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情報処理試験対策やIT業界への愚見・書評

システムアーキテクト午後2過去問分析(令和3春・令和1秋・平成30秋)

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2022/12/27:更新

 

こんにちは。本記事ではシステムアーキテクトの午後II過去問分析を行います。

本記事を読んでいただければ、

が分かると思います。

 

なお、本記事で参照している過去問はIPAサイトからダウンロードができます。

 

はじめに

まずはどのように過去問分析を行えばよいか?という問いに対して、

回答を出しておきます。

 

■午後II過去問分析の手順(システムアーキテクト)■
  1. 問題文を設問ア、イ、ウに区切る
  2. 問われているのがどのフェーズ(要件定義・開発・テストなど)かを読み取る
  3. 出題要旨を読み、最も問われていることを読み取る
  4. 採点講評を読み、期待されている論述例と失敗例を読み取る

 

ひとつずつ解説していきます。

すぐに具体的な問題分析をしたい方は、本節は読み飛ばしてください。

 

1. 問題文を設問ア、イ、ウに区切る

このことは、多くの参考書でも言われていることですが、

試験用紙を配られたらすぐにやる、

本番においても有効な手順です。

 

問題文を読んだ後、設問文を読んで、

もう一度問題文を読みながら、問題文のうち、

ここからここまでは設問アのことをいっている、

ここからここまでは設問イのことをいっている、

というように、文章を対応付けする(区切る)作業のことです。

 

これを行うことで、設問に応じた「望ましい振る舞い」を

問題文からあぶりだすことができます。

 

本記事では、設問ア、イ、ウに区切ることを黒の太線で区切り、

設問で問われていることと問題文での対応箇所を黒線をひいて

分析します。

 

2. 問われているのがどのフェーズなのか

設問で問われているのがどのフェーズなのかを、

システム開発のV字モデル(下図)を参照にして、

明らかにして論述に臨む必要があります。

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IPA『共通フレーム2013の概説』より

たとえば、要件定義とシステム要件定義は明確に異なります。

前者は業務目線、後者はシステム目線での論述が必要です。

両方いっぺんに設問で問われることがあります。

例:対象の業務ならびにシステムについて述べよ

 

いっぺんに問われる場合でも、「自分はわかっているんだぞ」と

明確に分けて記載する必要があります。

これをごっちゃに捉えて記載しているだけで、合格圏内から

大きく遠のくことになるでしょう。

 

本記事では、問題文の横に四角でどのフェーズかを明示します。

 

3. 出題要旨を読む

出題要旨を読み、どこに力点を置いて評価しているかを

読み取ります。

 

多くの場合、出題要旨の文章は問題文と同じ表現・類似表現になっています。

出題要旨と問題文を見比べて、対応箇所をマークするだけでも

分析になると思います。

 

本記事では、出題要旨で最も問われている箇所と、

問題文・設問文で対応する箇所を青線で示します。

 

4. 採点講評を読む

採点講評を読み、何が適切な論述で、

何が不適な論述であるかを読み取ります。

 

特に、不適な論述から読み取れることは多いです。

 

本記事では、採点講評で適切とされる論述を説明している箇所と、

問題文・設問文で対応する箇所を赤線で示し、

不適とされる論述を説明している箇所を赤の破線で示します。

 

令和3年春

問1 アジャイル開発における要件定義の進め方について

●問題文

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●設問文

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●問題文・設問文からの分析

アジャイル開発という、ウォーターフォール開発とは異なる手法では

ありますが、システム開発フェーズとしてはV字モデルにあてはめて

考えることができます。

設問イ・ウにおいてはスプリント期間でユーザストーリ単位での開発を

行うことになります。

ユーザストーリとはユーザ要求の表し方の一つですが、

INVEST*1という特徴があり、

テスト可能であるということまで考えることから、

フェーズとしては要件定義~開発~テストまでを含んでいると言えるでしょう。

 

設問イはユーザストーリの分類の仕方と、

それをどうスプリント期間におさめるか規模・難易度を調整したかを

主に問われており、

設問ウは抽出したユーザストーリの

優先順位のつけ方について主に問われています。

 

イとウで共通しているのは、どちらもプロダクトオーナーと

呼ばれる関係者(利用者)との合意を踏まえて決定する必要があり、

業務要望とシステム要求を明確に分けて論述する必要があるでしょう。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨・採点講評からの分析

出題要旨の最初の段落は、問題文と同一の文章も多く、

設問アのゾーンは全く同一の文章となっています。

設問イとウのゾーンは要点だけが記載されているので、

問題文において出題要旨文からの消込を行えば、

問題文上の具体例などだけが残り、問題文の骨子が理解できると

思うので、ぜひやってみてください。

 

青線で記載している点が最も重要な箇所であり、

その内容は採点講評の赤線(適切とされる論述に必要なもの)と

一致します。

ユーザストーリの分類、規模・難易度の調整(設問イ)

ユーザストーリの価値に基づく優先順位付け(設問ウ)

赤の破線からは、不適切な論述例が書かれています。

ここを読めば、

  • 一般的な要件定義ではない踏み込んだUSの具体性
  • USの価値
  • 規模・難易度の説明だけでなく調整とその結果

が求められていることが分かります。

 

●所感・対策

まず、アジャイル開発を採用せざるを得ない背景・制約条件の作りこみ(設問ア)が

重要になると感じました。

  • 断続的なリリースが必要な状況
  • 圧倒的なニーズ・認知があるため都度改善が求められる状況

などが考えられると思います。

 

設問イを論述するには、

要求分析~USの分類~規模・難易度の仮決定~USの設計・実装~スプリントごとの調整

の順序をイメージし、プロダクトオーナと協議しながら

調整したことを盛り込むとよいでしょう。

 

設問ウの論述には、

イがスプリントサイクルのプロセスに着目しているのに対し、

USの優先順位をユーザ価値に基づき決定したことを

記載するのがよいでしょう。

プロダクトバックログの分析~優先順位付けの基準の定義~USの決定

の順序をイメージし、具体的な複数のUSからユーザ価値に

基づいてプロダクトオーナとともに選定したことを

盛り込むのがよいでしょう。

 

 

■論文の書き方■

この問題の具体的な論文の書き方についてはこの記事も参照ください。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

問2 情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計について

●問題文

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●設問文

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●問題文・設問文からの分析

設問ア・イ・ウで問われているフェーズが明確であり、

各フェーズの論文エピソードが用意できていれば

取り組みやすい問題だと思います。

 

設問アでは要件定義フェーズまでのことが聞かれているので、

背景のことと、業務要件までを記載します。

情報システムのそのものの概要も記載しますが、

システムに求められるシステム要件まで記載してはいけません。

 

設問イでシステム要件~ソフトウェア要件を記載しますが、

要件定義を分析するフェーズを盛り込まなくてはなりません。

 

設問ウはソフトウェア要件定義の範囲として記載するのがよいでしょう。

ハードウェアや運用ワークアラウンドは、問題文の例文からし

不適切であると考えられます。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

出題要旨の3段落目でも触れられていますが、

「情報システムの機能追加で」という前提があります。

中心となる要件定義~設計に気を取られ過ぎて、

前提が「新規システムの構築」となっていないか注意しましょう。

 

出題要旨・採点講評からは、「業務要件の分析とその設計」が

最重要と読み取れます。

採点講評のNG例としては、

  • 業務要件の分析の視点がない
  • 分析結果に基づく設計ということが説明されていない

ことが言われているので、

分析の視点を盛り込めば合格圏内に大きく近づけると思います。

 

●所感

要件定義~システム要件定義の"橋渡し"を

いかにうまく行うかが論述ポイントとなり、

SA区分として比較的王道的な問題と思います。

 

設問ウは設計の中でも特に工夫したという部分なので、

具体的な実装の引き出しの多い方は、論述しやすい内容と思います。

 

注意したいのは、設問イでも設問ウでも「設計」について

論じなければなりませんが、

  • 設問イ:要件定義分析に基づいてこう設計した(設計の結果)
  • 設問ウ:業務要件を踏まえて工夫した具体的な設計(実装の具体例)

の違いを意識しなければなりません。

 

 

■論文の書き方■

この問題の具体的な論文の書き方についてはこの記事も参照ください。

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

問3 IoTの普及に伴う組込みシステムのネットワーク化について

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

組込みシステムの問題全般に言えるかもしれませんが、

問われているフェーズの範囲は小さいですね。

設問アですら、システム要件定義寄りの業務要件であり、

「ネットワーク化の目的」を中心に書くと、業務要件を

書く配分は必然的に小さくなりそうです。

 

しかし、設問イでは障害の想定や被害拡大を未然に防ぐ

必要があることから、業務への影響を加味せねばならず、

業務要件は必ず必要でしょう。

ただ、その背景となるシステム化計画などまで触れると、

紙面が足りなくなるのではないでしょうか。

 

設問ウは達成状況と今後の課題が問われているので、

評価と追加の課題に言及すれば良いです。

書きやすい反面、他の受験者と差をつけにくい設問と思います。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評の分析

出題要旨は何度も「ネットワーク」という単語が出ています。

組込みシステムを中心に、ネットワーク経由で連携する各システムと

システム全体のことを記載することは必須でしょう。

 

それゆえ発生するセキュリティや障害のリスク顕在時に

どのように各システムが動作するのかを説明することが

求められています。

 

採点講評からは、NG例が次のように述べられています。

  • システム全体の抽象的・一般的な説明に終始する
  • 実装の細部にとどまっている

全体だけでも細部だけでも足りないということですね。

全体の説明と、その特徴に基づく課題・解決策(細部)という

流れが論述しやすいと思われます。

 

●所感

当然ながらエンベデッドスペシャリストを合格していると有利として、

この問題の場合はネットワークスペシャリストも合格していると

論述の引き出しが増えるでしょう。

 

本問ほど"ネットワーク押し"でなかったとしても、IoTの本質は

ネットワーク経由でのシステムの協調動作なので、

各年度の問3はネットワークスペシャリストを保持していると

有利と言えると思います。

 

脆弱性が放置されたIoTデバイスは攻撃者の格好の餌食となり、

問題となっています。

  • 踏み台にされるような脆弱性は放置せず、当初から対策すること
  • 協調動作する上では監視の仕組みも盛り込むこと
  • ネットワーク断絶に備え内臓メモリを持つ設計にすること

などが具体的に論述できるかがポイントとなると思います。

 

令和1年秋

問1 ユーザビリティを重視したユーザインタフェースの設計について

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

設問アとイの区分けを問題文からしづらい問題でした。

設問アは業務(要件定義)を問われていて、

設問イはシステム(システム要件定義)を問われています。

 

問題文は業務要件=想定する利用シーンと

システム要件=ユーザビリティが混ぜ込まれて書かれており、

何をどの設問で論述すべきか整理する必要があったでしょう。

 

設問ウは打って変わって設計プロセスに聞かれており、

仮説検証のしやすい設計プロセスである、

アジャイル的開発手法を提案できたかというところが

ポイントとなると思います。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

出題要旨からは、設問イならびに設問ウが重点出題であったことが

うかがわれます。

設問イを適切に論述するには、設問アとの論じ分けが重要です。

設問アで想定利用者の利用シーンを定義し、

設問イで想定利用者向けのUIを論述する

といったように進めるべきかと思いました。

最低2つはユースケースを定義して、各々について

説明すると論点が伝わりやすく、字数も増えると思います。

 

採点講評からも、設問アとイで問われていることの

境目が不明瞭であったり、どちらかしか書かれていなかったりする

論述がNG例として紹介されています。

 

●所感

令和3年問1と同じく、ユーザストーリの考えを取り入れた、

スクラム的開発手法が求められる問題であったように感じます。

 

また、問題文を設問文単位で素直に分割できないことから、

難易度としては高めであったのではないでしょうか。

 

採点講評で言われている通り、業務要件(利用者にとっての価値)と

システム要件(操作性などといったユーザビリティ)を

きちんと分けて論述することも肝であったと思います。

 

問2 システム適格性確認テストについて

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

同年度の問1とは打って変わって、問題文を設問の3つに

区分けしやすい問題でした。

 

設問アは王道的な前提条件の問いかけです。

鍵は設問イとウですが、いずれもシステム適格性テストの

フェーズであることが重要で、ソフトウェア適格性テストや

運用テストのフェーズでないということに

注意が必要です。

 

さらに、問題文を区分けした各中身も、SAとして望ましい振る舞いが

説明された後に具体例を列挙されているという、

とても読みやすい素直な問題です。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

出題要旨からは、設問イとウが重点出題であったことが読み取れます。

効率的なテストのための区分けや配慮:設問イ

結果を効率的に確認する方法:設問ウ

という対応ですね。

 

採点講評からは、設問イに関する指摘が中心で、

システム適格性テストというフェーズにフォーカスしていないと、

減点になるということが読み取れます。

 

また、システム適格性テストの一部の実施にとどまる論述も

NG例と書かれていることから、システム適格性テストの在り様を

頭に入れてかかる必要があるでしょう。

 

すなわち、

システム適格性テストとはシステム要件定義の対となるもの

であり、

システム要件定義とは業務要件を分析してシステム要件を抽出する

フェーズであるという理解です。

 

このことを頭に入れておけば、システム適格性テストにおいて、

なぜ業務の観点を取り入れて計画する必要があるかが

分かると思います。

 

●所感

一言で言って、素直な出題であり、

テスト系の王道的な出題であったと思います。

 

設問イがプロセス重視であるのに対し、

設問ウはよりテクニカルな工夫が問われており、

技術的な能力を示すエピソードが求められるでしょう。

 

他のプロジェクトとのバッティングを回避したり、

負荷試験のフェーズを調整したりするなど、

マネジメント的な工夫も盛り込むことができるので、

様々な異なるバックグラウンドをもった受験者でも、

各々に書きやすい問題だったと思います。

 

問3 組込みシステムのデバッグモニタ機能について

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

設問アではシステム化計画からの記述が求められているのが

エンベデ系にしては特徴的と思います。

 

設問ウは「評価」というフェーズを割り当てましたが、

設問イで論述した内容(各種要件定義)に対する評価が

述べられていれば十分と考えます。

 

「開発・検証・出荷後の各段階」というのがキーフレーズであり、

出荷後を「評価」するためには実際に出荷後がどうであったかを

論述するのが最も無難であるので、設問ウについては、

時系列としてはプロダクトがリリースされた後の時点から

評価するのがよいでしょう。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

出題要旨は設問イが最大の出題意図であることがうかがわれることに

加え、「セキュリティ」という記述があるのが特徴的と思われます。

設問ウで評価する観点に、セキュリティを配慮したかという観点が

論述できているかも重要なポイントとなるでしょう。

 

採点講評からは「開発・検証・出荷時の各段階」の要求と対応内容が

重要であることが読み取れます。

各段階の要求が異なるというのが組込みシステムならではの特徴であり、

システム要件定義のフェーズである、

SW要求・HW要求・運用ワークアラウンドのどれに割り振るかを

システムアーキテクトとして検討する姿勢が重要でしょう。

 

●所感

令和3年秋の問3ほどではないにしろ、

問題文の中断に「IoT」「ネットワーク」という記載がある以上、

IoTデバイスを意識したシステムを論述対象にすると

書きやすかったのではないかと思います。

 

また、「開発・検証・出荷時の各段階」は指定されているので、

ここは変えずにそれぞれの段階について論述するのが無難でしょう。

その結果、それなりに字数が必要となるので、制限字数内に

抑えるため、簡潔に論述しきる方針で臨むのがよいでしょう。

 

 

平成30年秋

問1 業務からのニーズに応えるためのデータを活用した情報の提供について

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

フェーズとしては典型的な「要件定義」フェーズの問題です。

設問ウは課題に対する工夫ということでより実装に近い工夫を

書けばよく、開発・設計技術のアピールをしましょう。

 

論述テーマとしてはスマートプロモーションや

ビジネスインテリジェンスの抽出など、

単なるデータの提供ではなく、一定の範囲・量を前提した

累積データを基にする必要があります。

 

新規設計のシステムでも書けなくはないですが、

既存のシステムに対する論述とした方が無難なテーマと

言えると思います。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

求められたニーズ(設問ア)、分析結果と提供情報(設問イ)、

課題と工夫(設問ウ)といずれも力点の置かれた、

ある意味でバランスの良い問題だったと思われます。

 

ア・イ・ウを通じて具体的・明晰に論述できていないと、

評価の土俵に上がれない、敷居の高い問題だったとも

いえると思います。

 

採点講評からは、分析を伴わない要望元のいいなりになった

情報提供ではいけないと釘をさしています。

要望元のニーズを分析して、真のニーズを探り当てる

フェーズが必要となり、ST寄りの出題であったと

言えるかもしれません。

 

●所感

黒線(設問)、青線(出題要旨)、赤線(採点講評)の

いずれも問題文の同じ所にひかれるという結果になりました。

一本筋の通った問題であるともいえますが、

分析しにくい問題でもありました。

 

抽象化すれば、

  • 設問アは背景、業務要求
  • 設問イは要求分析、情報提供(システム要件定義)
  • 設問ウは課題、工夫

ということで、王道的な構造の問題であったとも言えます。

 

求められている論文構造はそれほど難しくないので、

難しさがあったとすれば、データ分析・インテリジェンス出力系の

開発経験に携わったことがあるか?というところが

取り組みやすさをわけるところと言えるのではないでしょうか。

 

問2 業務ソフトウェアパッケージの導入について

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

パッケージの導入を主題とした問題。

ソフトウェア要件定義(方式設計)のフェーズが中心と

思いきや、問題文の例に運用ワークアラウンドが触れられている

ことから、主題(設問イ)のフェーズは「システム要件定義(方式設計)~

ソフトウェア要件定義(方式設計)」としました。

設問ウは施策への評価が問われていますが、

問題文は対応箇所が無いというパターンです。

 

パッケージ導入のフィット&ギャップ分析を中心的に論述する

問題で、比較的素直な出題形式と思います。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

パッケージの導入の背景として、業務要件を適切に記載することが

求められていることが読み取れます。

業務要件の記載がないと、「業務への踏み込み」ができないためです。

 

また、業務要件の分析というフェーズも論述として求められます。

業務要件を総体的に分析した上で解決策を述べないと、

「その解決策で本当に業務が円滑に遂行できるか」が不明なためです。

 

さらに解決策を抽出する上で、検討方針が必要と書かれています。

このことから、一連の流れは、

業務要件~パッケージの機能~分析~検討方針~解決策

という形で展開するのがよいと思います。

 

●所感

パッケージ導入はソフトウェア方式設計のフェーズですが、

導入期間の短縮が図れるなどの期待から、

システム化計画時点から検討に入ってくるということは、

実際の現場においてもよくあることと思います。

 

要件定義のフェーズ、

システム方式設計のフェーズ、

ソフトウェア方式設計のフェーズなど

各フェーズは意識した上で、パッケージ導入の検討を

進めたいです。

 

これらのフェーズは、理論上、逆向きにはいかないので、

論述する上では、順序だてる必要があります。

パッケージ導入ありきで物事が進む現場でもありがちですが、

なぜパッケージを選定しているのか、何の課題が解決するからなのか

といったところは意識したいですね。

 

問3 組込みシステムのAI利用、IoT化などに伴うデータ量増加への対応について

●問題文

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●設問文

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●問題文と設問文からの分析

文章量は多い印象。

設問ウは、問題文からはほぼ対応箇所がありません。

 

フェーズとしては、ソフトウェア要件定義以降~としています。

解決策の達成度や開発段階で生じた未達事項などの問題を

問われているため、開発段階、テスト段階、リリース後評価などを

駆使して論述すればよいと思います。

 

設問イの問題文対応箇所は、組込み系システムの一般的な

制約、課題についてかなり具体的に書かれているので、

別年度の論述においても参考になりそうな記述です。

 

●出題要旨

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●採点講評

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●出題要旨と採点講評からの分析

採点講評からは、データ量の増加という観点を踏まえる必要があると

読み取れるので、設問アで、背景部分を伏線として論述できるかが

鍵となるでしょう。

 

発生した問題をシステムアーキテクトとしてどう解決したかと理由が

問われていると読み取れます。

その書き方ですが、採点講評によれば、

  • 部分的な処理の対策内容にとどまる
  • システム全体を俯瞰していない

ような論述はNGとしています。

 

きちんと論述するには、設問イで理由部分に、

なぜその対策で解決できるかといった=要件定義を満たすためにどう分析したか

という視点を盛り込んで論述する必要があるでしょう。

 

●所感

問題タイトルにも含まれている通り、IoTやAIといった技術が

意識されています。

AIに関しては処理が高度になるので、デバイス側で処理するのは

非現実的であり、IoTはネットワーク経由という制約を加味した

システム設計が必要になってきます。

 

主題としては「データ量の増加」というところに

かかってくるので、業務要件上、なぜデータ量が増える必要が

あったのか、というところは触れておかないと

NGだと思います。

 

ソフトウェアとハードウェアの役割分担など、

エンベデ系の設計スペシャリストとして、

采配する姿勢でもって論述する必要があるでしょう。

 

最近のシステムアーキテクトの傾向

共通の採点講評の分析

各年度の採点講評は、問1~問3に共通する部分があるので、

あげてみます。

 

●令和3年

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●令和1年

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●平成30年

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キーフレーズとしては、

  • 自らの体験に基づき素直に答えていること

が適切であり、

  • 問題文に記載してあるプロセスや観点を抜き出し、
    一般論と組み合わせただけ
  • 実施事項にとどまり、理由や検討の経緯が不在

はNGとあります。

これらのことを意識しないと

にはならないと読み取れますね。

 

結論としては、書かれている内容は大同小異ですが、

それだけ適切とされない論述が提出されるということが、

後を絶たないのだと思います。

 

まとめ

それでは、具体的にどういった論述をすれば、

NG例にならないのでしょうか?

 

3年分の過去問・採点講評を分析をして見えてきたこととしては、

  • システムと業務をきちんとわけて論述すること
  • 部分的な論述ではなく総体的に把握して論述すること
  • 要件を「分析」して次のフェーズの要件につなげること

といったことが重要ということです。

 

3点目については、システム要件定義フェーズであれば、

前フェーズで定義された業務要件を分析してシステム要件を

抽出する、といった具合ですね。

 

以下、本記事の集大成としてまとめておきます。

 

■最近のシステムアーキテクトの傾向■

採点講評(共通)より

  • [OK]自らの体験に基づき素直に答えていること
  • [NG]問題文に記載してあるプロセスや観点を抜き出し、
    一般論と組み合わせただけ
  • [NG]実施事項にとどまり、理由や検討の経緯が不在

これらを意識しないとシステムアーキテクトとして考慮し、

取り組んだことにならない。

 

重要なポイント

  • システムと業務をきちんとわけて論述すること
  • 部分的な論述ではなく総体的に把握して論述すること
  • 要件を「分析」して次のフェーズの要件につなげること

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

システムアーキテクトに限らず、

過去問分析の仕方や、最近の傾向について

理解できる記事になっていれば幸いに思います。

 

では、合格を目指して共に頑張りましょう。

 

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ではそれまで。 

*1:Independent(独立性)、Negotiable(対話可能)、Valuable(ユーザ価値)、Estimable(見積もり可能)、Small(小さい)、Testable(テスト可能)を示す頭文字

高度情報処理試験対策 2か月前時点の勉強法(令和4年春版)

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令和4年度の春季情報処理試験(4/17)まで残り2か月となりました。

 

直前でも無いけど、半年・一年以上の長期学習計画を

立てるほどの時間も無いこの時期は何に取り組めばよいのか。

 

また、私も今期はシステムアーキテクトを受験予定であり、

素の受験者の立場で記事を書けるのは、最後の機会となるかもしれません。

(SA合格により、全区分制覇するため)

 

そのため、本記事では、

一般的な2か月前時点の勉強法を記載すると同時に、

私自身の勉強状況もシェアすることを意図して記事を書いてみます。

 

[目次]

 

さきに結論を書きましょう。

 

■2か月前時点の勉強法■
  • 1. 気構え:長い試験時間に耐えられる覚悟・体調管理
  • 2. 午前II対策:過去問を解くこと
  • 3. 午後対策(記述対策):解説の多い参考書で準備
  • 4. 午後対策(論文対策):事例集で自分なりの表現を掴む
  • 5. 気構え:SNSでモチベーション維持

 

なお、上記の1、3、4の詳しい内容は、以下の記事に詳しくまとめています。

 

■概要と午後対策のキホン■
高度情報処理試験対策の概要・午後対策の基本と参考書選びについて記載しています。

 

 

 

1. 気構え:長い試験時間に耐えられる覚悟・体調管理

試験制度の細かい説明は省略します。

高度試験と呼ばれる9区分は、午前Iから午後IIまで含めて

9:30~16:30までみっちりと試験時間になります。

 

このことから、とにかく長い試験時間に耐えれることが必要です。

初めて受験される方は、一度は自分で一日を通して模擬試験をしてみましょう。

 

(参考)IPAの試験区分一覧

www.jitec.ipa.go.jp

  

2. 午前II対策:過去問を解くこと

情報処理試験は過去問とその回答を公開しています。

 

特に午前の試験は選択式で、かつ過去問の採用率が高いので、

3~4年分の過去問を頭に入れておくだけで合格できます

短絡的な考え方かもしれませんが、合格だけを目的に考えるなら、

出題された単語や意味などを覚えなくても、

問題文と回答のセットだけを覚えれば十分です。

 

私の場合は、今期のSA受験に向けて、まだ1度しか

通しでは過去問を解いていません。

ただ、それでもこれまでの経験上、十分に巻き返しが

図れると思っています。

 

3. 午後対策(記述対策):解説の多い参考書で準備

詳細は、過去記事を参考にいただくとして、

今回はiTECの『重点対策』で臨みます。

 

午前II対策という章になっているところが、

基本知識が載っているので、まずはここを読み進めました。

開発プロセス設計技法について体系的に学ぶことができます。

 

また、午後II対策という章になっているところが、

論文試験への心構えなどがまとまっていました。

別途論文対策用に参考書は用意したものの、

1冊で済むという利便性から、そちらはまだ手を付けていません。

 

午後I対策としては、まだ本格的な勉強を

開始していないという状況になります。

 

4. 午後対策(論文対策):事例集で自分なりの表現を掴む

こちらも同様、詳細は、過去記事を参考にいただくとして、

今回も、『合格論文の書き方・事例集』で臨みます。

 

私は基本的に、論文のある試験区分ではこのシリーズで

論文を書く上での言い回しや論旨展開の事例集をインプットすることを

合格のルーチンにしてきました。

 

ただし、今回は、前述の通り、『重点対策』で

論文対策を開始しているので、まだ『合格論文の書き方・事例集』は

手を付けていません。

 

私の場合、PM、ST、SMも合格済みなので、

SAとしての力量を示すというところに力点を置いて、

論文のフレームワークを設計したいと考えています。

 

5. 気構え:SNSでモチベーションアップ

何度も言っていることですが、

モチベーション管理のために、

SNSで受験する方の状況をチェックするのもよいと思います。

 

たとえばtwitter

twitterをやっていなくとも、リアルタイム検索で

キーワードを登録しておけば、通知を受け取れるアプリがあります。

promo-search.yahoo.co.jp

 

キーワードには、情報処理試験や、

受ける試験区分の試験名を登録しておくとよいでしょう。

 

尚、私もtwitterはやっていますので、よろしければフォローもご検討ください。

ここには書けないような日常のTIPSや細かい記事ネタも

つぶやいていますので、本ブログの先取りになるかもしれません。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

私の場合、午後I対策(記述対策)が後回しになっているので、

一度今進めている午後II対策(論文対策)を一区切りつけたら、

本腰を入れたいですね。

 

参考までに、前回(令和3年 秋試験)の試験対策記事も、

余裕があれば目を通してみてください。

 

■高度情報処理試験対策 2か月前から取り組むべき5点のこと■

同様のポイントをまとめていることが、分かると思います。

studyrolerole.hatenablog.jp

 

なお、私は今期、SAを受験予定ですが、

昨年は、STを一発合格しました。

なお、その時の記事は以下を参照ください。

 

ITストラテジスト 合格記事■

 

twitterの固定ツイートも参照していただければわかる通り、

無料相談サービスも立ち上げています。

論文添削や記述式の相談にご興味のある方、ぜひ活用してみてください。

 

では、合格を目指して共に頑張りましょう。

 

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ではそれまで。 

情報セキュリティ白書2021読んでみた

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IPA が毎年公開している情報セキュリティ白書2021を読んでみました。

公開サイトはこちらです。

 

11月1日にパスワード無し版が公開されたようなので、

それをきっかけに読んでみようと思いました。

 

情報処理試験では、情報処理安全確保支援士(SC)が密接に関わる分野ですね。

 

本記事では、読んでみた感想や概要をゆるくまとめてみたいと思います。

SC受験予定で役に立ちそうな箇所は、記事内でピックしておこうと思います。

 

 

1. はじめに

IPA が説明している白書の位置づけを紹介します。

IPAでは、「情報セキュリティ白書」を2008年から毎年発行しています。本白書は、情報セキュリティに関する国内外の政策や脅威の動向、インシデントの発生状況、被害実態など定番トピックの他、その年ならではの象徴的なトピックを取り上げています。

国内外の官民の各種データ、資料を数多く引用しトピックを解説しており、情報の網羅性と参照性の高さが特長で、情報セキュリティ分野の全体把握が容易です。

2008年からですから、2021年で14年目ということですね。

また、2021年度のスペシャルトピックとして以下を掲げています。

  • 米国の政策(トランプ政権下のセキュリティ施策、バイデン政権の政策、SolarWinds、ColonialPipeline事案など)
  • テレワークの情報セキュリティ(インシデント事例、テレワーク環境を取り巻く脅威、課題、対策など)
  • NISTのセキュリティ関連活動(組織の沿革と体制、SP800,1800シリーズなど)

米国の政策は、セキュリティ対策に悩む経営者の興味を引くようなトピックと思います。

個人的には、何といってもコロナ禍で広がったテレワークというトピックが 2021年を象徴するトピックのように思います。

 

2. 目次をみてみる

目次は以下の通り、3章構成になっています。

  • 序章:2020年度の情報セキュリティの概況
  • 第1章:情報セキュリティインシデント脆弱性の現状と対策
  • 第2章:情報セキュリティを支える基盤の動向
  • 第3章:個別テーマ

 

序章は1ページで1年間のトピックが総括されており、

すぐ読めるし、

世間を賑わせたセキュリティ事件・事故など

「そんなことあったな」と思い出しながら振り返ることが

できるので、面白いと思います。

 

第1章は、インシデントの傾向や、巷で流行っている手口などが

紹介されています。

流行っている手口は、フィッシングの画面キャプチャも

掲載されています。

 

第2章は、国内・海外の情報セキュリティ政策、

標準化活動が紹介されています。

海外情勢は、米国・欧州・アジア太平洋地域の他、

コラムですが中国の情勢についても触れられています。

 

第3章は、個別テーマの

制御システム、IoT、テレワーク、NISTについて

触れられています。

この中でもテレワークは市民の生活様式の変容に

関わるので興味深いトピックと言えそうです。

 

3. 序章を読んでみる

キーワードセンテンス的に並べてみましょう。

  • 新型コロナ対策で緊急事態宣言を受け、テレワークやオンライン会議が普及し、新たな脆弱性が生まれた
  • フェイクニュースが溢れ、WHOを始めとする各国組織が対策を呼び掛けた
  • ランサムウェアの被害を受けたゲーム会社が1万件以上の個人情報流出、一部の機器が暗号化された
  • NISCが重要インフラ事業者にむけ、特定のサービスを利用する際、利用者の設定不備により外部から情報が参照される可能性について注意喚起した
  • 米国の燃料供給事業者ランサムウェア攻撃を受け、一時操業を停止した
  • 国内では、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」が開始された

ランサムウェアの被害を受けたゲーム会社というのは 2020年11月に公表したカプコンの事例でしょう。

利用者の設定不備により外部から情報が参照される可能性についてのサービスとは、GitHubのことでしょう。2021年1月にSNS上でも大きな話題になりました。

米国の燃料供給事業者とは、Colonial Pipeline社の事例でしょう。

 

いずれも世の中を大きく騒がせた事例と言えます。

 

テレワークの導入や DX の推進等でデジタル化は急加速しつつあるが、セキュリティ対策が十分に検討されていない、あるいは、一時的に認めざるを得なかったセキュリティ対策の緩和や逸脱が放置されている可能性がある。リスクと対策の再確認、ルールの見直しが求められている。

序章は上のように結ばれており、生活様式が変容している中で、情報セキュリティ対策の再確認と見直しを強く訴えかけています。

 

■SC対策になるポイント■
ランサムウェア」は重要なキーワードであり、予防や感染した場合の対応についても午後問題でも問われやすいテーマと思います。
自身が企業や組織の情報管理責任者となったことを想定して、予防や対応策について記述できるようにしておきましょう。

テレワーク推進により在宅勤務が多くなった結果、BYODについても重要性が高まっています。
午前IIはもちろん、午後問題でもどのようにBYODを検疫・リスク管理するか、NWを分割するなど、具体的な構成含めて考察・記述できるようにしましょう。

 

4. 本文を読んでみる

私が気になったのは次の点でした。

Linux も狙われるようになった

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ウイルスが狙うのは、普及度&セキュリティホールの多さがともに大きいWindowsが中心で、それ以外だと大丈夫と思われていた時期もありましたが、時代は変わりました。


Go言語はマルチプラットフォーム対応しやすいので、WindowsLinux問わずに攻撃できる効率性の高いウイルスのコード生成に採用されやすいそうです。


悪用されてGo言語の悪名が広がらないことを祈ります。

 

Facebook メッセンジャースパム

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私も友人(普段連絡とってない)から突然Facebookメッセージが送られてきたことがありました。

当人(友人)はすぐに火消しの連絡をしていたので、実際に被害にあった人がいたかはわかりません。

 

このように、白書には意外と? 画面のスクショが資料に盛り込まれている箇所もあって、読みやすい(面白い)ところもありました。

新聞のように、読みやすいところを中心にピックしていくと良いように思います。

 

脆弱性対策情報の割合

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CWEとは、の共通脆弱性タイプ一覧(Common Weakness Enumeration)の略で、脆弱性のタイプのことですね。

 

■SC対策になるポイント■

クロスサイトスクリプティングや⑧OSコマンドインジェクション、⑨パストラバーサルといった攻撃手法は試験でも頻出と思います。

試験対策というより、知識があればこういう情報を読み解けるようになるよ、と考えた方が勉強のモチベーションになるかもしれませんね。

 

デジタル庁の設置

2021 年 5 月、「デジタル庁」新設を柱とするデジタル改革関連法案が成立しました。

9 月 1 日に発足したデジタル庁について、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室はデジタル庁のサイトを開設し、

平井卓也デジタル改革担当大臣のメッセージやデジタル庁に関する法令等の情報発信を開始しました。

また、2021 年 5 月よりコンテンツ配信サービス「note」を利用してデジタル庁創設に向けた情報配信を開始しています。

こうした公共系のメッセージ基盤にも note はなりやすい、ということの現れですね。

はてなブログを始めとしたブログメディアが、採用されなかったのは、noteでいうサークルのようなコミュニティ創設の機能が重視されたためでしょうか。

 

テレワーク導入フローチャート

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この図はなかなか有用そう。
自社にテレワークが導入されていなかったとしても、自分ならばどんな環境がよいか考えてみるだけでも意味があると思います。
自分の考えが固まったら、上司に提案してみましょう。

 

5. おわりに

いかがでしたでしょうか?

総264ページもあるドキュメントなので、とても全文を細かくは読めませんでしたが、

年間の振り返りやセキュリティ業界のトピックを、

ニュースや政治に絡めて理解することができるのは有用だと思います。

 

情報処理安全確保支援士(SC)を狙っている方は、

本記事の緑枠の内容を参考にしてみてください。

 

■SC対策になるポイント(再掲)■

ランサムウェア」は重要なキーワードであり、予防や感染した場合の対応についても午後問題でも問われやすいテーマと思います。
自身が企業や組織の情報管理責任者となったことを想定して、予防や対応策について記述できるようにしておきましょう。

テレワーク推進により在宅勤務が多くなった結果、BYODについても重要性が高まっています。
午前IIはもちろん、午後問題でもどのようにBYODを検疫・リスク管理するか、NWを分割するなど、具体的な構成含めて考察・記述できるようにしましょう。

クロスサイトスクリプティングや⑧OSコマンドインジェクション、⑨パストラバーサルといった攻撃手法は試験でも頻出と思います。

 

試験対策というより、知識があればこういう情報を読み解けるようになるよ、と考えた方が勉強のモチベーションになるかもしれませんね。

 

 

本ブログでは、主に情報処理技術者試験の高度区分の試験対策についてまとめています。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

資格をとったエンジニア・人材が、セキュリティ人材として世の中に大きく羽ばたくことを願っています。

 

ではそれまで。

システム監査技術者 午後I 問1 解いてみた(令和3年秋)

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更新:2022/8/29

 

本記事では、試験センターの回答公開前の問題について解いてみます。

システム監査技術者午後Iの問1です。

基本情報

前段(問1~問3)の評価

今年の午後Iは以下3問からの選択です。

  テーマ
問1 チャットボット開発の企画段階における監査
問2 システム再構築プロジェクトの企画段階における監査
問3 結合テストの監査
 
試験後の速報記事でも言及していますが、3問についてのコメントは以下の通りです。
 
■速報コメント■

 

問1はチャットボットという採用技術色が濃い。同テーマの過去問に触れていると有利。問2・問3はどちらも再構築プロジェクト中という設定。問2はインフラ知識、問3は業務知識の前提知識があると心強い。

 
本記事では問1を対象にします。
 

問1の基本情報

基本情報は以下の通りです。
ページ数 4
設問数 4

 

章構成

分量 内容 備考
半ページ弱 冒頭文
4行 〔コールセンタの概要〕
1ページ強 〔チャットボット開発の概要〕 図1 チャットボット開発の流れ
1ページ弱 〔監査チームが想定したリスク〕
半ページ弱 〔M氏の助言〕
半ページ 〔修正した監査手続書〕 表1 修正した監査手続書(抜粋)

 

分量や設問数は標準的な数量と思われます。

 

また、システム監査技術者の場合は、各設問と問題文の各章の各節が串刺し的に紐づいているのが典型的な形であり、本問も同様です。

 

以上のことを念頭において問題文全体を整理すると、以下のようになります。

テーマ 構想立案工程 PoC工程 学習と評価 オペレータ教育
〔チャットボット開発の概要〕 (1) (2) (3) (4)
〔監査チームが想定したリスク〕 (1) (2) (3) (4)
〔M氏の助言〕 (1) (2) (3) (4)
〔修正した監査手続書〕 項番(1) 項番(2) 項番(3) 項番(4)
対応設問 設問1 設問2 設問3 設問4

本問は、各章も設問も数字が1~4で対応付けされており分かりやすいです。

たとえば、〔修正した監査手続書〕の章には表1. 「修正した監査手続書(抜粋)」の項番(1)~(4)が各設問に対応します。

設問から後ろにさかのぼっていくイメージで取り組みましょう。

 

問題文構造のまとめ

午後Iの設問は、設問や問題文中から「何が問われているか?」を明確にしてから、問題文中から「回答材料を集め」回答するというのが基本的な流れとなります。

問題文全体を示した表に、「何が問われているか?」を読み取るのに最も重要な箇所を薄い赤、「回答材料」が最も書かれている箇所を薄い緑で加えました。

テーマ 構想立案工程 PoC工程 学習と評価 オペレータ教育
〔チャットボット開発の概要〕 (1) (2) (3) (4)
〔監査チームが想定したリスク〕 (1) (2) (3) (4)
〔M氏の助言〕 (1) (2) (3) (4)
〔修正した監査手続書〕 項番(1) 項番(2) 項番(3) 項番(4)
対応設問 設問1 設問2 設問3 設問4
難易度評価 やや易 やや難 やや易 やや難

ついでに、各設問の難易度評価を表の最下行に追加しています。

難易度については、別途解説します。

各設問の解き方

では、各設問の基本情報と、「何が問われているか」「回答材料」「回答案」の箇所をまとめ、簡単にコメントするという順で解説・評価していきます。

設問1

基本情報

概要 空欄アの穴埋め
方式 記述式50字以内

 

何が問われているか 経営層が判断、承認しているかの監査手続。
読み取る箇所 〔修正した監査手続書〕の 表1 修正した監査手続書(抜粋)
回答材料 経営会議などの審議を経て承認を得ているか。
回答材料箇所 〔監査チームが想定したリスク〕の(1)構想立案工程のリスク
回答案 導入目的や利用範囲について、経営層が審議を経て承認しているか、経営会議の議事録を査閲して確認する(48字)

 

■コメント■

 

回答材料が少ないのに対し、記述文字数が多い印象の設問。
回答テンプレート(※)を意識して、記述を膨らませるイメージで書くと書きやすい。
回答案にある「議事録」は本文には登場しないが、会議があれば議事録が書かれるのは自然と考えられる。

 

(※)回答テンプレートとは、「監査手続」を問う設問である場合に使用できるテンプレート。以下記事にまとめているので未読の場合は参照ください。

 

■監査手続を回答するために■
監査手続きの回答テンプレートは以下の通りです。

〇〇であることを確認するために××(監査証拠)を確認する

○○には、「リスクがコントロールされている状態」が入ります。

以下記事に詳しく書かれていますのでご覧ください!

 

studyrolerole.hatenablog.jp

 

 

設問2

基本情報

概要 空欄イ・ウの穴埋め
方式 それぞれ記述式45字以内

 

設問2は、2つのことが問われているため、それぞれコメントまで記載します。

  • 設問イ
何が問われているか PoCの計画が適切に立案されているかの監査手続き
読み取る箇所 〔修正した監査手続書〕の 表1 修正した監査手続書(抜粋)
回答材料 計画策定時は評価・終了の基準が必要
回答材料箇所 〔監査チームが想定したリスク〕の(2)PoC工程のリスク
回答案 PoC計画書を査閲し、実施の良否判断ができるよう、評価・終了の基準が明確か確認する(41字)

 

■コメント■

 

設問1とは反対に、回答材料が多いのに、記述文字数が少ない印象。
リスクは「実施の良否判断ができないこと」。コントロールは「基準を明確にすること」。
これらは〔監査チームが想定したリスク〕に書かれている。
監査証跡は〔チャットボット開発の概要〕から持ってくる。
候補となる書類は構想立案書、PoC計画書、PoC評価書と複数あるが、リスクコントロールの趣旨に合うのはPoC計画書。

 

  • 設問ウ
何が問われているか PoCの実施が適切に立案されているかの監査手続き
読み取る箇所 〔修正した監査手続書〕の 表1 修正した監査手続書(抜粋)
回答材料 計画で定めた基準を満たしているか評価する
回答材料箇所 〔監査チームが想定したリスク〕の(2)PoC工程のリスク
回答案 PoC評価書を査閲し、不確実な開発を避けるため、計画で定めた基準を満たしているか確認する(44字)

 

■コメント■

 

記述文字数が少ないので、どこまで記載するべきか迷う。
リスクは「開発計画が不確実になり期待通りのチャットボットの開発ができないこと」。
コントロールは「PoC計画で定めた評価基準及び終了基準を満たしているか」。
リスクもコントロールも全て記述すると文字数が足りなくなり、特にリスクの記述が難しい。
いっそ、部分点狙いでリスクは書かない案もあるかも。その場合は、コントロールの記述量を増やす。
たとえば、PoC評価書を査閲し、PoC計画書で定めた評価基準及び終了基準を満たしているか確認する、など。

 

設問3

基本情報

概要 M氏が指摘した問題
方式 記述式30字以内

 

何が問われているか 本番移行工程における問題
読み取る箇所 〔M氏の助言〕の (3)
回答材料 本番移行工程では学習のみ行う
回答材料箇所 〔チャットボット開発の概要〕の(3)要件定義以降の開発計画 の③
回答案 本番移行工程で学習のみ行い評価が考慮されていないこと(26字)

 

■コメント■

 

問題文を読むと、〔チャットボット開発の概要〕の(3)の③には「学習だけを行い」という限定表現がある。
こうした箇所には「本当に大丈夫?」という問題の意識をもって下線などのチェックを引いておきたい。
〔修正した監査手続書〕の(3)の「テスト、本番移行及び本番運用の各工程で学習と評価を考慮しているか」という部分は、M氏の問題意識を反映した結果が書かれているので、回答のヒント(補強材料)になっている。

 

設問4

基本情報

概要 M氏が不十分と考えた理由
方式 記述式40字以内

 

何が問われているか オペレータ教育の内容と実施計画が不十分と考えた理由
読み取る箇所 〔M氏の助言〕の (4)
回答材料 結果の正しさや利用可否をオペレータ自身で判断すべき
回答材料箇所 〔監査チームが想定したリスク〕の(4)オペレータ教育のリスク
回答案 操作方法の変更だけではなく、結果の正しさや利用可否を判断すべきであるため(36字)

 

■コメント■

 

M氏が不十分と考えた理由が問われているので、いろいろな回答案がありそうな印象。
○○というリスクがあるから、というのも回答になりそう。
その場合は、AIやチャットボットが示した結果を鵜呑みにして回答するリスクがあるから、などと答える。
また、M氏が○○を確認して不十分と考えたから、というのも回答になりそう。
その場合は、開発概要書には操作方法の変更に関する教育が中心で、不十分だから、などと答える。
上述の回答案では、「リスクを下げるために、現行のオペレータ教育計画の不十分なところを指摘するイメージ」で回答した。

 

まとめ

難易度評価

問題文構造の表を再掲します。

テーマ 構想立案工程 PoC工程 学習と評価 オペレータ教育
〔チャットボット開発の概要〕 (1) (2) (3) (4)
〔監査チームが想定したリスク〕 (1) (2) (3) (4)
〔M氏の助言〕 (1) (2) (3) (4)
〔修正した監査手続書〕 項番(1) 項番(2) 項番(3) 項番(4)
対応設問 設問1 設問2 設問3 設問4
難易度評価 やや易 やや難 やや易 やや難

 

設問2と設問4は「やや難」だった印象です。

理由として、設問2は2つのことが書かれているのに加え、問題文のさまざまな箇所に回答材料らしき記述がちりばめられ、制限字数に収めるのが難しかったと考えられるためです。

監査証跡一つとっても、構想立案書・PoC計画書・PoC評価書があり、一概に選び取りづらいと考えました。

また、設問4はM氏が不十分と考えた理由が問われており、何をもってそう考えたかは色々な回答が考えられそうであるためです。

設問4については試験センターの見解を待ちたいところです。

複数の回答案が認められるならば、正答率としては高くなり難問とは言えなくなるかもしれません。

 

取り組み方へのアドバイス

本問に限らない、システム監査技術者の午後Iの取り組み方についてまとめておきます。

 

■取り組み方まとめ■
一. 問題文構造の表を頭の中に意識して、「縦方向に読み解く」ことを心掛ける。
設問と問題文の各章の各節が対応しているので、串刺し的に読み進める。

一. 設問で何が問われているかを、設問だけでなく本文も使って明確にする。
回答材料は問題文構造を縦方向に遡って探しに行く。

一. 監査手続が問われている場合、回答テンプレートを意識して回答する。
"リスク"が"コントロール"されていることを、"監査証跡"で確認する。

おわりに

本記事は、試験センター解答発表後、加筆・修正する可能性があります。

予めご了承ください。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

試験センターの解答や合格発表にはまだ時間があるので、

それまでに私も対策記事・講評記事をアップしていきたいと思います。

ではそれまで。

情報処理技術者試験(高度) 各区分の午前II分析 (令和3年秋)

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情報処理試験、受験された方、お疲れ様でした。

試験が終了して少し時間が経過しましたが、合否発表にはまだ時間があります。

各区分の、午前IIの出題分野を分析してみたので、本記事でまとめてみました。

 

■ATTENTION■
本記事で分析する主題分野は筆者の独断です。
IPAとしては、テクニカル系・ストラテジ系・マネジメント系に分けられるということを公開しています。

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各試験区分の午前の出題範囲
参考:
試験要綱ver4_7.pdf (ipa.go.jp)

 

各試験区分の午前II出題割合

1. プロジェクトマネージャー(PM)

問題 区分 問題数 割合
問1~14 PM 14 56%
問18,19,21,23~25 SC 6 24%
問15~17,20 SA 4 16%
問22 ST 1 4%

 

■コメント■

 

自区分(プロジェクトマネージャー)の出題数は14問で全体の56%。

次に多いのがSC(情報処理安全確保支援士)で6問・24%。SCの出題数が多いのは、他の区分でも同様と見られる。

SA(システムアーキテクト)も4問・16%で多め。プロジェクト管理を行う以上、開発ノウハウは知っておくべき、ということと思われる。

 

2. システム監査技術者(AU

問題 区分 問題数 割合
問1~10 AU 10 40%
問13,17~20 SC 5 20%
問14,15,24 PM 3 12%
問11~12 応用情報 2 8%
問23,25 SM 2 8%
問16 ST 1 4%
問21 DB 1 4%
問22 ES 1 4%

 

■コメント■

 

全区分で、最も幅広い試験区分から出題されている。

自区分(システム監査技術者)の出題数は10問・全体の40%で、自区分比率は他の区分の試験と比較して最も少ない。

次に多いのがSC(情報処理安全確保支援士)、PM(プロジェクトマネージャー)と続く。

監査する立場である以上、セキュリティ観点の知識や、被監査対象であるプロジェクトの管理者の知識を求めていると思われる。

 

3. データベーススペシャリスト

問題 区分 問題数 割合
問1~15 DB 15 60%
問16~18,25 SA 4 16%
問22~23 応用情報 2 8%
問19 SM 1 4%
問20 SC 1 4%
問21 NW 1 4%
問24 PM 1 4%
 
 
■コメント■

 

自区分(データベーススペシャリスト)の出題数は15問・全体の60%で多め。

合格ラインは60%なので、自区分の問題さえ確実にこなせばそれだけで午前IIパスも可能。

次に多いのがSA(システムアーキテクト)で4問・16%。

データベースと連携するアプリケーション層やとりまくシステムアーキテクチャの理解が求められていると思われる。

 

4. エンベデッドスペシャリスト

問題 区分 問題数 割合
問1~14,24,25 ES 16 64%
問16~19 SC 4 16%
問20~23 SA 4 16%
問15 NW 1 4%
 
 
■コメント■

 

自区分(エンベデッドスペシャリスト)の出題数は16問・全体の64%で多め。

合格ラインは60%なので、自区分の問題さえ確実にこなせばそれだけで午前IIパスも可能。

次に多いのがSC(情報処理安全確保支援士)、SA(システムアーキテクト)の順。

IoTデバイスのセキュリティは求められているのと、組込みソフトウェアの設計でプログラムの知識が求められているということと思われる。

 

5. 情報処理安全確保支援士

問題 区分 問題数 割合
問1~17,23,24 SC 19 76%
問18~20 NW 3 12%
問22,25 PM 2 8%
問21 DB 1 4%

 

■コメント■

 

自区分(情報処理安全確保支援士)の出題数は19問・全体の76%にも上る。

合格対策としては、ほぼ自区分の勉強だけで十分。

次に多いのがNW(ネットワークスペシャリスト)だが、これはセキュリティとネットワークが密接に関わっているため。

本区分は、午後問題でもネットワークの知識があると回答しやすい設問が多い。

 

総合分析

各区分の出題表を再掲します。

 

  • プロジェクトマネージャー
問題 区分 問題数 割合
問1~14 PM 14 56%
問18,19,21,23~25 SC 6 24%
問15~17,20 SA 4 16%
問22 ST 1 4%

 

  • システム監査技術者
問題 区分 問題数 割合
問1~10 AU 10 40%
問13,17~20 SC 5 20%
問14,15,24 PM 3 12%
問11~12 応用情報 2 8%
問23,25 SM 2 8%
問16 ST 1 4%
問21 DB 1 4%
問22 ES 1 4%

 

問題 区分 問題数 割合
問1~15 DB 15 60%
問16~18,25 SA 4 16%
問22~23 応用情報 2 8%
問19 SM 1 4%
問20 SC 1 4%
問21 NW 1 4%
問24 PM 1 4%

 

問題 区分 問題数 割合
問1~14,24,25 ES 16 64%
問16~19 SC 4 16%
問20~23 SA 4 16%
問15 NW 1 4%

 

  • 情報処理安全確保支援士
問題 区分 問題数 割合
問1~17,23,24 SC 19 76%
問18~20 NW 3 12%
問22,25 PM 2 8%
問21 DB 1 4%

 

 

自区分比率が最も高いのはSC(情報処理安全確保支援士)で、19問・76%です。

SCは、他区分の試験においても必ず出現しているのも特徴です。

 

一方、自区分比率が最も低いのはAU(システム監査技術者)で、10問・40%でした。

しかも、他区分の試験においてはまったく登場していないです。

 

これは、AUの試験区分が他から特異であることを意味しているように思えます。

推測ですが、AUの試験作成には、他の区分の作成者とはかなり違った経路の専門家が集まっているのではないでしょうか?

 

複数の高度試験の合格を目標としている方は、まずはSC合格から狙って経験を積んでいくのが、効果的な取り組み方だと思います。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

本ブログではあまり取り上げない、午前IIを中心に分析しました。

本記事では筆者独自の観点で問題を種別して分析しているので、一つの考え方として参考としていただければ幸いです。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

「読者になる」ボタンで、ブログの更新時に通知されますので、ご検討ください。

 

試験センターの合格発表までまだ時間があるので、今後も分析記事を投稿したいと考えています。

ではそれまで。

情報処理技術者試験(高度) 振り返り速報 令和3年秋

f:id:createrolerole:20211011115914p:plain

更新:2022/4/19

 

情報処理試験、受験された方、お疲れ様でした。

特に論文試験を受けられた方は手首にだるさが残っていると思いますが、鉄は熱いうちに打て、私なりに各区分の振り返り評価をしていきたいと思います。

試験センターが公開している各区分の午後I・午後II問題に対して、一言二言、コメントをしていきたいと思います。

プロジェクトマネージャー

午後I

  テーマ
問1 新たな事業の実現するためのシステム開発プロジェクトにおけるプロジェクト計画
問2 業務管理システムの改善のためのシステム開発プロジェクト
問3 マルチベンダのシステム開発プロジェクト

 

■速報コメント■

 

問1や問2は会社を取り巻く背景や事業戦略から導入されているので、ST寄り、問3は構築されたシステムを起点に課題を検討するので、SM寄りの印象。特に問3は金融系でマルチベンダの課題を扱うので規模こそ違えど某M銀行の事故を彷彿とさせた。

 

午後II

  テーマ
問1 システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトチーム内の対立の解消について
問2 システム開発プロジェクトにおけるスケジュールの管理について

 

■速報コメント■

 

問1は組織マネジメント、問2は時間マネジメントで典型の出題。問1は対立を未然に防ぐルールと実際の仲裁でルールを修正(改善)すれば書きやすそう。問2はEVMを書いてほしい気配がプンプンする。

 

システム監査技術者

午後I

  テーマ
問1 チャットボット開発の企画段階における監査
問2 システム再構築プロジェクトの企画段階における監査
問3 結合テストの監査

 

■速報コメント■

 

問1はチャットボットという採用技術色が濃い。同テーマの過去問に触れていると有利。問2・問3はどちらも再構築プロジェクト中という設定。問2はインフラ知識、問3は業務知識の前提知識があると心強い。

 

午後II

  テーマ
問1 RPAツールを利用した業務処理の自動化に関する監査について
問2 他の監査や評価として実施された手続とその結果を利用したシステム監査の計画について

 

■速報コメント■

 

問1は過去問でRPAのテーマに触れていると有利。問2は「他の監査」としてISMS・PCIDSS・ISOなどの認証規格に通じているとアピールになる。どちらも問題選択の入り口としては取っつきにくそう。

 

データベーススペシャリスト

午後I

  テーマ
問1 データベース設計
問2 データベースの実装
問3 テーブルの移行及びSQLの設計

 

■速報コメント■

 

問1は関係スキーマと属性表が問われる典型的な出題という印象。問2はやや業務寄りで、業務知識があると若干有利か。問3がSQLの実装に関する出題が目立ち、SQL対策などでSQL慣れしていることが第一条件になりそう。

 

午後II

  テーマ
問1 データベースの実装
問2 製品物流業務

 

■速報コメント■

 

問1は図表が多く同時並行でインプットして処理していく頭・訓練が求められそう。問2は前半はだらだらとした文章が続くのでそれを適切に図表におこすアウトプット力がほしい。DB名物?のエンティティ図を作成するのは問2の方。

 

エンベデッドスペシャリスト

午後I

  テーマ
問1 ペット医療の点滴で用いるシリンジポンプ
問2 デジタルトランスフォーメーションを用いたレストラン
問3 スマート畜産システム

 

■速報コメント■

 

問1・問2はソフトウェア寄りだが、問2が"DXレストラン"というインパクトの強いテーマ。取り組みとしては面白そうなので、興味に引っ張られ過ぎず記述するのが大事と思う。問3は過去問でGPSのテーマに触れていると有利。

 

午後II

  テーマ
問1 駅でサービスを行うロボット
問2 生産ラインの可視化システム

 

■速報コメント■

 

問1は駅構内のロボットを扱うテーマで、内容としては面白そう。制御機構の知識や経験が重要。問2はがっつりとした、現実的なシステム仕様が扱われており、ソフトウェア知識をもとに細かく読み解いていく力が求められそう。

 

情報処理安全確保支援士

午後I

  テーマ
問1 セキュリティインシデント
問2 システム開発での情報漏えい対策
問3 PCのマルウェア対策
 
■速報コメント■

 

問1・問3はNWの知識がある人はこの2問を選択すると良い。NW図や通信プロトコルの知識が問われる出題がある。問2は業務と照らしながら具体的な脅威や攻撃手法の知識を問われる。マネジメント系やアプリ系は取り組みやすいと思う。

 

午後II

  テーマ
問1 協力会社とのファイル受渡し
問2 マルウェア感染への対処

 

■速報コメント■

 

問1は攻撃スクリプト/脆弱性コードの具体的な記載方法が問われている。HTTPヘッダやHTMLなどの基本知識があると心強い。問2はNWログを追ってインシデント対応を行う問題。NWやSMの知識があると取り組みやすそう。

 

おわりに

試験センターの午後試験の解答が出るまで、まだ時間があります。

まずは、試験を完遂できた自分をほめて、休息しましょう。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

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試験センターの解答や合格発表は時間がかかるので、

それまでに私も対策記事・講評記事をアップしていきたいと思います。

ではそれまで。

高度情報処理試験対策 残り1週間の「仕上げ方」(令和3年秋版)

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令和3年度の秋季情報処理試験(10/10)まで残り1週間となりました。

ワクチン接種率は順調に増え続け、リスク管理体制もようやく一巡となっている中なので、試験自体は開催されることと思います。

ただ、残りの時間は限られています。

残りの一週間は、これまでの勉強を前提とした「仕上げ」のみの時間とするべきでしょう。

 

では、具体的に何に取り組めばよいのでしょうか?

本記事でも、さきに結論を書きましょう。

 

■1週間での「仕上げ方」■
  • 1. 午前(選択)・午後I(記述)・午後II(論述)のどれを最終集中対策するか決めること
  • 2. 残り1週間で何をやるか明確でないなら、午後I対策に注力すること
  • 3. 午前(選択式)の仕上げ方:1問でも多く「丸暗記」。
    「キーワード」を紐づけて「暗記」すること
  • 4. 午後I(記述式)の仕上げ方:問題文と設問文から、解答を思い出せるかという訓練をすること
  • 5. 午後II(論述式)の仕上げ方:論文パーツを整備すること

本記事では、合格に向けて、上記「仕上げ方」について詳しく書いて参ります。

 

[目次]

 

なお、今期(令和3年秋)の1か月前の記事については、下記を参考ください。

 

■1か月前にやるべきこと4点■
1か月前(9月)に、試験受験に向けてやるべきこと・心構えをまとめています。
ポイントは、
気構え/参考書/事例集 です。

>秋季 高度情報処理試験 1か月前から取り組むべき4点のこと 

 

1. 1週間で重点対策をする内容を決める

まずは、ご自身の状況を冷静に振り返り、何を重点的に仕上げるかを決めましょう。

ここで決めることは単純で、

  • 午前II:選択式
  • 午後I:記述式
  • 午後II:論述式

のどれを最終集中項目にするかを決めます。

 

改めて重要な点ですが、午前で落ちてしまえば、午後の試験が採点されることはありません。

午後の記述式で落ちてしまえば、論述試験には進めません。

この現実を踏まえて、どの形式の準備を重点的に行うか、決めておくべきです。

  

■1つ目のポイント■
午前(選択)・午後I(記述)・午後II(論述)のどれを最終集中対策するか決める。

 

2. 午後Iに注意しよう

極論ですが、今回の合格は諦め、次回のために午前I免除の権利を勝ち取ることを目標にするのなら、午前Iの勉強に集中するのもありでしょう。

ここでは、現時点で当落線上にいると自分で思っている方に向けて書きます。

 

言わずもがなですが、足切りされてしまうのはとてももったいないです。

たとえば、論文対策まできちんとしていたのに、記述式で落とされてしまうと、論文は採点すらされないからです。

同様に、午前の選択式で落ちてしまっても同様です。

 

ここで、残り時間はあと1週間であることを思い出してください。

最後の1週間は、足切りを回避するため、午前対策に注力する方は多いです。

一方、合格を真剣に目指す方は、最後の関門である午後II対策に最後まで注力します。

 

すると、午後Iが盲点になりやすいです。

 

ここで私からは、どれを重点対策するか決めかねている方は、「午後Iの記述式を重点対策する」ことを提案したいと思います。

 

■2つ目のポイント■
残り1週間で何をやるか明確でないなら、午後I対策に注力しよう。

 

記述式は、実は最もコンディションに左右されやすいです。

ちょっとした集中力の欠如で、すぐに問題文の内容が頭に入ってこなくなります。

それなのに、時間は午後IIより短いです。

 

繰り返しになりますが、対策をきちんとしていればいるほど、足切りはもったいないです。

私自身、何度も午後IIに照準を合わせ勉強してきて、午後Iで危なく落とされそうになったり、実際に落ちたりしています。

 

3. 午前(選択式)の仕上げ方

残りの時間は「仕上げ」のみに注力するべきという話をしました。

 

今から試験に対してマインドセットを切り替えたり、その試験区分に求められる人物像の行動規範を理解したりするのは、合格に向けては「重たい勉強」と言えます。

ここからは、即得点につながる、「軽い勉強で仕上げていく」のがよいでしょう。

 

まず、午前Iや午前IIの選択式は「丸暗記」が通用するので、1問1答形式で1問でも多く頭に詰め込むのは有効でしょう。

全く同じ問題が出る可能性があるので、ダイレクトに得点に結びつきます。

 

この際、問題ごとに、その問題の「キーワード」を見つけるようにしましょう。

「キーワード」に紐づけて、問題を暗記しましょう。

 

■3つ目のポイント■
午前(選択式)に注力するなら、残り1週間では1問でも多く「丸暗記」しよう。
「キーワード」を紐づけて「暗記」すること。

 

中には、地力で計算して解けるような問題(計算問題)もあります。

しかし、そのような問題でも、なぜ計算するのかという背景部分に「キーワード」が書かれています。

 

「キーワード」は、過去問数年を踏まえていくと、何度も登場する「キーワード」があります。

「キーワード」に注目していくと、傾向が見えてきます。

傾向が見えてくれば、記憶の定着率が増え、「暗記」作業の効率も上がるという好循環が生まれます。

 

4. 午後I(記述式)の仕上げ方

午後Iの記述式も、午前問題ほどではないとはいえ、1問1答形式で暗記しておく、というのは有効です。

たとえば、平成〇年度の問〇の設問〇の答えは、「〇〇〇〇〇〇すること」という風に覚えたとします。

こうすることで、その設問と、問題文の構造、さらに自分の思考のクセ、などを関連付けて記憶することが期待できます。

自分の思考のクセを認識できると、正答にたどり着くまでの思考プロセスを研ぎ澄ますことができます。

残り1週間で、この研ぎ澄ましに集中しましょう。

 

残り1週間は、隙間時間で、自分で解いたことのある問題文と設問文を見て、解答を思い出せるかという訓練を繰り返しておくとよいと思います。

 

こうした記憶は「短期記憶」となるため、残り1週間で仕上げるのが都合が良いです。

 

■4つ目のポイント■
午後Iは、隙間時間に、自分で解いたことのある問題文と設問文を見て、解答を思い出せるかという訓練を繰り返そう。
問題文の構造、さらに自分の思考のクセを紐づけて把握し、ぎりぎりまで自分の思考プロセスを修正していこう。

 

5. 午後II(論述式)の仕上げ方

まさに一夜漬けの利かない試験形式ではありますが、それでも、できる「軽い」勉強はあります。

それが論文パーツの整備です。

 

小難しいことを考えている時間はもうありません。

設問に対応した解答となる論述文、言い回しを1つでも多く覚えましょう。

 

これまである程度対策してきている方は、設問と論文パーツの関連を整理しておきましょう。

ものによっては、ある設問と別の設問で同じ論文パーツが使えるものも出てくるはすです。

最後まであきらめず、どのような角度で問われても論述しきれる可能性を高めておくために、引き出しを充実させておきましょう。

 

論文パーツの整理の仕方に特化した記事もあるので、合わせて確認してください。

 

■論文事例マップの作り方■

参考記事はITストラテジスト区分ですが、事例マップの作り方は各区分に共通するものです。

 

■5つ目のポイント■
午後IIにも、「軽い」勉強はある。それが論文パーツの整備。
どんな切り口で問われても論述できるように、最後まで引き出しを充実する作業をしよう。

 

まとめ

それでは、本記事で紹介したことを改めてまとめておきます。

 

■まとめ■
  • 1. 午前(選択)・午後I(記述)・午後II(論述)のどれを最終集中対策するか決めること
  • 2. 残り1週間で何をやるか明確でないなら、午後I対策に注力すること
  • 3. 午前(選択式)の仕上げ方:1問でも多く「丸暗記」。
    「キーワード」を紐づけて「暗記」すること
  • 4. 午後I(記述式)の仕上げ方:問題文と設問文から、解答を思い出せるかという訓練をすること
  • 5. 午後II(論述式)の仕上げ方:論文パーツを整備すること

 

残りの過ごし方を決めていた方も、決めていなかった方も、何らかの気づきを提供できたのではないかと思います。

参考までに、前回(令和3年 春試験)の試験対策記事も、余裕があれば目を通してみてください。

 

■高度情報処理試験対策 1週間前にやるべきこと■

同様のポイントをまとめていることが、分かると思います。

>1週間前にやるべきこと(残7日!)

 

なお、私は今期、秋試験は受験しません。

情報処理試験のフルコンプリートを目指していますが、前々回にシステム監査技術者に合格したことで、秋試験では受験する科目がなくなってしまったためです。

なお、その時の記事は以下を参照ください。

 

■システム監査技術者 合格記事■

 

ここまで読んできてくれた方であれば、当落線上にいると思っている方も、是非合格を目指してほしいです。

悔いの残らないようにしましょう。

 

さて、残りはラストスパートですね。

試験後までは twitter 中心で呟きます。

 

本ブログでは、高度情報処理試験の、合格に向けたサポート記事を充実していきます。

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ではそれまで。