって、属性情報を見ると「製造完了日時」という項目があるので

最も古いものを次に表示してやればよいことがわかります。

 

正答:

(項目)検査結果(条件)"未実施"であること

(項目)製造完了日時(条件)最も古い日時であること

 

設問3 について

設問3 については有料とはなりますが、

以下の note の記事をご購入いただき、

末尾よりご確認をお願いします。

 

note.com

 

総評

解答一覧

設問 正答 配点
(筆者
予想)
設問タイプ

対策


1
(1) 製造日、便コード、品目コード 5 単語回答 解き方を理解する
(2) 各検査担当者の作業負荷の確認 5 記述(20字以内) 読み方を覚える
(3) 変更前の検査担当者の割当てに従って集計するため 6 記述(30字以内) 読み方を覚える
設問2 項目 検査結果 2 単語回答 解き方を理解する
条件 “未実施”であること 3 記述(15字以内) 解き方を理解する
項目 製造完了日時 2 単語回答 読み方を覚える
条件 最も古い日時であること 3 記述(15字以内) 読み方を覚える
設問3 (1) 業務 (オ)(カ) 3 選択 読み方を覚える
理由 ・製品検査の完了状況を事務所ですぐに参照できるから
・品質記録票などの書類を廃止し、事務所で状況確認ができるから
6 記述(30字以内) 読み方を覚える
(2) c 追加フラグの値が”通常” 4 記述(15字以内) 解き方を理解する
d 検査結果の値が”合格” 4 記述(15字以内) 解き方を理解する
(3) 品質管理規定に従い、検査責任者が最終確認して承認する必要があるから 7 記述(35字以内) 読み方を覚える

 

問題特性(再掲)

出題年度 令和4年春 問題 午後I・問1
出題形式 記述式 設問数 12
問題文ページ数 5ページ 設問タイプ別
内訳
単語回答 3
記述 8
設問文ページ数 2ページ 選択 1
総合難易度  
総評(筆者) 典型的なデータベーススペシャリスト寄りの問題で、シフト表作成のイメージなどかなり詳しい業務知識と合わせてテーブル構造の主キーなどの知識が求められます。システムアーキテクト試験としてもデータベーススペシャリスト試験としてもそれなりに難しい問題だったと思います。問題文には様々な業務やシステム仕様が説明されていますが、問われているのはそのうちの一部なので、設問文から問題文に対してアプローチして解くのが効率的でしょう。

 

いかがでしたでしょうか?

 

基本的にはデータベースの知識に自信がある方向けという

印象ですが、シフト表作成や担当者変更、出荷前承認に必要な視点など

業務知識・経験も問われていそうです。

実装面・業務面が両方問われるのはシステムアーキテクトの特徴の一つですね。

 

本記事は当ブログでシステムアーキテクト

記述式(午後I)の初の解説記事です。

今後、過去問の徹底解説記事を充実して参ります。

 

ではそれまで。

 

システムアーキテクト 出題予想(令和5年春)

本記事では令和5年春向けのシステムアーキテクト

出題予想を大胆に行っています。

 

※予想は筆者の独断です。読者の責任でご活用ください。

※なお、筆者も受験予定です。

 

勉強をそれなりにしてきた人であれば、

どの範囲が出やすいんだろう?」と気になっていたり、

これまであまりうまく勉強時間が確保できていない人は、

残りの時間、何に対策すればいいんだろう?」と思っていたりしませんか。

 

本記事では、次回ITストラテジストを受験される方向けに、

  • 出題にはどのような傾向があるんだろう?
  • 次回にはどのような問題が出題される可能性があるのかな?
  • で、それらを午前問題、午後問題(記述・論文)について知りたい!

といった疑問・要望にお答えしたいと思います。

 

なお、過去問は試験センターからダウンロード可能です。

www.jitec.ipa.go.jp

 

 

1. 午前II予想

過去3年分の出題実績・分析

上図は過去3年の出題一覧です。

他区分でも言えることですが、過去問から同じ問題・似た問題が

出題されることが多いです。

午前IIは25問中15問(60%)正解で通過できます。

 

午前IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイント■
1. 令和元年~4年の過去問から同じ問題が5~6問出そう
2. テスト系は今年も出そう
3. SC系・応用情報系・DB系・NW系からの問題が今年も出そう

順に説明します。

 

1-1. 令和元年~4年の過去問から同じ問題が5~6問出そう

令和4年春の過去問を分析すると、その前の令和3年・令和元年の

2回分から5問同じ問題・類題が出題されています。

1期前(令和4年秋試験)では過去問からの出題率は少し減った印象ですが、

それでも令和元年からの過去3回分からは5~6問くらいは

再出題しそうであると考えられます。

 

令和3年春問4。正解はウ。

 

1-2. テスト系は今年も出そう

過去3回は毎回テスト系の問題が出題されています。

令和元年秋問7(網羅性テスト)、問9(リグレッションテスト)、

令和3年春問9(システム適格性テスト)、

令和4年春問8(探索的テスト)

などです。

テスト系はまとめて覚えてどれが問われても正答できるように

しておきましょう。

 

令和3年春問9。正解はイ。

 

1-3. SC系・応用情報系・DB系・NW系からの問題が今年も出そう

例年、自区分以外の問題も出題されています。

SC系(3~4問)、応用情報系(2~3問)、DM・NW(それぞれ1~2問)

という具合であり、15問正解で合格を考えるとこれらは

できない問題数です。

 

特にSC系・応用情報系は過去問を何度も実施して

得点源とするよう準備しましょう。

令和3年春問18。正解はウ。

 

 

2. 午後I(記述)予想

過去3年分の出題実績・分析

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後Iは4問中2問を選択します。

うち、問4は例年エンベデッド系(組込みシステム)のテーマが出題されます。

自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

午後Iの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイント■
1. 1問か2問はDB系のスキルがあると有利な問題が出題される
2. 1問はST系の問題が出題されそう
3. 難易度についてはここ数年の傾向からST系は比較的易問となるかも

 

順に説明します。

 

2-1. 1問か2問はDB系のスキルがあると有利な問題が出題される

例年、1問か2問は概念データモデル(ER図)または関係スキーマ(テーブル設計図)

をもとにして必要なデータを整理させた上で回答する問題が出題されています。

過去3回で見ると以下の具合です。

  • 令和4年春:問2
  • 令和3年春:問1、問3
  • 令和元年秋:問2

年度や問題によってDBの比重・難易度はまちまちですが、

得意・不得意によって問題選択の参考にするとよいでしょう。

特に、ST系の問題とDB系の2問を選択した場合、

かなり求められる知識やスキルが異なるので時間内に頭を

素早く切り替える必要があります。

 

令和2年春問2より

 

2-2. 1問はST系の問題が出題されそう

ITストラテジストの知識があると有利な問題もよく出題されます。

過去3回の例でいうと以下の通りです。

  • 令和4年春:問1
  • 令和元年秋:問1

ITストラテジストは戦略・企画を担い、システムアーキテクトとしては

開発・実装を担当します。

そのため戦略・企画上の狙いを理解しておくことが

試験センターの期待値としてはあるものだと思います。

実務においても重要な視点だと言えるでしょう。

 

2-3. 難易度についてはここ数年の傾向からST系は比較的易問となるかも

過去3回分の試験センター発行の採点講評を見た時、

令和元年秋問1(ST系)のみ問題全体の正答率が高かったと

コメントされていたのが根拠です。

 

正答率=難易度ではありませんが、

もし問題選択の決め手に欠いていたら、

ST系の問題を選ぶとするのもよいと思います。

 

3. 午後II(論述)予想

過去3年分の出題実績・分析

上図は過去3年分の過去問テーマ分析です。

午後IIは3問中1問を選択します。

うち、問3は例年エンベデッド系(組込みシステム)のテーマが出題されます。

自分にとって相性のよいものを選択しましょう。

 

午後IIの出題予想ポイントは次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. DXやアジャイル開発を前提とした"攻め"の問題が出題されそう
2. 既存システムへの改修など"守り"の問題が出題されそう

 

順に説明します。

 

3-1. DXを前提とした"攻め"の問題が出題されそう

"攻め"や"守り"といった言葉遣いはイメージですが、

新規投資や事業停滞打開など、事業として攻めの姿勢で

DXやアジャイル開発を採用するシーンをイメージしてください。

 

過去の問題で問われた"攻め"の出題は以下の通りです。

 

最近のITストラテジストの傾向も合わせて把握しておくと

出題予想が立てやすいかもしれません。

 

3-2. 既存システムへの改修など"守り"の問題が出題されそう

一方、比較的保守的な文脈で出題されるケースもあります。

過去3年は以下のようなことが問われています。

  • 令和1年秋 システム適格性テストの計画
  • 令和3年春 情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計

令和3年の例のように、既存システムにおける機能追加・改修が

問われることが最近の傾向のようです。

新規に基幹システムを構築するといったようなシンプルな開発は

あまり出題されないでしょう。

 

午後IIの令和3年・令和1年・平成30年の過去問分析については

以下記事もご参照ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

システムアーキテクトを受験予定で、どのように対策を

進めればよいかの考え方の一助となれば幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

それでは、ともに頑張りましょう。

 

ではそれまで。

情報処理技術者試験(高度) 出題 振り返り 令和4年秋

2022/10/11:ver1.0 速報
2022/10/11:ver2.0 総括追記
2023/1/23:ver3.0 採点講評を踏まえ追記

 

※本記事は、令和4年秋の振り返り記事です。

 

情報処理技術者試験、受験された方、お疲れ様でした。

 

試験センターからはまだ出題要旨や採点講評は公開されていませんが、

各区分の振り返り評価をしていきたいと思います。

 

本ブログでは出題予想をしております。

本記事では予想に対する評価を中心に行います。

各区分の出題予想に対する詳細は先月にアップした

出題予想記事を参考にしてください。

 

(ver2.0)

各区分と全体の総括を追記しました。

今後は、12月~1月頃に採点講評を受けて記事を更新する予定です。

 

(ver3.0)

採点講評を受けて記事を更新しました。

 

プロジェクトマネージャー

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイントの的中評価■
1. RACIチャートに関する出題が今年も出そう →的中。問4
2. 令和2年秋のPM系出題(問1~14)から同じ問題が5~6問出そう →4問重複出題あり。問1,2,4,10
3. 令和2年秋のPM以外の出題(問15~25)からも2問くらい同じ問題が出そう →1問重複出題あり。問17 
4. 計算問題は今年も1~2問出そう →的中。3問出題あり。問12,13,18
5. PMBOK 7 版準拠の問題は初出があるかも PMBOK 7 版を明示する問題はなかった。

 

■午前II総括■

令和2年からの再出題は変更要求、プロジェクト憲章、RACIチャート、COCOMO、ユースケース駆動開発の5問。再出題数は例年より少ない印象。

計算問題は期待金額計算、定量的評価基準計算、投資利益率計算の3問で、例年より多い印象だった。

注目していたPMBOK 7 版準拠問題は出題されなかった。

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

  テーマ
問1 SaaSを利用して短期間にシステムを導入するプロジェクト
問2 ECサイト刷新プロジェクトにおけるプロジェクト計画
問3 プロジェクトにおけるチームビルディング

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイントの的中評価■
1. ST寄りの出題が出題されそう →業界背景や事業戦略から説明される出題が多くST寄りの出題が多かった。
2. アジャイル開発を前提とした出題がありそう →問3のチームビルディングはIPAシラバス ver4.9 改訂の肝と考えられ、アジャイル開発の台頭を感じられた。
3. チームやステークホルダ管理が出そう →的中。問3は予想通り。

 

■午後I総括■

近年の傾向を踏襲する形で、上流と呼ばれる戦略・企画からの導入で問題文が展開されるケースが多かった印象。

問3のチームビルディングはIPAシラバス ver4.9 改訂の肝であり、やはり出たかという印象。本問は今後のためにも一段深く掘り下げて分析しておきたい。

チームビルディングが新版のシラバスで重要という点の分析記事はこちら

問1も短期間というテーマがあり即応性を求められるという点でややアジャイル寄りと思われる。一方問2は比較的オーソドックスな形式のプロジェクトを題材としている印象だった。

 

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

  テーマ
問1 システム開発プロジェクトにおける事業環境への変化への対応について
問2 プロジェクト目標の達成のためのステークホルダとのコミュニケーションについて

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイント■
1. アジャイル開発を前提とした体制に関する出題がありそう →的中。問1はもろにアジャイル開発の文脈(変化への追従、段階的なリリースなど)の出題だった。
2. 救済のため?オーソドックスなQCDに関する出題がありそう →的中せず。しかし救済のためのオーソドックスな出題として問2は従来型のステークホルダ管理、コミュニケーション管理が問われた。

 

■午後II総括■

問1はもろにアジャイル開発の文脈であり、出題意図としてはIPAシラバスver4.9や改訂概要ページを参考にするとよいだろう。

問2はオーソドックスな設問が出るという読みは当たった。しかしアジャイルの中核要素となるPMBOK知識エリア(組織・コミュニケーション・ステークホルダ)は問1で使われるので問2ではそれ以外のテーマ(QCDなど)という予想は外れた。

実際は問2もコミュニケーション・ステークホルダがテーマであり、頻出分野としてこの知識エリアを対策してきた受験者は問1,問2いずれも取り組みやすい出題だったと思われる。

 

システム監査技術者

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイントと的中評価■
1. 令和2年秋のAU系出題(問1~10)から同じ問題が5~6問出そう →令和2年(2回前)と平成31年(3回前)から2問ずつ4問が同じ問題だった。問2,4,8,9。
2. 令和2年秋のAU以外の出題(問11~25)から同じ問題が1~2問出そう →令和2年(2回前)から1問、平成31年(3回前)から2問の計3問が同じ問題だった。問15,17,19。
3. 監査の予備調査に関する問題が出るか →的中ならず。

 

■午前II総括■

令和2年からの再出題は試査、フォローアップ、AESの3問に留まった。また、平成31年からの再出題はITガバナンス成功原則、統制活動、特定商取引法、ビヘイビア法の4問に渡り、"2回前"である令和2年よりも"3回前"の平成31年からの流用が目立った。

AUならではの監査の専門知識を問う出題はほぼ例年通り(問1~11の11問)であり、他区分に比べて低いのも相変わらずだった。

問1のデューデリジェンスは初出題だったと思われる。デューデリジェンスとは、企業買収における準備タスクとして様々な切り口で対象企業の監査を行う行為のこと。

監査の予備調査は、令和2年と平成31年と近年2回に渡って出題されたが今回は出題されなかった。

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

  テーマ
問1 個人情報保護の監査
問2 ワークフローに関わるシステムの監査
問3 システム運用業務の監査

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイントと的中評価■
1. 問1は先端テーマ(AI、IoT、クラウド、(アジャイル?))が出題されそう →的中せず。ただし個人情報保護はテーマ性としては高い。
2. 問1は採点基準が易しくなる可能性あり →採点講評を待って評価。 →正答率に目立った偏りは無かった。
3. 設問と問題文本文のマッピングが難しい問題の方が問題自体は易しくなる可能性あり →採点講評を待って評価。この仮説に則ると問3はマッピングがやや難しいので問題自体が易しくなる可能性がある。 →正答率に目立った偏りは無かった。

 

■午後I総括■

問1は過去、RPA,DX,チャットボットと来たので先端テーマが来ると予想したが個人情報保護というテーマであり先端?というほどではなかったかなという印象。

ただし個人情報保護自体はテーマ性はあるし過去でも取り上げられたテーマなので今後も定期的に再出題されると思われる。

またシステム監査技術者の午後IはAUならではの特徴として、設問文と問題文の最後の部分がマッピングされており、近年例外は無い。このマッピングが一見分かりづらい問題は、逆に問題自体の難易度は下がるという予想だが、この予想に則ると問3がマッピングが難しい。よって問3が易問となる可能性があるが、この評価は採点講評を待ちたい。

(追記)採点講評によれば、正答率に目立った偏りは無かった。

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

  テーマ
問1 情報システムの個別監査計画と監査手続について
問2 システム障害管理態勢に関する監査について

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイントと的中評価■
1. 問1は先端キーワード(DX、チャットボット、テレワーク、PoCなど)をテーマとした出題がありそう →テレワークによる監査上の制約が引き合いに出されておりやや的中。
2. 問2はオーソドックスなキーワード(新サービス、スケジュール管理など)をテーマとした出題がありそう →オーソドックスではあるがシステム障害管理態勢というITサービスマネージャ寄りのテーマはやや意外だった。

 

■午後II総括■

問1は過去、IoT,AI,RPAと来ている。今回問1の出題タイトルからのキーワードは個別監査計画なのでオーソドックスな文脈ではあるが、問題文をよく見ると監査関係者がテレワークのため制約があるという条件が記されており、観点としては昨今のリモートワークにも焦点が当てられている。

一方問2はシステム障害管理態勢というITサービスマネージャ寄りの運用フェーズからの出題だった。運用フェーズの監査というテーマは過去にも出題されているので今後も数年おきに出題されると思われる。

 

データベーススペシャリスト

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイントと的中評価■
1. 令和2年秋のDB系出題(問1~18)から同じ問題が8~9問出そう →令和3年(1回前)から1問、令和2年(2回前)から4問、平成31年(3回前)から1問が同じ問題として出題された
2. SQL問題が2~3問出そう →5問出題あり。問6,7,8,9,12。
3. CAP定理に関する問題が今年も出るか →的中せず。

 

■午前II総括■

令和2年からの再出題はNo SQL BASE特性(問1)、社員表へのSQL結果(問8)、社員表へのSQL文(問12)、CEP(問16)の4問だった。他の年度からは、令和3年から1問(トランザクション隔離性水準(問14))、平成31年から1問(和両立 R∩S(問10))だった。

"2回前"からの再出題数は例年に比べ比較的少なかった印象。ただここ3年の過去問からの再出題は計6問であり、やはり過去問から対策するのは即効性があるのは変わらないだろう。

SQL問題は予想を上回り5問出題された。NoSQL系のデータベースも市民権を得てきているが、用法・特性を踏まえてSQLRDB)が求められるシーンはこれからも残り続けるだろうと思われる。

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

  テーマ
問1 アフターサービス業務
問2 データベースの実装
問3 データベースの実装と性能

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイントと的中評価■
1. 問1は図表完成問題、問2・3はSQLが出題される →例年通りであり的中。ただ問1は「アフターサービス業務」という業務のタイトルが付与されて意外だった(過去3回は問1はいずれも「データベース設計」というタイトル)
2. 問3はSQLの比重が大きい問題が出題される →的中せず。今回は問2の方が量質ともにSQLの比重は高かった。
3. 問2は難問、問3は易問となる可能性がある →採点講評を待って評価。 →正答率に目立った偏りは無かった。

 

■午後I総括■

問1は図表完成問題中心、問2・3がSQL中心という傾向は例年通り。ただ問1はアフターサービス業務という業務が問題のタイトルとなっており、意外な印象。推測だが午後IIに合わせて、業務の特徴を読み解き図表を完成させる図表完成問題は、業務をタイトルに入れるようにしたのでは。

問2と問3はいずれもSQLの比重が大きいが、予想とは異なり今回は問2の方が量・質とともにSQLの設問数が多かったように思われる。

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

  テーマ
問1 データベースの実装・運用
問2 フェリー会社の乗船予約システムのデータベース設計

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイントと的中評価■
1. 問1はSQL、問2は図表完成問題が出題される →例年通りで的中。
2. 問1は性能(チューニング)を含む問題が出題される可能性がある →問い合わせ発行のSQL文のチューニング問題が出題され的中。
3. 問1は易問、問2は難問となる可能性がある →採点講評を待って評価。 →正答率に目立った偏りは無かった。

 

■午後II総括■

問1はSQL中心、問2が図表完成問題中心という傾向は例年通り。ただ今回は問1にも一部図表完成問題が含まれていた。設問の力点としてはSQLであることには変わらない。

また問1は過去からDBログ、性能、DBログと来ているので性能と予想したが、問合せ発行のSQL文のチューニング問題が出題されているので的中した。

 

エンベデッドスペシャリスト

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイントと的中評価■
1. 令和2年秋から同じ問題が2~3問出そう →令和2年(2回前)からは1問(問1)、平成31年(3回前)からは4問(問4,15,21,23)同じ問題が出た。
2. 計算して解く問題はあまり出なそう →的中せず。問4,5,13,14の4問が出題された。傾向の揺り戻しあり。

 

■午前II総括■

令和2年からの再出題はスヌープキャッシュ(問1)の1問で、ESは"2回前"からの再出題は少なかったので予想の範囲内だったが、"3回前"である平成31年からはディスク平均待ち時間(問4)、FTP(問15)、スタックフレーム検証(問21)、専用実施権(問25)の4問が再出題され思ったよりも多い印象だった。

ハプティックデバイス(問6)とeMMCは初出題だったと思われる。

計算問題は過去問からの流れで、平成31年(3~4問)、令和2年(1~2問)、令和3年(0問)だったが、今回は4問出題された。内訳は、ディスク平均待ち時間の計算(問4)、ページフォールト回数の計算(問5)、分周器の計算(問13)、MPU内部ROM処理時間計算(問14)。傾向の揺り戻しが見受けられる。

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

  テーマ
問1 パワーアシストスーツ
問2 競泳計時システム
問3 無人店舗システム

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイントと的中評価■
1. 問1はハードウェア(HW)とソフトウェア(SW)がバランスよく、問2はSW寄り、問3はHW寄りが出題される →例年通りで的中。
2. 計算問題は必ず出題される →例年通りで的中。
3. 問3は難問となる可能性がある →採点講評を待って評価。 →正答率に目立った偏りは無かった。

 

 

 

 

 

 

■午後I総括■

問1はHW/SWがバランスよく、問2はSW寄り、問3はHW寄りは例年通りだった。

計算問題も必ず出題され、これも例年通りだった。計算問題は問1は1問、問2は2問、問3は5問で、問3は特に計算問題の比重が高かった。問3はHW寄りであり計算問題が多い傾向にあるが予想以上だった。

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

  テーマ
問1 仮想現実技術を利用したシステム
問2 コミュニティバス無人自動運転システム

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイントと的中評価■
1. 問1はハードウェア寄り、問2はソフトウェア寄りの問題が出題される →例年通りで的中。
2. 問1は易問となる可能性がある →採点講評を待って評価。 →正答率に目立った偏りは無かった。

 

 

 

 

■午後II総括■

例年通り、問1はHW寄り、問2はSW寄りの出題だった。

計算問題の設問数は、問1が3問、問2が3問だった。

なお問2は自動運転という題材であり、過去問でも問われているため、今後も出題されるものと思われる。

 

情報処理安全確保支援士

午前II

午前IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午前II出題予想ポイントと的中評価■
1. 令和4年春・令和3年秋から同じキーワードの設問が5~6問出そう SAML,SSOなどのキーワードの言い換えで出題あり。全く同じ問題で言うと、令和3年春(3回前)から2問(問4,11)出題あり。
2. サイバーセキュリティ経営ガイドラインver2.0やCRYPTRECは今回も出るか →的中せず。規格系は ISO/IEC 15408 が出題された。
3. 問18~20はNW系、問21はDB系、問25はAU系から出題される →例年通りで的中。

 

 

 

 

 

 

 

 

■午前II総括■

もともとSC区分は全く同じ再利用問題が少ないが、今回は令和3年春(3回前)から2問同じ出題があった。内容は Smurf攻撃(問4)と CASB(問10)。

SAML(SSO)は手を変え品を変えといった印象で、今回も問7で出題されたがよくも多彩に色々な角度で問題を考えるものだと思う。

サイバーセキュリティ経営ガイドラインやCRYPTRECは私なりに根拠があったが的中しなかった。

なお、SAML に並んで根強くも多彩な出題がされるテーマとして電子メールのセキュリティ技術があるが今後は電子メール自体の役割も縮小すると予想されるので、徐々に出題数は減っていくかもしれない。

 

午後I

午後Iの出題テーマは以下の通りです。

午後Iは3問中2問を選択します。

  テーマ
問1 IoT製品の開発
問2 脆弱性に起因するセキュリティインシデントへの対応
問3 オンラインゲーム事業者でのセキュリティインシデント対応

 

午後Iの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後I出題予想ポイントと的中評価■
1. NW系のスキルがあると有利な問題が1~2問出題される
  (テーマ予想:検疫NWやクラウド接続NW?) →問2と問3がNW寄りで出題数は例年通りで的中も、テーマ予想は外れ。問2はFWフィルタリングルールでオーソドックスな印象、問3はコンテナエンジンを含むところが目新しいと感じた。
2. アプリ系のスキルがあると有利な問題が出題されるかもしれない
  (テーマ予想:SSO/SAML?) →問1が対象。IoT製品の開発に関するテーマでエンベデッドスペシャリストの受験経験者に有利か。
3. マネジメント系のスキルがあると有利な問題が出題されるかもしれない
  (テーマ予想:フォレンジック?) →問2と問3いずれもセキュリティインシデント対応がテーマであり、セキュリティインシデント対応には一般的に言ってフォレンジックも関連するが、キーワードとしての登場は無かった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■午後I総括■

問2,問3がNW寄りで設問自体はオーソドックスだった。テーマ予想として検疫NWやクラウド接続NWを予想したが、これは的中せず。実際の出題は問2がFWフィルタリングルールで過去問対策をしている人にとっては易問だったのではと思う。

アプリ系は問1だが、システムアーキテクト寄りというよりエンベデッドスペシャリスト寄りの題材だった印象。

セキュリティインシデント対応というシナリオは問2,3で共通しており、マネジメント系の経験者、資格保持者であれば問2,3を選ぶのが有利だったように思われる。

 

午後II

午後IIの出題テーマは以下の通りです。

午後IIは2問中1問を選択します。

  テーマ
問1 脅威情報調査
問2 インシデントレスポンスチーム

 

午後IIの出題予想ポイントと的中評価は次の通りです。

 

■午後II出題予想ポイントと的中評価■

1. NW系の問題が1問または2問出題される
 (テーマ予想:検疫NW、ゼロトラスト?) →問1がNW系の出題でありキーワードはARPスプーフィングであった。
2. アプリ系の問題が出題されるかもしれない
 (テーマ予想:XSS対策、多要素認証?) →的中せず。問2はアプリ寄りというよりマネジメント寄りであり、EDR製品導入と検知体制を整備するシナリオであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

■午後II総括■

問1がNW系であり、キーワードはARPスプーフィングでなかなか渋い印象。レイヤ2, 3のかなり突っ込んだ設問が多く、ネットワークにアレルギーのある方だと対応が難しかったと思われる。

問2はアプリ系ではなくマネジメント系であり、EDR製品導入と検知体制を整備するシナリオからの出題。技術と運用の両輪を理解して問題に取り組む必要がある問題だった。

 

 

 

総評コメント

区分を問わない全体総評は以下の通りです。

 

■午前II全体総評■
 
各区分ともに "2回前" からの再出題が予想よりも少なかった印象。
ただ1回前や3回前からの再出題も多いので、過去問で対策することは今後も即効性のある勉強になるだろう。
区分をまたいだ同じ出題としては、IPv6 IPsec が3問(DB、ES、SC)、ウォームスタンバイ(PM、AU)、投資利益率計算(PM、SC)、ドキュメンテーションジェネレーター(DB、ES)が2問だった。
IPv6IPv4 枯渇対策の切り札と言われ久しいが、実際に IPv4 が枯渇する危機感は後退しつつある。それでも現場によっては深刻な課題なので、この課題を印象付けるためにも出題数を多くしたのかもしれない。
 
■午後I全体総評■
 
シラバスが改訂(ver4.9)されたこともあり、PM区分はアジャイル寄りの出題であった問3の今後の出題要旨や採点講評が注目される。
他の区分の問題は大きな変化は無かったが、若干のマイナーチェンジがあったような印象。
たとえばAUは問1で個人情報保護が久しぶりに出題されたり、DBでも問1に業務名(アフターサービス業務)が強調されたりと、トピックの揺り戻しや今後の出題傾向の変化が見られたと思われる。
またSCはテーマ予想が難しかったが今後も挑戦していきたい。
 
 
■午後II全体総評■
 
午後IIでもPM問1がアジャイル寄りの出題であり午後I問3と合わせ今後の出題要旨や採点講評に注目したい。
AUは問1がやや条件が定められて論述の幅が狭い印象だった。
DB、ESは順当に昨今の傾向通りに出題された印象。
SCはアプリ系というよりマネジメント系に力点が今後移っていくのではないかと感じた。セキュアプログラミングと言った開発ノウハウの能力証明はSA区分がその役割を今後担うことになるかもしれない。
 

おわりに

試験センターの午後試験の解答が出るまで、まだ時間があります。

まずは、試験を完遂できた自分をほめて、休息しましょう。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

試験センターの解答や合格発表は時間がかかるので、

それまでに私も対策記事・講評記事をアップしていきたいと思います。

ではそれまで。